種類株式ってなに?特徴とメリット・デメリット

種類株式ってなに?特徴とメリット・デメリット
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一般的に株式会社が発行する株式は「普通株式(普通株)」と呼ばれています。しかしそのほかにも、会社法で発行が認められた「種類株式(種類株)」と呼ばれる株があります。

簡単に言えば、普通株式とは異なる権利を株主に与えるものが種類株式であり、その権利の内容別に9つの種類があります。

この記事では、種類株式の各種の特徴や、種類株主のメリット・デメリットについて解説します。

株式には「普通株式」のほか「種類株式」 がある

まずは改めて、一般的な「普通株式」と「種類株式」の違いを見ておきましょう。

一般的に株式といえば「普通株式」

普通株式とは、株式市場で売買されている一般的な株式をいいます。株を買った投資家は株主となります。

株主には主に次の4つの共通した権利が、保有する株の数などに応じて平等に与えられます。

  • 利益の分配を受けとる
    (利益配当請求権)
  • 株主総会に参加したり議決に加わったりする(議決権)
  • 会社が解散するときに残った資産の分配を受け取る
    (残余財産分配請求権)

このほか、企業・業績によっては株主優待制度を設け、株主向けに自社の製品やサービスの進呈・割引など(いわゆる「株主優待」)を行っています。

権利の内容が異なるのが「種類株式」

上記の普通株式に比べ、株主の権利の一部を優先的にしたり逆に制限したりするために発行されるのが「種類株式」です。内容が異なる2つ以上の株式を発行した会社は、「種類株式発行会社」と呼ばれます。

ただし、株主の権利を会社の好きなように定めて種類株式にできるわけではありません。普通株と内容を変えることのできる項目については、後述する9つの事項が会社法に規定されています。

また、新しく種類株式を発行する場合には、株主総会の特別決議を経て定款を変更する必要があります。

ちなみに、現在発行している普通株式を種類株式に変更する、あるいは種類株式を普通株式に戻すことも可能です。
ただし、変更が株主に不利益となることを避けるため、すべての株主の同意による定款の変更が必要です。

投資・経営両方の立場のメリットとデメリットは?

種類株式のメリット

種類株式を発行することで、投資する側と経営する側には主に次のようなメリットがあります。

  • 優先権を受けられる(投資側)
  • 資金調達がしやすい(経営側)
  • 株主による経営への過剰な介入が避けられる(経営側)

例えば、後述する種類株式の1種「優先株」の場合、株主は普通株主より多くの配当金を受け取ることができます。ただし多くの場合、配当金に優先があると同時に議決権には制限が課されます。

株主による議決権を制限することで、会社は株主に経営をコントロールされにくくなります。
一方、株主は「よりたくさんの分配金を得たい」「株主総会には行きたくない」などのニーズに合ったメリットを受けることができるのです。

その他、株式譲渡に制限を持たせて、望まない人物による経営への介入を防ぐメリット、会社による株式の買い取りを請求できるようにして、株主に安心感を与えるメリットのある種類株式もあります。

種類株式のデメリット

種類株式は、株式売買を頻繁に行う投資家にはうま味が少ないと言えます。
なぜなら、配当を受ける際に初めて、普通株式より多くの利益を得るメリットが得られるからです。

配当が実施されるまで株を保有し続けることを制限ととらえる投資家には不向きと言えるでしょう。

また、議決権の制限がある場合にはやはり経営面で会社側の意向に沿った動きが取られると予想されます。その点に心配がある場合にも不向きです。

さらに制度内容が複雑となっているため理解が難しく、そのため敬遠されたり可能性があることもデメリットと言えるでしょう。

種類株式の9つの種類とその特徴

種類株式には、権利内容によって9つの種類があります。
企業は、これらの異なった株式を発行することでき、またいくつかを組み合わせることも可能です。

優先株式・劣後株式(剰余金)

株主にとって株式取引の楽しみの1つが、預金でいう利子のような「配当金」でしょう。
配当金は、その多くが利益の剰余によるものですが、資本金の余りを分配されることもあります。

そしてこの剰余金の配当を普通株式より優先、すなわち多く受け取れるのが「優先株式(剰余金)」です。
普通株式よりも配当金を少なくすることもでき、それを「劣後株式」と呼びます。
また、配当金をゼロに設定することも可能です。

優先株式・劣後株式(残余財産)

株式会社の経営において、やむを得ず廃業あるいは倒産という道を選ぶケースもあります。
会社を精算した際、負債を返済した後に残された会社資産は「残余財産」と呼ばれ、持ち株数に応じて残余財産の分配を受けられる権利を「残余財産分配請求権(優先残余財産分配権)」と呼びます。

