目次
知っておきたい!会社負担の保険
従業員には、勤務時間や雇用形態に応じて保険の加入義務があります。
しかし、すべてを従業員が負担するわけではありません。保険料の一部は会社が負担しています。
会社が負担している保険の種類や、負担割合を見ていきましょう。
会社従業員に加入義務がある保険とは
会社の従業員として働く場合、退職後や病気になったときに頼りになる保険に加入することができます。
一般的には健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の4種類です。
「社会保険」や「労働保険」とも呼ばれます。
保険の種類ごとに加入義務が発生する基準は異なりますが、フルタイム勤務であれば、すべての保険に加入する義務が発生するでしょう。
各保険の特徴や会社が負担する割合を以下で解説します。
合わせて読みたいおすすめ記事
健康保険
会社の従業員が加入する社会保険には健康保険が含まれています。
自営業や会社以外の場所で働いている場合は、国民健康保険に加入しますが、役割は同じです。
加入者は、対象となる医療を受ける際に自己負担額が少なくなり、医療費全体の3割負担で済みます。
国民健康保険は全額加入者が負担しますが、社会保険の健康保険は会社が半分を負担する仕組みです。
保険料率は都道府県によって少しずつ異なります。
たとえば東京の場合、平成31年度の保険料率は9.90%でした。
会社と保険加入者が4.95%ずつ負担となっています。
厚生年金保険
厚生年金保険は、自営業者が加入している国民年金保険と同じ役割の保険です。
ただし、国民年金保険は一定金額ですが、厚生年金保険は収入によって段階的に保険料が上がります。
収入に対する割合は18.3%で、そのぶん将来年金としてもらえるお金が増えるのが特徴です。
厚生年金保険も健康保険と同じで、半分を会社が負担します。
残りの半分を加入者が支払うため、場合によっては国民年金保険よりも支払う金額が少なくなるケースもあるでしょう。
たとえば、月額88,000円〜93,000円未満の給与では、自己負担額は8,052円です。
国民年金の保険料は令和2年まで16,410円となっており、ほぼ半額となります。
雇用保険
雇用保険は、加入者が病気や怪我で休んでいる間の傷病手当金や、失業したときの失業保険をまかなう保険です。
会社負担と自己負担分がありますが、割合は業種によって異なります。
一般業務では自己負担が収入の1000分の3となり、会社側は1000分の6を負担します。
農林水産業または清酒製造の業務では自己負担が1000分の4、会社負担は1000分の7です。
建設業は自己負担1000分の4、会社負担1000分の8となります。
この数値は平成31年度分ですが、毎年見直しされるため、変動の可能性があります。
労災保険
労災保険は「労働者災害補償保険」の略で、勤務中や通勤中の災害や事故を補償する保険です。雇用保険と合わせて労働保険と呼ばれます。
雇用保険や社会保険は一定時間以上の勤務が加入条件ですが、労災保険はすべての労働者が加入対象です。
万が一何らかの事故に遭った場合は、労災保険から手当金などが支給されます。
労災保険は全額が会社負担となり、従業員に支払い義務はありません。
子ども・子育て拠出金
子ども・子育て拠出金は、厚生年金保険料の一部として徴収されています。
労災保険と同じく、会社負担が100%で従業員の負担はありません。
児童手当の財源として活用されています。平成31年度の保険料率は1000分の34です。
会社で支払うお金のため、従業員の給与明細に記載されることはありませんが、毎年保険料率は変動しています。
状況によって加入義務がある保険
一般的に会社が負担する保険料は4種類ですが、年齢や会社独自の福利厚生により他にも保険に加入するケースがあります。
主なものは介護保険と企業年金です。
介護保険
40歳になると、健康保険の一部として介護保険料が差し引かれます。
健康保険の一部として天引きされるのは64歳までで、65歳になると別途年金から天引きされる仕組みです。
介護保険加入者は、病気によって介護が必要となったとき少ない自己負担で介護サービスを受けられます。
40歳以降は介護の可能性が高まっている状態です。
高齢者の介護サービスのサポートだけでなく、自らの介護に備えて保険が追加されます。
負担割合は、会社と本人それぞれ半分ずつです。
健康保険とは異なり、全国一律で保険料が決まっています。
年により変動があり、平成31年度は1.73%です。
企業年金
会社によっては厚生年金保険だけでなく、独自の福利厚生が用意されています。
確定拠出年金や厚生年金基金、退職金共済制度などは企業年金の一種です。
確定給付企業年金や厚生年金基金、税制適格退職年金は社員の負担が可能ですが、それ以外の企業年金は原則、社員の負担はありません。
すべてが会社負担で運営されます。
まとめ
会社が負担している保険料はいろいろあります。
社会保険や労働保険は一部を会社が負担しているため、従業員にとっては有利なシステムと言えるでしょう。特に、労災保険は会社負担が100%です。
会社は従業員に支払う給与のうち、15%程度を負担する必要があります。
保険料を算出する際の保険料率は、毎年、見直しや改定されるので、年度末などに必ずチェックしましょう。
※本記事内の保険料率も、令和元年年末までのデータに基づいた数値です。
もし不安があれば、社会保険のプロである社会保険労務士に相談することをおすすめします。