目次
記帳業務が持つ意味
記帳業務がどうしても苦手…。時間がかかる割に正確に処理できているかどうかの判断がよくわからない。
毎日領収書や請求書の整理作業にたくさんの時間を取られている。この作業をやっている時間があれば経理スタッフにもっと別の作業をしてもらうことができるのに…。
記帳業務は、税務調査では非常に細かくチェックされる項目である一方で、領収書の整理や会計ソフトへの入力といった煩雑な単純作業が多く発生する業務でもあります。
「時間と手間がかかる記帳業務を効率化したい」とお考えの経営者の方や経理担当者の方は、経理代行サービスの利用をぜひ検討してみてください。
経理代行サービスを利用すれば、面倒な記帳業務をすべて外部の専門スタッフにまとめて依頼することができます。
以下では、記帳業務の重要性について解説するとともに、経理代行サービスの利用によって記帳業務がどのように効率化できるのかについて説明いたします。
記帳業務とは、ごく簡単にいえば日々の領収書や請求書の内容を、会計ソフトに入力していく作業をいいます。
1事業年度に1回作成する決算書は、こうした会計ソフトの入力内容から作成することとなりますから、記帳業務が適切に行われているかどうかは、決算書の信頼性に大きな影響を与えることになります。
実際、税務署によって行われる税務調査では、調査日程の多くの時間が「記帳業務が法律のルールに従って正しく行われているか」のチェックに割かれます。
企業の経理体制が信頼に足るものであるかどうかは、日ごろの記帳業務が適切に行われているかどうかによって決まるといっても過言ではありません。
税務調査でチェックされる項目
税務調査では、記帳業務について以下のような項目が正しく処理されているかどうかがチェックされます。
- 事業として受け取った収入で記帳漏れとなっているものはないか
- 在庫が実地棚卸に基づいて行われており、売上原価の計算に間違いがないか在庫が実地棚卸に基づいて行われており、売上原価の計算に間違いがないか
- 消費税に関する処理が正しく行われているか
- 事業主の個人的な支出と事業経費が混同されていないか
- 経費として処理している支出についてすべて証憑書類が保存されているか
- 架空の人件費などが計上されていないか
重要なことは、こうした記帳内容について、一部でも間違いがあることが発覚した場合には、記帳処理全体についての信頼性が揺らいでしまうということです。
自社内で経理を処理していて外部の目によるチェックがされていないという場合、数年分の記帳業務について誤りが指摘されてしまうということもありますから、注意が必要です。
もし記帳業務の信頼性が揺らいだらどうなってしまうのか
企業が会計上経費として処理した支出は、事業内容との関連性を確認できる証憑書類(領収書や請求書など)が保存されていなくてはなりません。
事業に関連して企業が得た収入については、すべて売上高として決算書に反映する必要があります。
税務調査の場などでこうした収入や支出の項目について不備が発覚した場合、過去の税申告内容の修正や追徴課税といったペナルティを受けることにもなりかねません。
また、企業が記帳業務に基づいて作成する決算書は、銀行等の金融機関も信用力調査のための重要な資料としています。
税務調査によって修正を求められたという事実は決算書への信頼性を大きく傷つけることになりますので、金融機関からの評価にも影響を与える可能性があるでしょう。
平成26年以降は白色申告者にも記帳業務を義務付け
個人事業主の方にとっても、日ごろの記帳業務が適切に行われているかどうかは重要な問題です。
従来は白色申告を選択している事業者には記帳義務はありませんでしたが、平成26年以降は法改正によって白色申告を選択している事業者にも記帳業務を行うことが義務付けられています。
白色申告者の場合は、日々の合計金額をまとめて記載するなどの簡易な記帳方法でも認められることになっていますが、帳簿等の保存については青色申告者と同様に7年間の保存が義務付けられていることに注意を要します。
今後は、事業を始めて間もない自営業者の方であっても、何らかの形で記帳業務を行っていくことが求められることになります。
御社は大丈夫ですか?記帳業務で押さえておくべきポイント
企業の記帳業務が適切に行われているかどうか?は、以下のようなポイントをもとに判断されます。
- 証憑書類の保管は完璧ですか?
- 経営者のプライベートな支出を経費として処理していませんか?
- 帳簿は過去7年分が保存されていますか?
- 帳簿は過去7年分が保存されていますか?
- 外部者の目で定期的にチェックを受けていますか?
それぞれのポイントについて、順番に見ていきましょう。
証票書類の保管は完璧ですか?
すでにみたように、事業の経費として処理した支出については、取引先や支出内容などが明確に分かる証憑書類(証拠書類)が保存されていなくてはなりません。
電車の交通費など、領収書が発行されない支出も少なからずありますが、こうしたものについても手書きのメモ等で支出内容が後日に確認できるようにしておく必要があります。
もし経費処理した支出の内容が後から確認できない場合、税務調査によって経費としての処理が否認されてしまう可能性があります(この場合、当然ながら追徴課税が発生することになります)
経営者のプライベートな支出を経費として処理していませんか?
