目次
厚生労働省の助成金とは?
助成金制度とは、起業家や個人事業主、会社経営者などの事業者に対し、一定の要件を満たすことで、厚生労働省から支給されるお金のことです。
新しく人を雇う時などに受給できるものが多いので、起業時や起業から比較的早い段階で申請できるものもあります。
助成金は金融機関からの融資とは異なり、返済の必要がないというのが大きな特徴です。
助成金を受け取るために満たすべき要件というのは、各助成金によって異なりますが、雇用促進や人材開発、業務改善のための要件をクリアしなくてはいけません。
これらの要件を満たすために、社内の労働環境の整備をすすめると、それにより従業員の能力も向上し、従業員の満足度もモチベーションも上がり、安定的な人材確保が可能になります。
つまり、結果的に事業主にとってのメリットがたくさん付いてくるのです。
ただ、助成金の支給時期には注意しておきましょう。
助成金は、申請すればすぐにもらえるというわけではなく、施策や取り組みを実施した後、支給決定通知が交付され、後払いで費用の一部が支給されるというのが一般的となっています。
助成金を申請する場合には
助成金の種類によって、申請時期や申請方法は異なります。
厚生労働省が管轄する中小企業向けの助成金は、最寄りの労働局やハローワークで申請を受け付けています。
厚生労働省の助成金の種類
厚生労働省の助成金にはたくさんの種類がありますが、その中で、事業主のために用意されている助成金は、大きく分けると、「雇用関係助成金」と「労働条件等関係助成金」の2つに分かれます。
また、さらにそれぞれの助成金の中でいくつものコースに分かれているものがほとんどですので、実際には何十種類もの助成金が存在します。
事業主のための雇用関係助成金
雇用関係助成金は、事業主が行う雇用促進や人材開発などに対して助成されるお金です。
以下のような種類の助成金があります。
- 雇用調整助成金
- 労働移動支援助成金
- 中途採用等支援助成金
- トライアル雇用助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
- 地域雇用開発助成金
- 障害者雇用安定助成金
- 人材確保等支援助成金
- 通年雇用助成金
- 65歳超雇用推進助成金
- キャリアアップ助成金
- 両立支援等助成金
- 人材開発支援助成金
労働条件等関係助成金
労働条件等関係助成金は、中小企業が行う職場環境の改善や生産性向上に向けた取り組みを助成するお金です。
- 業務改善助成金
- 時間外労働等改善助成金
- 受動喫煙防止対策助成金
- 産業保健関係助成金
- 中小企業退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成
起業時に申請する助成金の例
このように、厚生労働省管轄の助成金にはさまざまな種類があります。
その中で、起業家向けまたは起業から比較的早い段階で申請できる助成金としては、例えば次のようなものがあります。
中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)
中途採用等支援助成金のひとつである、生涯現役起業支援コースは、中高年齢者(40歳以上)が、起業によって自分の就業機会を創出し、その事業運営に必要な労働者を雇い入れるために行った募集や採用、教育訓練などに対して支給される助成金です。
起業家本人と、そこで新規に雇用された従業員の雇用創出を目的とした助成金です。
支給額
実際に雇用にかかった費用に対し、下記の割合で支給されます。
(年齢は起業時点のもの)
起業者が60歳以上の場合
2/3 上限額:200万円
起業者が45歳以上60歳未満の場合
1/2 上限額:150万円
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)は、「同意雇用開発促進地域」「過疎等雇用改善地域」「特定有人国境離島地域」に登録されている雇用機会が不足している地域での、事業所の設置や整備、創業に伴い、地域求職者等の雇い入れを行った事業主に対して支給される助成金です。
この助成金は1年間に最大3回に分割して支給されます。
助成対象になる経費は工事費、購入費、賃借費となります。
支給額
設置整備費用に対して、支給対象者の増加数に応じて支給額が決まる仕組みです。
※()内は創業の場合のみ適用
設置・整備費用 | 3(2)~4人 | 5~9人 | 10~19人 | 20人以上 |
300万円以上 1,000万円未満 | 48万円/60万円 (50万円) | 76万円/96万円 (80万円) | 143万円/180万円 (150万円) | 285万円/360万円 (300万円) |
1,000万円以上 3,000万円未満 | 57万円/72万円 (60万円) | 95万円/120万円 (100万円) | 190万円/240万円 (200万円) | 380万円/480万円 (400万円) |
3,000万円以上 5,000万円未満 | 86万円/108万円 (90万円) | 143万円/180万円 (150万円) | 285万円/360万円 (300万円) | 570万円/720万円 (600万円) |
5,000万円以上 | 114万円/144万円 (120万円) | 190万円/240万円 (200万円) | 380万円/480万円 (400万円) | 760万円/960万円 (800万円) |
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
契約社員やアルバイト(有期契約労働者・短時間労働者)、派遣社員などの非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員登用するなどして、正規雇用労働者に転換または、直接雇用した事業主に対して支給される助成金です。
キャリアアップ助成金は7つのコースに細分化されますが、その中の「正社員化コース」がこれに当たります。
支給額
1人あたり最大57万円(1事業所につき年20人までが対象)
まとめ
今回は、厚生労働省管轄の助成金について解説しました。
助成金は、一定の要件を満たした事業主に対して、厚生労働省から支給されるもので、返済する必要のないお金です。
これはぜひ利用したいところです。
そのため、起業時や起業から間もない事業主にとっても、頼りになる存在だといえます。
助成金の支給要件を満たすことで、従業員にとっても会社にとっても多くのメリットがありますので、ぜひ本記事を参考にしていただき、事業に助成金をお役立てください。