バーを開業するには初期費用や運転資金などさまざまな開業資金が必要です。
まずは、これらの開業資金が具体的にどれくらいかかるのかをしっかり把握することが、バーを開業するための第一歩と言えるでしょう。
本記事ではバーの開業時に必要な資金の内訳を詳しく解説し、初期費用を抑える方法や資金調達方法などについても解説します。
融資を通すためのポイントについても説明するので、バーの開業を考えている方は本記事で開業資金についてしっかり学んでください。
目次
バー開業の相場はいくら?
バーを開業するのに必要な費用は、10〜15坪程度の小規模な店舗でおおよそ1,000万円~1,500万円とされます。
費用は、開業時に必要な初期費用と開業後の運転資金の2種類に大別できます。
初期費用は開業前に必ず必要になるので、事前に用意しておかなければなりません。
運転資金は毎月定期的に発生する費用ですが、余裕を持って経営するためには開業時にある程度用意しておく必要があるでしょう。
バー開業時に必要な費用の内訳
バーを開業するためにはまず、物件を取得して店舗の設備を整えなければなりません。
これらの初期費用を物件取得費・店舗投資費にわけて、それぞれの内訳について説明します。
物件取得費用
テナントを借りるための物件取得費としては、敷金・礼金・前払い家賃・仲介手数料・保証金などがかかります。
これらをすべて合計すると大体家賃の7~15ヶ月分程度になり、金額としては300~500万円ほどかかるでしょう。
物件取得費の内訳は保証金が占める割合が大きく、保証金だけでも家賃の6ヶ月分以上かかる場合が多いです。
例として、家賃25万円の物件を借りた場合、保証金は150万円で物件取得費の合計は400万円程度かかると考えてください。
店舗投資費用
テナントを借りたら内外装工事をし、厨房機器・テーブル・椅子などの什器を揃えなければなりません。
店舗投資費用としては内外装工事が100万円、什器・食器などが100万円くらいかかり、合計で200万円程度になるのが一般的です。
もっとも店舗投資費用は内装のこだわり次第で変動し、居抜き物件を活用して費用を抑えるといったこともできるため、工夫次第で費用を抑えることもできるでしょう。
内装工事費は物件によっても異なる!
物件には大きく分けてスケルトン物件と居抜き物件の2種類があり、内装工事費用もこれによって大きく異なります。
それぞれの費用の違いやメリットなどについて解説するので、自分が開業する際はどちらの物件を利用するのかを考えてみましょう。
スケルトン物件の場合
スケルトン物件とは、コンクリート打ちっぱなしの状態で内装が何もない建物の躯体だけの物件のことをいいます。
スケルトン物件は内装が何も施されていないので、自分のイメージするバーを作りやすいのがメリットです。
ただし、イチから内装工事をしなければならないため、工事費用は1坪60〜80万円程度かかります。
スケルトン物件の場合でもテーブル・イスなどに中古品を活用することで、コストダウンを図ることも可能です。
居抜き物件の場合
居抜き物件を利用すれば、もとあったお店の内装・設備をそのまま使用できます。
スケルトン物件と違って内装工事費を最小限に抑えられるうえ、設備が揃っているのでゼロから揃える必要もありません。
そのため居抜き物件の方がコスト面のメリットは大きく、1坪10~40万円程度で工事ができます。
ただし、自分のイメージに合った物件がみつかるかどうか、またどこまで内装にこだわるかといった問題とのバランス調整には悩むところでしょう。
バー開業に必要な運転資金
運転資金の合計はおおよそ1か月50~100万円程度です。
開業後はしばらく売り上げが伸びない期間が続くことも予想されるので、開業前に3~6か月分くらいの運転資金を用意しておくとよいでしょう。
それでは、バー開業に必要な運転資金の内訳について解説します。
家賃
店舗の立地や広さによって大きく異なりますが、20〜25万程度の家賃がおおよその相場です。
家賃は運転資金のうちで大きな割合を占めており、開業後も家賃の負担が原因で資金繰りが苦しくなることは少なくありません。
