起業した直後、資金調達のために融資を受けたいと思っても、民間の銀行などではなかなか審査に通りにくいのが現状です。
というのも、創業してすぐにはまだ経営も安定せず、貸す側から見て返済能力があるかどうかの判断がつきにくい状態。民間の金融機関は自行の利益が最優先なので、リスクの高い融資はしたがりません。
その点、制度融資なら起業直後にも資金を確保できる可能性は十分にあります。
この記事では、起業直後の資金調達に制度融資がおすすめな理由を解説します。注意すべき点にも触れていきますので参考にしてください。
目次
そもそも制度融資とは
制度融資とは、地方自治体と信用保証協会、金融機関の3つが連携して行う融資のことです。
自治体が地域の中小企業を支援するのが目的で、企業と金融機関の間に信用保証協会が入ります。そのため、金融機関に直に融資を申し込むより借り入れがしやすいのが特徴です。
ちなみに「制度融資」というのは総称のようなもので、制度内容一律ではなく、各自治体によって融資の条件や内容などは異なります。
起業直後の資金調達に制度融資がおすすめな理由
起業して間もない人が資金調達をする方法の1つが、制度融資の利用です。その理由には大きく次の4つが挙げられます。
- 1)銀行よりも審査のハードルが低い
- 2)他の融資と比べると金利設定が低い
- 3)利息や保証金を補助してくれる自治体もある
- 4)連帯保証人が不要である
順に詳しく見ていきましょう。
おすすめ理由 1)銀行より審査のハードルが低い
冒頭でも触れたように、民間の銀行は自身の利益を優先するため、誰にでも簡単に融資するわけにはいきません。
融資した場合、借入金の返済と利息の支払いがきちんとされるかどうかに重点を置いて審査をします。そのため、返済能力の重要な判断材料となる事業実績のない起業時や起業直後では、融資を受けにくいのが現状です。
しかし制度融資であれば、地方自治体が関わっている上、保証協会も間に入ります。保証協会は、事業主が返済不能となった際に代位弁済をする役割も持っています。そのため、銀行による通常の融資(プロパー融資)よりも審査のハードルは低くなります。
おすすめ理由 2)他の融資と比べて低い金利設定
制度融資は、プロパー融資などに比べて金利も低く設定されています。
金利が低いということは、支払うべき利息の額が低くなるということ。つまり返済しやすくなるということです。
一般的にプロパー融資の金利は0.9~3.5%程度。ノンバンクのビジネスローンは5~18%というところです。
制度融資なら1.0~2.0%程度ですから、金利も低いため返済の負担が軽くて済みます。
ちなみに「利息制限法」では、元本が10万円未満なら年率20%が限度。10万円以上100万円未満なら18%、100万以上なら15%と制限されています。
おすすめ理由 3)利息や保証金の補助がある自治体もある
制度融資を受ける際、保証人の役割を果たしてくれる保証協会には保証料を支払う必要があります。
自治体によっては、この保証料を補助する制度を設けているところがあります。これは、地域経済の発展や活性化を狙った企業支援の一環です。
県の制度融資の保証料を市町村で一部負担してくれるところや、県の制度融資の保証料を県と市町村とで負担し、保証料の支払いが実質ゼロとなるところなど、各自治体によって異なります。
おすすめ理由 4) 連帯保証人が不要
制度融資では、原則として連帯保証人は不要です。
かつては、融資には当然のように連帯保証人が求められていました。しかし、事業に無関係の第三者が巻き込まれ、連帯保証人として重い責任を追及されるケースが多発。
そのため、中小企業庁では原則として、信用保証協会が行う保証制度について第三者を保証人に求めることを禁止しました。
信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について(平成18年3月31日)|中小企業庁
ただし、経営者や経営者本人の妻などが連帯保証人になる場合などは例外として可能とされています。
制度融資の利用前に知っておきたい注意点
制度融資には、起業直後におすすめできるメリットがある一方、次のようなデメリットもあるので注意してください。
融資金の振り込みまでに時間がかかる
制度融資には、融資金が振り込まれるまでに一般的な融資よりも時間がかかる傾向にあります。一刻も早く融資を受けたい、という人には遅すぎると感じられるかもしれません。
制度融資には金融機関と地方自治体、信用保証協会と3つの機関が関わっているので、金融機関だけでなく信用保証協会による審査も行われます。そのため、どうしても時間がかかるのです。
融資金が振り込まれるまでには2カ月~3カ月程度待つことは覚悟した方がよいでしょう。
融資を受けられる額に上限がある
制度融資の内容は地方自治体によりさまざまですが、いずれも上限が決められています。そのため、自治体や利用する制度によっては、求める融資額に足らない可能性も。
とはいえ、返済しなくてはならないことを考えれば、あまりに高額な融資は大きな負担となってしまいます。
制度融資に申し込むにはまず地方自治体に相談する必要があるので、その際に相談してみるとよいでしょう。どうしても足りないという場合には、他の融資制度を探すなどの選択肢もあります。
まとめ~資金調達のご相談はBricks&UKが承ります
制度融資は、地方自治体と保証協会、金融機関による融資制度です。地域の中小企業を支援する目的から融資のハードルが比較的低く、金利が低い、連帯保証人が原則として不要、といったことから起業直後にもおすすめです。
資金調達に困った場合の1つの手段として覚えておきましょう。
ただし、融資のハードルが低いと言ってももちろん返済は必要です。返済が滞った場合、保証協会は金融機関への代位弁済をしてくれますが、それで返済を免れるわけではなく、その後は保証協会への返済をしていかなくてはなりません。
代位弁済を受けることなく返済をしていけるよう、事業計画を練り、堅実な経営を行って利益を上げていきましょう。