
飲食店を開業しようとしているが、何からはじめたらよいかわからない…という方も多いのではないでしょうか?
今回は、飲食業をスタートされる際にとても重要となる「創業計画書」や創業される際に抑えておきたいポイントなどを解説していきます。
この記事はこんな方におすすめです |
・これから飲食店を開業しようと考えている ・創業計画書って何? ・お店のコンセプトの設定に悩んでいる ・飲食店のコンセプトの作り方が知りたい |
目次
創業融資を受けるには創業計画書の作成が必要
飲食店を開業していく際、開業資金はどうされますか?
自己資金で全額まかなえない場合、多くの創業者は銀行の融資など、他の手段を取られると思います。
この時、特に多くの方が活用されるのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。
低金利で無担保・無保証人と好条件で、かつ日本政策金融公庫は民間金融機関では難しい「創業時の融資」に積極的な方針を取っていますので、まだ実績のない創業時には頼りになる存在です。
さて、いざ創業融資を受けようとすると「創業計画書」の提出が必須となってきます。
創業計画書に関する解説と、よく混同されてしまう「事業計画書」との違いについても触れていきます。
創業計画書とは?
創業計画書とは、事業を立ち上げる際に、どのような事業をはじめていくかを説明するために作成される計画書のことをいいます。
そのため、起業前や、起業されて間もない頃に作成されることが一般的とされています。
事業計画書との違いは?
創業計画書と事業計画書の違いは、作成される時期とその内容に違いがあります。
【創業計画書】
起業前や起業して間もない頃に作成・過去のデータなどがないため、作成するためには工夫が必要
【事業計画書】
起業後の事業が順調な時期に作成・過去のデータとの整合性が求められるため、実行可能な改善策等を打ち出す必要あり
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創業計画書はなぜ必要?
新規創業時に作成する創業計画書は、その後の会社や店舗の経営を大きく左右する極めて重要なものです。
飲食業をスタートされる際に、創業計画書が必要な理由は以下の3つです。
1. 融資を受けるため
多くの場合は、自己資金のみでの開業は難しいため、融資を受ける必要があるでしょう。
融資を受ける際に、この創業計画書が必要となってくるのです。
日本公庫の新創業融資や信用保証協会の創業融資などの公的融資、国の創業補助金などの申請をする際にも提出が求められます。
所定の用紙がある場合がありますので、事前に確認をしておきましょう。
2. 飲食ビジネスを検証するため
ご自分の描くビジネスモデルを具現化していくためにも、創業計画書の作成はとても重要です。
「なぜそのビジネスモデルをやっていきたいのか」を掘り下げて考えていきましょう。
頭の中にあるイメージを言葉にしてアウトプットしていきながら、経営に必要な知識やノウハウを身につけていくようにしましょう。
3. 親族や利害関係者への説明責任のため
新規事業をスタートしていく際に、ご自分の身の回りの方たちに理解を得ることも重要なことでしょう。
事業内容を理解してもらうためにも、創業計画書は重要な役割を果たします。
周囲の方たちに安心していただくためにも、売上予想や利益、そして将来の展望などを数値化し、ご自身の言葉でより具体的に示していきましょう。
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飲食業を開業する上での重要なポイントとは?
