「起業を考えている」と人に話せば、何人かは「起業なんてやめとけ「やめておいた方がいい」と言うかもしれません。しかし、そのような言葉を気にする必要はなく、それで起業を諦めるのはもったいないことです。
ただ、「誰に言われたか」によっては、状況などを見直す必要があるかもしれません。
本記事では、起業を反対されても基本的には無視していい理由と、例外として無視してはいけない相手、起業する際に気を付けるべきことを解説します。
最後に、本当に起業を考え直した方がいい人がどんな人かも紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
「起業はやめとけ」を無視していい理由
人に「起業はやめとけ」と言われても、無視すればいいのはなぜか。理由は次の5つです。
- 自身の可能性をつぶすことになる
- そう言われても成功した人はたくさんいる
- 起業をするかどうか決めるのは自分自身
- 「起業=失敗」とは限らない
- 国や地方も起業を支援している
それぞれ具体的に見ていきましょう。
自身の可能性をつぶすことになる
始めてもいないのに失敗などを恐れて諦めることは、起業して成功するという自身の可能性をつぶすのと同じです。
起業への思いが断ち切れなかったり、いったんは諦めたのに再燃したりすれば、「あの時起業しておけば」と後悔したり、また同じように悩んだりすることに。
やめとけといわれてやめてしまえば、成功の可能性は本当になくなります。
そう言われても成功した人はたくさんいる
トヨタ自動車の創業者・豊田喜一郎氏がかつて国産車の製造に乗り出そうとした際、「絶対に成功しないだろう」と言われた話は有名です。
成功しないだろうと言われつつ大成功した人は少なくありません。最近のケースで言えば、ネットフリックスの創業者の1人マーク・ランドルフ氏も、複数の投資家に「不可能だ」と言われたといいます。
それでも自分を信じて突き進んだ結果、彼らは大きな成功を収めています。
起業をするかどうか決めるのは自分自身
起業するかどうかは、自分自身が決めることです。
誰かにアドバイスはもらったとしても、自分のことは自分で決めてください。
起業した後は、事業主としてあらゆることを自分で判断、決断しなくてはなりません。人の意見に耳を貸す必要もありますが、根拠のない否定を真に受ける必要はないでしょう。
誰かに言われたからと起業をやめた場合、自分で考えてやめると決めた場合よりも、後悔する可能性が高いです。
「起業=失敗するもの」とは限らない
「起業なんてやめとけ」という人は、起業に「失敗して借金を抱える人の方が多い」というイメージを持っています。しかし、失敗するか成功するかは誰にもわからないはずです。
少し古いデータですが、東京商工会議所の「創業の実態に関する調査報告書(H26)」によれば、創業1年目の企業では赤字が6割を占めるものの、3年目以降は経営を軌道に乗せている企業が7~8割です。
また、中小企業庁の「中小企業白書(H29)」によれば、起業後5年間の企業存続率は81.7%、廃業したのは18.3%です。
国や地方も起業を支援している
国は、起業する人を増やそうとしています。各地方の自治体では、地域経済の活性化のため起業家を支援する制度を設けています。環境は追い風だと言ってよいでしょう。
例えば、ビジネスプランやアイデアのコンテストを行って、優れたアイデアに補助金や賞金が与えられたり、創業資金を低金利で融資する制度があったり。ほとんどの場合、同時に専門家による経営アドバイスを受けることが条件となっています。
起業しようとする自治体の公式サイトなどで情報を確認してください。
なぜ人は起業を「やめとけ」と言うのか
起業に否定的な人が多い理由には、保守的な考えの人が多いことが挙げられます。
保守的な人には、新しく未知な物事を恐れ、否定的に見る傾向にある人も多いのです。
そこには、心配する気持ちがあるほか、人によってはねたみの感情が潜んでいる可能性もあります。
失敗してしまうのでは?という「心配」
「起業する」と聞いてすぐに「大賛成!」という人はなかなかいません。ほとんどの人が「大丈夫?」と心配します。
終身雇用は過去のものになったとはいえ、雇われている立場の方が安心・安全だという思いは根強いものです。
起業を心配するのには、次のような理由が考えられます。
- 成功が難しいから
- 借金など大きな金銭的リスクがあるから
- 安定した生活を捨てるのはもったいないから
- 失敗後の再就職が難しそうだから
- 起業に向いていると思えないから
それぞれ具体的に説明します。
成功するのは難しいから
事業経営は簡単ではないのは事実です。倒産する会社や閉店する店を目にすることは多く、それから大きな借金を抱えて苦労した、などという話もテレビなどで見聞きします。
