会社が成長するために必要な要素は、多岐に渡ります。
たとえば、明確なビジネスプラン、社員の実力、会社の資金力、社内の風通し、などなどですが、意外と見落とされがちなのが、社員の年齢構成です。
年齢構成による影響を把握した上で、弱点を克服できれば理想的です。
とはいえ若手を採用できない企業が多いはずなので、その対策についてもご紹介します。
目次
社員の年齢構成が重要なカギを握る!
現在では、年功序列や終身雇用がなくなりつつあり、実力主義が叫ばれ続けています。
そのため実力があれば年齢は関係なく、また組織構造自体フラットになってきています。
ただ、それでも社員の年齢構成も無視できないことに変わりはありません。
また単純に若ければ良い、ベテランが多ければ良い、というものでもありません。
どの年齢層の人がどのくらいいるかによって、その会社の意志伝達や雰囲気にも関わってきます。
年齢なんて関係ないと言いたいところですが、日本の文化や慣習上どうしても社員の年齢構成は組織運営に影響をもたらすのです。
一概には言えませんが、どのような年齢構成パターンがあるのか、その結果どういった影響があるのか、などについては把握しておいた方が良いでしょう。
年齢構成の4つのパターン
社員の年齢構成は「ピラミッド型」「釣鐘型」「ひょうたん型」「逆ピラミッド型」と、大きく分けて4つのパターンがあります。
どれが正解というわけではなく一長一短で、それぞれにメリット、デメリットがあります。
重要なのは、自社の年齢構成パターンを把握し、弱点を見極めていくことです。
弱点を見極めた上で採用を進めるなり、人員整理を行うなり、今いる社員で業務の流れを変えていくなり対策を取っていけばいいのです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
パターン1 ピラミッド型
ピラミッド型は、創業からあまり期間が経過していないベンチャー企業などに比較的よくある形です。
エジプトのピラミッドの形状のように、若手の構成比がもっとも高く、年齢が上がるに従って人数が少なくなっていく構成です。
若手が多い分、組織全体に勢いやバイタリティがありますが、経験豊富な中間層が薄いために仕事が粗かったり、中間層の負担が大きくなりすぎたりといったデメリットがあります。
また上層部と若手の間で待遇の格差が大きいと、不満を持った若手がどんどん離職する原因にもなります。
その結果、中間層がますます育たなくなり、結果的に離職率の高いブラック企業という印象になる恐れもあります。
パターン2 釣鐘型
釣鐘型は中間層のボリュームが大きい企業です。
中間層とは、30代後半~40代後半くらいを指します。
このくらいのボリュームが多い企業は、社員の勤続年数が比較的長い傾向にあります。
その結果 優秀な中間層が育ち、トップに行くにつれて人材が絞られていくパターンです。
また離職率が低いため焦って若手を採用するようなこともなく、合理的な採用活動ができます。
欠点としては、まず若手が中間層のポストになかなかつけないことが挙げられます。
中間層の人材が充実しているので、若手が立ち入る隙がありません。
結果的に不満を抱いて会社を辞めてしまったり、裁量がない仕事にモチベーションが下がってしまったりという状況にもなりがちです。
また、その中間層も上層部に上がりたいと考えていますが、そこでも競争が生まれます。
そのようにして、結果的に社内で激しい出世競争が生まれてしまうことも。
出世競争は会社の活力になるという点ではメリットですが、会社よりも自身のことを優先して動く社員が多くなる恐れもあります。
会社の利益が二の次になれば、組織内の環境も悪くなってしまうでしょう。
パターン3 ひょうたん型
ひょうたん型は釣鐘型とは真逆で、中間層が少なく若年層と高齢層が多くなっている形です。
会社としての歴史がそこそこ長い中小企業に多く見られます。
実際にそうとは限りませんが、いわゆるブラック企業と見なされる可能性も高いでしょう。
中間層が育たないのは若年層が早期に離職しているからで、また上層部が搾取し続けているような印象があるためです。
高齢層が会社の利益を搾取していて、若年層がやりがいやメリットを感じられず、離れて行ってしまうパターンです。
結果的に、経験が少なくまだスキルの低い若手を安く使いまわすだけで若手がなかなか育たない形になりがちです。
上層部のリタイアが近い場合はそれでも良いと考えているのかもしれませんが、少なくとも組織にとっては、決して好ましい状態とは言えないでしょう。
パターン4 逆ピラミッド型
逆ピラミッド型は、若年層が少なく、高齢層に行くに従って人数が多くなる年齢構成です。
逆ピラミッド型になる理由はいくつか考えられますが、もっとも多いのは古くからある業界で、若手の人材不足となっているパターンでしょう。
