会社設立に税理士は必要?依頼のメリットや税理士選びの注意点を解説

会社設立に税理士は必要か
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会社設立をしたら、ほとんどの会社が税理士のサポートを受けます。

ただ、税理士と言えば税務申告などの際に必要となるイメージがあり、設立時はまだ関係ない気もしますよね。

結論から言えば、会社設立に税理士は必須というわけではありません。税理士の独占業務に設立手続きは含まれないからです。

しかし、税理士は「経営者の右腕」ともなる頼れる存在。設立当初から相談することには大きなメリットがあります。この記事では、会社設立時における税理士の必要性や、相談・依頼のメリットを解説します。

目次

税理士=必須ではないが必要な存在

会社にとって税理士とは

税理士は、「いなくては絶対に会社が成り立たない」というような必須の存在ではありません。ただしそれは理論上の話で、実際には多くの会社が税理士を必要とし、顧問契約を結んでいます。

そもそも税理士とは?

税理士は、国が認める税金の専門家です。
確定申告や青色申告などの提出書類作成や申請手続き、会計帳簿の記帳代行を行ってくれます。
また、会計参与として法人の役員になっていることもあります。

信頼できる税理士に法人の会計や税務を任せることで、正確な会計業務や税務申告ができ、対外的な信頼性も高まります。
そのため、税理士とは長い付き合いになるのが一般的です。

税理士が不要な会社とは?

税理士が不要な会社とは

税理士を必要としていない会社があるとしたら、経営者がよほど税や会計に関する知識、経営に関する知識や知見を持っている場合だけでしょう。

しかし、本業の知識や経験が豊富な経営者は多くても、税務・会計にまで詳しい人はなかなかいません。

企業にとって、会計処理や納税は避けられないもの。しかも個人事業主と違って、法人の会計や税務申告は複雑です。そして税理士といえば、その会計や税に関するスペシャリスト。企業にとって大いに頼れる存在です。

一人会社だから税理士は不要?

一人会社に税理士は必要か

大企業には必ず顧問税理士がいます。規模が大きくなれば会計や税務も煩雑になるからです。中小企業であっても、ほとんどの会社が税理士と顧問契約を結んでいます。

しかし「一人会社」「一人親方」「マイクロ法人」といった形態であっても、当然ですが日々の経理業務はもちろん年次決算などを行い、適正な税務申告と納税は必須です。

一人であればなおさら、税や会計について聞けたり手続きを任せたりする相手や、経営について相談できる相手が必要となるでしょう。

税理士の独占業務と活用のメリット

法人設立に税理士が必要なの?依頼するメリットはなに?

あらためて、税理士の業務内容や依頼することのメリットを見ておきましょう。会社設立時に特化したメリットは、この後の章「会社設立時に税理士を活用するメリット」で解説します。

税理士にしか代行できない「独占業務」

税理士には、税理士でなければできない3つの独占業務があります。有償・無償にかかわらず、税理士しか請け負えません。

  1. 税務に関する手続きの代理
  2. 税務に関する書類の作成
  3. 税務に関する相談

つまり、税金に関する申告や届出・報告といった各種の手続きを代行する、そのために必要な書類を作成することは、税理士にしか頼めません。税金に関する相談に乗り、回答できるのも税理士だけです。

企業が税理士を活用するメリット

税理士と契約することで、具体的には次のようなメリットがあります。

  • 手間が省け、本業に専念できる
  • 適切・適正な節税アドバイスがもらえる
  • 補助金などの申請もサポートしてくれる
  • 経営についても相談できる
  • 税務調査に立ち会ってもらえる

それぞれ詳しく説明します。

手間が省け、本業に専念できる

税理士に依頼するメリット

税金に関する手続きや会計に関する作業を税理士に依頼すれば、慣れない手続きのために税務署に出向く必要がなくなります。

税理士に頼めば、書類のミスや不備で手続きがやり直しになるようなこともありません。安心して本業に専念できます。

適切・適正な節税アドバイスがもらえる

税理士による節税などの適切なアドバイス

税理士は、税に関する正しい知識、最新の確実な情報を持っています。税金の制度は複雑で、素人では正確な情報を得るにも一苦労。万全な節税対策をするのは難しいものです。

「もっと早くから適切に対処していれば節税できたのに…」というケースも少なくありません。

補助金などの申請もサポートしてくれる

税理士による補助金申請などのサポート

国や自治体が行う補助金制度についても、税理士は最新の情報を得られる環境にあります。クライアントに補助対象となる可能性があれば、申請を勧め、サポートします。

補助金の申請には期限があるほか、事業計画書や申請書を作成し、まずは採択されなくてはなりません。

書類の書き方にも工夫が必要なため、税理士のサポートが大いに役立つはずです。

ただし、補助金については業務範囲外とする税理士も多いので注意してください。

経営についても相談できる

経営に関して税理士に相談する経営者

国の「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」として中小企業の経営に詳しく、コンサルティングができる税理士もいます。

