新型コロナウイルス感染拡大による来店客数の減少を受けて、新たにテイクアウトやデリバリーなどのサービスを導入する飲食店が増えています。
ただ、世間のニーズに合わせて自分の店でもテイクアウトの導入を検討してみたものの
「どのように集客すればいいのか、アピール方法がわからない」
「コロナ禍にで来店客数が減っていて、サービスを知ってもらう機会がない」
「周囲の競合店もテイクアウトをやっていて競争が激しい」
といった悩みを抱えている方も多いようです。
テイクアウトで売上を確保するには、集客の仕方やアピール方法に工夫が欠かせません。
この記事では、テイクアウトの集客方法が知りたい飲食店経営者の方に向けて、集客アップに効果的な施策を徹底紹介いたします。
オフライン・オンライン双方でのアピール方法を実践しながら、テイクアウトの売上増加を目指しましょう。
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目次
コロナ禍により依然、飲食業界は苦しい状況
東京商工リサーチの調査によると、2020年における飲食業の年間倒産件数(負債1,000万円以上のみ)は842件。
前年から5.3%増加し、過去最多を記録しました。
このうち、緊急事態宣言の対象とされた1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)では、212件(前年比3.9%増、前年204件)にまで及んでおり、2年連続で前年を上回ったことが報告されています。
しかしその一方で、同社による別の調査では、2021年1月から5月までの飲食業の倒産件数(負債1,000万円以上のみ)は270件と報告されており、前年同期比で15.6%減少したことがわかっています。
2021年に入り倒産数は減少しているものの、飲食業の倒産の内123件(全体の45.5%)が新型コロナ関連の倒産であり、ほぼ半数を占めている状況です。
以上のデータから、度重なる「緊急事態宣言」の延長や「まん延防止等重点措置」の実施などによって営業短縮を余儀なくされており、依然として苦境に立たされている飲食業界の厳しい現状が見受けられます。
こうした事態を少しでも好転させようと、最近では多くの飲食店がテイクアウトサービスを導入しています。
ただ、ウーバーイーツや出前館といったデリバリーサービスの普及によって競争が激化しており、売上を確保するためには効果的な対策を講じる必要性があります。
(出典:東京商工リサーチ「2020年飲食業倒産、年間最多の842件発生」)
(出典:東京商工リサーチ「飲食業の倒産動向」調査 (2021年1-5月))
テイクアウトを利用してもらうには
そもそもお客様がテイクアウトを利用する際は、次のような流れで購入に至るのが一般的です。
お店の存在を知る、あるいはすでに知っている(認知)
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テイクアウトをやっていることを知る(興味)
▼
魅力的なメニューがあると知る
▼
他店と比較する(検討)
▼
商品を購入する
上記の認知→興味→検討という3段階のステップを経て、はじめてお客様はテイクアウトを利用(購入)してくれます。
つまり、テイクアウトの集客を成功させるには、上記で取り上げた「認知」および「興味」のステップをしっかりと押さえることが重要です。
これら2つのステップがうまく流れなかった場合、最終的な購入に結びつくことはないでしょう。
したがって、「認知」と「興味」を網羅した集客方法を実行する必要があります。
ここからは、具体的な集客方法について詳しく見ていきましょう。
オフラインでのテイクアウトアピール方法
まずは、多くの飲食店で導入が比較的容易である「オフラインでのアピール方法」には主に次の3つが挙げられます。
- 看板・のぼり
- チラシ配布・ポスティング
- 地元フリーペーパーへの広告掲載
これら自店舗で良い効果が得られそうなもの、実施できそうなものから順番に導入していくと良いでしょう。
看板・のぼり
これはマストと言える方法であり、既に実践している方も多いと思います。
自店舗の前に「テイクアウトはじめました!」や「お持ち帰りOK!」「〇〇弁当〜〜円」などと記載した看板やのぼりを出しておくと、通りがかったお客様の目に止まります。
これまで自店舗の存在を知らなかった方にも認知してもらえる可能性が高く、来店動機を持ってもらえるきっかけとなります。
看板・のぼりは非常にアナログな集客方法であるものの、近隣のお客様を取り込みたい場合には非常に効果的な施策です。
お弁当やお惣菜などを販売する場合には、看板・のぼりだけでなく、出来上がった商品を店頭に並べて直接声を掛けるのもよい方法です。