建設業界や職人の世界では若い後継者がなかなか入って来ず、結果的に逆ピラミッドになっているケースが多々あります。
言うまでもありませんが、若手の採用ができるのが理想的です。
また意図的に逆ピラミッド型の年齢構成にしている企業もあるでしょう。
たとえばベテランだけで回すスタイルに満足していて、経営にも困らないだけの利益が出ている場合です。
若手を採用して教育すれば、会社の将来性としてはメリットがあるかもしれませんが、そこまでの費用、時間、労力をかけるよりは、現状のベテラン同士で気楽にやっていきたい、というパターンです。
会社を長く存続させる予定なら、若手の採用は避けられませんが、そうではなく自分の代で廃業しようと考えているのであれば、無理に若手を採用する必要もないでしょう。
また最近は、M&Aで会社を売却する選択肢も一般的になっています。例えば経営者が会社を売却して老後の生活資金にするのも一つの方法です。
今後ますます若手の採用は難しくなる
年齢構成の偏りがもたらす問題は複数ありますが、結局のところ若手不足で、年齢構成に問題が生じるケースがもっとも多いです。
では、若手を採用すれば良いのかというと、少子高齢化が加速し人口全体に占める高齢者の割合がどんどん増えることは目に見えているので、今後ますます若手の採用は難しくなると予想されます。
また、若年層の働く形態の選択肢が増えたことも、採用を難しくする一因になっています。
昔は新卒で就職活動をして企業に勤めるのが一般的でしたが、近年はそうではなくなりつつあります。
新卒からフリーランスとして企業から仕事をもらうケースもありますし、 起業のハードルも下がっているので学生のうちから個人事業主として働く学生もいます。
若者にとって「就職」だけが選択肢ではなくなっているので、企業としては採用が難しいです。
若者の選択肢が多いということは、条件が良くないと会社側が選ばれないことを意味します。
少し前なら条件が悪くても我慢して働いていたかもしれませんが、今の時代ならより条件の良い企業に就職する、独立する、など選択肢も豊富です。
つまり会社側がある程度の良い条件を提示できないと、欲しい人材を確保できないのです。
若手を採用できない問題への対処法は?
少ない若手を奪い合うのも一つの選択肢ですが、ありがたいことに近年は会社側にも選択肢が増えています。
具体的には、M&Aや外注化です。
まずM&Aは企業を売却する方法で、最近はネットでも契約を進められます。
廃業という選択肢にはなりますが、昔と比べるとメリットのある形で廃業できるようになったということです。
とはいえ廃業は最後の選択肢で、なるべくなら事業を存続したいと考えるのが一般的でしょう。若手を採用できない、その結果会社が立ち行かない、ということであれば、外注化を検討するのもおすすめです。
今や必ずしも常勤の社員を採用する必要はなく、必要なときに外注化で仕事を頼む、少数精鋭でやっていく、というのも一般的な考え方になりました。
一昔前は、企業にとって従業員の数の多さがある種のステータスともなっていましたが、今はコストがかかることや、リスクを抱えることになること、身動きが取りにくくなること、などのデメリットを避けたいと考える経営者もいます。
会社の状況によっては、人材をゼロから育てることより、コストを抑えてプロに依頼することを考えた方が良いかもしれません。
業種によって外注化できないものもあるかもしれませんが、今や専門的な技術だけでなく、一般的な事務作業も外注化できるサービスが数多くあります。
人数を絞って必要なときのみ外注化するのも一つの選択肢です。
給与と違って毎月支払い続ける必要がなく、報酬を支払うのは仕事を依頼したときだけで済みます。
外注化の流れは今後もより強くなると考えられるので、今後の事業計画は外注を含めて立てるというのも一つの選択肢です。
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まとめ
社員の年齢構成は軽視されがちですが、組織の在り方や事業成績にも影響を与えるものです。
特に日本はもともと年功序列型の考え方があるので、他の国より影響は大きいでしょう。
近年は年功序列や終身雇用の考え方がなくなり、中途入退社といった人の出入りも活発です。その中でも、会社の状況によって年齢構成に一定の偏りが見られる傾向にあり、それが弱点となることもあります。
しかし実際のところ、自社の弱点を克服しつつ効率的な経営を行うのは難しいでしょう。そのためアウトソーシングできるものは専門家に依頼し、戦略について相談しながら決めていくのがベストといえます。
優良な専門家に相談すれば、費用に対して得られる効果は圧倒的に大きいはずです。