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共通点と相違点は何があるか?
一旦は終息の兆しがあった新型コロナウイルスも、現在、都心部を中心に全国各地で再び感染者数が増加しており、第二波到来の予兆をみせています。
この新型コロナウイルス禍のなかで、2011年に起こった東日本大震災のときとなにか似ているものを感じるな、と思っている方も多いのではないでしょうか。
東日本大震災から10年未満で、再び自然災害に見舞われたような印象です。そこで今回は、東日本大震災と新型コロナの共通点と相違点についてまとめます。
東日本大震災と新型コロナの共通点
まず東日本大震災と新型コロナの共通点について考察してみます。
生活必需品が不足
東日本大震災と新型コロナでは、どちらも生活必需品の買い占めが発生しました。今後不足することを懸念した人たちが殺到したため、かえって不足する結果となったのです。
また生活必需品を転売目的で買い占める人も現れ、社会的な問題となりました。
ただし東日本大震災での反省があったので、今回は転売への規制がやや強くなっています。
それでも高値で販売する人は後を絶たず、また取り締まるための法律が整備されていないという問題点が浮き彫りになりました。
東日本大震災での反省が活かしきれていなかったので、結果的に国民から政府への批判が強まりました。
自粛ムードになった
東日本大震災と新型コロナではどちらも自粛ムードになりました。
ただし、東日本大震災は自粛というよりは、震災の影響で外出が難しかったという事情はあります。
それに比べると新型コロナは物理的な被害ではないので、あくまでも国民の意志での自粛になります。
施設や交通網に規制が生じた
東日本大震災では物理的に交通網が被災したので、交通網がストップしました。
一方で新型コロナでは、物理的にストップさせられたわけではないのですが、感染拡大の防止のために一部交通網が規制されたり、不要不急の外出や県をまたぐ長距離の移動の自粛要請などが出ました。
東日本大震災と新型コロナの相違点
次に東日本大震災と新型コロナの相違点についてです。
物理的な修復が必要かどうか
東日本大震災は地震によって建物等が倒壊したので、物理的な修復が必要でした。
当然、復旧までには何年もかかるものもあり、新型コロナと比較して地震の方が被害が大きい点です。
新型コロナはウイルスなので物理的な被害はなく、あくまでも人への被害のみに留まります。
今後の見通しがあるかどうか
東日本大震災は震災なので、物理的に被害が明確で、またその分、復旧の目途も立ちます。
しかし新型コロナは物理的な被害ではなく、ウイルスの蔓延です。
そのため、いつになったら新型コロナが終息するのか、いつワクチンが開発されて被害を食い止められるのか、といったことが不明確です。
緊急事態宣言が発令されて、一時は被害が防止されましたが、緊急事態宣言解除後は再び感染者が急増しています。
今後の推移も不明で、旅行関連の補助対象から東京都が外れるなど、混乱は続いています。
国の財源にも限りがあるので、無制限に事業者を救済できるわけではなく、今後の見通しが立たないなかで苦しんでいる方も多いでしょう。
事業主への補助金が充実しているかどうか
東日本大震災に比べ、新型コロナでは事業者救済のための補助金が充実していました。
たとえば持続化給付金では個人事業主に100万円、法人には200万円支給されています。
複数の会社を経営している方は、会社の数だけ持続化給付金を申請できます。
結果的に、1,000万円以上の補助金をもらった人もいるようです。
かなり補助金は充実していると言えるでしょう。
リモートワークが拡大したかどうか
東日本大震災ではあまりリモートワークに移行しませんでしたが、新型コロナではリモートワークが一気に注目を集めました。
そして結果的に、緊急事態宣言解除後もほぼ完全リモートを継続している企業も数多いです。
東日本大震災ではリモートワークが拡大せず、新型コロナで拡大した理由は、技術的な時代背景が大きいでしょう。
東日本大震災は10年近く前の話なので、この頃まだリモートワークは注目されておらず、技術的にも難しかったでしょう。
しかしここ数年リモートワークが注目され始め、そのタイミングで新型コロナが蔓延しました。
つまり新型コロナによってリモートワークが生み出されたというわけではなく、リモートワークが注目され始めていた頃に新型コロナが蔓延し、新型コロナを機会にリモートワークに移行した企業も多いということです。
リモートワークを検討しつつも導入には至っていなかった企業も多いので、ある意味、新型コロナが背中を押す形になったのです。
先行きが見えないなかで重要なこと
東日本大震災により日本は大きなダメージを受けましたが、元通りになる見通しがありました。
そのため、新型コロナでも同じように元に戻るのを待っている方も多いでしょう。
しかし実際のところ新型コロナ後、元の社会に戻る保証はなく、また仮に戻ったとしてもそれがいつになるのかは不明です。
少なくとも東日本大震災のときのように、社会が元に戻るまで頑張ろう、という発想は危険でしょう。
社会が元に戻るのを待っていても、その前に事業が破綻する可能性があり、また元に戻るときは永遠に来ないかもしれません。
新型コロナ自体が終息しても、多くの企業がリモート化等を進めているため、社会は大きく変わったまま元には戻らない可能性も高いのです。
結局、コロナが終息するのを待っているだけの企業は、いざ新型コロナが終息した後の社会で置いてきぼりを食らう可能性があるということです。
新型コロナがいつ終息するかはわからない、終息しても社会が大きく変わっている可能性が高い、ということを念頭に置き、新型コロナが一生続いても生計を立てられるような舵切りが必要です。
具体的には、少なくともリモート化は必須でしょう。
現時点で新型コロナが終息しないと収益が出ないビジネスモデルを継続していること自体に問題があり、その自覚は必須です。
実際、旅行関連のキャンペーン対象から東京都が外され、またこれに伴い旅行をキャンセルした人に対する補償もありません。
極端に言えば、政府が観光業や旅行業を救済することはもう難しいということです。
いつの時代も古い産業は衰退していきますが、極論として、リモート化できずに人が集まることが前提になっている事業は、今後衰退していく可能性が高く、人が集まることに依存するビジネスモデルは危険です。
政府が補助金を出さないことに不満を言ったり、人が集まってくれることを待っていてもあまり建設的ではないので、アフターコロナでも生きていける術を探すのが得策でしょう。
まとめ
東日本大震災と新型コロナの共通点、相違点についてまとめました。
特に重要なのは、新型コロナは東日本大震災と違って終息の目途が立たないこと、終息しても社会が大きく変化している可能性が高いことです。
人が集まることを前提としているビジネスモデルは、今後厳しくなっていくことが予想されるので、政府に不満を言ったり人が集まってくれることを期待するよりは、新型コロナが継続しても収益化できるよう舵を切る準備を進めた方が良いでしょう。