会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント

会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント
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決算月になると会社は決算書を作成し、税務署への申告や株主への決算公表をします。
日本では慣習的に「3月」を決算月としている企業が多いのですが、 3月にしなければならないわけではありません。 決算月は自由に決められます。
決算月を決める上で重要なのは、自社に合わせた月を選ぶことです。

この記事では、決算月・事業年度の定義やルールについて説明し、決算月を決めるときのポイントについて解説します。

決算月は必ず定めなければならないので、これから開業を考えている方はぜひ読んでみてください。

決算月・事業年度とは?それぞれの定義など

そもそも決算とは何なのか、また決算月・事業年度とは何のことか、整理しておきましょう。

決算とは会社の利益を明らかにする手続き

決算とは、一会計期間における収入・支出から利益を算出し、その会社の経営成績を明らかにすること。
つまり帳簿を整理して「 儲けがどれだけ出たのか」を明らかにするのが決算です。

会社法では、株式会社には決算公告の義務があると定められています。決算が必要な理由の一つは、債権者・投資家などの利益を保護するためです。
決算書を見ればその企業の財務状況がよくわかるので、債権者や投資家が健全な経営をしているかどうかの判断をすることができるのです。

また、決算をするもう1つの理由に「納税額を確定させる」というのもあります。
日本の法人税は申告納税制度であるため、決算によって資産や負債、利益を計算し、税金の支払能力を明らかにしているのです。

決算月・事業年度とは?

決算月」とは決算が行われる月のことで、通常は決算月までの1年間を「事業年度」といいます。
事業年度の間における収入・支出から利益を算出することで、その年度の決算を行います。

決算月、つまり事業年度の年度末に行われる決算のことを「本決算」といいます。この本決算以外にも、1カ月ごとの「月次決算」や3カ月ごとの「四半期決算」、6カ月ごとの「中間決算」もあります。

四半期決算や中間決算の結果、当初の予定より進捗率が悪かった場合には業績予想の下方修正をするなどして、本決算に向けて調整していく必要があります。

定款と公告

「定款」と「公告」についても見ておきましょう。定款とは、会社経営において定めておくべき最低限のルールのことです。法人設立の際に定款は必ず作成し、書面やデータで記録しておかなければなりません。

定款には、記載が必須の「絶対的記載事項」と、任意の記載でよい「任意的記載事項」があります。「事業年度」は任意的記載事項なので、法律上定款への記載はしなくても問題はありません。

一方、事業年度の公告は必ずしなければなりません。
公告とは官報・日刊新聞紙・電子公告により、法令上の義務がある特定の事項を一般に知らせることです。

事業年度を公告することで、投資家や金融機関にも自社の経営・財務状況を知らせることになります。これも債権者・投資家保護のための制度と言えるでしょう。

個人事業主の場合

会社の場合、事業年度をいつにするのかは自由です。しかし個人事業主の場合は事業年度が一律で定められています。
個人事業主の会計期間は 1月1日から12月31日までであり、決算月を変更することもできません。

個人事業主は決算で確定した利益をもとに確定申告を行い、所得税等の納税額が確定したら納税をします。

なお、個人事業主には決算を公告する義務はありません。
そのため決算は主に確定申告のために行うのであり、確定申告のために行う一連の作業が決算そのものとも言えます。

押さえておきたい事業年度のルール

会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント

事業年度の決め方にはいくつかのルールがあります。合わせて知っておきましょう。

事業年度は自由に決められる

冒頭でも述べた通り、事業年度は4月1日から3月31日までとする企業が多いです。ただ、法人の場合は「事業年度はいつからいつまでにする」といった決まりはありません。
そのため、自社の繁忙期や支出の多い時期と決算期が重ならないようにするなど、自社に都合のよい時期に決めるのがよいでしょう。

