経営者向けの生命保険の種類
会社と経営者自身の安心のために、在任中のリスクへの備えは万全にしておきたいもの。
会社を経営していくにあたって、重要なポジションに位置している人が、もし病気やケガもしくは最悪、他界してしまった場合、その会社に与える影響は非常に大きくなります。
結果、経営状態が不安定になったり、経営を継続して行えなくなる可能性すらあります。
そのようなリスクに対する備えとして、生命保険は非常に重要な存在といえるでしょう。
今回は、万が一の場合に備えるために、経営者向けの生命保険について解説します。
経営者保険の基本的な考え方
経営者の保険というのは、大きく2つの種類に分けることができます。
1つ目は、経営者自身が病気やケガを負ってしまったり、他界してしまった場合などのリスクに対して備える保険。
2つ目は、会社を経営するにあたって生じる損失などを補償・補填する保険。
経営者の生命保険は、大きく分けてこれら2つになります。
会社を経営するためには、どちらの生命保険も非常に重要なため、しっかりと準備しておく必要があります。
経営者保険に加入する主な理由
経営者保険に加入する主な理由の1つとしては、もし経営者が怪我や他界してしまい就業を行うことができなくなってしまった場合でも、会社の経営を継続して行うことができるようにするためです。
就業ができなくなるということは、経営者の変更も行われます。
そのため、保険を活用して後継者に対しての事業の引継ぎや、会社の事業を立て直すための資金を保険で補うようにします。
2つ目の理由として、経営者は一般職の従業員とは異なり退職金が支払われないため、経営者の退職金として保険を使う場合があります。
上記のような保険に加入している場合は、退職する際に保険自体が満期になるようにします。
最近の中小企業は経営者だけでなく、一般職の従業員でも同じような保険に加入する場合が増えてきています。
保険に加入することにより、怪我をしてしまった本人や会社自体にも大きな保障になるため、しっかりと検討したうえで加入することが重要になります。
経営者が加入しておきたい保険
経営者の保険は非常に多くの種類がありますが、大きく分類すると「生命保険型」と「損害保険型」の2つに分けることができます。
「生命保険」は経営者が他界したり、病気や怪我による入院や長期に渡っての療養してしまった場合に備えます。
この生命保険に関しては「死亡保険」「医療保険」「がん保険」「養老保険」などといった種類があります。
「損害保険型」は、経営者保険では大きく2種類に分けることができます。
ひとつ目は「損害に対する補償」と呼ばれており、経営者自身もしくは会社の財産に損害があった場合に備える保険となっています。
ふたつ目は「損害賠償補償」と呼ばれおり、顧客や取引先に対して損害を与えてしまった場合の保険となります。
「損害保険型」に関しては、多くの中小企業は経営者自身の財産を、会社の経営に使用していることも多くみられているため、何かあった場合に経営者の生活を守るためにも重要な保険になります。
また、会社を経営していく中で生じてしまう運送時における物品破損や、急な悪天候により予定変更が行われ、損害が発生してしまった場合も保証してくれます。
下記で、生命保険型の「医療保険」「がん保険」「養老保険」、損害保険型の「損害に対する補償」「損害賠償補償」について詳しく解説します。
医療保険
医療保険は、経営者の場合でも基本的に、個人向けの保険内容は同じになっています。
終身医療保険と定期医療保険に分けることができますが、一般的な保険料としては、終身医療保険の方が高齢になるにつれて、病気や怪我をしてしまう可能性が高くなることを考慮に入れているため、割高となっています。
経営者は、一般職の従業員とは異なり退職金制度がないため、終身医療保険を個人名義として、退職金の代わりに金銭を支給してもらう方法もあります。
医療保険に関しては、会社を経営していく中での保障と退職金としての役割の両面から考えることが重要です。
がん保険
がんにかかってしまうと、長期に渡って治療や療養が必要になる場合が多く、身体的や金銭的にも非常に大きな負担になってしまいます。
経営者向けの「がん保険」も、そういったリスクに対して備えるための保険となっています。
また、経営者向けの「がん保険」には、解約返戻金がある終身型の「がん保険」もあります。
解約返戻金は、保険料総額の80%~90%が一般的となっているため、退職金として充当するという方法もあります。
養老保険
「養老保険」は生命保険の1種類ではありますが、特徴として貯蓄性が高いということがあります。
養老保険は満期の保険金が存在するため、もし保険期間の間に保険を一度も使用しなかったとしても、満期保険金を受け取ることができます。
もし、契約期間の途中に他界してしまった場合、満期の保険金と同じだけの金額の保険金を受け取ることができます。
これらの特徴から「養老保険」は、経営者が他界してしまった際の備えだけではなく、退職時に使用する財源としても活用することができます。
また、「養老保険」の特徴としては、期間を5年・10年というように決めることができたり、60歳を満期とするなど、年齢で期間を決めることができるのも特徴となっています。
万が一、途中で保険を解約せざるを得ない状況になっても、保険料の半分くらいにはなりますが、解約返戻金を受け取ることも可能です。
損害に対する補償
会社の経営を継続していくためには、事故や地震・火災などに対する備えが必要になります。
主な保険としては「火災保険」「地震保険」「盗難保険」「休業補償保険」「機械保険」などが存在します。
これらの保険に関しては、個別に対して補償してくれるものや、総合タイプと呼ばれ、多くのリスクに対して包括的に補償してくれる内容のものもあります。
もちろん、何かあったときの補償の範囲というのは、広ければ広い程良いのですが、範囲が広くなればそれだけ保険料も高額になってきてしまいます。
そのため、保険料と補償内容とのバランスを考えるために、自社のリスクが高いものは火災なのか、もしくは機関の故障なのかなどを考えて、保険をかけるようにします。
損害賠償補償
会社経営をしていく中で、必ずしも自社のみが損害を被るとは限りません。
事業を行っていると、意図せず顧客などに対して、損害を与えてしまったりする場合もあります。
そのような場合に、補償を行う保険が「損害賠償保険」になります。
「損害賠償保険」は、顧客や取引先に何かしらの損害を与えてしまった結果、賠償金を求められたり、裁判型になった時の弁護士費用などを補填してくれます。
特に賠償金の請求に関しては、必ずしも会社が支払うことができる金額とは限らないため、非常に有効な保険になります。
「損害賠償保険」は、個人情報を漏洩した際の損害賠償を補償する「個人情報漏えい保険」や、第三者に対して損害を与えてしまった際の賠償責任を補償する「企業総合賠償責任保険」など、保険会社によってさまざまな種類があり、業界ごとに対応した保険もあるため、自社に合った保険内容を適切にかけることが重要になります。
まとめ
今回は、経営者の保険について解説しました。
保険というのは非常に多くの種類があります。
そのため、全ての危険性に対して保険をかけてしまうと、保険料の負担増加などにより会社の経営にも悪影響を与えます。
そのため、自社にとってどの保険が最も適切なのかしっかりと吟味し、場合によっては保険の専門家への相談などを行い、適切な保険を選ぶ必要があります。