「飲食店が住宅街にあるなら、住人の帰宅時間と重なる夕方から夜にかけて」
「オフィス街にあるなら、オフィスワーカーの休憩時間と重なるお昼どき」
など、ターゲットとなるお客様が最も多く通る時間帯に、集中的にアピールしましょう。
なお「交通量の多い道路沿いに店舗を構えている」といった飲食店であれば、看板・のぼりだけでも大きな成果を得られる可能性があります。
しかし「駅からのメイン通りや幹線道路などから外れている」飲食店では、店頭でのアピールのみでは集客効果が望めない場合が多く、他の方法と併用する必要があります。
チラシ配布・ポスティング
コロナ禍の影響により、最近では自宅からテレワークを行う人が増加中です。
こうした「自宅で働く人々」をお客様としてターゲットにする場合、仕事が忙しく朝から夜まで外出しない人も多いため、看板・のぼりを出しても気づいてもらえません。
そのようなケースでは、チラシ配布やポスティングが効果的です。
ポスティングなら、テレワークやリモートワークを行う人でも、新聞や郵便物などと合わせて認知してもらえる可能性があります。
またチラシに割引クーポンを付けたりして大々的にアピールすれば、新たなお客様の来店動機づくりにもなるでしょう。
飲食店選びで迷っているお客様からすると、チラシが来店の決め手となる場合も多いです。
お客様が少ない時だからこそ、普段よりも多くの時間をかけて魅力的なチラシ制作に力を注ぐとよいでしょう。
なお、テイクアウトと合わせてデリバリーのサービスも実施している場合には、合わせてアピールすることで自店舗から少し遠くに住むお客様の利用を促すことも可能です。
チラシは「見ずに捨ててしまう」という人も多いので、いかにお客様の目に留まり、見てもらえるデザイン・内容にするか、買ってみようと思ってもらえるものにできるかがポイントです。
地元フリーペーパーへの広告掲載
コロナ禍の状況を受けて、チラシ配布・ポスティングだけでなく、地元フリーペーパーへの広告掲載も有効です。
タウン誌や地元フリーペーパーなど地域に根差した情報誌なら、特定の地域内で一定数の読者を見込めるため、範囲を絞ったピンポイントでの宣伝にうってつけです。
その上、テレワーク・リモートワークを行っている方や、SNSなどが苦手な年齢層をターゲットにすることも可能です。
ただし、集客効果として大きな成果を得るには、ターゲット層に合った媒体を選び、単発ではなく継続的に掲載を行う必要があります。
また広告掲載の場合は「看板・のぼり」や「チラシ配布・ポスティング」などと比べて、費用が高額に及ぶ傾向がある点も要注意です。
自治体・企業主催のイベント・キャンペーンへの参加
最近では、新型コロナウイルス感染拡大によるテイクアウト需要の増加を受けて、消費者・飲食店への支援の強化を目的として、さまざまな自治体や企業がテイクアウトイベント・キャンペーンを実施しています。
これらは飲食店の利益に配慮されているケースが多いため、積極的に活用すると良いでしょう。
イベントの有無や実施期間、内容などの詳細は各自治体のHPで確認してみてください。
実はオフラインだけではアピールは不十分
オフラインでのテイクアウトアピール方法は導入しやすい一方で、集客方法としては不十分であるとの指摘もされています。
実名口コミグルメサービスを運営するRetty株式会社の調査によると、調査対象の「Retty」ユーザーのうち約4割が、テイクアウトを知った理由として「SNSの情報」を挙げており、「店頭での看板」の回答数を上回りました。
つまり昨今では、SNSを見てテイクアウトサービスの実施を知るお客様が非常に多いということです。
上記のデータから、飲食店のテイクアウト集客を成功させるには店頭案内などオフラインの集客方法だけではなく、オンラインでのアピールも併せて行う必要があると言えます。
次章ではテイクアウトのアピール方法として、効果的なオンラインの施策をまとめます。
(出典:PR TIMESプレスリリース「テイクアウトの認知はSNS経由が4割!!消費者アンケートから見る緊急事態宣言後のテイクアウト事情」2020年4月30日)
オンラインでのテイクアウトアピール方法
昨今のインターネット環境の普及に伴い、飲食店では以下のようなオンラインでのテイクアウトアピール方法の導入が求められています。
- 「Googleマイビジネス」への登録
- SNS(Instagram・Twitter・LINE公式アカウントなど)の活用
- グルメポータルサイトの活用
- デリバリー代行(Uber Eats・出前館・LINEデリマなど)を利用
- 自社ホームページでの告知
それぞれの方法を順番に詳しく紹介します。
Googleマイビジネスへの登録