経験を積んだ税理士なら、財務諸表などから経営状態を分析し、問題の改善に向けた提案を行うことも可能です。

ただし、すべての税理士が経営のプロというわけではありません。豊富な実績があるなど、信頼して任せられる税理士を選ぶことも重要なポイントです。

税務調査に立ち会ってもらえる

税理士なら税務調査にも立ち会ってもらえる

税理士と顧問契約を結んでおけば、税務調査に入られることになった場合に立ち会ってもらえて安心です。

そもそも、税務申告の書類も税理士が作成してくれるので、税務調査に入られても問題のない書類になっている可能性大。調査官から何らかの質問や指摘があっても、適切に対処してもらえます。

正当な主張によって、不要な追徴課税を避けられる可能性もあります。

ただし当然ながら、税理士のアドバイスを無視してずさんな帳簿管理などをしていた場合には、追徴課税なども回避できなくなります。

会社設立時に税理士を活用するメリット

会社設立時に税理士に依頼するメリット

上記のメリットは、事業を開始してからのことがメインでした。しかし、会社設立の当初から税理士に依頼することにも、複数のメリットがあります。

それぞれ説明していきます。

会社設立のタイミングが今かどうかがわかる

個人事業主から会社設立(法人成り)をする際に最も気になるのが、そのタイミングではないでしょうか。このタイミングには、税金の負担額が大きく関わります。

そのため税理士になら、会社設立すべきタイミングかどうか、客観的で適切な意見を聞くことができます。

他の専門家と提携して進めてくれる

他の専門家と提携して進めてくれる

税理士の仕事は単独でも成り立ちますが、他の士業と提携して効率よく進めているケースも多いのが特徴です。提携先が決まっているなら、クライアントは各分野の専門家を個別に探す手間もいりません。

税理士資格では、株式会社の定款認証手続きや登記申請の代行はできません。しかし、会社設立を請け負うとうたっている税理士であれば、行政書士や司法書士とのつながりがあるはずです。

創業資金の調達もサポートしてくれる

税理士には、銀行からの融資の獲得にノウハウを持つ人も多いです。貸す側が求めていることも把握しているため、融資に通るために必要な事業計画書の書き方などもアドバイスが可能です。

ただし、例えば日本政策金融公庫の創業融資では、面談に税理士が同席することはできません(1対1が原則)。経営者自身がすべきこともあるので注意してください。

会社の重要事項を適切に決められる

会社設立時の重要事項を適切に決められる

会社設立の際には、決めるべき重要事項がいくつもあります。税理士なら、その内容について節税や事務効率といった視点からアドバイスをすることができます。

例えば資本金はいくらにすればいいか、といったことから、決算月をいつにするか、役員構成はどのようにすべきか、役員報酬はいくらが適切か、など。

定款や登記事項は、後で変えるのも簡単ではありません。変更登記の登録免許税や司法書士への報酬といった費用もかかります。

会社設立費用の会計処理も適正にできる

会社設立費用の会計処理

会社を設立するために使った費用は、設立後に経費として計上できます。課税所得がその分減るので、節税になります。

ただ、設立の準備は「創立費」、設立後、事業の開始までにかかった費用は「開業費」と区別する必要もあります。

経費にできるものは何か、創立費か開業費のどっちに該当するのかなど、細かく気になることも税理士であれば的確に回答してくれます。

会社を設立する時に税理士に支払う費用

会社設立を税理士に依頼した場合の費用

税理士が必要だとなれば、次に気になるのは費用です。

いま会社を設立するなら、会社形態は「株式会社」か「合同会社」かが現実的な選択肢です。それぞれの場合にかかる費用の相場を見ておきましょう。

ただし、前提として士業の報酬は自由化されています。相場といっても費用に大きな幅があるので注意してください。

税理士への報酬+株式会社の設立費用

株式会社設立を税理士に頼んだ場合の費用

株式会社を設立する場合の税理士への報酬は、4~5万円程度が相場です。

このほか、定款認証の際に公証人に支払う手数料(資本金額によって3~5万円)、登記申請の際に必要な登録免許税(15万円)などがかかります。

そのため法的手続き費用だけで23万円以上は必須です。ただし、税理士を通じて定款認証を申請すれば、電子定款で認証を受けられるため、紙の定款に必要な4万円分の収入印紙が不要です。

税理士への報酬+合同会社の設立費用

合同会社の設立を税理士に依頼した場合の費用

合同会社を設立する場合でも、税理士への報酬額の相場は同じく4~5万円程度です。株式会社より少し安く設定しているところもあります。

ただ合同会社の場合は、定款認証を受ける必要がなく、公証人への手数料や印紙代が不要です。登録免許税も6万円と株式会社の半額以下です。

費用はあわせて約11万円~と、株式会社よりかなりの節約になります。

ただし会社形態を選ぶ際には、この費用の比較だけでなく総合的なメリット・デメリットを把握して判断しなくてはなりません。

株式会社と合同会社の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。

「0円で会社設立ができる」には要注意

「0円で会社設立」には要注意

会社設立を依頼できる専門家や業者をインターネット上で探すと、「0円で会社設立」と掲げる税理士法人や会社設立代行業者もいくつか見つかります。

ただし、本当の意味で「まったくの0円」かといえば、そうではないので要注意です。たいていの場合、次のいずれかに該当します。

  • 「手数料」は0円だが、手続きにかかる実費は必要
  • 「会社設立」は0円だが、以降の顧問契約が必須

2番目のケースは、すでに顧問契約をその税理士あるいは代行業者提携の税理士に依頼するつもりならよいでしょう。

ただし、顧問契約を必須とする場合、月額顧問料のほかに年末調整や決算などを数万円のオプションで受けるというパターンもあり、トータルでかなり高くつく場合もあるので要注意。

