目次
事業承継のパートナー選びの注意点
高齢化、市場の急速な変化、不景気、格差社会、などの影響により、ここ数年で事業承継のニーズが高まっています。
ネットで手軽に、買い手と売り手がマッチングできる仕組みも作られているため、昔の事業承継とは状況が大きく変わっています。
ネット上には事業承継に関する情報も多いのですが、情報が多すぎてかえって迷っている方も多いでしょう。
何からどう手を付けるべきかがわからない、どうすればより高く事業承継できるのか、また承継した事業を守って欲しいという気持ちもあるかもしれません。
事業承継を成功させるための方法は複数あるのですが、最重要と言っても過言ではないのがパートナー選びです。
事業承継においては自分の意志も尊重されますが、具体的な手続きはパートナーに進めてもらうケースが多く、また「デューデリジェンス※」などではパートナーのパートナーに依頼するケースが多いです。
つまりパートナー選びが事業承継成功のカギを握るということです。
今回は、どのような点に注意してパートナーを選べば良いのか解説します。
※デューデリジェンス(Due Diligence):投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること。
事業承継の優良なパートナーの特徴・5選
事業承継の件数が増えたと同時に、パートナーの数も増えました。
事業承継を得意とする弁護士事務所、会計事務所、事業承継専門の会社、など形態もいろいろあります。
そして、中にはあまり事業承継の実績がなかったり、実績があっても機械的に件数だけをこなしているケースもあります。
事業承継は、機械的にこなせるようなものではなく、会社ごとに状況やニーズが異なりそれぞれ固有のものです。
もちろんある程度の相場はありますが、事業は一つ一つ異なるため一律に評価することは難しく、また事業者ごとに要望は異なります。
特徴.1 実績がある
実績がすべてというわけではありませんが、大前提として実績が必要です。
まだ立ち上げたばかりで事業承継の実績がない、事業承継以外をメインでやっていても、事業承継の方にもとりあえず参入してみた、といったパートナーはややリスクが高いです。
実績がないから絶対にダメというわけではありませんが、やはり実績がある方が確実でしょう。
特徴.2 会社のリサーチに力を入れている
会社のリサーチを怠るパートナーは、機械的な売却のみを考えているケースが多いでしょう。
今は事業承継の案件が増えているため、忙しいパートナーが多いのですが、件数をこなすことを優先するあまり顧客である承継対象の会社のリサーチを怠るということです。
会社をリサーチして魅力をきちんと伝えないと売却価格が下がることになり、例えば、従業員の雇用を守ってほしい、などの要望も伝わらない可能性があります。
適当なヒアリングのみですぐに売りに入るパートナーは、やめた方が良いでしょう。
他にも、現場を見ようとしない、社員の様子にまったく興味を持たない、といったパートナーも避けるべきと言えます。
特徴.3 こちらの価値観を重視してくれる
パートナーによっては事業を売却することだけを考え、会社を存続することや、今までの会社の歴史、価値観を無視するケースがあります。
とにかく売却してマージンをもらうことしか考えていないということです。
しかし、承継する会社は今まで作り上げてきた大切なもので、また承継後も事業は存続することになります。
働いている社員の存在も無視できません。
意志を引き継いで事業を存続させてくれる人にのみ承継したい、パートナーにもその考えは理解してほしい、ということがあるはずです。
いずれにせよパートナーとの間には「確かな信頼関係」が必須です。
頭ごなしに承継することのみを主張し、こちらの価値観を無視、もしくは否定するパートナーとは契約しない方が良いでしょう。
特徴.4 完全成功報酬制である
事業承継の料金体制はパートナーによって異なります。
着手金や書類作成などその都度、報酬を取るパートナーもあれば、完全成功報酬制で、事業承継が成功した際のみ、まとめて報酬を取るパートナーもあります。
基本的には、料金体系がクリアで、なおかつきちんと成功まで導いてくれる完全成功報酬制のパートナーを選んだ方が良いです。
完了前にいろいろと報酬を取っておいて、事業承継が成功しなかった、といったケースもあるからです。
完全成功報酬制の方が、余計なお金を取られずに済み、また事業承継を成功させるという目標が明確になります。
特徴.5 すべての業務を代行してくれる
事業承継のためには、法的手続きや書類作成が必要になります。
自分では困難なので、専門家に依頼することになるのですが、これらをすべて代行してくれるパートナーを選ぶべきです。
パートナーが別のパートナーに外注する分には問題ないのですが、自分で別の専門家を再度探さなければならないパートナーは避けるべきでしょう。
優良なパートナーを見つける方法
事業承継のパートナー探しは、多くの人がネット経由でリサーチしているかと思います。
これに関しては間違いではありません。
ネットでリサーチして、口コミが良かったり、実績が豊富なパートナーに連絡してみるという流れが一般的でしょう。
ただし、注意点があります。
それは、複数のパートナーに連絡してみるということです。
一つのパートナーにしか連絡しないと進め方の相場がわからず、正解がわからない状況になります。
あまり事業承継について把握していない、他のパートナーに相談していないと思われると、足元を見られる可能性があります。
- 相場よりも安い値段で承継されてしまう
- マージンを高く取られる
といったケースも想定されます。
特に、時間短縮のために綿密なリサーチをせずに、承継を進められてしまうケースは多いかと思います。
こういった事態を防ぐためには、複数のパートナーに相談し、これを別のパートナーにも伝えることです。
複数のパートナーに相談していることを伝えた方が、パートナー契約を結んでもらうために、より良い条件を提示してくれる可能性が高いでしょう。
事業承継は、会社にとっても自分の人生にとっても、一大イベントになるはずなので、一か所のみの相談で決めてしまうのは早計と言えます。
ぜひ複数のパートナーに相談し、交渉を有利に進めてください。
また、優良なパートナーほど顧客が複数のパートナーに相談することを想定しているので、無料相談を受け付けています。
無料相談を受け付けず、事業承継をうまく進められていない顧客をすぐに取り込もうとするパートナーは危険でしょう。
きちんと顧客に相場観を伝え、納得した上でパートナー契約を結ぶ流れを作ってくれるパートナーがベストです。
まとめ
事業承継はパートナー選びが非常に重要です。
パートナー選びの失敗は、事業承継の失敗につながります。
なぜなら事業承継を希望する人からのヒアリングはありますが、事業承継自体を進めるのはパートナーだからです。
弁護士や税理士などの専門家も、パートナー企業に在籍しているか、パートナーのパートナーとして案件に入るケースがほとんどです。
そのためパートナー選びが最重要ということです。
優良なパートナーを探すためには、完全成功報酬制のパートナーの中から複数目星を付けて、実際に相談してみることです。
複数のパートナーに相談することで相場がわかり、また足元を見られずに済みます。
ぜひ、貴社にとって最高の事業承継パートナーを見つけてください。