【小ネタ話その1】あの有名企業の「アレ」が気になる!

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小ネタ1: 超有名企業と同じ法人名で登記すると…?

トヨタ自動車とかソニーとか有名企業と同じ名前にできるの?

会社にとって一番重要なのは事業内容で、商品やサービスに対してお金が支払われます。

しかし、商品やサービスの内容だけでなく、買い手からするとブランドイメージも重要です。

そして、そのブランドイメージに大きく影響するのが会社名です。

たとえばローマ字で洋風な名前を付けると、お洒落なイメージになりますが、その反面覚えにくい、気取っている感じがする、といった印象を持たれる可能性があります。

漢字やひらがな、カタカナでシンプルな名前を付けると、覚えやすくて親しみやすい印象の一方で、「垢抜けない」「なんかダサい」といったイメージを持たれる可能性もあるでしょう。

このようなことを考えているとなかなか迷いがちな会社名ですが、そこで「有名企業と同じ名前にしてしまえば良いのでは?」というアイデアを思いつく方もいるでしょう。

有名企業と同じ名前にしてしまえば、すでに確立されているブランドイメージを利用できます。

また勘違いして自社製品を購入してくれる人が現れるかもしれません。
客観的に見て卑怯な手かもしれませんが、そこはビジネスの世界です。法律や明らかなモラル違反を犯さない限り、収益を上げたもの勝ちとも言えるでしょう。

では実際問題、有名企業と同じ名前を付けてブランドイメージをそのまま利用するのはありなのでしょうか?

一応法的にはOK

有名企業と同じ会社名にすることは、法的には問題ありません。
実際社名が重複している企業も多々あって、意図的かどうかに関わらず確実に後から社名を重複して付けている企業が存在するということです。

実際のところ、どこからが有名企業かの線引きも難しく、意図的に社名を重複させたのか、それともたまたま重複してしまったのか、といった判断はある程度難しいところでしょう。

また、既にある社名を一切付けてはならないとなると、社名の選択肢がどんどん減っていきます。

毎年数多くの企業が誕生していますが、そうすると毎年どんどん社名の選択肢がなくなることになります。
(2018年の「全国新設法人動向」調査では、新設法人は12万8,610社)

倒産していたらOKなどのルールにしていても余計に混乱するので、重複する社名を付けること自体は法律で禁止されていないのです。

訴えられる可能性は高い

社名の重複を完全になくすことは不可能で、また有名企業のみ重複を避ける法律を作ろうとしても、どこまでが有名企業なのか定義が難しく、明確にすることが困難ということでした。

そのため有名企業と同じ名前にすること自体は一応問題ありませんが、訴訟に発展する可能性は否定できません。

たとえば有名企業と同じ社名にして似たようなサービスを提供していた場合、意図的に真似したことは明らかです。
また有名企業はパイプも資金力も持っているので、法廷で争ったら勝ち目はありません。

法的に負けることはもちろん、それ以外にも圧力をかけられてしまうかもしれません。

そのような危険を冒してまで、意図的に同じ社名にする必要があるかどうかは、大いに疑問なところです。

類似する社名も訴訟の可能性が

また有名企業と同じ名前だけでなく、類似する名前を付けた場合も訴訟を起こされる可能性があります。

有名企業でなければ社名が重複してもOKなのに、有名企業だと社名が類似するだけでもNGなのか、と思われるかもしれませんが、実害を考えると妥当でしょう。

結局のところ、社名が同じかどうか、類似しているかどうかよりも、「その結果利益の妨害につながっているか、また悪意を持って社名を利用しようとしているか」という点が争点です。

逆に言えば、仮に有名企業と名前が類似してしまったとしても、合理的な理由がある、事業領域がずれている、ということで利益妨害や悪意がなければ訴訟を起こされることもなく、また仮に訴訟になっても十分な主張が可能です。

有名企業に迷惑をかけることと、悪意を持ってやっていることが問題になるのです。

小ネタ2:Apple JapanとかGoogle Japanが合同会社化したけどなぜ?

