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給付金のまとめ~家賃支援給付金~
持続化給付金に引き続き、次に事業者たちに注目されている制度が「家賃支援給付金」です。
持続化給付金は新型コロナウイルスの影響で売上が減少している事業者に対してお金を給付する制度でしたが、今回の「家賃支援給付金」も、家賃支援という名目でお金を給付する制度です。
この記事を執筆している2020/6/30時点ではまだ申請は始まっていませんが、制度の概要自体はある程度固まっています。
そこでこのページでは、家賃支援給付金について現時点でわかっていることを解説します。
家賃支援給付金とは
家賃支給給付金は、新型コロナウイルス感染症の拡⼤を契機とした自粛要請等によって、売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、固定費の中で大きな負担となっている地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して家賃の一部を支給する制度です。
一応、対象者はテナント事業者となっているのですが、たとえば普通にオフィスを賃貸で使っている法人や、自宅で作業している個人事業主も対象となるでしょう。
テナント事業者と言っても、テナント自体をビジネスにしている必要はありません。
家賃支援給付金の対象となる条件
家賃支援給付金の支給対象は、中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、5月~12月において以下のいずれかに該当する人です。
- いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
- 連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少
どちらか一方の条件に該当すれば、支給対象者になります。
持続化給付金の支給条件はいずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少だったので、この条件に関しては持続化給付金と同じです。
これに加えて、連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少という条件もあるので、5月段階で条件に当てはまらなくてもあきらめず、待ってみると対象になるかもしれません。
家賃支援給付金の給付額
家賃支援給付金の給付額は、申請時の直近の支払家賃(月額)に基づき算出される給付額(月額)の6倍(6カ月分)です。
法人の場合は1カ月あたりの上限が100万円、個人事業主の場合は上限50万円となっています。
家賃支援給付金の受付はいつから?
家賃支援給付金の受け付けは、当初6月下旬頃から開始の予定でした。
二次補正予算案が通って、迅速に処理を進める予定だったからです。
しかし現状の公表では、7月以降にずれ込む予定となっています。
経済産業省によると、審査にかかる時間を極力短くし、迅速な支給に結び付けることが求められる一方で、不正受給を防ぐため、賃貸契約や事業の実態について確認する必要もあるとのことです。
それらを両立する具体的な制度づくりで、政府・与党間での調整などに時間がかかっているということです。
家賃支援給付金で審査にかかる期間は、2週間程度とされている持続化給付金より長くなると見込まれるため、経済産業省はできるだけ早い受け付け開始を目指し、準備を進めることにしています。
家賃支援給付金のために準備しておくべきこと
家賃支援給付金を受給するための必要書類等はまだ決定していませんが、概ねの予想は付きます。
具体的には、以下のようなものが必要と思われます。
- 法人事業概況説明書2枚目(個人事業主の場合は青色申告決算書2枚目、白色申告だと確定申告書第一表控え)
- 対象月の売上台帳等
- 申請時の直近の⽀払家賃(⽉額)がわかる資料
- 直近3カ月の家賃支払いの領収書
最初の2つに関しては持続化給付金と同様です。
去年の収入がわかる書類と今年の対象月の売上がわかる書類が必要で、これを比較することで給付を受けられます。
この場合どういった措置になるのかは不明ですが、たとえば領収書ではなくクレジットカードや通帳の履歴でも証明可能、といった措置になるかもしれません。
具体的な書類ははっきりしていませんが、何を証明しなければならないか、を考えて準備しておけば、ある程度臨機応変に対応できるでしょう。
ちなみに原則オンラインでの申請のみになるようです。
また不正受給を防ぐため賃貸契約や事業の実態について確認する必要もあり、申請から審査・給付までに2週間を目処とされた「持続化給付金」よりも、審査・給付に時間がかかることが予想されます。