残余財産分配請求権が設定された種類株式の場合、優先株式ならこの残余財産の分配を優先的に受けられます。劣後株式の場合は普通株式の後に受け取ることになります。

さらに優先株への分配を行った後の残余財産の分配でも対象となる場合は「参加型」、対象とならない場合は「非参加型」と区分されます。

議決権制限株式

文字通り、株主総会での議決権において制限を設ける株式のことです。議決権を全く有しない、つまり株主総会に参加できないという株式も可能ですし、一部の決議のみ参加できるようにすることも可能です。

ただし、株式を公開した企業には株主や投資家の意見を尊重する義務があるため、全株式の半数以上の議決権制限株式を発行することはできません。
非公開の企業には発行数の制限はありません。

譲渡制限株式

すべてあるいは一部の株式について、他者への譲渡を行う際に会社側の承認を必要とする株式です。
会社側の承認とは、株主総会や取締役会による承認を意味します。

株式の分散を防ぎたい場合や、会社にとって不利益となるかもしれない第三者に株を保有されることを防ごうとする場合に有効です。

取得請求権付株式

株式会社が発行する株式のうち、株主が取得請求権利を持つことができる株式です。
「取得請求権」とは、株主が保有する株式を、発行した会社に買い取ってもらうよう請求する権利のこと。株主からの請求があれば、会社は基本的に買い取りを断ることができません。

会社による買い取りが保証されることで、投資側は出資しやすくなり、経営側は資金を集めやすくなります。

取得条項付株式

取得条項付株式とは、すべてもしくは一部の株式について、あらかじめ定めた事由が生じた場合に会社側が強制的に買い取ることのできる株式です。

通常、株式の買い取りには株主の同意や買い取り価額についての合意が必要です。しかし取得条項付株式なら、会社の意思のみで買い取ることが可能です。

全部取得条項付株式

全部取得条項付種類株式とは、株主総会の特別決議を経れば、その種類株式のすべてを会社が取得できるという取り決めをしたものです。

会社による買い取りに反対した株主には、株式買い取り請求権が与えられます。

拒否権付株式

拒否権付株式は、株主総会の議案について拒否権を持つ株式です。

例えば通常の株主総会で可決された内容でも、種類株主総会で否決となる可能性があるということです。

一株でも持っていれば拒否権を行使できることから、「黄金株」とも呼ばれます。

役員選任権付株式

取締役または監査役の選任を、この種類株主による「種類株主総会」によって決議できるという株式です。 取締役らの選任は、通常は株主総会もしくは取締役会において決議すべきものです。

種類株主総会で選ばれた取締役または監査役については、解任する場合も、通常の株主総会ではなく種類株主総会にて解任の決議をします。

種類株を公開した企業の代表的な例

種類株といえば、IT系を中心としたベンチャー企業のイメージを持つ人も多いでしょう。
2012年、Facebookが種類株を利用したIPO(新規株式公開)を行った直後に株価が下落したことによって、「種類株(を有する企業)はハイリスク」という印象が少なからず残っています。

しかし現場を指揮するリーダーが複数の議決権を持つ種類株を取得することには、やはりメリットもあります。
経営権を維持することによって、変化が早く競争の厳しい業種に必要不可欠な「迅速な経営判断」が可能となるからです。
ここでは種類株を公開した企業についてアメリカと日本の例を紹介します。

アメリカの種類株公開例

アメリカなど欧米では、スタートアップ企業が多様な株式を発行して資金調達することは珍しくありません。
よく見られたのは、創業者やその一族による「多議決権株式の所有」です。NIKE(ナイキ)や自動車メーカーのフォード、そして先述のFacebookもこれに該当します。

しかし、経営陣となった初期メンバーが発言力を持ち続けることには「公正さに欠ける」という批判あります。

日本の種類株公開例

日本国内ではアメリカのような種類株式での上場例はないものの、散発的に種類株公開のニュースが入ります。
2015年にトヨタ自動車が「譲渡制限付き種類株式(AA型種類株式)」を発行したときは大きな話題となりました。
その内容は、5年間の譲渡期限を設け、毎年0.5%ずつ配当をアップし、5年目以降は年2.5%相当の配当を受け取れるというもの。
「毎年利回り上昇」「株価上昇でさらに高利回り」と好評でした。

まとめ~種類株は投資の重要見極めポイント!~

種類株式ってなに?特徴とメリット・デメリット

一般的な株と違い、株主に一定の制限や権利を付ける種類株式。 直接経営にタッチする経営者側にも議決権を有する種類株は 、強力なリーダーのもと成長真っただ中の新進企業や、難しいかじ取りが求められる他社競合の多い業界では有効な株式の発行方法と言えます。

種類株を持っていることで、高配当を期待できるるという投資の面での旨みもあります。

しかしその一方、「株主の平等」の原則に反する側面があることも否めません。
経営側、投資側両方にとって、種類株にはメリットとデメリットがあります。敵対的買収を避ける、事業を後継者に渡すなど、目的に応じて賢く設定していく必要があるでしょう。

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