農業法人の設立について
メリット・デメリットや必要な手続きを解説

農業法人の設立についてメリット・デメリットや必要な手続きを解説
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近年、国内では平成21年(2009年)に農地法が改正され、個人の農業参入や株式会社による農地の借り入れなどがしやすくなったことにより、農業法人の数は増加傾向にあります。
平成28年には、農地を所有できる法人要件も6次産業を行いやすいように見直され、日本の大切な資源である農地を守ると同時に、有効活用しようという動きが進んでいるところです。

農業法人とは、稲作や園芸など農業を法人の形態で営む組織のこと。
後継者の確保や節税、経営の多角化などのため、個人経営農業の法人化や一般企業の新規参入の方法として注目されています。

本記事では、注目の農業法人について、メリット・デメリットや法人設立の流れなどを解説します。

農業経営では家族経営の法人化が加速中

農業経営では家族経営の法人化が加速中

従来、日本では農業は家族単位で小規模に行われてきました。
しかし、若い人たちの都会への流出、少子高齢化などにより担い手の確保ができず、やむなく廃業するケースは後を絶ちません。その一方で、法人として農業を経営するケースが増えています。

農林水産省の「令和4年農業構造動態調査」によれば、全国の農業経営体数は97万5100体、前年に比べ約5%減少しているものの、法人経営は3万2200体で前年比約2%の増加。
少し古いデータですが、平成17年から平成27年の10年間で、農業法人の数は2倍以上に増加しているという報告もあります。
(「農業経営の法人化の推進について」/平成28年6月農林水産省経営局経営政策課 中川 拓馬氏)

これには、農業への参入で地域の活性化を図ろうとする、あるいは農業を法人化することで労働環境を整え、より多くの人が農業に参加できる機会を作り、社会に貢献しようとする企業や個人が増えたこと、農家を実家に持つ若者が一旦都会で会社勤めを経験し、農業を「経営」の視点でとらえる必要性とその可能性に気づいたことなども背景にあるようです。

そもそも農業法人とは?

農業法人とは、農業を個人でなく法人として行う組織の総称です。学校法人や医療法人など法律で定められた名称とは異なり、任意で使用されるため条文などによる定義はありません。
「農業」には、稲作や畑作、ハウス栽培の野菜や果物の他、畜産なども含みます。

農業法人の種類は2つ

農業法人は、大きく2つに分けられます。

1つは、事業は農業に関することに、原則として組合員は農家の人に限られる「農事組合法人」。
もう1つは、事業内容や構成員などに制限がない株式会社などの「会社法人」です。

さらに、農事組合法人には2つの種類、会社法人は4つの種類があります。

そもそも農業法人とは?

令和4年現在、農事組合法人の数は7,700、会社法人の数は2万1,200と、会社法人が倍以上の数となっています(前述の農林水産省「農業構造動態調査」より)。

また、この2つの区分とは別に、農業法人が農地を所有するために必要な要件があります。
その要件を満たした法人のみが「農地所有適格法人」と見なされ、農地を買うことが許されています。

