正しい経営判断が行えなくなる?経理業務を怠るとこんな落とし穴が

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経理をしっかりとやらない会社で困る事① 経営者が正しい経営判断を行えなくなる

経理の仕事や経理スタッフは直接的に売上を生み出すことがありません。
そのため、経営者の方の中には「経理なんて税金の計算さえまちがいなくやってくれればそれでいい」と考えている方もひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。
確かに、まだ事業規模が小さく、社長自身が事業の全体を把握できる状態なのであれば「経理スタッフには最低限の仕事をしてもらい、人件費その他のコストはできるだけ抑える」という考え方でも大きな問題が生じることはないでしょう。
しかし、会社を良くも悪くも「個人商店」のレベルから脱皮させたいのであれば、経理業務の構築や経理スタッフのレベルアップは経営者として必須の課題といえます。

この記事では、「経理をしっかりとやらない会社で困る事」として、経営者が正しい経営判断を行うことが難しくなってしまう点について解説いたします。

経理情報から知ることができる会社の具体的な状況

経理を日常的にしっかりと行っておくと、会社の経営判断に役立つ様々な会計情報を作成することが可能となります。

もちろん、会計情報を作成するとはいっても、会計ソフトに毎日の仕訳データを入力してさえ置けば、ボタン一つでさまざまな会計指標を作成できるので簡単です。

経営者が経営判断に生かすことのできる会計情報のうち、主なものとしては次のようなものがあります。

・資金繰り表
・部門別に分けられた月次損益計算書
・さまざまな財務指標

以下、これらのデータがどのように役立つのかについて具体的に説明していきます。

資金繰り表の役割

資金繰り表は、将来にわたって資金ショートを起こすことなく経営を続けていけるか?を時系列で把握できる資料です。

ごく簡単にいえば、「今会社にいくらのお金があって、1か月後にはこのぐらい、さらに数か月後にはこのぐらい…」というように、お金の残高がいくらあるのかを把握できるようにしてくれるのが、資金繰り表の役割といえます。

資金繰り表の作成を通じて、会社のお金が足りなくなった時に、どういう対策を講じるか?は経営者としてもっとも重要な仕事の一つです。

資金繰りに関する対策(例えば金融機関と融資の交渉をしたり、出資者をつのったりすること)を講じるタイミングは早ければ早いほど会社の経営の安定につながります。

資金繰り表なんてなくても経営はできる?

会社の経営が順調で、資金も潤沢にある状態であれば、あえて資金繰り表を作らなくても経営はうまくいくかもしれません。

しかし、重要なポイントとして、会社の損益状態と、資金繰りの状況とは必ずしもイコールにならないという点に注意が必要です。

会社の商品が売れたときには売上高という数字を計上しますが、多くのケースでその売上が入金となるは1か月~数か月は先になるのが普通です。

そのため、会社の損益(売上高から経費を差し引きした数字)はプラスであったとしても、数か月先の売上入金までに資金が底をついてしまったら、会社は倒産してしまう可能性すらあるのです。

資金繰り表の作成を通して、「いつごろにお金が足りなくなる可能性があるのか?」を少しでも早いタイミングで把握し、必要な対策(金融機関との融資交渉など)を講じることが重要といえます。

資金繰り表はエクセルでも作れる?

