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法人のための持続化給付金まとめ
持続化給付金とは、感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え再起の糧とするため、事業全般に広く使える給付金を支給する制度です。
給付金の給付額は、200万円を超えない範囲で、対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものです。
今回は、法人が持続化給付金を受け取るために必要な書類や条件、イメージしやすいように、具体的な数字のシミュレーションなどをご紹介します。
以下で、2020年5月26日時点でわかっていることについて解説します。
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持続化給付金を受け取るための条件
まずは、自社が対象になるかどうかの条件についてご紹介します。
具体的な条件は以下です。
- 売上が前年同月比で50%以上減少している(1~12月の内、ひと月でも半減の月があれば該当)
- 2019年の確定申告をしている
以上です。
条件自体は非常にシンプルで、複雑な条件があるわけではありません。
売上の条件はこれだけだとわかりにくいと思うので、より具体的に解説します。
前年同月比で50%以上減少とは?
持続化給付金においての前年同月比とは、たとえば2020年2月の売上が著しく減少している場合、2019年2月と比較するということです。
同様に、2020年1月の売上が減少しているなら2019年1月と、2020年3月の売上が減少している場合は2019年と比較します。
またたとえば、2020年の売上がどの月も同じくらいなのであれば、2019年の中で売上の多かった月と比較すると有利になります。
このように任意期の月を選択して、2019年と2020年の売上を比較し、50%以上減少していれば持続化給付金の対象になります。
以下に数字の例を挙げてみます。
2019年1月の売上 50万円
2020年1月の売上 25万円
この場合売上が50%減少しているので、持続化給付金の対象です。
2019年2月の売上 50万円
2020年2月の売上 30万円
この場合売上の減少が50%以下なので、持続化給付金の対象ではありません。
月によって売上が50%以上減少している月と、そうでない月があるかもしれませんが、その場合は、50%以上減少している月を選択すれば良いということです。
月平均で計算することもできる
上の話では任意の一か月を選択して、2019年と2020年の売上を比較しました。
しかし一か月を選択するのではなく、2019年の売上の月平均と、2020年の任意の一か月を比較することも可能です。
2020年分に関しては、任意の一か月の選択が必須なので、現状月平均で比較することはできません。
月平均というのは、たとえば2019年の売上が480万円だった場合、12カ月で割って月40万円の売上、とすることです。
この40万円と2020年の任意の一か月を比較し、売上減少率が50%を上回っていれば持続化給付金の対象となります。
ほとんどの場合は2019年も2020年も、任意の一か月を選択して比較した方が有利かと思いますが、2019年の方は月平均で比較することも可能ということです。
持続化給付金の支給額
持続化給付金は上で紹介した方法で比較し、その差額から支給額を計算します。
わかりやすいように具体的な数字を挙げてみます。
2019年1月の売上 50万円
2020年1月の売上 25万円
この場合、25万円の差額があります。計算方法はこの25万円に12カ月をかけます。
25万円×12カ月=300万円
上限が200万円なので、満額が支給されます。200万円を下回った場合は、満額は支給されません。
2019年2月の売上 30万円
2020年2月の売上 15万円
この場合15万円×12カ月=180万円となります。
満額の200万円よりも20万円少ない180万円が支給されます。
法人の一般的な売上を考えると、満額支給される可能性が高いでしょう。
経費を差し引いた課税所得ではなく売上なので、その点は間違えないようにしてください。
持続化給付金の必要書類
持続化給付金を申請する際に、必要となる書類は以下です。
- 確定申告書類(確定申告書別表一、法人事業概況説明書)
- 2020年の対象月の売上台帳等
- 通帳の写し
以上のように、必要な書類はシンプルです。
2019年に法人設立した事業者も持続化給付金の対象
結論として、2019年に法人設立した事業者も持続化給付金の対象です。
持続化給付金は前年同月と比較して、50%以上売上が減少していれば対象になるので、たとえば2019年の1~5月に開業している場合、2020年の1~5月と比較することが可能です。
これに関しては2018年以前に創業している場合とまったく同じです。
しかし、2019年6月以降に創業している場合、今のところはまだ持続化給付金の申請ができないので、ひとまず当面は、創業月を越えるまで待つ必要があります。