都市部を中心に、支払家賃の固定費負担は非常に大きいため、給付が遅れたとしても大丈夫なように、他の給付金・助成金また、コロナ禍対策の融資制度等の活用によって、資金が枯渇しないように準備しておくことが極めて大切です。
住居確保給付金なら申請可能
住居確保給付金は従来からある制度ですが、新型コロナウイルスの影響で対象が拡大されました。
具体的には、就職活動をしていて就職の意志がないと受給できない、という条件がなくなったのです。
住居確保給付金の目的は、離職等により経済的に困窮し、住居を失った又はそのおそれがある者に対し、住居確保給付金を支給することにより、安定した住居の確保と就労自立を図ることです。
住居確保給付金の支給要件
支給要件は、申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12+家賃額以下であることです。
家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限となっています。
次に資産や収入に関しても一定の条件があります。
資産と収入の条件に関しては都道府県によってバラバラなので、最終的には都道府県のホームページ等を確認するか、市役所などに問い合わせる必要があります。
たとえば東京都の場合、まず収入要件は、単身世帯:13.8万円、2人世帯:19.4万円、3人世帯:24.1万円となっています。
資産要件は、単身世帯:50.4万円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円です。
住居確保給付金は新型コロナウイルスの影響で要件が緩和されましたが、収入や資産の要件は変わっていません。
つまり、本当に収入が少なく困っている人のみを対象にしている制度なのです。
東京都の場合は上記の通りですが、他の都道府県は東京都に比べるとさらに金額は下がるでしょう。
また市区町村によっても微妙に異なる可能性があります。
だいたい上記が目安になるということです。
支給額については、賃貸住宅の家賃額(上限額は住宅扶助特別基準額、東京都1級地の場合 単身世帯:53,700円、2人世帯:64,000円) となっています。
家賃支援給付金のように、家賃の一定割合までしか支給されないということはありませんが、上限額が家賃支援給付金よりも圧倒的に低く設定されています。
そのため多くの人は上限額いっぱいまでもらうことになるでしょう。
支給期間は、原則3カ月間、最大で9カ月まで延長可能です。
住居確保給付金の詳細は各市区町村に問い合わせる必要がある
住居確保給付金は全国一律で同じ制度ではありません。
そのため、最終的にはお住いの市役所や、相談窓口に問い合わせる必要があります。
詳細は自治体によって異なりますが、市役所が相談窓口になっているケースが多いでしょう。
また市役所のホームページに詳細に制度内容が書かれているわけではなく、支給限度額や申請にあたっての必要書類は直接問い合わせる必要があります。
理由としては、制度自体がきっちりルールで固めるのではなく、市役所の職員と相談しながら進めるようになっているからです。
支給限度額や細かな条件もホームページには記載していない自治体が多いので、その前提で手続きを進めるようにしてください。
必要書類に関しても自治体によって異なりますが、収入や資産を証明する通帳や、家賃を証明する書類などが必要になります。
見方を変えると審査も比較的きっちりしていて厳しめなので、条件を満たさない場合は申込しない方が良いでしょう。
逆に言えば、条件を満たしていればほぼ確実に支給されるので、申請するのがおすすめです。
家賃支援給付金と住居確保給付金は併用可能
家賃支援給付金と住居確保給付金は、どちらも家賃補助の制度です。
両方を申請した場合、むしろ家賃よりも高いお金をもらうことになるかもしれません。
これは特に問題はなく、両方を申請したらルール違反というわけではありません。
というのも、そもそもどちらも家賃補助のための制度ではありますが、もっと広く見れば生活を補助するためのものです。
家賃さえ支払えれば生活ができるという人はほとんどいなくて、当然その他の生活費もかかってきます。
そう考えると家賃以上に補助を受けてはいけないということにはならず、あくまでも家賃をベースに、家賃という名目で補助を受けているに過ぎません。
そのため気にせず両方申請すると良いでしょう。
まとめ
家賃支援給付金は、現状だと7月以降に申請受付が開始される見込みです。
また申請から支給までのタイムラグは持続化給付金よりも長くなると予想されています。
家賃補助の制度としては家賃支援給付金だけでなく、住居確保給付金もあります。
住居確保給付金を受けたら家賃支援給付金を受けられなくなるといったことはないので、条件に該当するのであれば、積極的に申請するのがおすすめです。