ポイントとしては、あらかじめ売り上げの見込みを予想したうえで、家賃を売上の10%以下に設定しておくことです。
店舗の規模次第で大きな売り上げを見込めるのであれば、家賃をある程度高めに設定してもよいでしょう。
食材費
食材費は、店舗の規模が大きければ大きいほど多額の費用がかかります。
目安としては、売上高に対する材料費の割合を30%程度と考えておくのが望ましいでしょう。
食材費は運転資金のうちでも大きな割合を占める費用なので、仕入れの管理は慎重におこなわなければなりません。
少なすぎれば機会損失に繋がり売り上げを下げる原因になり、逆に過剰な仕入れは経費負担が大きくなるため、うまく調整することが重要です。
水道光熱費
電気、ガス、水道代などの水道光熱費は、売り上げの5~6%程度です。
水道光熱費も店舗の規模によって金額が変動しますが、もともと食材費や人件費などと比較しても大きな負担ではないためそこまで金額の変動はありません。
料金も使用した分だけしか発生しないので、よほど大きな金額になっていない限りそこまで気にする必要はないでしょう。
人件費
人件費は1か月に15~25万程度かかります。
小規模なお店にして一人で運営すれば人件費はかかりませんが、基本的には最低でも数人のアルバイトを雇うことになるでしょう。
人件費は給料だけでなく、交通費や社会保険料の雇用者負担分などの支払もあります。
そのためあらかじめ収支を計算する際は、このことも忘れないようにしてください。
できるだけ初期費用を抑えたい場合
バー開業には大きな初期費用がかかるので、少しでも開業を早めるためには初期費用をできる限り抑えることが重要です。
初期費用を抑える方法はいくつかありますが、ここでは代表的なものを4つ紹介します。
こちらで紹介する方法を生かし、抑えられる費用はできる限り抑えて開業しましょう。
居抜き物件を借りる
居抜き物件の活用は、バーを開業する初期費用を抑えるためにとても有効な手段です。
内装工事などの店舗投資費用だけでも200万円程度かかりますが、居抜き物件で開業すれば元のお店から変更したい部分の設備投資だけで済みます。
また元のお店がバーとして認知されていれば、開業後の集客にも有利に働くでしょう。
ただし居抜き物件だとレイアウトの融通が利きづらいため、イメージと大きく違う物件を選んでしまうとかえって費用がかかってしまうこともあるので注意が必要です。
備品・インテリアなど中古で購入
冷蔵庫や電子レンジといった備品や、いす・テーブルなどのインテリアを中古で購入することにより、差額分の費用を浮かせることができます。
内装にこだわればこだわるほど費用は高額になりますが、中古でもいいものがあればうまく活用しましょう。
例えば、閉店したお店で使用していた什器を中古で販売している店などがあるため、そういったお店に欲しいものがないか確認してみてください。
ただし、グラスや食器などはあまり使用感があるものだとイメージが悪いので、お店で使えるものかどうかはよく吟味する必要があります。
工事費用は相見積もりで比較検討
内装工事の費用は業者によって大きく異なるので、必ず複数の業者から見積もりを取って料金を比較検討しましょう。
一社しか見積もりをとらないと相場もわからないため、相場より高額な料金であっても気付かずにそのまま依頼してしまうことがあります。
また、相見積もりをとることで料金以外の部分も比較できるので、きちんと仕事をしてくれる業者であるかどうかも見極めることができるでしょう。
大事なお店の内装工事なので、料金だけでなくこれまでの施工実績も豊富な優良業者に依頼することが大事です。
協賛メーカーからグラスなど提供してもらう
企業とスポンサー契約を締結し、そのスポンサー企業からグラスや食器など備品になるものを提供してもらうのも費用を抑える方法の一つです。
近年では協賛のあり方も多様化してきてるため、インターネットやSNSを活用することで小規模の個人事業主であってもスポンサーを獲得できます。
協賛メーカーから譲渡や貸与という形で物品を提供してもらえることもあるので、まずはスポンサーを獲得できないかどうかを検討してみましょう。
バー開業資金の調達方法には何がある?