資金繰り表の作成は、エクセルなどを使っても作成することもできますが、作成に大変な手間がかかるだけでなく、計算間違いなどのリスクがあります。

そのため、資金繰り表を作成する機能がついている会計ソフトを導入し、経理の入力作業と瞬時に連動する体制を作っておくことがのぞましいといえるでしょう。

ただし、多くの会計ソフトでは、資金繰り表の作成機能は少し価格の高い上位のプランを選択した場合に機能としてついてくる場合が多いです。

例えば、有名な弥生会計では「プロフェッショナルプラン」という上位プランを選択する必要があります。

会計freeeのような会計クラウドソフトでも、「スタンダードプラン」を選択して初めて資金繰り作成機能が使えるようになります。

部門別に分けられた月次損益計算書の役割

ある程度の規模の企業の場合、会社の収益に貢献する事業として、2個以上の事業を営んでいるケースが多いでしょう。

こうした複数の事業のうち、どの事業にヒト・モノ・カネを集中投資していくか?を判断することは経営者として重要な仕事の一つです。

部門別に分けられた月次損益計算書は、経営者のそうした判断を実際のデータに基づく正確性の高いものにしてくれる役割があります。

例えば会社創業時からのメイン事業であるA事業と、新規事業としてこれから取り組んでいく事業B・事業Cの3つがあったとしましょう。

会計ソフトの入力作業を、これらA・B・Cの事業別に分けて行うことにより、それぞれの事業がどれだけ会社全体の利益に貢献しているのかを正確に把握することが可能となります。

月次決算の仕組みを導入していれば、月ごとのペースで各事業の損益状況がデータとして上がってきますから、どの事業に注力すべきかの判断をスピーディに行えるようになるのです。

限られた経営資源を有望な事業に振り分ける

こうした部門別の管理作業を行っておかないと、「この事業はまだ始めたばかりの育成段階だから、多少赤字でも…」というようにルーズな管理の仕方になってしまいがちです。

経営者の管理がルーズであることは、該当する事業の仕事をしている従業員にもダイレクトに伝わるものですから、慢性的な赤字事業となってしまいかねません。

こうした事態を避けるためにも、部門別に分けられた損益計算書を毎月確実に作成し、限られた経営資源をどの事業に振り分けていくかを検討していくことが大切です。

決算書から作成できる各種の財務指標

経理作業の第一の役割は、損益計算書や貸借対照表といった決算書を作成し、最終的に税金の金額を計算することです。

これに加えて、決算書の数字をさらに深く読み込むことによって、会社の状況をさらに立体的に把握することが可能となります。

実際、新規の得意先とやり取りを始めるときや、金融機関との融資交渉に臨む際には、相手先からあなたの会社の決算書を見せてくれるよう依頼があるでしょう。

彼らはあなたの会社の決算書をていねいに読み込んでいくことによって、あなたの会社が今どのような状況にあるのか?を把握しようとしているわけです。

決算書の内容からわかること

経理作業の結果として作成された決算書は、当期の数字を単純に過去の数字と比較するだけでも様々なことが分かります。

しかし、さらに一歩踏み込んで、「財務指標」の数値を比較することまで行うことができれば、現在の会社の状況をさらに正確を知ることができるようになるでしょう。

財務指標とは、決算書の数字をさまざまな計算式に落とし込むことによって計算できる数値データのことです。

株式投資などでもROEや一株当たり利益といった財務指標が重要視されますが、財務指標は中小企業の経営判断に生かすための指標としても役立ってくれます。

財務指標には様々なものがありますが、大きく分類すると次の4つに分けられます。

・①収益性分析
・②安全性分析
・③成長性分析
・④効率性分析

これらの財務指標を算出し、自社の過去の数値と比較したり、同業他社の数値と比較したりすることが、自社が現在置かれている状況を把握するのに極めて役立ちます。

以下では、いくつか有名な財務指標の意味や計算方法を紹介しましょう。

①収益性分析

収益性分析とは、ごく簡単にいえば「会社がお金を稼ぐ力」を表す指標です。

具体的には企業があげている売上高に対して、利益の金額がどの程度の割合を占めているのかを見ます。

薄利多売のビジネスであれば収益性分析の数値は低くなり、高利益率のビジネスであれば収益性分析の数値は高くなります。

収益性分析の財務指標のうち、代表的なものとしては次のようなものがあります。

・売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100
・売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100
・売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高×100

