会社を経営していく上で、納税から逃れることはできません。
納税手続きをスムーズに行ったり、納税額を法的に、可能な限り抑えたりするためには、顧問税理士の協力は欠かせません。
とはいえ、契約する税理士もしっかりと選ばなければ顧問料を支払う価値も見出せないおそれも。そこでこの記事では、信頼できる税理士を選ぶポイントを紹介します。
目次
顧問契約前に気を付けたいポイント
一般に、税理士と顧問契約を締結すると「顧問税理士」となり、申告から税務調査の対応までの一連の納税手続きや、税務に関するあらゆる種類の書類を作成し、税務全般の相談に乗ってもらうことができます。
ただ、税理士も気をつけて選ばないと、会社経営において有利になるどころか、不利になってしまうケースもあります。
税理士を選ぶ前には、次のような点に注意が必要です。
- そもそも「本物」かどうか
- 「顧客目線」を持っているか
- 節税に関する知識は豊富か
- レスポンスは速いか
- 業界についての知識はあるか
ポイント1・そもそも「本物」かどうか
いきなり何を言い出すのかと思うでしょうが、実は、税理士資格を有していないにも関わらず、税理士業務を請け負う「ニセ税理士」というものも存在します。
税理士は、原則として5科目の試験に合格して得られる国家資格です。当然、無資格者が税理士業務を行った場合、税理士法違反となります。
ですが実は、十分な予備知識なしに税理士を選んだ結果、偽物に顧問業務を依頼してしまった、というケースも実際に起こっているのです。
偽物の場合、自分が知らないうちに脱税を行っていたり、加算税や延滞税を納付しなければならなくなったりします。
税務調査の前に雲隠れし、何の対応もしてくれないということもあり得ます。
偽物の特徴としては、一般的な相場よりもかなり安い料金設定をしている、捺印や署名を確認させてくれない、請け負う業務の幅が極めて狭い、などが挙げられます。
これらに当てはまる場合は注意が必要です。
いずれにしても、偽物の税理士に顧問業務が務まるわけありませんし、そもそもニセ税理士は存在そのものが違法です。
税理士選びに当たっては、ある程度の予備知識が必要なのです。
ポイント2・「顧客目線」を持っているか
税理士はかつて、顧問税理士がいる企業には営業をかけてはいけないなどの規制があり、その影響で未だに、サービス業としての視線を持っていない人がいるのが実際のところです。
一例を挙げれば、税務調査が行われる際、税理士が税務署の代弁者となってしまうケースです。
これは顧客ではなく「お上」にしか目が向いていない典型です。
そうした状況で、顧問を務めている企業の視線で物事を考えている税理士に巡り会えれば、これほど力強いことはありません。
そういう税理士であれば税務署の味方でなく、率先してあなたの味方になってくれるからです。
偉そうな態度を取っていたり、料金に関する明確な説明がなかったりする税理士は、顧客目線でない可能性が高いです。
実際に会って話をしたときに、そのあたりはしっかり見極めておきましょう。
ポイント3・節税に関する知識は豊富か
厳密に言えば、節税は税理士の仕事ではありません。
税理士の仕事はあくまでも「きっちりと税金を納めさせる」ことだからです。 「顧客目線」ではない税理士が税務署サイドに立つことが多いのは、この本来業務のためです。
税務署の言うことを聞いておけば、きっちり税金が納められるという考えなのです。
一方で「顧客目線」を持つ税理士の場合は、顧問となっている企業が少しでも経営が良くなるようにするため、節税についても豊富な知識を持っているというわけです。
実際に税理士に会って話を聞いてみる際、節税について質問をしてみると良いでしょう。
具体的な回答がないようならば、節税についての知識は期待できそうにありません。
ポイント4・レスポンスは速いか
これも「顧客目線」が関係してきますが、レスポンスが遅い税理士もいます。
質問をしたとき、回答までに長い時間がかかってしまうようなケースです。
レスポンスの遅さが税理士本人の性格の問題から来ているのか、スタッフの教育が不十分なことから来ているのかは分かりませんが、いずれにしても「顧客目線」を欠いています。
こうしたレスポンスの遅い税理士だと、直前になって決算対策に入り、結果として節税や納税資金の準備が間に合わなかった、という事態を招きかねません。
ただ、レスポンスも速ければいいというものでもありません。
難しい案件に対して、検討もせず「無理です」と即答するようなレスポンスの速さも「顧客目線」とは言えないからです。
ポイント5・業界についての知識はあるか
こうした条件を満たしていても、「顧客目線」になることが難しい税理士もいます。
あなたが携わる業界についての知識が豊富でなければ、的確なアドバイスがしにくいことが理由です。
飲食業界をはじめ、業界ごとに税務調査で、突っ込まれやすいポイントというものが存在しています。
業界についての知識が不十分だと、そのポイントが把握しきれません。
また、業界によっては手形決済が多いという慣習があるところもあります。
そうした知識なしに「手形決済が多すぎる」と指摘を受けても、正直なところいい気はしないでしょう。
さまざまな業務をスムーズに進め、的確なアドバイスをもらうためには、やはり業界の知識の有無は重要です。
実際に会って、どのぐらいの知識を持っているか確認してみましょう。
まとめ~実際に会ってみるのが一番~
こうした税理士選びのポイントを確認するためには、事務所のホームページなどを見るだけでは不十分です。
実際に会ってみないと、確認しようがないポイントが多いのです。
時間はかかるかもしれませんが、顧問になってほしいと考えている税理士には、直接会ってみましょう。
その上で、誰に顧問になってもらうかを決めるべきなのです。