利用するなら、サービス範囲や月額料金などをいくつか比較して決めることをおすすめします。

他の士業に依頼する場合との費用の違い

会社設立時の税理士と他の士業への報酬の違い

ちなみに、税理士以外に頼むとどうなるのかも見ておきましょう。

登記申請のプロは司法書士、定款認証の申請など行政に関する文書作成のプロは行政書士です。会社設立を依頼した場合の、それぞれの報酬の相場は次のとおりです。

税理士司法書士行政書士
4~5万円程度6~15万円程度7~10万円程度

これは手続きを代行する手数料としての相場です。この他に、定款手数料や印紙代など手続きに必要な実費がかかります。

税理士の場合は、やはりその後も定期的に付き合っていく可能性が高い職種である分、会社設立費用は低く抑えられている傾向です。

司法書士や行政書士についても、報酬は自由に決められるため料金体制や金額が大きく異なります。必要なサービスが含まれるかどうかなどを確認しておきましょう。

税理士を選ぶ際のチェックポイント

税理士を選ぶ際のチェックポイント

税理士事務所の数は、全国で約28,000(支店等を含む/令和3年経済センサス活動調査より)。どこを選ぶかも重要です。最後に、税理士や税理士事務所を選ぶポイントを紹介します。

ほとんどの税理士・税理士法人が、無料相談を行っています。電話や訪問、ウェブなどの方法で、どのような事務所かを確認しましょう。

得意な業界・分野

「税理士」と一口にいっても、それぞれ得意分野があったりします。選ぶ際は、何に最も重点を置いているのか、どんな業種のクライアントが多いのかなどを確認しておきましょう。

例えば事業継承や相続など、将来的に必要となる項目についても確認しておくと安心です。

請け負う業務の範囲

同じく、税理士と言っても請け負う業務の範囲はさまざまです。例えば補助金申請のサポートなど、行える業務でもあえて請け負わない、という税理士事務所も存在します。

反対に、税理士の業務にとどまらず、経営コンサルタントを行っていたり、社労士など別の分野の専門家と提携していたりする事務所もあります。

融資獲得など資金調達の実績

資金調達に強い税理士かどうかも、重視したいポイントです。これまでの補助金の採択実績や融資の獲得実績なども確認しておきましょう。

どれだけ詳しいかの見極めとして、まず資金調達にどんな方法があるかを聞いてみるのもおすすめです。

税務サービスの提供方法

税理士によるサービスの提供方法

月次訪問として毎月事務所に来てくれるところもあれば、出向くよう求められるところもあります。また、対面でなくインターネットを通した「Zoom」などのウェブ会議システムを使う場合も。

直接会って話したい経営者もいれば、忙しいから来てもらわなくていい、という経営者もいます。どのような方法がメインとなるかも確認しておくと安心です。

サービス内容と料金体系

税理士のサービス内容と料金体系

繰り返しになりますが、同じ「税理士」でもサービスの内容や料金体系、金額などはさまざまに異なります。ウェブサイトでは、大きく表示された金額の額面だけでなく、注意書きなども見て総合的に比較するのがおすすめです。

サービス内容については、月次訪問なしで安くなるようなプランがあったりします。一番安いプランを選んだら連絡も全然ない…なんてことになりかねません。

ただしもちろん、税理士に払う報酬が経営を圧迫するようでは本末転倒です。自社に合った税理士を選びましょう。

できれば担当者との相性も

担当者との相性も見る

経営状態などデリケートな部分を見せ、相談相手ともなる税理士。人として信頼できるか、態度が横柄だったりしないかも気になるポイントです。

大人数の事務所の場合は特に、相談時点では担当が誰になるかわからないかもしれません。しかしできるだけ、担当となる人と話ができないかを聞いてみるとよいでしょう。

会社設立時から税理士を味方につけよう

信頼できる税理士を味方に

会社設立に際して必要となる定款認証や設立登記には、税理士でなく行政書士や司法書士が活躍します。

しかし、会社設立時には、定款や登記に記載する重要事項を決める必要があり、税理士の視点からアドバイスをもらうことで節税となったり、変更にお金をかけなくてよくなったりします。

よい税理士は経営者の右腕となって活躍してくれます。早いうちから信頼できる税理士を見つけ、味方につけることをおすすめします。

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