飲食業をスタートしていく上で、重要な4つのポイントについて詳しく解説していきます。
- 明確なコンセプトの設定
- 資金調達手段を事前にチェック
- 必要な許認可の取得
- 4つの計画・スケジュール作成
その1 明確なコンセプトの設定
飲食業に限らず、新規事業の立ち上げには必ず明確なコンセプトを設定していくことが重要です。
ビジネスの成功率を高めていくためは、このコンセプトを明確にし、戦略を練っていく必要があります。
コンセプトが定まることで、どのような飲食店にしていくかというイメージや、お店の客層、店舗の立地、そして価格帯などが自ずと明確になってくるのです。
コンセプトの作成方法
コンセプトを設定していく際に重要になるのが、以下の4つの考え方です。
- 誰に(Who):どのような世代や客層をターゲットにしていくか
- なにを(What):お客様のニーズを満たすようなメニューを考える
- どこで(When):店舗を構える場所を考える
- どのように(How):お客様の満足度を高めていくためにどのような方法やサービスを提供していくかを考える
これらの側面からコンセプトを具体的に考えられると、様々な予算なども明確になってきます。
このコンセプトをしっかりと作り上げることで、その後のビジネスが好転していくことにつながるでしょう。
その2 資金調達手段を事前にチェック
新しい事業を始める際には、どうしても資金がかかってきてしまいます。
そのため、開業時に必要な資金調達方法を、優先順位の高い順にご紹介していきます。
1.親族や友人からの融資
2.日本政策金融公庫からの融資
3.銀行や信用金庫などを通した各自治体からの制度融資
まずは、金利などもなく融資を受けられる周囲の方たちからの融資を検討してみましょう。
それが難しい場合は、銀行や信金など民間金融機関からの融資の前に「日本政策金融公庫」からの融資を検討してください。
無担保・無保証人で代表者保証の必要もなく、融資申し込みから実行までの早さ、そして固定金利であることなどがメリットとして挙げられます。
その3 必要な許認可の取得
飲食業をスタートされる際に、最低限必要な資格や届け出は以下の通りです。
【食品衛生責任者】
各都道府県で実施されている講習会(通常1日)を受講する必要あり。受講料は1万円前後。
【防火管理者】
店舗の収容人数が30名以上の場合に必要な資格。各地の消防署が実施している講習会を受講する必要あり。受講日は3000〜5000円前後。
【深夜酒類提供飲食店営業開始届出書】
深夜0時以降の時間帯で、お酒を提供したい場合に警察署に提出する届け出。
よく誤解をされるのが「調理師免許」ですが、この資格がなくても飲食店を開業することは可能です。
上記の必要資格や届け出以外にも、保健所や消防署、税務署などへの届け出が必要になってきます。
ご自分の店舗の形態により、必要な許認可は異なってくるので、事前に確認をしておきましょう。
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その4 4つの計画・スケジュール作成
飲食業を成功に導くために、以下の4つの計画・スケジュール作成が必要です。
1.投資計画
必要な費用を明確にするために必要になってくるのが、この投資計画です。
具体的に以下の5つの費用が必要とされています。
- 物件費用
- 店舗機材にかかる費用
- 設備費用
- 準備資金(広告費や光熱費、通信費など)
- 運転資金(数カ月分あると安心)
これら5つの資金を踏まえ、開業時に用意しておきたい開業資金の目安は1,000万円前後といわれています。
2.売上計画
利益を明確化する一歩になるのが、この売上計画です。
売上は、「客数×客単価」で算出していきます。
客数の予想は、事前のリサーチと競合店とのバランスを見ながら割り出していきましょう。
また、営業時間や営業日によって、客数や客単価が異なってくるため、それぞれのケースに応じて売上を算出していくことも重要です。
3.収支計画
売上に対し、どの程度の利益ができるか算出するために、収支計画を作成していきます。
ランニングコストを明確化することで、返済能力を知ることができるのです。
事業全体を通した利益が出ない場合は、事業の見直しが必要となってくるでしょう。
4.資金調達計画
資金調達計画では、どこからどの程度の金額を調達するかを明確にしていきます。
資金調達するために最も重要なポイントは、「経営理念(=コンセプト)を自分の言葉で明確に伝えること」です。
資金を調達するためには、飲食業での実績が最低でも5年程度あると信頼性が高まるでしょう。
まとめ

飲食業をスタートされる際に必要となる創業計画書や、事業を成功させるためのポイントについて解説してまいりました。
創業計画書のためだけではなく、ビジネスを成功させていくためにも「明確なコンセプトの設定」がとても重要になります。ご自分の描くビジョンを実現させていくためにも、事前のリサーチなどの準備を念入りに行っていきましょう。

