【2020年改正】公的年金控除の見直しは何が変わる?

【2020年改正】公的年金控除の見直しは何が変わる?
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日本の公的年金制度とは

日本には、老後安心して生活できるよう、公的年金制度が整備されています。
国民皆年金といって、日本国民全員が加入しなくてはいけません。
自営業の人などは1号被保険者と呼ばれ、国民年金のみに加入しますが、会社員や公務員は2号保険者といい、国民年金と厚生年金の両方に加入することになります。
これにより、将来受け取れる年金の額や給付金なども全然違ってきます。

なぜ公的年金制度の改正が必要だったのか?

そんな公的年金制度について、2020年5月29日に公的年金制度の一部を改正する法律が成立し、6月5日に公布されました。
なぜ、今回公的年金制度の改正が行われたのでしょうか?

社会経済は、目まぐるしく変化していきます。
少子高齢化はさらに進み、将来的には人手不足が深刻化することが予想されますが、すでに働き方は多様化しています。
高齢者も含む多くの人が、形を変えながら長い期間働くようになりつつあります。

健康寿命が延び、老後の生活は思いのほか長いため、老後にはより安心した生活ができる、経済的安定が必要不可欠なのです。
そんなことから、少子高齢化による人手不足を補い、厚生年金加入者を増やして年金受給者を支えていくために、今回、公的年金制度の改正が行われました。

公的年金制度の改正の内容

では、今回の公的年金制度の改正で、どのようなことが変わったのでしょうか。主な改正内容についてご紹介していきます。

短時間労働者の社会保険の適用を拡大

短時間労働者を、社会保険に加入させるべき適用対象とする事業所の企業規模要件は、現在、従業員数500人超とされています。
それが段階的に引き下げられ、2022年10月には従業員数100人超の企業、2024年10月には従業員数50人超の企業が、短時間労働者を社会保険に加入させなくてはいけなくなります。

また、現在1年以上とされている勤務期間の要件もなくなり、短時間労働者にもフルタイムの被保険者と同じく、2か月超という要件が適用されます。
その他の賃金や労働時間などの要件は今まで通りです。
なお、国や自治体で働く短時間労働者に対しては、公務員共済の短期給付を適用します。

5人以上の個人事業所の適用業種追加

社会保険の適用事業所となる、5人以上の個人事業所の適用業種に、弁護士事務所や会計事務所など、法律や税務に関する業務を行う士業が追加されました。

在職中の年金受給について在職定時改定を導入

これまで、65歳以上を対象とした在職中の老齢厚生年金の額は、退職などで厚生年金被保険者の資格を喪失するまで改定されることはありませんでした。
それが今回の改正で、2022年4月より、65歳以上を対象とした在職中の老齢厚生年金の額についても、毎年10月に改定し、納めた保険料を年金額に反映することとなりました。
この改正により、早く年金額に反映されることになったため、年金を受給しながら働く高齢者の経済基盤がより安定します。

特別支給の在職老齢年金支給停止基準引き上げ

働きながら年金を受け取ると、一定の金額を超えた場合に年金額の一部または全部が支給停止されます。
それが、今回の改正により、60歳から64歳を対象とした、特別支給の在職老齢年金制度について、支給停止基準が引き上げられました。
これまでの支給停止基準は、夫婦2人の標準的な年金額相当を基準として設定されていたのです。

しかし、これでは労働意欲の低下につながるとして、現役男子被保険者のボーナスを含む平均月収を基準に設定しなおされました。
これまでは、年金支給額の平均賃金と年金の合計28万円が支給停止の基準になっていましたが、今回の改正により47万円になり、2022年4月からこれが適用されます。

年金受給開始時期の選択肢拡大

原則65歳で受給できる年金ですが、これまでは60歳から70歳の間でいつ受給開始するかを選ぶことができました。
それが、今回の改正で60歳から75歳までと選択の幅が拡大されています。

拡大することでどんなメリットがあるのかというと、年金は受給時期を遅くすればするほど受給額が増えるのです。
もし、年金を受給しなくても十分収入を得られているのであれば、年金受給時期を75歳まで繰り下げると、年金受給額が1.84倍になります。

確定拠出年金の加入可能要件変更

今回の改正では、確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げ、また受給開始時期等の選択の範囲も拡大しています。
企業型DCは、もともとは厚生年金被保険者のうち65歳未満が加入でき、60歳以降は同一事業所で継続使用される人だけが加入できるとされていました。

しかし、企業の高齢者雇用や確定給付企業年金を鑑み、厚生年金被保険者であれば加入できるものとして、70歳未満まで拡大されました。
個人型DC(iDeCo)は、もともとは国民年金被保険者の資格があって60歳未満というのが要件でしたが、老後も働く人が増えたことから、国民年金被保険者なら加入できるものとし、65歳未満まで拡大されました。

確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲拡大

中小企業では、どうしても企業年金の実施率が低いまま上がってきません。
そんな中小企業向けに、次のような制度があります。

  • 簡易型DC…中小企業向けに手続きをシンプルにした確定拠出年金
  • 中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)…企業年金の実施が難しい中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に事業主掛金を追加拠出できる制度

今回の改正では、確定拠出年金における、これらの中小企業向け制度の対象範囲を、100人以下から300人以下へと拡大しています。

企業型DC加入者のiDeCo加入要件を緩和

企業型DC加入者も、要件を満たせばiDeCoに加入できます。
ただ、その使い勝手の悪さからか、ほとんど利用されていないのが現状です。
そのため、今回の改正で加入要件を緩和して使いやすくしました。

これまでは、規約でiDeCoの加入を容認し、事業主掛金の上限を月額5.5万円から3.5万円に引き下げた企業の従業員に限られていました。
それを、全体の拠出限度額から事業主掛金を控除した、残りの金額の範囲内で、iDeCo(月額2.0万円以内)に加入できるようにしたのです。

国民年金手帳から基礎年金番号通知書へ切替

従来から使われてきた国民年金手帳には、保険料納付の領収の証明や、基礎年金番号の本人通知という役割がありました。
しかし、現在ではシステムで管理されており、マイナンバーも導入されていることから、手帳で交付する必要はなくなったといえます。

そのため、資格取得のお知らせも、年金手帳の交付ではなく、基礎年金番号通知書の送付に切り替えられます。
これにより、事業者の業務もシンプルになり、年金手帳発行のためのコストも大幅に削減することができます。

まとめ

【2020年改正】公的年金控除の見直しは何が変わる?

2020年公的年金制度改正の主な内容についてご紹介しました。
より多くの人が老後も安心して生活するためには、経済的な安定が必要不可欠。そのために今回の改正が行われました。
短時間労働者の社会保険加入や在職中の年金受給について見直すことで、高齢者を含む多くの人が、多様な働き方で長く働くことができます。

こうして厚生年金の加入者が増え、老後も長く働く人が増えることで、少子高齢化による深刻な人手不足を補い、年金受給者を支えることが可能になるでしょう。

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