バーの開業には多額の資金が必要であることがわかったと思いますが、開業資金をすべて自己資金でまかなえるケースは稀でしょう。
多くの場合、自己資金で足りない分は何らかの手段で資金調達をしなければなりません。
ここでは4つの資金調達方法を紹介するので、開業資金を集める際の参考にしてください。
自分で貯金する
まずは自分で貯金して、少しでも多くの自己資金を溜めましょう。
すべて自分の貯金で開業資金を溜める必要はありませんが、外部から資金調達をするうえで自己資金の金額は熱意の証明になります。
日本政策金融公庫や民間金融機関から融資を受ける際にも、自己資金は重要視されており、その額次第で融資の可否が決まることもあります。
開業を決めたら少しずつ貯金を溜め、開業資金を準備していきましょう。
親族・知人から借りる
資金調達は銀行などの金融機関だけでなく、親族や知人から提供を受けることもできます。
親族や知人であれば金利もかからないので、まずは身近な人から資金調達ができないかを検討してみましょう。
例えば、親族のなかに経営者がいれば開業の理解を得やすいため、融資が得られる見込みがあります。
ほかにも知人のなかに経営や投資に興味がある人がいれば、話だけでもしてみるのも良いかもしれません。
融資を受ける(民間金融機関or公的機関)
融資を受ける先としては、銀行や信用金庫などの民間金融機関があります。
個人事業主が融資を受けるのにはそれなりに高いハードルがありますが、綿密な計画を立てて利益を出せることを訴えれば、融資が得られる可能性はあるでしょう。
公的機関で有名なのは、日本政策金融公庫です。
特に、後ほど紹介する新創業融資制度であれば、初めて開業する個人事業主でも十分融資を受けられる可能性があります。
補助金・助成金の活用
国や自治体の取り扱っている各種の補助金・助成金も活用しましょう。
例えば、東京都中小企業振興公社の創業助成金は、都内で創業を予定している事業者に対して必要な経費の一部を助成する制度です。
上限は300万円ですが、助成金であるため融資と違って返済の必要がないというのが大きなメリットでしょう。
各自治体には独自の制度があるので、開業を考えている地域に使える補助金や助成金がないかどうかはきちんとチェックしてください。
資金調達の方法.1 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は主に小規模事業者を対象として融資などの支援をおこなう公的機関です。
利益を重視する民間金融機関とは違い、小規模事業者の支援が目的なので、実績だけでなく将来性を考慮して融資を実施してくれるのが大きな特徴でしょう。
なかでも「新創業融資制度」は、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方を対象にした無担保・無保証の融資制度であり、活用する起業家が多い人気の制度です。
融資を受けるのであれば、ぜひ新創業融資制度の利用を検討してください。
合わせて読みたいおすすめ記事
資金調達の方法.2 制度融資
制度融資とは、地方自治体・金融機関・保証協会の三者が協調しておこなう融資の制度です。
通常の民間金融機関の融資を受ける場合、利子や保証協会の手数料が発生しますが、制度融資ならこれらを自治体がサポートしてくれます。
通常であれば、返済能力が低い個人事業主が民間金融機関から創業融資を受けるのは困難ですが、制度融資を使うことで融資を受けられる可能性が上がります。
銀行や信用金庫からの融資を検討している方は、ぜひ制度融資を利用してみましょう。
合わせて読みたいおすすめ記事
融資の決め手になるのが「事業計画書」
融資の可否を決める審査では、事業計画書の内容がとても重視されます。
審査担当は、申込者と必ず面談をしたうえで最終的な可否を決定しますが、それでも融資において事業計画書の内容が大きく影響することは間違いありません。
事業の構想をしっかり事業計画書にまとめ、融資をしたくなるような説得力ある内容に書き上げましょう。
また事業計画書をまとめる作業を通して、自分自身で計画を客観視するよい機会にもなります。
事業計画書を作成することで開業にかける思いがより強固になるので、事業計画書の作成は自分のためにもなるでしょう。
もっとも、はじめて開業する方がいちから事業計画書を作成するのは、なかなか難しいものです。
自信がない方は、起業支援の専門家などに相談してアドバイスを受けることも検討してください。
当サイトでは、事業計画書の無料添削サービスも提供しております。
融資で失敗したくない方はぜひご利用くださいませ。
まとめ
バーの開業には、おおよそ1,000万円~1,500万円くらいの費用がかかります。
初期費用に加えて3~6ヶ月分の運転資金も用意しておきたいので、できる限り多く用意しましょう。
もっとも居抜き物件や中古の設備を活用すれば、初期費用はある程度抑えることができます。
とはいえ開業費用を自己資金だけで賄うのは困難なので、足りない分は融資などによって調達しなければなりません。
当サイトを運営する認定支援機関である「税理士法人Bricks&UK」なら、開業資金の調達から収支計画書の策定などの経営コンサル、集客支援、確定申告まで一貫してお手伝いできます。
これからバーを開業しようと考えている方は、ぜひ一度Bricks&UKにご相談ください。
創業時の融資相談もBricks&UKにおまかせください!
当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」は、顧問契約数2,500社以上、資金繰りをはじめ経営に関するコンサルティングを得意分野とする総合事務所です。
中小企業庁が認定する公的な支援機関「認定支援機関(経営革新等支援機関)」の税理士法人が、日本政策金融公庫の資金調達をサポートします。
資金調達に必要な試算表、収支計画書などを作成していきますので、資金調達のサポートと、借入後の資金繰りをしっかりと見ていくことができます。
そのため、皆様の経営の安定化に、すぐに取り掛かることができます!
まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。