ベンチャーキャピタルの種類と特徴資金調達を有利に進めるための基礎知識

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ベンチャーキャピタルとは

従来、日本において起業に取り組む人は少数派であり、自らビジネスを立ち上げるという選択をとる人は非常に限られていました。
シリコンバレーは世界中のベンチャー企業の中心地というニュースを聞くことはあっても、自ら飛び込んで起業する人はほとんどいませんでした。
しかし、現在はAIやRPAなど、IT技術の発展や、グローバル化の進展もあり、起業に関する世界中の成功例が見えるようになったこともあり、起業を選択肢として検討する人も増加する傾向にあります。
スタートアップやベンチャーという言葉を聞く機会も増え、一般的なビジネスワードとして使用されるようになっています。

そして、起業が増えるにつれて、ビジネスを展開する上で最も重要な要素である資金調達方法も注目を浴びており、資金調達先として、従来の金融機関の他、スタートアップやベンチャーをメインターゲットとして資金提供を行う「ベンチャーキャピタル」の存在感が高まってきています。
ベンチャーキャピタルは、将来の大きな成長が見込めるスタートアップや、ベンチャー企業に対して大型の出資を行い、事業・起業の成長をサポートし、成長後、大きな投資回収を得ることを目的として活動を行う、ハイリスクハイリターンなビジネスモデルと展開する企業です。VCと略した形で呼ばれることもあります。

スタートアップやベンチャーなどの創業から時間が経過していない企業の将来性を評価し、投資を行い、将来、株式上場する等、成功した際には投資額の数倍・数十倍でのリターンを得るというのが、ベンチャーキャピタルの一般的なビジネスモデルです。

投資先企業の将来性に対して資金提供するため、投資先が上手く成長しない場合に投資回収ができない可能性も考えられますが、ベンチャーキャピタルは、複数の投資先に対して分散投資を行う形をとるため、そのうちのいくつかが成功すれば全体として、十分な投資成果を得ることができるという点に特徴があります。
逆から見れば、スタートアップやベンチャーが成功する可能性はそれほど高くないとも言えます。

また、ベンチャーキャピタルの投資回収方法としては、株式上場後の株式売却によるキャピタルゲインの獲得、もしくはM&Aによる投資先企業の売却という大きく2つがあります。
いずれの方法によっても、投資先企業が成長することで、売却時の価値が大きくなり売却益、つまり投資リターンが大きくなるため、ベンチャーキャピタルは投資先企業の成長を積極的にサポートするのが一般的です。
その過程で投資先企業の事業展開をサポートする目的で、役員を派遣するということもあります。

ベンチャーキャピタルは、企業そのものを商品として仕入れて、企業の価値を上げて株式上場やM&Aにより商品である会社を売るというビジネスを展開しているのです。

ベンチャーキャピタルと銀行との違い

ベンチャーキャピタルは、資金の調達先ですが、同じく資金調達先である銀行との違いはどういった点にあるでしょうか。
大きな相違点は、資金提供の方法、資金の返済義務、投資回収の方法の3点があげられます。
ベンチャーキャピタルを理解する上で、押さえておくべきポイントです。

1.資金提供の方法

ベンチャーキャピタルが行う資金提供は「投資」です。
投資であるため、投資先企業の資本を持つ=企業の保有権を持つということです。

一方で、銀行からの資金提供は「融資」です。
あくまで、資金を企業に貸し付ける(企業側は借り入れる)という形式であり、企業の資本を持つわけではありません。

2.資金の返済義務

投資(ベンチャーキャピタル)と融資(銀行)という資金提供の方法の違いから、企業側の資金の返済義務についても相違点があります。
投資のケースでは、資金提供を受けた企業に返済義務はありません。
あくまで事業用の資金として提供を受けたという状況です。

一方で、融資のケースでは、資金の返済義務があります。
融資は資金を借りている状態であるため、返す必要があるのです。

3.資金提供の対価

ベンチャーキャピタルは提供した資金の対価として、投資先企業が将来、株式上場等を行う際のキャピタルゲインを受け取りますが、銀行は融資に対する利息という形で受け取ります。

ベンチャーキャピタルは、企業の将来性に対して投資をしているため、成長した時点でキャピタルゲインという形で対価を受け取り、銀行は企業の返済能力を考慮して融資しているため、利息という形で対価を受け取るという相違点があります。

ベンチャーキャピタルの種類と特徴

ベンチャーキャピタルと一言で言っても、様々な種類があります。
資金調達を受ける際には、どういった種類のベンチャーキャピタルなのかによって、投資に関する審査の際に重視するポイントや対応を変化させる必要があるため、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

ベンチャーキャピタルの種類とその特徴と合わせて確認します。

1.政府系(公的)ベンチャーキャピタル

政府や公的な機関が運営主体となっているベンチャーキャピタルのことです。
名前を聞く機会が多いものとしては、産業革新投資機構(現在はINCJ(Innovation Network Corporation of Japan))などがこれにあたります。
産業革新投資機構については、事業承継でその子会社であるINCJが実質事業を行うという体制となっているので、INCJという名称を聞いたことがある方もいるかもしれません。