事業年度の決め方についてはいくつかのポイントがあるので、これについては後ほど詳しく紹介します。

事業年度は1年以内

多くの会社が事業年度を1年と定めていますが、1年以内であれば任意の期間を設定できます。

例えば半年や3カ月など、1年よりも短い期間にすることも可能です。ただ、事業年度を短くすると、決算までのサイクルが早く、そのたびに決算書を作成して税務署に申告することになるので手間がかかります。あえて1年以内で定めるメリットはほぼないでしょう。

ただし、例えば4月以降、年の途中で会社を設立した場合は、1年目はどうしても3月までの期間が1年を切ることになります。決算月を3月と決めた場合は、1期目の事業年度は1年未満となるのです。

事業年度は変更できる

事業年度は会社設立時に定めておくものですが、事業を開始してみたら繁忙期と重なってしまった、というようなことが起きるかもしれません。
その場合は、最初に決めた事業年度を変更することも可能です。

決算月は登記事項でないので、株主総会で定款を変更したのち税務署へ異動届出書を提出するだけで、比較的簡単に変更でsきます。

事業を進めていく中で事業年度を変更をした方が都合がよいとわかるケースもあるでしょう。その場合は無理せず変更を検討するのが得策です。

決算月を決めるときのポイント

会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント

前述の通り、決算月は自由に決められます。しかし決算月を決める上でいくつか考慮すべきポイントがあります。

  • 資金繰りのタイミングを考慮
  • 繁忙期を避ける
  • 営業戦略も考慮する
  • 経理業務が多忙な時期との兼ね合い
  • 消費税の納付免除を考慮する
  • 役員報酬の決定時期

以上のポイントについて、順番に解説します。

資金繰りへの影響を考慮

決算日から2カ月以内に、法人税・住民税・事業税・消費税といった各種税金を納付することになっています。
そのため、支出の多い時期が決算と重なると、資金繰りに大きな影響を与えてしまうことに。

例えば決算月が夏・冬の賞与の時期と重なると、金融機関から短期の融資を受けなければならなくなる、というケースもあります。

その他、仕入れの時期や売上の入金が少ない月など、資金の余裕がない時期と決算月は重ならないようにした方がよいでしょう。

繁忙期を避ける

決算時には、書類の整理や棚卸など、決算準備に多くの時間を割かなければなりません。
しかし、繁忙期と決算月が重なってしまうと準備に時間が取れず、決算書の作成に支障が出ることに。

また、繁忙期については利益の予想をするのが難しく、予想以上に利益が出て法人税の納税額が高くなってしまうこともあります。
通常時なら節税対策ができるような状況であっても、繁忙期ではその余裕もありません。

逆に予想よりも売り上げが落ち込んだ状態で決算日を迎えると、業績の悪さから投資家・金融機関による評価も下がる恐れがあります。

このように決算期と繁忙期が重なることによる弊害を避けるため、できるだけ繁忙期以外を決算月とするのがおすすめです。

営業戦略も考慮する

決算の時期は、営業のチャンスでもあります。
これは業績の良い企業が節税対策として決算期にお金を使う傾向にあるからです。

このような企業をターゲットする場合には、あえて決算期をずらし、営業を強化する戦略もあります。

この場合、タイミングとニーズが合えば、普段では考えられないくらいの速さで商品が売れることもあるでしょう。
ここで注意が必要なのは、支払いを相手企業の決算前までに済まさなければならないため、迅速な処理作業が求められることです。

経理業務が多忙な時期との兼ね合い

決算の時期は経理部が最も忙しくなる時期なので、経理業務が多忙な時期を避けて決算月を決めるという考え方もあります。

例えば、決算のためには経費の精算をしなければなりませんし、会社の売掛金のチェック・未収金の回収・減価償却の計算など、決算では経理に多くの業務が発生します。

そのため経理が決算事務の処理にしっかりと時間を取れるよう、経理業務が多忙な時期は避けるようにするのです。

消費税の納付免除を考慮する

設立時の資本金が1,000万円未満の株式会社の場合、設立第1期目・第2期目の2回は消費税の納税義務が免除されます。
この消費税免除期間を最大限利用するために決算日を決めるというのもひとつの方法です。

