「公告」とは、会社や団体などがある事項を広く知らせることをいいます。
公告には、合併や資本の減少など株主に重大な影響のある事項を知らせる「決定公告」と、決算内容を知らせる「決算公告」があります。
また公告方法は3種類あり、どの方法をとるかは会社設立時に定款で定めます。
本記事では、公告が必要となるタイミング、3種類の公告方法とそれぞれのメリット・デメリット、公告にかかる費用、会社設立後に公告方法を変更したい場合の対処法などを解説します。
目次
会社に義務付けられる公告とは
「公告」とは、会社などが株主や債権者などに対し、重要な情報を知らせることをいいます。
会社法第四百四十条で「定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない」と義務付けられています。
また、公告を怠ったり不正な公告を行ったりした場合は、「百万円以下の過料に処する」ということも会社法に記載されています。
公告はどのようなときに必要か
公告には「決算公告」と「決定公告」があります。それぞれどのようなものか、どのタイミングで行うのかを解説します。
決算公告と決定公告
決算公告は会社の決算を知らせるもので、貸借対照表(大企業の場合は貸借対照表と損益計算書)を掲載します。
決定公告は、会社の合併や分割、組織変更、資本金減少など株主や債権者に重大な影響のある事項を知らせるものです。
なお、決定公告には定款で定めた方法で行うものと、「官報」によらなければならないものがあります。
公告が必要となるタイミング
各公告のタイミングは次のとおりです。
決算公告 | 定時株主総会の終結後、できるだけ早く |
決定公告 | 公告の内容による ・合併や分割に関する公告:効力発生日の1ヶ月前まで ・組織変更に関する公告:効力発生日の1ヶ月前まで ・資本金減少に関する公告:効力発生日の1か月前まで ・解散に関する公告:解散後、遅滞なく ・定款変更に関する公告:効力発生日の2週間前まで |
公告の方法は3種類ある
公告方法として、官報・新聞・電子公告の3つが会社法に定められており、どの方法をとるかは会社設立時に定款で定めます。
各公告方法のメリット・デメリットについて解説します。
1 官報に掲載する
官報とは、国が発行する機関誌で、政府や各府省が国民向けて発表する公文や公告などが掲載されています。
定款で特に公告方法を定めていない場合は、自動的にこの方法をとることになります。
また、合併や分割、組織変更、資本金減少、解散などの公告は必ず「官報」で行わなければなりません。
官報は明治16年(1883年)に創刊された、国の法令や公示事項を掲載し国民に周知するための国の公報です。
国の機関誌のため信頼性が高く、手続きが簡単で、紙面とWebサイトの両方で公告できるといったメリットがある反面、申し込みから掲載まで日数がかかるといったデメリットがあります。
2 新聞に掲載する
日経新聞や地方新聞などに公告を掲載する方法もあります。
ただし、「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙」と定められているため、スポーツ紙のような専門新聞は含まれません。
民間の新聞社が発行しているため、官報に比べて費用は割高になる傾向があります。
しかし、新聞であれば決算公告は貸借対照表の要旨のみの掲載でよく、官報掲載と各債務者への通知が義務付けられている決定公告は、官報と新聞を併用することで債務者への通知を省略可能となっています。
3 電子公告を利用する
電子公告とは、紙面ではなく自社のWebサイトや公告サービス会社のWebサイトで行う公告のことです。
自社サイトに掲載すれば公告費用を抑えられるといったメリットがあります。
しかし、電子公告で決算公告をする場合は、貸借対照表の全文を、しかも5年間掲載し続けなくてはなりません。
また、決算公告以外の場合は、法務省登録の機関による「電子公告調査」を受けなければなりません。
電子公告については、官報または新聞での公告を選択していても、決算公告だけ電子公告で行うことが可能です。これは次の章で説明します。
決算公告と電子公告に関する特例について
前述のとおり、官報や新聞を公告方法に選択しても、決算公告だけを電子公告にすることができます。
決算公告を電子公告で行う場合には、さらに次のような特例や注意点もあります。
- 決算公告の場合、電子公告でも電子公告調査を受けなくてよい
- 決算公告を行うWebサイトのアドレスは、ほかの公告事項とリンクのないものでも登記できる
- ただし電子公告による決算公告の場合、要旨でなく全文を公告する必要がある
決算公告を電子公告にすれば、貸借対照表の全文を5年掲載しなければならないものの、公告にかかるコストは抑えられます。
公告にかかる費用の目安
では、公告の費用はどれくらいかかるものなのでしょうか。公告方法別の費用目安を解説します。
官報で公告する場合の目安
官報での公告費用は、掲載する枠の大きさによって変わります。
2枠利用で74,331円(税込)、4枠利用で148,662円(税込)となります。
1枠の大きさは1段6分の1(2.9cm×6.1cm)ですから、大会社以外の決算公告であれば、最低でも2枠あれば対応できるでしょう。
新聞で公告する場合の目安
新聞による公告の費用は、利用する新聞社や枠数によって異なります。
全国紙なら50万~数百万円ほどかかることもあり、決算公告で新聞を利用する会社は少ない傾向があります。
しかし、債務者への通知を省略できることから、資本金減少などの決定公告では利用されることが多く、料金設定が決定公告のみという新聞社もあります。
電子公告する場合の目安
すでにある自社のWebサイトに電子公告を掲載するなら、掲載に費用はほぼかかりません。
ただし、決算公告以外は電子公告調査を受ける必要があり、その調査費用がかかります。
専門機関による電子公告調査費用は、調査を依頼する機関や公告機関によって数万円~10万円以上と金額が変わります。
コストを抑えたい場合は、決算公告は電子公告、決定公告は官報と使い分けるとよいでしょう。
公告方法は会社設立時の登記が必要
公告方法は、会社を設立する際に「必ず登記すべき事項」の1つです。
また、定款の絶対的記載事項ではありませんが、電子公告を選択する場合は定款で定めなければなりません。
決算公告義務のない持分会社も、組織変更や合併などの決定公告が発生することもあるため、公告方法を選択しましょう。
会社設立時に定款で公告方法を定めていない場合は、官報での公告となります。
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公告方法を変更するには
公告方法は、会社設立後に変更することが可能です。ただし、公告方法は前述のとおり「登記すべき事項」の1つなので、変更する場合は変更登記をしなくてはなりません。
登録免許税と印紙代で少なくとも3万円以上費用がかかるため注意しましょう。
また、公告方法の定款への記載は絶対ではありませんが、定款に記載してある場合は定款の変更も必要です。
その場合、特別決議を行うための株主総会を開き、議事録を作成しなければなりません。その上で、法務局で手続きを行う必要があります。
まとめ~公告は自社に合った方法で行おう~
公告とは、会社などが一定の事項を広く知らせるもので、会社設立時に公告方法を選択して定款で定める必要があります。
本文では決算公告のみ電子公告とするのを推奨していますが、自社の状況に照らして適切な方法を選んでください。
また、会社設立時には、公告方法の選択以外にも資金調達や事業計画書の作成などさまざまな業務が発生します。
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