農事組合法人と会社法人それぞれの特徴

農事組合法人と会社法人それぞれの特徴

これから農業法人を立ち上げようとする場合、上記でいう「農事組合法人」と「会社法人」のどちらになるのでしょうか。

一言でいうと、農業に特化した法人が農事組合法人、それ以外の事業も行う法人が会社法人となります。
それぞれ、法などにもとづく要件等があるので見ておきましょう。

農事組合法人

農事組合法人は、農業にかかわる事業に特化した法人であり、大きく次のような特徴があります。

①事業内容が次のものに限られる・農業にかかる共同利用施設の設置・農作業の共同化にかかわる事業・農業経営・農業とあわせて行う林業経営

②設立には3人以上の農民(農業を経営する人または従事する人)が必要

また、何を行うかによって1号法人と2号法人とに分けられます。

1号法人…共同利用施設の設置等を行う法人
2号法人…農業経営を営む法人

1号法人は、農業の経営に必要な共同利用施設の設置、生産物の運搬や貯蔵、農機具の購入など協業のために設立される法人です。

農業経営は行わず、農地を買うこともできません。そのため、自身が農業を経営するなら2号法人を立ち上げることとなります。

会社法人

農業だけでなく別の事業も行う場合は、農事組合法人にはなれないため、会社法人を設立することとなります。

会社の形態による主な違いは次のようなことです。

会社形態(カッコ内は法人数)特徴
株式会社(11,776法人)・最も多い会社形態
・経営と出資が分離
・出資額の範囲で責任を負う(有限責任)
・定款認証や決算公告などが必要
合同会社(合資会社とあわせて98法人)・出資者=経営者
・出資額の範囲で責任を負う(有限責任)
・定款認証などが不要で設立しやすい
合資会社・事業を行う1人以上の無限責任社員と
出資を行う1人以上の有限責任社員で構成
合名会社(241法人)・社員全員が無限責任を負う

※法人数は「2015年農林業センサス」によるもの

合資会社と合名会社は、現在では新設されることは少なく減少傾向にあり、これから立ち上げるなら株式会社か合同会社のいずれかを選ぶのが一般的となっています。

「農地保有適格法人」でなければ農地を所有できない!?

上でも触れたように、農業法人のすべてが農地を保有できるわけではありません。農地法が定める次の要件を満たし、「農地保有適格法人」として認められる必要があります。

①法人形態が次のいずれかである

  • 株式に譲渡制限がある株式会社
  • 農事組合法人
  • 持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)

②主たる事業が農業である

③農業関係者が総議決権の過半を占めている

④役員の過半数が自社の農業に常時(年150日以上)従事する

⑤役員もしくは要職に就く従業員の1人以上が農業に常時(年60日以上)従事

令和4年1月1日現在、農地保有適格法人の数は全国で20,750社となっています。

農林水産省「農地保有適格法人の参入状況」

(農林水産省「農地保有適格法人の参入状況」より)

ちなみに、農地の保有でなく貸借であれば、農地所有適格法人でなくても全国どこででも農業に参入できます。

ただし、役員または重要な社員1人以上が農業にかかわる仕事(マーケティング等含む)を常時行うこと農地の計画的・効率的な利用の確約と周辺の農地利用への支障がないこと賃貸契約に解除条件が付いていること、地域の話し合いに参加することといった条件があります。

農業法人を設立するメリット

農業法人を設立するメリット

家族経営など、個人として農業を営んでいる人が農業法人を設立する(法人化する)ことには、次のようなメリットがあります。

メリット.1 経営の透明化ができる

家族経営などで代々農業を行っている場合、家長である父親が全権を握りお金の流れをすべて把握していたりして経営が不透明になっていたり、いわゆる「どんぶり勘定」でいい加減になっていることがあります。
しかし、会社を設立するとなれば、帳簿は複式簿記での記帳が義務となり、正確な経営・財務管理をしなくてはならなくなります。

経営状況が明るみになることで、取引先や金融機関からの信用度が高まりやすくなります。
問題点が明らかになれば解決もしやすいでしょう。一緒に働く家族にも安心感を与えられます。

メリット.2 対外信用力が向上する

農業に限らず、個人よりも法人のほうが法的に認められた存在として信頼性が高くなります。
株式会社などの設立には定款の作成から認証、法人登記といった手続きを経る必要があるため、公に認められた存在という印象が強いからでしょう。

また、個人事業の立ち上げと異なり、登記などにある程度の費用をかける必要があるというのもその一因と考えられます。

さらに、法人化によって複式簿記での記帳が義務となるだけでなく、財務諸表の作成なども課せられます。
管理がしっかりされていれば、健全な経営が行われている可能性も高まります。
そのため、融資を受けようとするにも、個人より法人の方が審査に通りやすい傾向にあり、制度融資の限度額も個人より高く設定されています。

メリット.3 事業承継が円滑にできる

個人事業主の場合、子どもや親族など近しい間柄の人に事業を継承するのが一般的です。
しかし現代では、決して楽とは言えない農業の仕事を子どもに継がせるつもりはない、子どもが都会に出てしまって跡を継いでもらえないなどといったケースも少なくありません。

とはいえ、先祖からの大事な土地を赤の他人に引き渡すことに抵抗があったり、上記のように経営が不透明だったりすれば、高齢で農作業ができなくなった場合に農地が放置状態となってしまいかねません。

法人化し、経営を見える化した上で事業の承継先を探せば、正当なルートで信頼できる相手が見つかる可能性が高まります。決算書などが整理されていることで、手続きも簡単になるでしょう。

