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どんな保証制度があるのか?
これから事業を始めることを考えている人の中には、事業資金のうち一部を金融機関からの融資で準備しようと考えている方も多いでしょう。
しかし、まだ事業の実績が乏しい人の場合、銀行や信用金庫といった「民間の金融機関」に融資を申し込んでも、なかなか思うように融資をしてもらえないというのが実際のところです。
金融機関の側から見ると、起業家に対する融資というのは非常にリスクの高い貸付になりますから、事業運営や過去の返済の実績がない人に対する融資には、慎重な判断をする傾向があるのです。
それではどうしたらいいのか?ですが、これから事業を始める人が融資を受けるなら、「公的金融機関」の利用を検討しましょう。
中小企業経営者が融資について考える場合、公的金融機関とは、通常は以下の3つの組織のことを言います。
- 日本政策金融公庫
- 地方自治体による制度融資(都道府県や市区町村)
- 信用保証協会
この3つのうち、実際に融資のお金を出すのは、日本政策金融公庫と自治体制度融資の2つです。
信用保証協会は、お金を借りたときに、保証料を支払う代わりに「保証」を行ってくれる組織になります。
なお、日本政策金融公庫の融資では、信用保証協会の保証を利用することはできません。
信用保証協会が保証を行うのは、制度融資か、民間金融機関の融資のどちらかです。
中小企業経営者が実際に資金調達を行う場合には、「日本政策金融公庫の融資」と「制度融資または民間金融機関の保証付き融資」の両方を同時進行で進めるのが一般的です。
保証とはどんな制度か
保証とは、ごく簡単にいえば「お金を借りた人が約束通りに返済ができない場合に、その人に変わって残りのお金を返済する」という約束をすることをいいます。
例えば、「友人が借金する時に保証人になった」というのはよく聞く話ですね。
これは、お金を貸してくれる人に対して「友人が借金を払えないときには自分が代わりに払います」という約束をすることを意味します。
お金を貸す側としては、保証をする人もちゃんとお金を支払える可能性のある人でなくてはなりませんから、お金を借りる本人と保証人となる人の双方の信用調査を行うことになります。
信用保証協会は保証人になってくれる組織
起業家が金融機関からお金を借りるときに、こういう保証人をうまく見つけてくることができれば問題ありません。
しかし、他人の借金の保証を喜んでしたい人は普通いませんから、保証人を見つけてくるのは通常は困難を極めます。
このような起業家の悩みを、解決するための活動を行っているのが信用保証協会です。
信用保証協会は、事業融資を受けようとする人のために、保証を行うことを業務として行っています。
これまでに、事業資金の融資を受けた実績がない人であっても利用することができますから、中小企業経営者にとっては、非常にありがたい存在ということができます。
なお、会社名義で融資を受ける場合には、信用保証協会の保証とともに社長個人名義の保証が求められます。
保証を受けるには信用保証料の負担が必要
もっとも、信用保証協会もボランティアで保証を行っているわけではありませんから、信用保証協会から保証を受けるには「信用保証料」という形で料金を支払う必要があります。
信用保証料の相場は、返済の期間や返済方法によって変わるので、一概には言えませんが、融資金額の3%程度は必要と考えておきましょう。
例えば、1000万円を60ヶ月の分割返済で借りた場合、30万円程度の信用保証料が必要となるイメージです。
信用保証料は、融資のお金が振り込まれると同時に支払うという形になります。
つまり、金融機関からの融資が実行されたら、信用保証協会に対して支払う保証料を天引きした金額が、あなたの銀行口座に振り込まれます。
上の例で言えば、1000万円の融資が決まったら、信用保証料30万円を引いた970万円が実際に振り込まれるといった具合です。
プロパー融資(信用保証協会から保証を受けない融資)は可能か?
信用保証料の負担が意外に大きいことに不満を感じる方もいらっしゃるでしょう。
信用保証協会を通さずに融資を受けることをプロパー融資と呼びますが、このプロパー融資を受けることができれば、信用保証協会に対する信用保証料を負担する必要がなくなります。
しかし、日本政策金融公庫以外の金融機関(制度融資または民間の金融機関)を利用する場合には、ほとんどのケースでプロパー融資ではなく信用保証協会の保証を求められます。
金融機関側の審査では、まだ実績のない事業者向けの貸付リスクを、自社ですべて負担することになるプロパー融資は、リスクが高くなりすぎると判断するのが一般的だからです。
(自治体の制度融資の場合、信用保証協会の保証が必ず求められるルールになっています)
実績のある経営者が運営する、よほど有望な事業でない限りは、民間の金融機関がプロパー融資に応じてくれる可能性は極めて低いといえます。
日本政策金融公庫はプロパー融資のみ
日本政策金融公庫では、信用保証協会の保証を利用することはできませんから、プロパー融資のみを扱っていることになります。
日本政策金融公庫の場合、創業間もない事業者であっても融資が通る可能性もありますが、自己資金の有無や事業計画などを厳しくチェックされます。
場合によっては、社長個人の持ち家を担保に入れたり、連帯保証人が必要になったりということもありえます。
ただし、日本政策金融公庫は民間の金融機関と比べると、事業者にとって非常に有利な条件での貸し付けをしてくれる可能性がありますから、資金調達においてはまっさきに検討すべき金融機関と言えます。
創業間もない経営者の方の場合、日本政策金融公庫の融資(プロパー融資)か、自治体の制度融資を信用保証協会の保証付きで利用するというのが、現実的な資金調達の選択肢となるでしょう。
まとめ
今回は、信用保証協会の保証制度の内容について、大まかな内容を解説いたしました。
中小企業経営者が事業融資を受ける際には、信用保証協会の保証が受けられるかどうかが、最重要の課題となります。
金融機関からの資金調達を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。