税務調査とは何なのか?いざという時に備えて抑えておくべき基礎知識

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経理をしっかりとやらない会社で困る事② 税務調査があった時に大変

「知り合いの社長が税務調査に入られて〇〇万円持っていかれたらしい」
「有名な億万長者の経営者が税務調査に引っかかって倒産までしたみたいだけど、うちは大丈夫なんだろうか…」
このような不安をお持ちの経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
実際、税務調査は経営者にとって絶対に避けられない問題といえます。
「ちゃんと税金を納めてさえいれば問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、税務調査は定期チェックのような形でも行われていますので、ある程度の利益が出ている企業であれば、税務調査への対策を日常的に講じておくことは必須なのです。

この記事では、実際に税務調査がどのように行われるのか?や、税務調査の結果として修正を求められてしまった場合に、会社に対してどのような不利益が発生する可能性があるのか?について具体的に解説いたします。
これから事業をどんどん大きくしていこうと考えている経営者の方は必ず知っておくべき内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

税務調査は個人事業主や小規模法人にもやってくる

税務署の職員が税金をきちんと払っているかをチェックしに来る「税務調査」は、事業規模の大きさにかかわらずやってくる可能性があります。

例えば、一人親方として活動している個人事業主の方や、従業員数人の規模で活動している小規模法人の事業者であっても税務調査は行われているのが実際のところです。

日常的に経理をしっかりと行っていないと、税務調査の結果として延滞税や加算税といったペナルティ(後でくわしく紹介します)を課せられてしまう可能性があります。

実際、税務調査に入られてたくさんの税金を持っていかれてしまったことをきっかけとして、税理士事務所との顧問契約を検討する経営者の方は少なくありません。

税務調査は「何もしてなくても来る」

また、税務調査は必ずしも「何か怪しいことがあるから来る」という性質のものではなく、定期チェックのような形で来ることもあります。

業種によって微妙な差はありますが、3年に1度は必ず調査がやってきているという企業も少なくありません。

また、「今年はこの業種を重点的に調査する」というように、業種ごとに狙い撃ちをしてくるケースもありますから、常に対策を講じておく必要があります。

なお、税務署の職員というのは非常に細かい不正も見逃しませんので、税務調査対策として行えることは「日ごろから法律のルールに従って適切に経理処理をコツコツとやっていくこと」しかないことを理解しておきましょう。

以下では中小企業経営者が税務調査への対策として知っておくべきことについて解説いたします。

税務調査が行われやすい時期は8月~年末ごろ

税務署は7月を事業年度スタートになっている役所です。

人事異動などが発表されてある程度落ち着いたら税務調査に乗り出しますので、その時期がだいたい8月~年末にかけてということになります。

年が明けて2月~3月は確定申告、5月には三月決算法人の税務申告といった大きなイベントがあり、それが終わると税務署の年度末処理…という感じでスケジュールが進んでいきます。

そうなると必然的に8月ごろが税務調査スタートの時期となりやすいというわけですね。

なお、税務調査は所得税や法人税といった事業者が治める税金だけでなく、相続税などの一般個人が治める税金についても行われる可能性があります。

特に、相続税の税務調査は申告を行ってから数年後に行われるケースが大半ですから注意が必要です。

税務調査が入りやすい業種がある

日本国内で活動をしている事業者であれば、だれでも平等に税金を負担しなくてはならないのが原則ではありますが、実際には「税務調査に入られやすい業種」というものが存在しています。

税務調査に入られやすいのは、いらゆる「現金商売の業種(掛け売りなどではなく、お客さんがその場で現金を払ってくれる業種)」です。

具体的には飲食業や理美容業、バー・クラブや風俗業などが該当するでしょう。

また、税務署が重点的に調査を行う業種として有名なものとしては、パチンコ業者や廃棄物処理業者、土木工事業者などがあります。

これらの業種を営んでいる方は特に税務調査への対策を日常的にしっかりと行っていく必要があります。

※実際に調査実績が多かった業種については、国税庁が毎年発表している「法人税等の調査事績の概要」という資料で確認できます。

実際の税務調査はどのように行われる?

テレビドラマなどでは「いきなり会社の事業所に職員が踏み込んでくる」というような描写がされることがありますが、実際には事前に電話で「この日に税務調査をさせてもらいたいのですが、ご都合はいかがですか?」といったようにアポイントが入ります。

税務調査そのものを拒否することはできませんが、日程的に都合が悪いときは変更が可能です。

業務内容のヒアリング

税務調査は、まず経営者に対しての業務内容のヒアリング、経理担当者への売上計上から入金までのサイクル~各種の支払いの仕方といった具体的な経理処理の行い方についてのヒアリングから始まります。

必然的に、税務調査は経営者自身が対応することが必要になることを理解しておきましょう

帳簿のチェックが行われる

ヒアリングが完了したら、税務調査初日の夕方まで会計帳簿と会計ソフトの内容を照合する作業が行われます。

税務調査は過去3年間の帳簿をチェックされるのが原則となります。

2日目の夕方で税務調査は終了

税務調査は2日間の日程が指定されますが、通常は1日目の夕方まででおおよその調査が完了するのが普通です。

調査が完了したらおおよその報告がありますので、主な指摘事項や今後の対応などについて指示があります。

調査日の1週間~1か月後に結果の報告

その後、1週間~1か月が経過したら、税務調査の正式な結果の報告が行われます。

もちろん、税務調査の結果として「何もおとがめなし」ということもありますが、修正が必要な場合は過去の申告内容を修正する「修正申告」をするよう指示されます。

修正申告は必ずしも義務ではありませんが、修正申告を自主的に行わない場合には税務署側が職権で税額を是正してきます。

修正申告を行う場合には加算税が免除される可能性がありますので、できれば対応するようにしましょう。

税務調査で過去の申告内容の誤りを指摘されたらどうなる?