テイクアウトできる飲食店をインターネットで探す場合、多くのお客様はGoogle検索やGoogleマップなどで、「テイクアウト 〇〇(地域名)」や「テイクアウト ◯◯(料理名)」などと検索します。
そこでGoogleマイビジネスに登録しておけば、Google検索やGoogleマップで自分の飲食店が表示されるようになるのです。
Googleマイビジネスでは、飲食店の基本情報(営業時間・定休日・地図・電話番号)だけでなく、画像や「テイクアウトできるお店かどうか」といった項目も設定可能です。
そのため、細かく設定すればするほど、また投稿機能や口コミ返信を活用して新鮮なコンテンツを継続的に発信するほど、お客様の検索で表示されやすくなり、目に留まるチャンスが増えることになります。
Googleでは飲食店を経営している方に対して、Googleマイビジネスを活用した情報発信の方法をオンラインのライブ動画形式で配信しています。
参加費は無料なので、積極的に利用すると良いでしょう。
なお、Googleマイビジネスに登録していなくても、Google検索やGoogleマップで自分の飲食店が表示される場合があります。
しかし、それは一般のお客様やGoogleにより登録された情報であり、正確な情報でない場合もあります。
お店の所在地や営業時間が誤っている可能性もあるため、飲食店経営者の方が自身でしっかり登録・管理することをおすすめします。
SNS(Instagram・Twitter・LINE公式アカウントなど)の活用
SNSは非常に気軽に始められる上に無料なので、集客ツールとして活用はマストと言えるでしょう。
SNSアカウントを登録したら、お店の基本的な情報や主要なメニューなどとともに、「テイクアウトサービスを開始したこと」「テイクアウトできるメニュー」などを発信しましょう。
なお、SNSは、その種類によって特性やユーザー層が大きく異なります。
例えばInstagramは、画像で魅力を伝えることに特化したSNSです。
見た目で楽しめるような、いわゆる「映え」を狙ったテイクアウト用メニューの写真を投稿すれば、多くの見込み客にアピールできます。
また、実際に利用してくれたお客様が自身のアカウントに画像を投稿してくれる可能性があり、間接的な宣伝につながります。
ただし「映え」を狙うあまり、宣伝用の写真と実物の料理が違った、ということのないよう気を付けてください。
次にTwitterは、140文字以内の短い文章で投稿するSNSで、拡散性に優れておりリアルタイムな状況を発信しやすいSNSです。
リプライと呼ばれるメッセージのやりとりでお客様との直接的なコミュニケーションを取りやすい機能もあるので、初めてのお客様の来店動機づくりだけでなく、リピーターに向けた情報更新を発信するためのツールとしても有効活用できます。
最後に、LINE公式アカウントとは、もはやインフラになったとも言えるLINEのビジネス向けに特化したサービスです。
お客様に「友だち追加」してもらうと、時間や場所を選ばずに飲食店側から情報を発信できます。
とはいえ、最初は友だち追加をしてもらう必要があるため、いかに友だち追加してもらうかを考える必要があります。
ステップメール配信やクーポン機能もありますので、運用としてはリピーター向けの集客方法として活用すると良いでしょう。
グルメポータルサイトの活用
昨今では、Google検索やSNSによる情報収集が主流となりつつあるものの、依然として「食べログ」や「ぐるなび」など全国の飲食店情報がまとまっているグルメポータルサイトも大いに利用されています。
飲食店をネット検索する場合、上位にこれらグルメポータルサイトが表示される場合も多く、それだけ多くのお客様の目に触れる機会が作れます。
最近ではコロナ禍の影響を受けて、さまざまなグルメポータルサイトで「テイクアウト特設サイト」のオープンや新機能の開発など、テイクアウト集客に特化した対応が実施されています。
既に利用されている方も、あらためて自店舗の登録内容を確認してみると良いでしょう。
デリバリー代行(Uber Eats・出前館・LINEデリマなど)を利用
店頭でのテイクアウト販売だけでなくデリバリーも始めたいならば、デリバリー代行サービスの利用も検討しましょう。
Uber Eats・出前館・LINEデリマなどを利用すれば、自店舗の従業員でデリバリーに対応できない場合であっても、簡単にサービスを開始できます。
また広範囲の注文に対応できるため、新規顧客の獲得にもつなげることが可能です。
デリバリー代行会社に支払う手数料は決して安くないものの、ここには配達用バイク、配達の人員、新規顧客獲得のための広告代といった様々なコストが含まれると考えると、試す価値のある方法です。
自社ホームページでの告知