2019年分を月平均で計算する
2019年と2020年を同月で比較する場合はそれで問題ないのですが、2019年の対象月分の売上がない場合、前年との同月比較ができません。
そこで使えるのが、月平均で比較する方法です。
たとえば2019年の10月に創業し、売上が以下のようになっていたとします。
10月 10万円
11月 20万円
12月 30万円
この場合、2019年売上の月平均は、(10万円+20万円+30万円)÷3=20万円となります。
この20万円を2019年の対象月の売上として設定し、2020年の任意の一か月と比較することが可能なのです。
たとえば2020年1月の売上が10万円の場合、2019年の月売上である20万円と比較すると売上の減少率は50%です。つまり持続化給付金の対象です。
ただし、たとえば2020年1月の売上が15万円だった場合、2019年の12月と比較することはできません。
持続化給付金の期限は2021年1月15日
持続化給付金の申告期限は2021年1月15日です。
つまり2020年12月まで、対象月を選択できるということです。
上で紹介した方法で、持続化給付金の対象にならなかった方であっても、2020年中に売上が大幅に下がる月があれば、持続化給付金の対象になる可能性があるということです。
また今後、持続化給付金に関する新たな取り決めが、発表される可能性もあるでしょう。
持続化給付金以外にも、補助金を受けられる制度が出てくる可能性があるので、随時確認することをおすすめします。
法人の持続化給付金申請に必要な書類
法人が持続化給付金を申請するにあたって、必要な書類は以下です。
- 確定申告書類
- 2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳等
- 口座情報
以上です。
審査のために、最低限必要な書類のみで申し込むことができます。
確定申告書類に関しては、以下のようになっています。
- 確定申告書別表一(1枚)
- 法人事業概況説明書(2枚)
2019年分の確定申告は必須
納税額が0円以下の場合、確定申告は必須ではないので、2019年に創業された方は特に、2019年分の確定申告をやっていないかもしれません。
残念ながら、2019年の確定申告をやっていないと、持続化給付金の対象から外れてしまいます。
2020年と同様に、売上台帳があれば問題ないようにも思えますが、それを認めてしまうと、事業を営んでいない人が確定申告書類なしに売上帳簿をでっちあげ、自由に申し込めてしまうことになります。
そのため、2019年の確定申告は必須となっているのです。
2019年の確定申告をやっていないと、持続化給付金の申請ができませんが、まだあきらめる必要はありません。
なぜなら、今からでも確定申告はできるからです。
期限後であっても確定申告の方法は同じで、また2020年に関してはコロナウイルスの影響でダメージを受けた事業者も多いため、税務署も寛大な処置を取っています。
期限後であっても、ペナルティなしで申告できる可能性があるということです。
また確定申告の結果が還付になるか、0円になるか、納税になるかは関係ありません。
確定申告をしたという事実と、売上が50%下がったという事実を証明できれば、それで問題ないからです。
2019年の確定申告をやっていないがために、持続化給付金の申請ができない方は、今からでも早急に確定申告することをおすすめします。
不備のメールが相次いでいる
現段階で、持続化給付金申請の不備に関するメールが相次いでいます。メールは総務省から送られてきます。
不備の内容に関しては人によって異なりますが、数字の間違いに関するものが多いようです。
たとえば、2019年を12カ月の平均で計算する場合、2019年の対象月の欄には12カ月平均の数字を記載する必要があります。
ここで、2020年の対象月と同じ月の数字を記入すると不備になります。
仮に少し数字に不備があったとしても、人間が確認すれば問題ないことがわかるようなものでも、現在申請が多いため機械的にはじかれます。
ちょっとした不備があると、再申請しなければならず給付が遅れるので、この点はご注意ください。
また持続化給付金や、その他類似する給付の情報が今後出てくる可能性があります。
緊急事態制限が解除されたからといって、事業者がすぐに元の状態に戻れるわけではないため、政府の支援も続いていく可能性があるからです。
そのためこ、まめにコロナ関連の給付金情報を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
今回の持続化給付金は、虚偽申告や不正受給が悪質と判断された場合には、給付金の返還の他、極めて高い利率での加算金が課されるなど罰則規定があります。
当たり前ですが、虚偽申告や不正受給は絶対にしないでください。
申請は2021年1月15日までが受付期間とされています。
それまでの間、対象月は任意に選ぶことができますので、制度を理解して正しい給付申請を心掛けましょう。