経理を日常的にしっかりと行っていなかった場合、税務調査で過去の申告内容の誤りを指摘されてしまう可能性が極めて高くなります。

過去の申告に誤りがあったことが発覚した場合、税務署は修正申告という形で訂正を求めてくるとともに、納税額が少なかったことに対して次のようなペナルティを貸してくることがありますから、注意が必要です。

・延滞税
・加算税

以下では、それぞれのペナルティの内容や具体的な金額計算の仕方について解説いたします。

延滞税

延滞税は、ごく簡単にいえばお金を借りたときの利息のようなもので、申告漏れとなっていた税金に税率をかけ算することで計算されます。

例えば、申告漏れになっていた税金が100万円で、延滞税の税率が2. 6%、延滞日数が30日間だったとすると、延滞税は次のように計算できます。

税額100万円×延滞税率2. 6%×30日間÷365日=2100円(百円未満は切り捨て)

延滞税は上のように日割り計算で計算されますから、延滞の日数が長くなればなるほど納税額も大きくなってしまいます。

延滞税の税率

延滞税の税率は、実際には次のように計算します(税率は毎年変更されます。下記は2019年現在の税率です)

・本来の納期限から2か月以内の日数:2. 6%
・本来の納期限から2カ月以降の日数:8. 9%

例えば、100万円の申告漏れが発覚し、本来の納期限の12か月後に納付を行ったとすると、延滞税は以下のように計算できます。

・本来の納期限から2か月以内の延滞税:100万円×2. 6%×2カ月÷12か月=4333円
・本来の納期限から2カ月以降の日数:100万円×8. 9%×10カ月÷12か月=7万4166円
・合計=4333円+7万4166円=7万8400円(百円未満切り捨て)

税務調査は本らの納期限から数年が経過してからくることもありますから、日ごろの経理処理をきちんと行っておかないと非常に大きな負担となってしまう可能性があります。

加算税

加算税は、延滞税よりもさらに罰則としての意味合いが強いペナルティで、次の4種類があります。

・過少申告加算税(10%~15%):納税した金額が本来の税額より小さい場合に課税
・無申告加算税(15%~20%):申告そのものを行わなかった場合に課税
・不納付加算税(10%):源泉所得税の納付をしなかった場合に課税
・重加算税(35%~40%):特に悪質なケースで課税

このうち、もっとも重いペナルティが重加算税で、最大で40%もの税率を負担しなくてはなりません。

重加算税が課税されてしまう具体的なケースとしては、社長のプライベートな支出を経費処理したり、仕入先などと共謀して領収書を偽造したりした場合があげられます。

なお、重加算税は過少申告加算税や無申告加算税に代わって課せられる税金ですので、重加算税が課せられるときには過少申告加算税や無申告加算税は課せられません。

税務調査対策をしっかり行うことで税負担は小さくできる

上で見たような加算税は、期限から2週間以内に申告を行ったり(無申告加算税の場合)、税務調査が行われる前に自主的に修正を行ったりした場合には課税されないというルールがあります(過少申告加算税の場合)

すでに過去の申告に誤りがあることが明らかである場合でも、対策をしっかりと行うことによってペナルティは小さくすることが可能です。

顧問を依頼する予定の税理士がいる場合には、顧問契約を結ぶ段階で、過去に行った申告の内容について一度チェックしてもらうのが良いでしょう。

税務調査が来る前の段階で修正申告を行っておけば、こうした加算税の負担は回避することが可能です。

脱税で逮捕されるのはどういうとき?

テレビニュースなどでは「税務調査によって脱税が指摘されて、有名な経営者が逮捕された」といった報道がされることがありますが、実際に脱税で逮捕されるというのはめったにありません。

脱税によって逮捕されてしまうのは、脱税していた金額が非常に大きいとか、やり方が悪質で社会的な影響が大きいケース(みんなが真似しだすと非常に困るようなケース)などに限られます。

延滞税や加算税といったペナルティはあくまでも行政罰という扱いですので、刑事罰とは性質が異なることを知っておきましょう。

※行政罰ではいわゆる「前科」がつくことはありません。

まとめ

今回は、経理を日常的にしっかりと行っておかないと生じてしまうリスクとして、税務調査への対応について解説いたしました。
税務調査は経験豊富な税理士に対応を依頼することによって、実際に課せられるペナルティ(加算税など)の負担を小さくできる可能性があります。
すでに過去に行った申告について誤りがあることが明らかな場合には、自主的に修正申告を行っておくことで税務調査によるリスクは小さくできることも理解しておきましょう。

これから税理士との顧問契約を検討している方は、税務調査対応の実務にくわしい税理士事務所を選択するようにしてください。

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