難しいからきっと無理だろう、ということで「やめておけ」と言ってしまうのです。
借金など金銭的なリスクが大きいから
起業には多額の資金が必要なケースが多いです。長い時間をかければいつかは成功するかもしれないけれど、それまで苦しい生活を強いられるかもしれない。もし失敗すれば、借金だけが残る恐れもあります。
お金が人生のすべてではなくても、お金がないと生活は苦しくなり、精神的にも追い込まれます。そうなれば気の毒だ、ということで「やめておけ」につながります。
安定した生活を捨てるのはもったいないから
会社員として仕事をしていれば、給料という定期的な収入が得られます。通常の企業であれば労働時間や休日は法に則って与えられます。
労働保険や雇用保険での保障も受けられます。仕事でミスをしても、1人にすべて責任が押し付けられることはないでしょう。
起業して事業主となれば、そうはいきません。安定した生活を手放すことなど理解しがたい、という人もいるのです。
失敗後の再就職が難しそうだから
転職市場では、年齢が高くなるほど採用されるのが難しいのが現実です。事業に失敗し、会社員に戻りたいと思った場合、再就職先が見つかりにくい可能性もあります。
また、自分自身にとっても、一度自由な働き方を知ってしまうと、会社組織が窮屈になり、長続きしなくなるという恐れもあります。
起業に向いていると思えないから
普段の生活や会社員として働く姿から、自分で事業を起こして成功するのは難しいのでは?と思われるケースも残念ながらあるでしょう。
これまでの仕事で、上司に指示されたことしかしなかったり、何事も長続きしなかったりするような場合。あるいは独立するに足るスキルがないなどの理由があると、周りからは起業に向いていないと思われます。
これらはすべて、あなたのためを思っての「やめた方がいい」「やめておけ」ですが、最悪のシナリオを想定しての「忠告」です。確実な根拠があるわけではないでしょう。
「ねたみ」などネガティブな気持ち
「起業はやめとけ」には、良心的な気持ちでなく、ねたみの感情が隠れている場合もあります。ねたみとはこの場合、起業という新たな世界に行く人への「うらやましい」という気持ち、そこから生まれる悔しさや劣等感などのネガティブな気持ちです。
例えば次のような人が、ねたみから「起業なんてやめとけ」と言いたくなってしまいます。
- 自分も起業したいけどお金がない人
- 自分も何か行動したいけど勇気がない人
- 自分が取り残されるように感じる人
- 自分の収入や社会的地位を越されるのが悔しい人
つまり、表向きはあなたに助言をしているようでも、考えているのは「自分」のことです。この意見で自分の将来を決めていいのかどうか、答えは明らかでしょう。
声を無視してはいけない相手もいる
基本的には「起業はやめとけ」という声に耳を傾ける必要はありません。しかし、相手が次のような人の場合は、無視せず話を聞きましょう。
- 起業の経験がある人
- 経営の知識が豊富な専門家
- 自分の家族
最終的に決めるのは自分ですが、こういった人の意見を聞くことは後悔を防ぐことにつながります。
起業の経験がある人
起業経験がある人の「やめとけ」には、経験からくる明確な理由があるはずです。その理由は今後のためになる可能性が高く、リスクが回避できるかもしれません。「なぜそう思うのか」を聞いておくことをおすすめします。
聞いてみて、自分には当てはまらなかったり、すでにそのリスクについて想定・対策済なら、安心して起業準備に入れます。
経営に関する専門家
経営の専門家が起業を思いとどまらせようとするにも、注意すべき理由があるはずです。本来、専門家であればアドバイスができるはずですし、顧問契約など自身の利益につながる可能性もあるはずだからです。
知識のある専門家が反対するからには、何かリスクとなる要素がある可能性が高いです。何が問題なのか、対処法はないのかを聞いてみてください。
自分の家族
家族から起業を反対された場合も、無視して勝手に話を進めるのは得策ではありません。家族にしてみれば、起業で多忙になることによる健康面、自身の生活への経済的な影響などが心配のタネとなります。業績の良し悪しは、家庭にも影響を与えます。
相手も不安なはずなので、しっかり話し合って理解してもらいましょう。
特に一人で起業した場合、家族は一番の味方・支えとなってくれる(べき)存在です。家族の協力が必須となるケースも少なくありません。
「起業はやめとけ」に負けない対処方法
起業への意欲があっても、「やめとけ」と言われると出鼻をくじかれて不安になりがち。不安を払拭するには、次のような方法で失敗のリスクを抑えることがポイントです。
- 自己資金をできるだけ多く貯めておく
- 初期費用がかからない事業にする
