中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業について

中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業について
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令和2年度第2次補正予算・経営環境の整備

新型コロナウイルスの影響により経営不振に陥っている中小企業のために、国は資本性資金供給・資本増強支援事業を用意しています。
令和2年度第2次補正予算の成立により、本格始動されました。

では具体的に、どのような資本性資金供給・資本増強支援事業が用意されているのか解説していきます。

中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業の内容

令和2年第2次補正予算において、中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業がどのように取り決められたのかをご紹介します。
まず予算規模は1.4兆円です。
事業の目的は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業に対して、出資等を通じた資本増強策を強化することで、スタートアップの事業成長下支えや事業の再生により廃業を防ぐとともに、V字回復に向けた基盤強化を図ることです。

具体的には、一時的に財務状況が悪化した中小企業等に対して、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫等が、民間金融機関が資本とみなすことができる長期間元本返済のない資本性劣後ローンを供給します。
また、中小機構が出資する官民連携の中小企業経営力強化支援ファンド、中小企業再生ファンドを全地域で組成し、ファンドを通じた出資や債権買取等を行い、経営改善まで幅広い支援を実施します。

次に、具体的な事業イメージをご紹介します。

資本性劣後ローン

資本性劣後ローンは、新型コロナウイルス感染症の影響により、キャッシュフローが不足するスタートアップ企業や一時的に財務状況が悪化し企業再建等に取り組む企業に対して、民間金融機関が資本とみなすことができる期限一括償還の資本性劣後ローンを供給することで、民間金融機関や投資家からの円滑な金融支援を促しつつ、事業の成長・継続を支援することを目的としています。
融資対象は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者です。
貸付限度は最大7.2億円(別枠)となっています。貸付期間は5年1ヶ年、10年、20年(期限一括償還)です。

ちなみに資本性劣後ローンという名称は独特ですが、これにはきちんと意味があります。
まず資本性というのは、負債でありながら資本の性質を持つということです。
会計上は負債なのですが、二つの観点から資本の性質を持っています。

一つ目の性質は、利率が利益に比例して増えるということです。
まったく同じ条件で融資を受けていても、その後の売上の増減により、利率が変動します。

二つ目の性質は、劣後とも関係します。
劣後というのは、他の債務に対して返済が劣後するということです。
たとえば後でも先でも、資本性劣後ローン以外の借り入れをしていたとします。
このとき、資本性劣後ローンは他の借り入れよりも返済が後回しになるのです。
つまり他の融資を行う方から見ると、負債でありながら負債のようなデメリットがありません。
必ず資本性劣後ローンよりも、返済が優先されるからです。

資本性劣後ローンの性質上、他の金融機関等から見たときに負債でありながら資本のようになり、融資が有利になるというメリットがあります。
ただし資本性劣後ローンは公的な融資の中では金利が高いので、その点はデメリットです。
しかし、民間の金融機関の融資に比べれば資本性劣後ローンでも金利は低いので、総合的に見ればメリットの多い仕組みになっています。

中小企業経営力強化支援ファンド

物販は流行り廃りがあるだけでなく、多量の不良在庫を抱えてしまう危険があります。
全然売れず、大幅な値引きをして処分することも珍しくありません。
その結果赤字となり、資金繰りが悪化する危険もあるのです。

中小企業経営力強化支援ファンドは、地域の核となる事業者が倒産・廃業することがないよう、官民連携のファンドを通じた出資・経営改善等により、事業の再生とその後の企業価値の向上をサポートするなど、成長を全面的に後押しする制度です。
また、全国47都道府県の「事業引継ぎ支援センター」とも連携し、出資先企業の第三者承継を促進し、地域の事業再編にもつなげていきます。

中小企業再生ファンド

過大な債務を抱えた中小企業の再生を図るために、官民連携のファンドを通じて、債権買取りや出資等を行い、経営改善までのハンズオン支援を実施します。
また、全国47都道府県の「中小企業再生支援協議会」とも連携し、再生計画の策定と事業再生を促進します。

中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援

中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援は、令和2年度第2次補正予算案額 1,000億円の支援策です。
中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業とは異なるのですが、支援の目的や方向性としては類似する部分があります。
こちらは融資ではなく補助という形でお金をもらえる事業なので、該当する場合は確実に受け取った方が良いでしょう。

