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自社オリジナルの歩合制度、本当に大丈夫?
社員のモチベーションを上げるために、歩合制度を導入している、もしくはこれから導入を検討している企業は多いかと思います。
歩合制は社員の成果に応じて給与がアップする仕組みなので、社員は給与アップのために成果を出そうとします。
結果的に、企業にとっても社員にとってもメリットのある制度と言えるでしょう。
また歩合制とひとことに言っても導入の仕方は様々で、基本給に歩合部分をプラスしている企業もあれば、完全に歩合制のみの企業もあります。
そして、歩合制度がうまくいっている企業もあれば、そうではない企業もあります。
自社オリジナルの歩合制度を導入、もしくは検討している方は、その歩合制度が本当に大丈夫かどうか、今回の記事を参考にご確認ください。
歩合制度のデメリット
自社オリジナルの歩合制度が大丈夫かどうか確かめるためには、まずは歩合制度のデメリットを知ることが重要です。
歩合制度はメリットばかりが注目されがちですが、当然デメリットもあります。
歩合制度を成功させるためには、歩合制度のデメリットを把握し、デメリットを抑える必要があるのです。
成果の独り占めが生じる
歩合制度を完全に数字と連動させた場合、社員は当然数字を追い求めます。
社員一人一人が数字を追い求めて切磋琢磨すれば会社にとってメリットになりますが、残念ながらデメリットも生じます。
それは、成果を独り占めしようとする社員が出てくるということです。
たとえば営業職などの場合一人一人の成果が明確になりやすいですが、仕事は一人でやっているわけではありません。
つまり誰かがサポートしたり、引継ぎをして担当が変わったりすることもあります。
この際に、歩合制度の仕組みによっては、最終的な自分の成果のことしか考えず、サポートや引継ぎを疎かにするということが起こりえます。
なぜなら、サポートや丁寧な引継ぎを行っても歩合には反映されないので、自分の成果になることだけをやる、という発想になるからです。
結果的に、会社の利益や会社にとって、より良くなることは二の次で、あくまでも自分の成果、歩合が重要ということになります。
このようにならないためには、数字だけに対して歩合制度を設けるのではなく、間接的に貢献した案件に対しても、きちんと評価して歩合に含める、社員一人一人が何をしたのかきちんと把握する、といった姿勢が重要です。
社員の動きを把握せずに、数字だけで評価する仕組みは、危険性も含んでいるということです。
また数字を取ることに集中するあまり、顧客へのアフターフォローが疎かになり、それが顧客満足度の低下や、クレームの原因になる可能性もあるでしょう。
数字はたしかに重要ですが、直接的ではなく間接的に数字に貢献するケースもあり、また数字以外の面での成果もあるという点は無視できません。
ノウハウの共有やチームワークが発揮されない
成果の独り占めと似ていますが、それよりもより根本的な部分で、社員が個人主義的になります。
たとえば若手の教育に力を入れたりチームワークを発揮することで会社の成長が期待できますが、歩合制度が過ぎると社員が自分のことしか考えなくなりがちです。
ノウハウを共有したりチームで動いても自分の成果にならないのなら、当然そういったことには力を入れなくなります。
むしろ他の社員にノウハウを共有したら成果を奪われる可能性があるので、ノウハウを独占するようになるでしょう。
他の社員のミスや欠点に気付いてもあえて指摘せず、案件を横取りする可能性もあります。
またチームで動いて成果が分散するくらいなら、一人で動く、ましてや若手を教育して成果の一部を渡すようなことはしたくない、といった発想になる可能性が高いです。
個人主義、個人で責任を持つということにはメリットもありますが、それが過ぎるとデメリットも発生します。
収入が不安定になる
基本給があって、その上に歩合が乗るのなら良いですが、完全歩合制度だと基本給がないか、あっても少額です。
つまり成果を出さないと、生活できないような状態になりがちなのです。
結果的にプレッシャーが大きくなり、余計に成果が出せなくなる、仕事が続かなくなり辞めてしまう、といったことも考えられます。
ただし完全歩合制のプレッシャーの中で成果を出せる人しかいらない、と考えている企業もあるかと思うので、その場合は問題ないでしょう。
歩合制度を成功させるためのポイント
デメリットを踏まえ、歩合制度を成功させるためにはいくつかのポイントがあります。
数字至上主義にしすぎない
数字がすべてという評価制度に偏りすぎると、数字以外の面で社員が非協力的になります。
他の社員とのコミュニケーションや、協力体制は疎かになるでしょう。
そうならないためには、数字以外にも、若手の教育にどれだけ貢献したか、社内の雰囲気作りにどれだけ貢献したか、などにも評価の基準を置く必要があります。
数字のように客観的に明確になるものではない分評価が難しく、また完全に把握することも難しいです。
だからといって無視することはできないので、ある程度主観が入ってしまうことを承知の上でも、評価基準として導入した方が良いでしょう。
数字のように、客観的にわかりやすいものを評価基準にするのがベストと思われがちですが、それだけに偏るのは危険ということです。
歩合制度をうまく使うと企業が成長する
歩合制度の導入に失敗すると社員の関係性が悪化したり、成果を気にしすぎて、結果的に企業の成長をストップさせてしまうこともあります。
しかし、歩合制度がうまく機能すれば社員の成果につながり、企業は大きく成長します。
歩合制度の詳細は専門家に相談するのがおすすめ
歩合制度は、単に数字だけを元に歩合を決定すれば良いわけではなく、数字だけしか見ていないと失敗する可能性が高いでしょう。
しかし、社内でのコミュニケ―ションや、他の社員のためにいかに動いたかなどを客観的に評価するのは非常に困難です。
そこでおすすめの方法は、評価制度や労務管理の専門家に相談することです。
専門家なら、社員のどこを評価して歩合制度を導入すべきか、また現状の歩合制度はどこに問題があるか、などを総合的に判断できます。
その上で、その会社にとってベストな歩合制度を提案してくれるので、社員のモチベーションアップや会社の業績アップに役立つでしょう。
また最近は、歩合制度導入のためのサービスを、いろいろな企業が提供しています。
自社に合ったサービスを利用する必要がありますが、プラットフォームとして提供されているものを改変して導入すれば、失敗のリスクを減らせます。
他にも、自社オリジナルの歩合制度の癖が強すぎると、社員が不満を持つ可能性が高まります。
なぜなら、自分が評価されないのは、会社の歩合制度がおかしいからだと思うからです。
まとめ
歩合制度はうまく取り入れれば、社員のモチベーションアップ、会社の業績アップに役立ちますが、制度が良くないと逆効果にもなります。
数字だけではなく抽象的な部分も含めて社員の動きを把握する必要があり、また自社だけで考えるのは難しいため、専門家に相談したうえで歩合制度を導入するのがおすすめです。