2011年(平成23年)にApple Japanが、2016年(平成28年)にGoogle Japan合同会社化しましたが、これは合同会社ならではのメリットを狙ったものです。

一般的に株式会社には、「設立時に費用がかかる分社会的な信用力が高い」、合同会社には「株式会社に比べて簡易的に設立でき費用も安いが、その分使用力が弱い」といったイメージがあるかと思います。

「なぜこんなに収益のある企業があえて合同会社化するのか?」「合同会社化するのは赤字や黒字が小さくて経営難の企業なのでは?」といった疑問を持っている人も多いかもしれません。

そこでこの項では、Apple JapanやGoogle Japanがなぜあえて合同会社化したのか解説します。

合同会社化する理由はシンプルかつ効率的だから

まず合同会社の特徴は、会社の所有者と経営者が同じであること、出資者全員が有限責任であることです。
加えて、合同会社は株式会社に比べシンプルな会社形態です。

具体的には、以下のような特徴が挙げられます。
株式会社は所有と経営が分離しているので、経営者の自由にできるわけではありません。

また株式会社の場合無限責任なので、出資者は負債に対して元本割れだけでなく、個人的な資産を充当しなければならない可能性もあります。

  • 所有と経営が一体になっているので意思決定が早い
  • 決算公告が不要
  • 役員の任期がないので重任登記が不要
  • パススルー課税で税制上のメリットを得られる

株式会社の場合、会社の所有者と経営者は別になります。
会社は出資者である株主のもので、経営者は会社の所有者ではなく経営者という考え方だからです。

しかし合同会社の場合出資者と経営者が同じなので、自由かつ迅速な意思決定が可能になります。

決算公告や重任登記が不要なので、事務手続きが簡易になるというメリットも挙げられます。

税金についてはパススルー課税といって、法人そのものに課税するのではなく、法人に所属している人に対して課税することが可能です。

また法人に所属する人が他の組織に所属していたり個人的に別の収益を持っている場合、どちらかで赤字が出たら相殺することが可能です。

たとえば合同会社に所属しながら別の会社で新規事業を立ち上げれば、そっちは赤字になるケースが多いでしょう。

この赤字分と相殺すれば節税になります。

合同会社にはデメリットもある

合同会社には以下のようなデメリットがあります。

  • 株式会社に比べると信用力に欠ける
  • 会社の資本金が社員に左右される

信用力のある会社と言えば株式会社。合同会社、有限会社などは怪しい、といったイメージは今でもある程度蔓延しています。

また上で説明した通り決算の公表義務がないので、この点から信用力を得にくいのも事実でしょう。

また合同会社は会社ではなく社員に対して課税されると説明しましたが、そもそも出資金が会社ではなく各社員に帰属しています。

株式会社のように公に出資を募るわけではなく、経営陣が出資しているからです。

その結果、たとえば意見の不一致から会社を抜ける人が出てきた場合、出資金の払い戻しを求められる可能性が高いでしょう。

特に出資額が多ければ当然の権利と言えます。

とはいえ出資した金額すべてを払い戻すとそのまま事業が立ち行かなくなり倒産してしまう可能性があるので、会社法上出資金の払い戻しは一定の規制が設けられています。

規制が設けられていますが払い戻しがまったくできないわけではないので、常に出資金が減るリスクがあるということです。

合同会社には以上のようなデメリットもありますが、AppleやGoogleの日本法人は会社の形態に関係なく知名度があり、信用力は十分です。

株式会社でなくなったからといって、信用力が落ちる企業ではありません。
また資金も十分にあるため、合同会社化によるデメリットは少なく、結果的にメリットの方が大きくなるのです。

だからこそ合同会社化しています。

まとめ

あの有名企業の「アレ」が気になる!

普段何気なく目にしている「社名」や「組織形態」も、いざ自分で会社設立するとなると、「他の会社はどうしているんだろう?」と気になることもあると思います。

今回は特に有名企業を例に解説しました。
会社設立を目指している方は、参考にしていただけると幸いです。

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