テイクアウトの利用を検討するお客様は、まずSNSやグルメポータルサイトなどで飲食店の情報を集めます。
しかしそれだけでは情報量が少なく、実際にテイクアウトの利用に結びつかないケースもあるでしょう。
次の段階として「詳しいお店の情報や雰囲気を知りたい」「口コミでなく、公式情報を知りたい」「スタッフの様子も見ておきたい」などと考えるお客様が多く、その飲食店の公式ホームページを探すことが考えられます。
(実際、大半のお客様がネット上の情報を見た後、より詳しい情報を求めて公式ホームページを探すとされています)
そのため、自店舗のホームページを作成し、お店の魅力やこだわり、テイクアウトに関する詳しい情報をホームページに掲載することで、テイクアウトの利用を後押しするのがおすすめです。
その際、ホームページ上からテイクアウトの注文ができるとより購入につながりやすいでしょう。
テイクアウトで成功するためのポイント
最後に、テイクアウトの集客を成功させるポイントをまとめて取り上げます。
前出のRettyの調査によると、テイクアウトの利用者が好む店の特徴として、次の3つが挙げられます。
- 徒歩15分圏内で立ち寄れる
- 料理の質が高い
- 衛生管理がしっかりしている
まずは、自店舗から徒歩15分圏内のエリアや駅などの交通機関を利用するお客様をターゲットとした集客を行うことが第一です。
ちなみに、飲食店までの距離が「徒歩10分以上」でも約6割が許容すると回答していることから、「多少歩いてでも買いにいく可能性のある」お客様が少なからず存在していることがわかります。
また、テイクアウトを実施している飲食店に対して「料理の質が高い」ことを求める回答が約49%あり、次いで「衛生面が安全」が約48%でした。
以上の点から、料理の質と衛生面の安全性を両立させたテイクアウトメニューづくりが求められていると言えます。
そのほか、テイクアウトで成功させるには、以下のポイントも実践しましょう。
- 単発で終わらせないためのリピーターの優遇
- ゴミが少ない、あるいは処理がしやすい容器
それぞれのポイントを順番に詳しく紹介します。
単発で終わらせないためにリピーターを優遇
テイクアウトの集客アップを目指すあまり、目先の利益のみに集中してしまう経営者の方も少なくありません。
しかし、折角お客様に自店舗のことを認知してもらったので、「何度も利用してもらう」「次回は店内利用を行ってもらう」ことなどを視野に入れながら、単発の利用で終わらせない施策を講じましょう。
テイクアウトで購入してもらった料理を気に入ってもらえれば、リピーターになってくれる可能性があります。
リピーターを効率的に増やしていくためには、次回の利用時に使える割引クーポンを配布するなどしましょう。
また、テイクアウトとデリバリーの双方に対応している旨を案内するなど、利便性の高さをアピールして次回の利用につなげる工夫が重要です。
ゴミが少ない、あるいは処理がしやすい容器
飲食店のテイクアウトは利便性が高い一方で、環境問題からゴミの増加を 嫌がるお客様が増えています。
イートインと比較すると、テイクアウトする際はプラスチック容器・カトラリー・ビニール袋など、注文の数だけゴミが増えてしまいます。
事実、 新型コロナウイルスの影響で家庭のプラスチックゴミが増えたという報道を目にするようになりました。
なるべくプラスチックゴミが出ない、または分別しやすいパッケージを取り入れるなどするのがおすすめです。
それによってお客様のニーズを満たせるだけでなく、環境にも配慮している店だとアピールすることもできるでしょう。
最近ではマイ容器やマイ皿などを持参してゴミを減らしたいというお客様もいます。
これらを持参すればキャッシュバックするなどの策を講じて、常連客になってもらえる可能性を高めましょう。
まとめ~効果的な集客には戦略が必要~
この記事では、飲食店におけるテイクアウトの効果的な集客方法を、オフライン・オンラインの2種類に分けて幅広く紹介しました。
オフラインの集客方法は多くの飲食店で簡単にできる一方で、最近ではSNSやGoogle検索などオンラインで情報収集を行うお客様が多いことから、双方の集客方法を組み合わせて対策を講じることが大切です。
また、集客を成功させるためには当然のことながら「料理の質(味)」「衛生面の安全性」は欠かせません。
「お客様のリピーター化につなげる施策」なども怠らずに実践しましょう。
なお株式会社Bricks&UKでは、マーケティングやプロモーションなどを手掛け、飲食店のテイクアウト集客に関する施策をサポートしております。
「自店舗のテイクアウトの集客アップを図りたい」「テイクアウトの導入を効果的にアピールしたい」とお考えでしたら、まずは お気軽にご相談ください。