②安全性分析

安全性分析は、ひと言でいえば「会社が倒産してしまう可能性がどの程度あるか?」を把握するための指標です。

なんとも縁起の悪いイメージのある指標ですが、会社が危険な状況に陥らないようにするためにはとても重要な役割があります。

安全性分析に関する財務指標としては、次のようなものが有名です。

・当座比率=当座資産÷流動負債×100
・流動比率=流動資産÷流動負債×100
・固定比率=固定資産÷自己資本×100
・長期固定適合率=固定資産÷(固定資産+自己資本)×100
・自己資本比率=自己資本÷総資本×100

③成長性分析

成長性分析は、自社の現在の状況と過去の状況を比較し、どれぐらいのスピードで会社が成長しているか?を把握するための指標です。

代表的なものとしては以下のようなものがあります。

・売上高成長率=(当期の売上高-前期の売上高)÷前期の売上高×100
・総資産成長率=(当期の総資産高-前期の総資産高)÷前期の総資産高×100

④効率性分析

効率性分析は、「会社がどれだけ上手に(効率的に)お金を稼いでいるか」を表す指標です。

例えば、同じ100万円の利益であっても、1億円の設備投資を行って初めて得られる100万円と、1000万円の設備投資だけで得られる100万円では、値打が全く違いますよね(当然ながら、後者の事業の方が優秀といえます)

効率性分析を行うことによって、会社が効率的にもうけを出すために、どの事業に集中的に経営資源を投下すべきかを判断できるようになります。

代表的な効率性分析の指標としては、以下のようなものがあります。

・総資本利益率=当期利益÷総資本×100
・総資本回転率=売上高÷総資本
・総資本回転期間=総資本÷売上高÷365日

何から始めるべきか?

ここまで、経理作業を確実に行うことによって得られるさまざまなメリットについて解説してきました。

とはいえ、まだ創業間もない経営者の方にとっては「経理の入力作業を毎日行うことだけでも精いっぱいなんだけど…」というケースも少なくないでしょう。

経理作業そのものは企業の売上に直結するものではありませんから、スタートアップ期の経営者が経理作業にばかり時間を割いている…という状況は決して望ましいことではありません。

税理士事務所の経理代行サービスを活用する

経理作業にかける時間を捻出するのが難しいという場合には、税理士事務所が行っている経理代行サービスを活用するのも一つの選択肢です。

経理代行サービスとは、ごく簡単にいえば経理に関する作業を、外部の専門家(税理士の事務所)に丸投げしてしまえるサービスを言います。

同種のサービスとして、これまでも「記帳代行」というサービスがありましたが、記帳代行では領収書や請求書を1か月に1回などのスパンで税理士事務所に郵送し、会計ソフトの入力作業と試算表の作成だけしか代行してもらえませんでした。

経理代行と記帳代行の違い

これに対して「経理代行」では、会計ソフトへの入力作業だけでなく、得意先に出す請求書の発行から売掛金・買掛金の入出金管理、従業員の経費精算作業といった手間のかかる作業まで代行してもらえます。

経理代行を活用すれば、この記事で紹介した資金繰り表の作成や、部門別の月次損益計算書作成から財務指標の作成といった作業も連動して行うことが可能になるのです。

従来は、こうした役割を会社の機能として確保しようと考えた場合には、人件費をかけて経理スタッフを採用・育成することが必須でしたが、経理代行サービスの登場によって格安のコストで同様の機能を得ることが可能となっています。

忙しくて経理にかける時間をなかなかとれない経営者にとって、経理代行は活用するメリットの極めて大きいサービスですから、ぜひ導入を検討してみてください。

まとめ

今回は、経理作業を日常的にしっかりと行っておくことのメリットとして、経営者が正しい経営判断を行うことができるようになる事について解説いたしました。
具体的には、経理作業の結果として得られる様々な会計データが、経営者の判断を助けるツールとなってくれるというお話でした。
こうした会計データの作成は、日常的な経理作業がどれだけ確実かつ安定的に行われているかが大切です。
自社内で専門の経理スタッフを雇用するのがなかなか難しいという場合には、経理代行を活用することによってこうした会計データを得られるようにすることが可能ですから、検討してみてください。

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