プロゲーマーとユーチューバーは、いずれも近年あらわれた新しい職種で、どちらもネットやパソコンを通して、バーチャルな世界でお金を稼いでいます。
かなりの高収入を得ている人もいますが、それには相当の準備や工夫が必要です。それにかかる費用も多く、どこまでが経費として認められるのかも気になるところではないでしょうか。
今回は、プロゲーマーとユーチューバー、それぞれどのような経費がかかるのか、どのようなものを経費にできるのかを見ていきましょう。
プロゲーマーもユーチューバーも経費にできるもの
プロゲーマーとユーチューバーが経費にできるものには、次のようなものがあります。
- パソコン代
- Webカメラ代
- 家賃、光熱費(家事按分)
- 通信費
- 椅子、机などの購入費
- 交通費
これらはプロゲーマーでもユーチューバーでも、共通して経費にできるでしょう。
ちなみに家事按分とは、かかった金額の一定割合を経費にすることです。
自宅でゲームや撮影をしている場合、自宅はプライベートな空間でもあり、職場でもあることになります。
この場合、たとえば家のスペースのうち仕事に使っているスペースの割合、家で生活している時間のうち仕事をしている時間の割合、などを元に家事按分を計算して経費に計上します。
実際明確な基準はないのですが、万が一、税務調査に入られても納得のいく理由を元に、家事按分を計算する必要があります。
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パソコンやWebカメラ、通信費は当然仕事に使うものなので、全額経費にしても基本的には問題ないでしょう。
パソコンに関しては、プライベートでも使用するので線引きが微妙ですが、プライベートでの使用が多いなら、一定割合経費にする場合もあれば、全額経費にする場合もある、とケースバイケースです。
机や椅子はプライベートでも使うかもしれませんが、ほとんどは仕事で使うもの、ということで全額経費にするケースが多いでしょう。
交通費に関しては、経費となるのはもちろん仕事に必要な移動に関する費用だけです。
プライベートで使った交通費を経費にしていると、税務署から指摘される可能性があります。
たとえばプロゲーマーなら、ゲームの大会に出場するための遠征費などは経費になります。
ユーチューバーなら、自宅以外の場所で撮影する場合などの往復交通費が経費となります。
経費に関しては判断が曖昧な部分も多いのですが、業務に必要なものとそうでないものの区別ができるところはなるべく明確に分けておきましょう。
経費にできるものの相違点
次に、プロゲーマーとユーチューバーそれぞれの、その職業ならではの経費を見ておきましょう。
プロゲーマーが経費にできるもの
プロゲーマーならではの経費には、次のようなものがあります。
- ゲームソフト代
- ゲーム機器代
- イベント参加代
- 書籍代
- 専門学校の授業料
まずゲームソフト代に関しては、ゲーマなら当然必要なものでしょう。
ゲームソフトがないと仕事にならないので、収益を得るために購入したソフトは100%経費にして問題ありません。
ただし、明らかに仕事に関係がないと思われるソフトは経費として見なされない可能性が高いです。
たとえば格闘ゲームのプロが恋愛シミュレーション系のソフトを購入した場合はどうでしょうか。
ジャンル的に出場するゲーム大会とは関係がないので経費にはできない、という見方もあれば、他のジャンルのゲームをプレイすることで、ゲーム業界全体への知見を深められる、その結果、格闘ゲームにも活かせる、といった見方もできるでしょう。
事業として関係がないと思われるジャンルや内容のゲームソフトが多ければ、税務調査の対象になる可能性もあるかもしれません。しかし実態としては、多少専門と違うゲームソフトであっても、経費として認められることはあります。
ゲーム機器代やイベント参加費は、売上につながるものであれば当然経費になります。
ゲーム機器に関しても、売上に結びつかないものだと微妙なラインですが、ゲーム機器一つで使えるソフトは多いため、たとえばこのゲーム機器のこのソフトをプレイすることで本業のソフトのスキルアップにつながる、一つのゲームソフトだけをプレイするより視野が広がる、などの理由付けができます。
もちろん屁理屈ではなく、客観的に見て納得のいく理由が必要です。
書籍代も、たとえば本業のソフトに関するものであれば経費になります。
しかし格闘ゲームのプロが「どうぶつの森」の攻略本を買ったとして、これを経費にできるかと言えば微妙でしょう。
実態としては、量がそれほど多くなければ大目に見られるケースも多いようです。
また、ゲームの専門学校に通っており、その過程で必要となったものであえば、経費にできる可能性は高いです。
最近では専門学校で専門知識を学んでプロゲーマーになるケースも多く見られます。
ユーチューバーが経費にできるもの
ユーチューバーが経費にできるものは、ずばりこれです。
- 動画の企画で使用したもの
具体的に言えばもっといろいろありますが、プロゲーマーとの一番の違いは、仕事内容である「企画」が自由であることでしょう。
プロゲーマーは当然ゲームという決まった土俵での仕事なので、まったく関係ないものを経費にするのは難しいです。
一方でユーチューバーの場合、どのような動画を撮影するかは自由です。
商品紹介の動画を投稿している人もいれば、ドッキリ企画の動画を投稿している人もいます。
しかし企画に使用したものがすべて経費になるかというと、そうではありません。
その中で何が経費になるかは個別に考える必要があります。 たとえば動画内である商品を紹介した場合、商品の購入費が経費として認められる場合もあれば、認められない場合もあります。
前例として、日常生活で使える商品や衣料品を、すべて経費に計上していたユーチューバーがいました。
しかし結果的に税務署に認められず、ほとんどのものが経費から外されたそうです。
このように、動画の企画で使ったものとはいえ、プライベートでも使えるものだと経費として認められない可能性があります。
また税務署の判断基準は、実際にプライベートで使用しているかどうかというよりは、プライベートで使えるかどうかのようです。
動画内で紹介しただけで一度も着ていないような洋服の購入費については、プライベートで使用できるものとして経費にならない可能性がある、ということです。
まとめ
プロゲーマーとユーチューバーでは、共通する経費もあれば、異なる経費もあります。
プロゲーマーの場合、ゲームに関連する経費であることが前提となるため、経費として認められる範囲はユーチューバーに比べると狭いでしょう。
結論として言えるのは、「事業に関係がある」「必要な費用」だと認めてもらう必要があるということです。
どちらも新しい職業で、何が経費になるのか曖昧な部分も多いからこそ、事業用とプライベート用の線引きをしっかりとしていく意識を持つ必要があるでしょう。