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ケースに合わせた資金繰り対策が肝要
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、多くの企業や個人事業主の方が資金繰りに苦しむ状況が続いています。資金繰りが行き詰まれば、特に体力に余裕のない中小企業は、数多くの事業者が倒産・廃業に追い込まれることになるでしょう。
今回はそれぞれの状況に応じて、新型コロナウイルス対策の資金繰り3つのケースを解説します。
- ケース1.借入が元々あり、売上に影響が出ている場合
- ケース2.過去に破産経験があり、売上に影響が出ている場合
- ケース3.まだ売上に影響が出ていない場合
それでは順に解説いたします。
【ケース1】借入が元々あり、売上に影響が出ている場合
新型コロナ対策は、次の3本の柱で考える事をおすすめしています。
1.資金繰り
2.助成金
3.補助金
元々借入がある場合でしたら、セーフティネット保証の活用はいかがでしょうか?
信用保証協会に借入の返済を保証してもらう「代位弁済」という形で資金繰りを行う方法です。
資金繰りは借入と返済の2つの要素で成り立っています。いかに資金調達を行い、如何に返済していくかということです。
今回の新型コロナの特別貸付は借入ですので、いくら無利子とはいえ借金であることに変わりはありません。
無理に借金を増やすよりも、まずは返済の見直しを行うことでも十分効果はあります。
セーフティネット保証4号 | セーフティネット保証5号 | |
対象 | 全業種 | 指定業種 |
条件 | 直近1カ月の売上高が前年同月比20%以上減少 | 直近3カ月の売上高が前年同月比5%以上減 |
融資限度額 | 通常の保証限度額とは別枠で8,000万円 (最大2.8億円) | 通常の保証限度額とは別枠で8,000万円 (4号と合わせて、最大2.8億円) |
保証割合 | 100% | 80% |
保証料率 | 1.0%以内 | 1.0%以内 |
要件ではセーフティネット保証5号が「直近3カ月の売上が前年同期の5%減少」で使いやすいですが、4号では「直近1カ月の売上が前年同月の20%減少と厳しめですが保証割合は100%です。
そして今回、経済産業省により、中小企業や小規模事業者の支援として発動した危機関連保証は「直近1ヶ月の売上が前年同月の15%減少」で保証割合は100%となっています。
認定申請の流れ
1.必要書類を中小企業振興センターへ持参
2.申請書を記入、必要書類とともに提出
3.交付日を記載し引換証を受け取る
認定申請の必要書類
個人事業主の場合
- 確定申告書の写し(収支計算書、青色申告決算書も必要)
- 実印、及び住所、社名、代表者などの入ったゴム印
- 申請日の最近3ヶ月及び前年同期3ヶ月ごとの試算表の写し
- 許認可が必要な場合、許認可証の写し
- 許認可などで確認できない場合、事業を営んでいることが確認できる資料(会社概要、製品カタログなど)
法人の場合
- 3ヶ月以内の登記簿謄本の原本
- 実印、及び住所、社名、代表者などの入ったゴム印
- 直近1期分の決算報告書の写し(表紙・貸借対照表・損益計算書・販管費の内訳・株主資本等変動計算書・個別注記表)
- 申請日の最近3ヶ月及び前年同期3ヶ月ごとの試算表の写し
- 許認可が必要な場合、許認可証の写し
- 許認可などで確認できない場合、事業を営んでいることが確認できる資料(会社概要、製品カタログなど)
【ケース2】過去に破産経験があり、売上に影響が出ている場合
4月下旬で、3月に借入を申し込んだ方への、公庫の回答が続々と出ている状況のようです。
創業してから今まで、日本政策金融公庫での借入を行ったことがないという方は、「申し込みできるだろうか」「取り合ってもらえなかったらどうしよう」と不安に思われるかもしれません。
特に、過去に破産した経験がある方は、新型コロナ特別貸付を利用する以前に、公庫での借入を諦めていないでしょうか?
公庫窓口担当者からの回答では、「今回の新型コロナウイルス感染症特別貸付は、広く資金繰りに苦しんでいる事業者への救済という位置づけの為、受付をしないということはない」とのことです。
肝心なことは、
・いくらの資金が必要であるのか・返済する根拠が何か
という2点をしっかりと抑えた上で今回の貸付に望むということです。
むしろ破産経験がなく、財務上借入が可能で、事業への影響もまだ出ていないにも係わらず「無利子なら借りておきたい」というだけの考えであれば、いたずらに融資の申し込みをするのは避けるべきです。
必要な資料の用意もできず、面談の際にも明確な借入の理由が説明できないため、審査に落ちてしまうということになりかねません。
「自分は借りられるだろうか」と不安に思われる方は、資金調達に精通した税理士や認定支援機関に、前もって相談されるのが良いでしょう。
【ケース3】まだ売上に影響が出ていない場合
売上高が下がるほどの影響が出ていない場合、「自分は当てはまらないのではないか?」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
例えば、決算書と試算表で減少率を示すことが出来ない場合です。
その場合は無利子・無担保ではありませんが、セーフティネット貸付での借入に舵を切ることが出来ます。
まとめ
これはあくまで一つの考え方ではありますが、新型コロナ対策は気を緩めることのない「転ばぬ先の杖」が必須といえます。
借入ができるときに必要な借入を行い、使わなければ返すだけでいいのです。
これは平時の事業経営、資金繰りの基本といえます。
借入する際の使途目的をしっかりと示すことが、新型コロナ対策の経営戦略となります。
相談先に困ったら…
実は、一般的な税理士・会計士では、資金繰り相談が得意ではないことが多いです。
特に今回のような資金調達に緊急を要する場合、
- 資金繰り相談を行うための最新の情報を知らない
- 月次試算表が出てこない
これらの違いで大きく差が出てきます。
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中小企業庁が認定する公的な支援機関「認定支援機関(経営革新等支援機関)」の税理士法人が日本政策金融公庫での事業性融資の資金調達をサポートします。
資金調達に必要な試算表、収支計画書などを作成していきますので、資金調達のサポートと、借入後の資金繰りをしっかりと見ていくことができま、皆様の経営の安定化にすぐに取り掛かることができます!
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※掲載している情報は記事作成した5月7日時点のものです。
状況は変化し続けていますので、都度、関係各所への確認をお願いいたします。