- スモールスタートにする
- 副業から始める
- 起業や経営に関する勉強をする
- 具体的な事業計画書を作る
自己資金をできるだけ多く貯めておく
起業に必要な資金がいくらかを計算し、それ以外に少なくとも数カ月~半年分くらいの生活費分は余裕を持って貯金しておきましょう。
誰もが最も心配するのは、やはり金銭面です。起業して数カ月は赤字経営でも問題なく生活ができるよう、よりたくさんのお金を用意してください。
融資を受ければいいじゃないか、と思うかもしれませんが、必要資金の3分の1くらいの自己資金はないと、融資審査にも通りません。
初期費用はなるべく安く抑える
起業の時点で高額なお金を使うと、その後の資金繰りに行き詰まる可能性が高いので要注意。最初から理想通り・最高の設備を整えるのではなく、必要最小限の設備で「スモールスタート」にするのが成功のコツです。
起業には会社設立という方法もありますが、まずは個人事業主として始めるのがおすすめ。ちなみに、もっとも初期費用がかからない事業は、自宅でパソコン1台あればできるような仕事です。
まずは副業として始める
リスクを抑えるには、会社員として収入源を確保しつつ起業する方法が安心です。
退職と引き換えに起業するのではなく、まずは仕事をしながら副業で始めれば、毎月の安定した収入を確保したまま事業ができ、生活費の心配もなくなります。
ただ、中には副業を禁止する会社もあるので注意が必要です。就業規則を破れば、自己退職する前に解雇などの処分を受ける恐れもあります。
経営に関する勉強をする
起業するとなれば、事業内容についての知識や経験、スキルだけでなく、経営についての全般的な知識も必須です。
資金繰りから経営戦略の立て方や決算書などの数字の見方、マーケティングまで、経営者が知っておくべきことは多岐にわたります。
経営を知らなくても、何らかの偶然で一時はうまくいく可能性もあります。しかし事業の成功には継続が不可欠。偶然が続くことは難しいでしょう。
本当に起業をやめておいた方がいい人とは
ここまでは、「起業なんてやめておいた方がいい」と言われても無視していい理由や、無視してはいけない相手について説明しました。しかし、中には本当に起業をやめておいた方がいい人もいます。
次のいずれかに当てはまれば要注意。起業しても失敗するリスクが高い人です。
- 特にやりたいことがない人
- すぐに稼げると思っている人
- 一人では決断・行動できない人
- 「やめとけ」と言われて迷っている人
特にやりたいことがない人
やりたいことがないのに起業をするのは「起業家になりたい」などが目的であり、本末転倒と言わざるを得ません。起業した時点で目的は達成しますが、先が続かないでしょう。
起業とは、事業を自ら始めることです。また、事業に成功する人の共通点は、時間を惜しんで、あるいは時間を忘れて事業に没頭する情熱を持った人です。情熱がある人は、知識やスキルを得るために勉強するなどの苦労も、苦労と思わずこなします。
起業後すぐに稼げると思っている人
上の章でも述べたように、事業を軌道に乗せるには3カ月~半年ほどかかるのが一般的です。
すぐに大金を稼げると思っていると「思ってたのと違う」とモチベーションが下がり、経営が黒字になる前に廃業してしまいかねません。
1人では決断・行動できない人
起業すれば、何をするにも最後は自分で決断しなくてはなりません。さらに、成功には即行動することが必要です。
問題が発生したら、自分の決断や行動で解決しなくてはなりません。誰かの意見や後押しがなくてはできない、というようではチャンスを逃します。
「やめとけ」と言われて迷っている人
成功する人は、他人に何を言われようと情熱をもって突き進み、事業に取り組んでいます。事業経営は選択や決断の連続で、どんな決断でもリスクをゼロにはできません。
起業する前の時点で他人の意見に惑わされていては、この先にあるさまざまな困難を乗り越えるのも難しいのではないでしょうか。
「起業はやめた方がいい」は気にしない方がいい
起業には「失敗」「借金」などのネガティブなイメージを持つ人も多いもの。
しかし、始める前から成功するか失敗するかを他人が判断するのは不可能です。事業経営にはリスクも付きもの、と考え、やりたいことに挑戦した方が後悔も防げます。
ただし、経営の経験者や専門家、家族の意見には耳を傾けてください。根拠のある助言は聞いておいた方が失敗を防げますし、事業経営が軌道に乗るまでには時間がかかるため、家族の理解も必須です。
不安があるなら、それを払拭するほどの準備をしましょう。自己資金を貯めたり、具体的な事業計画書を立てたりすることで、成功の可能性を高めることができます。
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