個人事業主として活動している人であっても、事業の経費として処理する項目と、経営者(事業主)がプライベートのために支出したお金とは厳密に分けておかなくてはなりません。
仕事の紹介をしてもらっている取引先の人と食事に言った場合には支出を接待交際費として経費処理しても問題ありませんが、家族と食事した時の支出などは経費として処理することはできない、といった具合です。
帳簿は過去7年分が保存されていますか?
会計帳簿は過去7年間を保存する義務が課せられています。
業種によっては保存資料がぼう大な量となる可能性がありますが、帳簿保存は法律上の義務ですので必ず保管しておくようにしましょう。
なお、税務署に申請を行うことにより、電子帳簿による保存方法を選択することも可能ですので、導入を検討してみてください。
外部者の目で定期的にチェックを受けていますか?
会計帳簿内容は、企業の経営状況を記録した非常に機密性の高い情報となります。
その分、外部者によるチェックを受けることに抵抗感があるという経営者の方も少なくないでしょう。
しかし、税務調査などによって会計処理の誤りが数年後になって明らかになったような場合、修正を求められる税額も非常に大きくなってしまう可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、税理士事務所等の外部の専門家からチェックを受けるのは大切なことです。
税理士事務所と顧問契約を結んだ場合、月次監査などで定期的な会計帳簿のチェックを受けることができますから、記帳業務に誤りが生じるリスクを避けることが可能となります。
記帳代行業者の種類
記帳業務はすべての事業者に適切な処理が求められます。
自社内で記帳業務を担当するスタッフを確保するのが難しい場合には、外部の専門家(記帳代行業者と呼ばれます)に記帳業務をアウトソーシングすることも検討する必要があるでしょう。
近年ではこうした記帳代行サービスからさらに一歩進んで、経理業務のほとんどを代行してもらうことができる「経理代行サービス」が普及しつつあります。
以下では、従来の一般的な記帳代行サービスの内容と、新しい経理代行サービスの違いについて解説いたします。
従来の記帳代行サービスの内容と不満
従来の記帳代行サービスでは、1週間~1か月程度のスパンで領収書などをまとめて業者に郵送し、会計ソフトなどへの入力を代行してもらうという形が中心でした。
入力作業を外注できるだけでもかなりの労力減となるのは間違いありませんが、得意先への請求書送付や資金繰り計画書の作成といった経理業務については自社で行なう必要があることに不満がありました。
経理代行サービスで扱う内容
経理代行サービスでは、上のような記帳代行サービスから一歩進んで、以下のような業務についても代行を依頼することが可能です。
- 請求書の発行
- 売掛金や買掛金・手形の管理
- 伝票起票~会計ソフト入力までの記帳業務
- 従業員への立て替え金と経費支出との照合
- 借入金の返済計画の策定
- 現預金や出納長の管理作成
経理代行サービスを活用すれば、従来は実務経験のある経理スタッフを雇用せざるを得なかった経理業務について、外部の専門家に格安の料金で代行してもらうことが可能となります。
経理代行サービスの料金相場
経理代行サービスの料金相場は、月額報酬で10万円程度、決算書や法人税申告書の作成まで含めると年間150万円程度の費用となるのが相場です。
高額と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、こうした費用の負担によって、経理スタッフなどの人件費を削減できることは大きなメリットといえます。
おすすめの経理アウトソーシングサービス
記帳業務を自社で行うメリットとデメリット
記帳業務については、上で見たような代行業者のサービスを利用する方法と、自社内のスタッフが担当する方法の2つの選択肢が考えられます。
以下では自社内で記帳業務を処理するメリットとデメリットについて理解しておきましょう。
社内で記帳業務を処理するメリット
社内のスタッフに記帳業務を任せるメリットとして、社内で経理業務に関するノウハウを構築することができる点があげられます。
金融機関との融資交渉や、従業員の給与管理など、社内の重要な情報を扱う経理スタッフを育成することができれば、経営者の右腕的な存在になってもらうことができるでしょう。
社内で記帳業務を処理するデメリット
一方で、こうした経理業務を任せられる人材の確保には高額の人件費がかかるというデメリットがあります。
簿記検定などの資格を持つ人材の数は決して少なくありませんが、給与計算や法人税計算などの実務までこなせる人材となると、見つけるのが非常に難しいというのが実情です。
必然的に、自社内でのOJTや実務研修を通じて人材育成を行う必要がありますが、一人前に仕事をしてもらえるようになるまでは数年以上の期間が必要となるでしょう。
一方で、こうした実務経験を最初から持っている人材を確保するためには、高額な手数料が発生する転職エージェントなどを活用することも検討しなくてはなりません。
まとめ
今回は、企業が行う記帳業務の重要性と、経理代行の利用によって受けられるサービスの内容について解説いたしました。
本文でも見たように、実際に記帳業務の処理方法を考えるうえでの選択肢としては、自社のスタッフによって社内処理する方法と、外部の専門家にアウトソーシングする方法(経理代行の利用)の2つが考えられます。
多くの企業にとって、経理代行サービスを活用することは、コストを抑えつつ記帳業務を適切に処理できるようになることにつながりますから、ぜひ導入を検討してみてください。