例えば、3月1日に設立した会社があったとして、その会社が決算月を4月にすると、設立第1期目の消費税免除期間は3月・4月の2カ間になります。
一方、決算月を2月にすれば設立第1期目の消費税免除期間は設立月である3月からその翌年2月までの12カ月間で、先ほどの場合とは消費税免除期間に10カ月もの差があるのです。

このように、決算月の決め方次第で消費税の納付免除期間は大きく変わります。売上額が高いほどこの決算月の調整による節税効果が大きくなります。

役員報酬の決定時期

役員報酬の改定ができるのは、原則として会計年度の頭から3カ月以内です。法人税・所得税の観点でいくと、この期首から3カ月間はできる限り業績の予測がしやすい時期にするとよいのです。

例えば、期首から3カ月の間に売上が伸びているのであれば役員報酬を上げて会社の利益を圧縮し、逆に売り上げが落ち込んでいるなら役員報酬を減額して資金繰りを確保しておくことも1つの手です。

ただし、役員報酬を上げすぎてしまうと当人の納める税額が増えるなどのデメリットもあるので注意が必要です。

他の企業はどうしている?決算期別法人数

会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント

決算月は3月の企業が多いと言われていますが、実際に国税庁のデータをみるとそのことがよくわかります。
国税庁の法人税に関する資料によれば、令和元年に法人税の申告をした企業2,767,336社のうち、3月を決算月としている企業は全部で502,060社、つまり企業全体の約20%が3月を決算月と定めています。

また3月に次いで多いのは9月・12月であり、それぞれ全体の約10%の企業が決算月としています。
これには監査法人や税理士が繁忙期になる3月を避けて9月とするケースや、グローバル基準に合わせるために12月を決算月にしているケースなどが該当します。

何を重視して決算月を決めるのかは企業によって様々なので、自社に最適な決算月を選ぶようにしましょう。

なぜ3月決算の会社が多いのか?

では、なぜ決済月を3月とする企業が多いのでしょうか。主な3つの理由を順に見ていきましょう。

公的機関の会計年度に合わせて

日本の公的機関の会計年度は4月から翌年3月までと決まっています。
国や自治体は会計年度に合わせて業務を行うため、事業を受注する民間企業にとっては決算期を合わせた方が合理的です。

公的事業を受注する企業というのは事業規模が比較的大きいところが多く、そのため取引する企業の数も多いと考えられます。そこに決算月を合わせている企業が多くなることで、3月決算にする企業が多くなっているものと考えられます。

税制改正のタイミングに合わせて

税制改正が行われると、企業は会計処理を変える必要があります。
通常、税制改正は4月1日から適用されることが多く、決算期が3月以外である企業は期の途中に当たるため、業務が煩雑になりがちです。
決算期を3月にしている理由として、この税制改正を視野に入れている企業も多いのです。

教育機関の年度に合わせて

日本の学校制度では、4月から翌年3月までを1つの年度としています。多くの企業が3月で卒業する新卒者の入社に合わせて年度の初めを4月とし、社内の人事評価や異動を年度末である3月に行っています。

まとめ

会社の決算月(事業年度)はどう決める?ルールや決め方のポイント

決算月・事業年度の定義やルール、そして決算月を決めるときのポイントについて解説しました。

決算は投資家や金融機関が会社を評価する重要な指標ですが、決算月を適切に定めなければきちんとした決算対策ができず評価の低い決算書になる恐れがあります。

また、決算によって法人税の課税額も決まるため、節税対策をする上でも決算月をいつにするかは重要です。
こちらの記事で紹介したポイントをおさえ、自社にとって最適な決算月を定めましょう。

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