事業の目的は、中小企業の生産性向上を継続的に支援する生産性革命推進 事業について、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者向けに、補助率または補助上限を引き上げた「特別枠」を設けることです。
今般、緊急事態宣⾔の解除等を踏まえ、中小企業の事業再開を強⼒に後押しするため、業種別ガイドライン等に基づいて行う取組への支援を拡充しています。
また成果目標も設けられていて、具体的には以下のようになっています。

1 小規模事業者持続的発展支援事業により、事業終了後2年で、販路開拓で売上増加につながった事業者の割合を80%とすること

2 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業により、事業終了後4年以内に、以下の項目を達成すること

2.1 補助事業者全体の付加価値額が年率平均3%以上向上

2.2 補助事業者全体の給与⽀給総額が1.5%以上向上

2.3 付加価値額年率平均3%以上向上及び給与⽀給総額年率平均1.5%以上向上の目標を達成している事業者割合65%以上

3 サービス等生産性向上IT導入支援事業により、事業終了後4年以内に、補助事業者全体の労働生産性の年率平均3%以上向上

また具体的な支援策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 持続化補助金(販路開拓等)
  • ものづくり補助金(設備導入)
  • IT導入補助金(IT導入)

持続化補助金(販路開拓等)

持続化補助金は通常枠で50万円(2/3)、特別枠(類型A)で100万円(2/3)、特別枠(類型B・C)で100万円(2/3 → 3/4)となっています。
また事業再開の場合、事業再開枠として 50万円が定額(10/10)がプラスとなります。
類型については、まず類型Aがサプライチェーンの毀損への対応です。
類型Bは非対面型ビジネスモデルへの転換、類型Cはテレワーク環境の整備となっています。
非対面やテレワークに力を入れると、補助金の額も大きくなるということです。

ものづくり補助金(設備導入)

ものづくり補助金は、通常枠で1,000万円(1/2)(小規模 2/3)、特別枠(類型A)で1,000万円(2/3)、特別枠(類型B・C)で1,000万円(2/3 → 3/4)となっています。
また特別枠の二つに関しては、事業再開枠の場合50万円定額(10/10)がプラスされます。
類型に関しては持続化補助金と同様です。

IT導入補助金(IT導入)

IT導入補助金は、通常枠で450万円(1/2)、特別枠(類型A)で450万円(2/3)、特別枠(類型B・C)で450万円(2/3 → 3/4)となっています。
類型に関しては上の二つと同様です。

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業は、具体的な補助金額などが提示されているわけではなく、体制強化のための資金を援助する取り組みです。
事業目的は、必要な支援を中小・小規模事業者に届け、雇⽤の維持と事業の継続が可能な環境を整備するため、経営支援機関の体制を強化し、きめ細かな相談対応を行っていくことです。

これらを実現するために、よろず支援拠点や都道府県連合会・商工会・商工会議所等の体制強化を図ります。
もう少し具体的には、全国のよろず支援拠点から、各市町村に専門家を派遣し、より幅広い中小・小規模事業者からの経営相談(特に、資金繰り等)や新型コロナウイルス感染症対策に向けての支援策の活用等に係る相談への対応体制等を整備します。

また、全国商工会連合会及び日本商工会議所が、新型コロナウイルス感染症による影響を受ける中小・小規模事業者からの経営相談や各種申請等の対応を行うため、商工会・商工会議所等に相談員を配置し、支援体制を抜本的に強化する取組にかかる経費を国が補助します。
要するに相談から支援までが一括になっている事業で、どのような経費がかかるのか、どこまでの経費を補助するのか、なども事業者と担当者が話し合いながら決定していくことになります。

まとめ

中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業について

中小企業を救済するための融資策、給付策は複数用意されています。
しかし、残念ながら持続化給付金のようにオンラインのみで手軽に申請が完了するものばかりではなく、直接足を運ぶ必要があったり、ホームページを見てもすべての情報が記載されているわけではなかったりもします。

最終的には電話で問い合わせて予約して、直接確認するのがベストでしょう。