メリット.4 税制面での優遇がある・節約ができる

個人事業主の場合、農業で得た所得には所得税がかかるのに対し、会社になると法人税が適用されます。
所得が多くなるほど、所得税より法人税の方が負担が軽くなるのが一般的です。

また、所得を家族などに給料・報酬として支払い、経費にできるほか、受取った側は給与所得控除が受けられるようになります。

さらに法人となれば赤字の場合、最長10年の繰り越しが可能になります。
農事組合法人かつ農地所有適格法人の場合は、農業経営についての事業税が非課税となるなどの特例措置もあります。

農業法人を設立するデメリット

農業法人を設立するデメリット

ただし一方で、農業法人の設立による負担や法的義務などのデメリットもあります。

デメリット.1 保険加入など経営コストが増大する

法人化して給与を支払うとなれば、雇用契約を結ぶことになります。そうなると、労働保険(雇用保険および労災保険)や社会保険(厚生年金や健康保険)への加入の必要性が出てきます。

労災保険は雇う側の負担、雇用保険も一部負担、社会保険は労使折半となるため、従業員1人以上を雇い、常時雇用するとなると保険料の負担が避けられません。

また、法人税の申告には帳簿付けのルールなどを守る必要があるため手間が増えます。
税務申告も簡単ではありません。それを税理士などの専門家に依頼しようとすれば、当然ながら報酬を支払う必要性も出てきます。

デメリット.2 農地所有適格法人の要件を満たすのが困難

先ほど解説したとおり、農地所有適格法人になって農地を取得するためにはさまざまな要件があります。

農場長などであれば年60日以上、役員であれば年150日以上農業に従事する必要があるため、「本業の合間に…」といった片手間では農地所有適格法人として認められることが難しい場合もあります。

デメリット.3 簡単には廃業できなくなる

法人化すると、農業から撤退しようとする場合や、個人事業に戻したいと思った場合、手続きが煩雑になります。
いったん設立した会社を消滅させるには、解散の登記など法人の解散手続きを行うほか、債権などの清算手続きも必要となるからです。

これらの手続きを個人で行うのは非常に難しいため、税理士など専門家に入ってもらうのが一般的。そのため、登記などにかかる費用のほか、専門家への報酬も負担となります。

手続きの完了まで、費用は数十万円、期間は2カ月ほどかかるのが一般的です。
個人事業主の場合は、管轄の税務署に廃業届や青色申告の取りやめ届出書を出すだけで事業を廃止できます(もちろん農地や農業機械などの処分などは必要)。

他業種からの参入で農業法人を設立するメリット

他業種からの参入で農業法人を設立するメリット

農業とは関係のない事業を行っている企業が、農業への事業展開を進めるケースも増えています。
他業種から農業に算入し、法人を設立する場合には、次のようなメリットが期待できます。

メリット.1 事業拡大や経営の多角化ができる

既存企業が農業法人を立ち上げて農業に参入する一番の狙いは、事業拡大や経営の多角化を考えてのことでしょう。

というのも、次のような効果が期待できるからです。

  • 食品関連企業なら自社生産で経費削減や他社との差別化、安全性の確保が可能になる
  • 自社のICTやロボット技術でスマート農業に取り組み、生産性の安定化が図れる
  • 自社の流通ルートを生かし、従来よりも販路を拡大できる・地域の農業の発展、ひいては経済の発展につながる
  • 他社との協業により低コストでの利益増進が見込める
  • 農作物のブランド化により大きな収益を得られる可能性がある

実際の例として、鉄道会社が農業法人を設立して野菜栽培を始めたケースや、スーパーマーケットが食の安全を求める声に応えたいと減農薬による野菜栽培に着手したケースなどがあります。

また、本業の需要落ち込みに対する雇用確保のために農業に参入した建設会社や、障害者の自立を促進するために農業に参入した福祉関係事業者といった例も見受けられます。

メリット.2 企業PRやブランディングを強化できる

法人としての農業への本格的な参入は、自社のPRやブランディングにも役立ちます。
第二次世界大戦後に大打撃を受けた日本は、そのあと高度経済成長期に入り、商工業を急速に発展させました。
しかしその裏で農業従事者は減っていき、貿易の自由化や国産作物の高騰などにより、食料自給率が大きく低下する原因の1つとなりました。

