企業が安定的に利益を出していくために重要なのが、予算計画を立てることです。事業に成功している企業のほとんどで、予算計画は必須の作業となっています。
ではなぜ予算計画が重要なのか、作成の際にはどのような点を考慮すればよいのか、などについて見ていきましょう。
目次
予算計画の目的
予算計画の目的は、売上や費用、利益をあらかじめ予測し、無理のない利益目標を設定することです。
予算計画がないと、例えば経費を使いすぎる、そしてその割に売上が伸びず、結果的に収支がマイナスになる、といったことが起こり得ます。
何をすべきかが明確になっていれば、組織としてのまとまりや社員のモチベーションも生まれやすくなります。
予算計画を作成する際の注意点
予算計画を作成し、それに従って実行することで、無理のない経営が実現できます。
しかしポイントを押さえて作成しないと、実態と数字がかけ離れているために結果として計画を無視することになる、もしくは予算計画通りに実行しても予定通りにならない、といった事態も。
予算計画を立てる上で押さえておきたいポイントを7つ紹介していきます。
数字は具体的にする
予算計画は、数字が具体的であればあるほど良いです。
「具体的に数値を設定したって、どうせその通りにはならないよ」と思われるかもしれません。
しかし、それで良いのです。数字を具体的に設定し、なるべくその通りにいくよう進めていく、その行動が重要なのです。
もちろん、状況が変化しているのに無理に当初の予算計画に従うのは本末転倒です。変更すべき計画は見直して変更すべきです。
融資を受ける際、金融機関に予算計画を見せることもありますが、この場合も予算計画を後から変更することに問題はありません。合理的な理由があれば、次の融資に不利になることもないでしょう。
数字の根拠を示す
予算計画に具体的な数字を入れることが重要、というのは前述の通りですが、数字が具体的であっても、根拠が曖昧では意味がありません。
数字を設定する際には、なるべく具体的な根拠も必要です。その根拠についても記載しておくと良いでしょう。
根拠を記載しておくことで、第三者が見た際にも説得力を持たせることができます。
融資を受ける際には、融資担当者への効果的なアピールともなります。
大企業の場合は部署単位で作成する
規模の大きい企業の場合、予算計画は部署ごとで作成するのが一般的です。理由としては、各部署で異なる予算が必要となるからです。
各部署での予算計画を作成し、最終的に会社全体でまとめることで、予算計画がより的確なものとなります。
過去の損益計算書を事業部ごとに分割する
今後の予算計画を立てる上で、過去の数字を整理することも非常に重要です。
過去の損益計算書を事業部ごとに分割すれば、どの部署でどのくらい費用がかかったのか、また売上はどのくらいか、結果的にどのくらいの収益が出たのか、といったことがわかります。
事業部ごとの予算を使用用途ごとに分類する
過去の数字がまとまったら、今後の予算計画を作成します。その際に、なるべく用途を明確にすることが必要です。
数字を具体化するには、根拠を明確にする必要がありますが、根拠を明確にするには当然、用途も細かく分類することとなるでしょう。
用途を決めずにざっくりと予算を見積もることもできてしまいますが、それは雑な数字だと言わざるを得ません。
予算計画に基づいて行動計画も作成する
予算計画と行動計画とは密接につながっているものですが、行動計画を作成してセットにすることで、初めて予算計画が完成すると言えます。
行動計画の結果、予算計画が変わってくることがあるからです。
行動計画を立てたところ、不要な予算が立てられているのが見つかったり、逆に必要な予算が漏れていることに気付くケースもあります。
だからこそ、予算計画の後に行動計画を作成して実現性を考慮し、再度、予算計画の作成に戻るという手順が必要なのです。
融資を受ける際も、予算計画と行動計画がセットになっていた方が信憑性があります。
予算バランスの最終確認
予算計画は、最終的にバランス確認が必要です。予算に偏りがあると無駄が生じたり、結果として利益が思うように出ない場合もあるからです。
たとえば各部署での予算のバランス、売上と経費の想定のバランスなどが崩れている計画書は実現が難しい、あるいは実現する意味のない結果をもたらす恐れもあります。融資の申請のため金融機関に提示した場合にも、実現性や矛盾点の有無は重要視されます。
予算計画の見直しとタイミング
予算の見直しは基本的に四半期に一度、大きな変動がなさそうなら半年に一度程度のスパンで行うのが一般的です。
ただし市場に急激な変化が起きた場合には、期中であっても見直す必要があるでしょう。
予算計画通りにきっちり実行することと、市場が変われば臨機応変に計画を変更することの両方が重要です。
まとめ
予算計画は、事業の順調な運営には欠かせないものです。また、計画は立てて終わりではありません。
計画に沿って施策を実行した後、どのような実績が出せたのかの確認も重要です。
予算通りに進められたか?実際の利益はどれくらい違ったのか?改善点はどこにあるのか?どんな改善が必要か?といった洗い出しを行い、次年度の予算管理・行動計画を立てていきます。
このPDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルを回していく事で、より精度の高い計画作成を行い、業績を上げたり、効率的な業務を行ったりすることが可能になるのです。