公的ベンチャーキャピタルは、根拠法を前提とした産業育成を目的とした政策的な要素を背景とした支援機関であるため、純粋な民間ファンドとは異なった視点で、投資を行う点に特徴があります。
例えば、INCJでは「民間ファンドではできないリスクテイク機能を持った」という点を特徴として自ら説明しており、産業育成という目的のための投資を実行する点を明らかにしています。
資金調達に際しては、公的な資金や保証がある形で運営されているファンドであるため、投資を受けるに際しては厳格な審査が求められる傾向にあると言われています。

2.証券会社系ベンチャーキャピタル

証券会社系ベンチャーキャピタルは、その名のとおり証券会社の傘下にいるベンチャーキャピタルです。
証券会社が関わっており、大きな成長機会を獲得するためアーリーステージ、ミドルステージの企業から、株式上場が想定できるステージの企業まで、積極的な投資を行う傾向にあるファンドが多いと言われています。

証券会社系のベンチャーキャピタルが資金提供をした企業の資金面をサポートし、その親会社に当たる証券会社が、株式上場時に引受証券会社として株式上場までをサポートするという通期一貫した成長サポート体制がある点が特徴です。
証券会社系のベンチャーキャピタルから資金調達を受ける際には、株式上場を目指すことができるような成長可能性をどれだけ説得力ある形で説明できるかが重要になります。

証券会社系のベンチャーキャピタルとしては、大和証券系列の大和企業投資があげられます。
アジアを中心に海外への投資も積極的であり、またライフサイエンスやIT関連業種の取り扱いが多い点も特徴です。

3.銀行系ベンチャーキャピタル

銀行系ベンチャーキャピタルは、都市銀行、地方銀行、信用金庫等の傘下にあるベンチャーキャピタルです。
銀行が主体となっており、構成メンバーも銀行からの出向者が多いことから、投資した資金の回収可能性を重視、つまり投資先企業の安定性を重視する傾向(融資に近いイメージ)が強いと言われています。

ベンチャーキャピタルであるため、成長が見込める企業への投資を行っていますが、銀行が母体という背景もあり、投資リターンに加えて、情報収集などの事業戦略的な要素を考慮した投資を行うこともある点が特徴です。
また、安定性重視という点から、アーリーステージの企業への投資よりも、投資回収の可能性が高いIPOが近いステージの企業への投資が多い傾向があります。

三井住友銀行が母体のSMBCベンチャー・キャピタル、みずほ銀行が母体のみずほキャピタルなどがあり、いずれも幅広い業種に対する投資実績を持っています。

4.独立系ベンチャーキャピタル

独立系ベンチャーキャピタルは、どこかのグループの属さない独立資本による運営を行っているベンチャーキャピタルです。
独立系のベンチャーキャピタルは、投資を主たる事業として活動しているため、投資案件からリターンが収入となります。

そのため、投資先企業の選定には非常に厳しく、投資だけにとどまらずハンズオンで経営に関与するケースも一般的です。
銀行系のベンチャーキャピタルが事業戦略的な観点からの投資を検討することがある一方で、独立系のベンチャーキャピタルはあくまで純投資目的であり、投資からのリターンのみを判断材料とするという傾向があります。

純投資目的での活動であるため、投資リスクに対する考え方の違いや資金規模を背景に、それぞれに投資方針にも違いがみられスタートアップ企業に少額の投資を行うベンチャーキャピタルと、一定規模以上の企業にまとまった金額を投資するベンチャーキャピタルがあります。
また、審査体制についても各社様々であるため、資金調達時には特徴に合わせた対応が必要と言われています。

独立系ベンチャーキャピタルとしては、日本ベンチャーキャピタル(NVCC)や日本アジア投資(JAIC)等があります。
日本ベンチャーキャピタルは、日本を代表する大企業等からの出資で設立されており、幅広い業種の専門家とも共同して、次世代の企業を中立的なスタンスで支援することに注力しています。

日本アジア投資は、経済同友会を母体として設立されたベンチャーキャピタルであり、日本のみならずアジアでも多くの投資実績を有しています。
なお、この他にも大学が母体のベンチャーキャピタルなどもあります。

まとめ

起業や事業規模拡大の過程では、資金調達は非常に重要な要素です。
特にスタートップやベンチャーなど、これからの成長を目指す企業においては、資金調達が成長のための最も重要なポイントであると言え、ベンチャーキャピタルは有力な資金調達先となります。

ベンチャーキャピタルには色々な種類があるため、自社の状況、将来を十分に検討した上で、幅広く情報を収集し、最も適したベンチャーキャピタルを選択し、ベンチャーキャピタルの特徴に応じた説明を行い、資金調達へと繋げることが重要になります。

ベンチャーキャピタルからの資金調達は、一定規模以上の資金獲得が可能となるケースが多いため、起業の成功に向けた非常に有力な選択肢になると考えられます。

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