そうした背景の中、食の安全性がたびたび話題となったり、近年になって世界的に行動が促進されているSDGs(持続可能な開発目標)の1つに食料自給率の向上が掲げられたりするなどして、国内農業への関心は高まっています。

雇用を確保しようとする企業や、地域を活性化しようとする企業の取り組みは、情報メディアなどにも取り上げられやすく、企業イメージの向上も大きく期待できます。
株主などステークホルダーへの印象もアップできるでしょう。業種によっては、同時に自社の技術をアピールし、ビジネスチャンスを広げるきっかけともなり得ます。

メリット.3 自治体の支援を受けられる可能性がある

国や自治体でも、企業の農業参入を促進しています。

例えば農地を借りたい場合、各都道府県にある「農地中間管理機構」に相談することができるので、各農家と個別に交渉する必要なしで、まとまった広さの農地を借りられる可能性が高いです。

また、農業法人として地域の就農希望者を新たに雇い入れる場合には、「雇用就農資金」という助成金制度があります。
「雇用就農者育成・独立支援タイプ」「新法人設立支援タイプ」「次世代経営者育成タイプ」の3種があり、就農希望者を雇用し研修を受けさせた場合などに資金の助成が受けられます。

農業法人を設立する流れ

農業法人を設立する流れ

農業法人の設立をするにはどうすればよいのか、手続きの流れやポイントを見ておきましょう。

農業法人で最も多い、発起人による株式会社の設立を軸に説明します。

STEP.1 発起人の確定と基本的事項の決定
STEP.2 定款の作成と公証人による認証
STEP.3 出資の履行(資本金の払い込み)
STEP.4 法務局への設立登記の申請
STEP.5 その他の官庁への各種届出

STEP.1 発起人の確定と基本的事項の決定

まずは農業法人の株主となる発起人を決めます。発起人の数は1人でも複数でも構いません。

発起人は、どのような農業法人を設立するか、基本的事項を発起人会の話し合いで決め、議事録(1人の場合は決議書)を作成します。

決める事項は、会社の根本となる商号や本店所在地、資本金額などです。また、それぞれの発起人がいくら出資するのかも決めておきます。

STEP.2 定款の作成・認証

定款には、商号や本店所在地、発起人の氏名や住所、資本金といった必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」や、定めるなら定款に記載すべき「相対的記載事項」など記載します。
農地取得予定のある場合は、株式の譲渡制限に関する定めをしておかなくてはなりません。

定款ができたら、公証人の認証を受けて法的な効力を持たせます。
株式会社の場合、登記にあたり認証済みの定款の提出が必須です。合同会社は定款の作成のみでOKです。

STEP.3 出資の履行(資本金の払い込み)

定款認証後、発起人は自身が出資する額を発起人個人名義の口座に振り込みます。
誰からのいくらの払い込みかがわかるよう、通帳のコピーを取っておいてください。

金銭でない物による出資でもよく、その場合は必ず定款にも記載した上で発起人代表に引き渡します。

STEP.4 法務局への設立登記の申請

会社設立手続きのメインと言えるのが登記の申請です。登記簿に法人として登記されることで、公の存在として認められます。
申請書や定款、登録免許税用の収入印紙などを準備し、法務局に申請します。

登記にかかる登録免許税は、株式会社の場合は約15万円合同会社では約6万円ほどであり、登記事項証明書の料金や印鑑証明書代なども必要となります。

STEP.5 その他の官庁への各種届出

法務局への設立登記のほか、会社設立には次のような手続きが必要となります。

届出・手続き名届出先概要
法人設立届出書納税地の税務署法人税の手続きに必要
青色申告承認申請書納税地の税務署確定申告を青色申告で行う場合
雇用保険・労災保険への加入公共職業安定所(ハローワーク)従業員を1人でも雇う場合
厚生年金・健康保険への加入年金事務所

