小口現金のメリット・デメリット
小口現金とは、少額の現金を会社にストックしておいて、それを少額出費の際に使えるようにしておくものです。
会社にストックと言っても本当に物理的にストックする方法で、たとえば小箱にお札や小銭を入れておいて、これを小さな出費に充てるイメージです。
たとえば、着払いで荷物が届いたときに数百円運送業者に渡したり、配送してもらったお弁当代を支払う、などがイメージしやすいでしょう。
このような小口現金は便利な反面実はデメリットもあり、現在は廃止する企業が増えています。
小口現金のデメリット
小口現金は一見すると便利ですが、以下のようなデメリットがあります。
- 盗難や紛失のリスクがある
- 毎回記録するのが面倒
- ストックがなくなったら現金を入れる必要がある
- 担当スタッフが不正を働く可能性がある
ひとことで言えば、小口現金にはリスクや手間が付きまといます。
担当者からすると煩わしい業務が発生することにもつながり、本業の集中への妨げにもなります。
小口現金の管理をしなくて済むならその方が助かる、と思っている担当者は多いでしょう。
また少額であるにも関わらず、金額が合わないなどのトラブルが発生しやすいです。
小銭と言えど金額が合わないと経理上困るので、原因を突き止めなければなりません。
数十円のために時間をかけて原因追及するのは、担当者本人にとっても会社にとっても明らかに時間と労力の損失です。
小口現金の管理は無駄が多いので、結果的に多くの企業で廃止の方向に動いています。
小口現金を廃止する方法
小口現金を廃止するためには、今まで小口現金で賄っていた出費を他のなんらかの方法で補う必要があります。
具体的には、以下のような方法が挙げられるでしょう。
- 社員にクレジットカードを支給する
- 社員に立て替えてもらう
- 社長が立て替える
以上のような方法が考えられます。
社員にクレジットカードを支給する
社員にクレジットカードを支給するのも一つの手です。
社員が会社のクレジットカードを持っていれば、クレジット決済が可能なものであればいつでも自由に会社のお金で決済できます。
会社からお金を引き出したりそれを記録する手間もなければ、社員が個人的にポケットマネーを支出する必要もありません。非常に便利な方法と言えます。
クレジットカードで決済した内容は自動的に記録されるので、後から取引内容がわかり、不正を働くことも難しいでしょう。
しかし残念ながらこの方法にはデメリットもあります。
それは、従業員が多いと誰がどう管理すべきかわからない、特定の人が保管していると結局他の従業員は使えない、ということです。
クレジットカードの枚数が少ないと、従業員みんなに配分することは到底できないので、結果的に従業員が一時的に自腹を切らざるを得なくなります。
また細かい出費のために、毎回クレジットカードを借りるのも気が引けるため、結果的に自腹を切りがちです。
これを防ぐために従業員一人一人に会社のクレジットカードを支給する方法もありますが、それだとリスクが大きいです。
誰がクレジットカードを紛失するかもわからない状態になるので、会社にとってはリスクと言えるでしょう。
社員に立て替えてもらう
社員に一時的にお金を立て替えてもらい、後から精算して社員にお金を支給する、というのもよくある方法です。
会社にとって便利な方法なのですが、これにもデメリットはあります。
まず一定期間社員に立て替えておいてもらう場合、社員の負担になります。
社員によっては現状お金がなくて、すぐにでも手元に現金がほしい、という状況の人もいるでしょう。
こういった状況下でお金を立て替えることは、社員本人にとってストレスになります。
また立て替えたお金をすぐに会社から渡す場合、小口現金と大差ありません。
処理が煩雑になり担当者に負担がかかります。
社長が立て替える
社長が立て替える方法は、現状もっとも現実的かつ効率的と言えます。
現金の支出が発生しそうな従業員に対して、あらかじめ社長がお金を渡しておく、社員の懐から出費が発生したらすぐに社長がポケットマネーを渡す、という方法なら負担が少なく非常に合理的でしょう。
また社長と社員のコミュニケーションのきっかけにもなります。
ただし社長の人柄によっては、社員から立て替えの話を切り出す際にストレスになるので、話しかけやすい人柄であることが大前提です。
社長が自腹で立て替える方法は複数考えられますが、社員が自腹を切る前後に、すぐにお金を渡せる状況が望ましいです。
もしくは小口現金のように、あらかじめ社長が現金を置いておいても良いでしょう。
そして立て替えた出費を、月一で振込にすれば合理的です。
また、立て替えた分を多めに経費にするのは脱税になるのでNGですが、逆に少な目にする分には問題ありません。
声を大にして推奨できることではありませんが、計算が面倒だからざっくりと、なおかつ、実際の立て替え分を超えない範囲で経費にしておく、という考え方も可能です。
少額の立て替えのために、いちいち細かく計算する時間と労力ももったいないので、自腹で立て替えておけば、細かい計算が求められないというメリットもあります。
実際、小口現金を廃止し、社長自身が立て替えて月一で振込にする、という企業が増加しています。