農業法人を設立してから事業拡大に活用したい制度

農業法人を設立してから事業拡大に活用したい制度

事業拡大のために農業法人を設立するなら、国などによる各種補助金・助成金が活用できる可能性があります。主な制度の例を紹介します。

ただし、いずれも融資が受けられる要件から開業資金として使うことはできないので注意してください。

産地生産基盤パワーアップ事業関係情報

産地生産基盤パワーアップ事業は、「総合的なTPP等関連政策大綱」を踏まえて農林水産省が実施している事業で、次の3つの事業から成っています。

  • 【新市場獲得対策】新市場対応に向けた拠点事業者の育成、需要の変化に対応した園芸作物などの先進的取組支援、園芸作物といった国産シェア拡大対策に対する支援
  • 【収益性向上対策】収益力強化のために計画的に取り組む産地が、農業機器を導入したり出荷施設を整備したりする際の支援
  • 【生産基盤強化対策】生産基盤をスムーズに引き継ぐための整備や土づくりに対する支援

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者向けの補助金制度です。
農業での採択実績も多数あり、中小企業庁および独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施しています。

支援の対象となるのは、生産効率の向上や生産プロセスの改善に向けた設備投資などの取り組みです。

あらかじめ事業計画書を立て、交付申請後に採択を受けられれば計画を実施。実績報告書の内容を審査の上で、実際に要した費用に対し補助金が受けられます。そのため、費用は先に負担する必要があります。

採択率は各回で異なりますが、おおよそ3割~6割程度。業種問わず人気の補助金でもあり、準備を万全にする必要があります。

IT導入補助金

IT導入補助金は、生産性を向上させるためにITツールを導入するした中小企業・小規模事業者を対象とした補助金です。
ITツールの導入に際し、あらかじめIT導入支援事業者に相談した上で、導入・申請などを行う必要があります。

導入するITツールは何でもよいわけではありません。事前登録されたもののうち、自社の生産性向上・業務効率化などに直結するものに限られます。

申請書を補助金事務局に提出すると、交付審査が行われます。採択されたらITツールの導入などを行い、実績報告の提出などを経て補助金が交付されます。
要した費用の最大2分の1が受け取れますが、補助金は直接、IT補助事業者の方に支払われます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、この先数年をかけて販路開拓などに取り組む小規模事業者を支援するための助成金制度。ただし農業の場合、JAのみに出荷しているケースでは対象外です。

対象者などによっていくつかの種類がありますが、農業法人設立に関しては自治体などが行う「特定創業支援等事業」による支援を受けて過去3年以内に開業した事業者を対象とする「創業枠」が対象になり得ます。
過去には、ミニトマトの選別機の購入や加工品販売による販路開拓などが採択されています。補助率は3分の2、上限額は200万円です。

こちらも、まずは事業計画を立てて交付申請をし、交付決定が出た後に計画に取り組み、実績報告書などによる審査を受ける流れです。

地域雇用開発助成金

求人が少ない過疎地域などで事業を始め、さらにその地域の人を雇用した場合に受けられるのが地域雇用開発助成金です。
これは厚生労働省が雇用確保のために設立した助成金です。
事務所の設置・整備に要した費用と、雇用により増加した従業員の数によって、受給額が決まります。

基本の額は例えば300万円以上の設備費用で増加人数が3~4人であれば50万円、5000万円以上の設備で20人以上の増加なら800万円。最大3回まで支給され、中小企業なら通常の1.5倍、創業時なら1回目は2倍の支給額が受け取れます。

この助成金も、支給は実際に支払った費用を後から補填するものであり、すぐに受け取れるものではありません。

農業に関する制度を知りたいなら逆引き辞典が便利!

農業に関する制度を知りたいなら逆引き辞典が便利!

農業に関しては、国も支援強化が必須と考えていることから、今後もさまざまな支援制度などが創設される可能性があり、自治体や農林水産省などの公式サイトで、新たな情報が発信されていないかを随時チェックすることをおすすめします。

例えば「逆引き辞典」は、農林水産省が運営する情報サイト。補助金や融資、出資、税制といった、国や都道府県が実施している制度を検索することが可能です。
目的や事業年度などで条件を絞って検索できます。

まとめ

農業法人の設立についてメリット・デメリットや必要な手続きを解説

近年では、個人農家が農業法人を設立して大規模経営化する事例もいくつか出てきました。
これからの時代は、家族経営よりビジネスとして農業を法人化することで、経営の透明化や対外信用力を上げ、所得拡大を狙う必要もあるでしょう。
将来の事業継承を考えても、個人より法人化しておいた方がスムーズです。

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