目次
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは
HSPとは「Highly sensitive person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」を略した言葉で「高い感覚処理感受性を有する人、またはそのような気質」のことを指しています。
簡単に言えば、感受性が高く、繊細で敏感な人のことで、病気や障害などではなく、もともとそういった気質をもった人をいいます。
現代社会において、5人に1人はHSPだと言われていますので、誰もがかなり高い割合でHSPの人に出会うことになります。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の特徴
HSPの人は、あらゆることに敏感なため、疲れやすくストレスに弱い傾向があります。
次に挙げる特徴に、ほとんど当てはまるという人は、HSPである可能性が高いでしょう。
外部からの刺激に敏感
HSPの人は、音や光、臭いなど、五感への刺激に敏感です。
大きな音にビックリしたり、光がとても眩しく感じたり、臭いが気になって仕方がなかったりと、外部からの刺激に敏感に反応してしまいます。
他人の何気ない一言にも敏感
誰かが発した何気ない一言であっても、過剰に反応して傷つくことが多く、長く引きずってしまいがちです。
周囲の人の雰囲気や気分に敏感
また、周りの人の表情や態度で、他人の気分やその場の雰囲気を敏感に感じ取り、傷ついてしまうこともしばしばあります。
共感しやすく感情移入しやすい
人の気持ちに敏感で共感しやすいという特徴もあります。
例えば、誰かが怒られていると自分も怒られているような気持ちになるし、悲しんでいる人がいれば自分も悲しくて涙が出てきてしまうほど、感情移入しやすいのです。
他人との競争が苦手
HSPの人は、他人と競うことが苦手です。
そのため、営業のようにノルマを課されて、同僚と競争させられるような仕事では混乱してしまい、能力を発揮することができません。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)人材の長所
5人に1人はHSPだというのですから、経営者や人事担当者としては、HSP人材の長所をよく知る必要があります。
その上で、HSP人材の長所を生かした最適な配置をすれば、働く側のストレスも減りますし、会社全体の生産性の向上も期待できます。
HSP人材には、次のような長所があります。
敏感だからこそ細かいことによく気がつく
小さなことも敏感に感じ取るHSPの人は、疲れやすくストレスに弱い面があるのは確かです。
しかしその一方で、敏感だからこそ、他の人が気付かないような細かいことにまで気づけるという長所もあります。
そのため、細かいルールの多いコツコツ業務でも、ルールに従って正確に仕事をこなすことができるでしょう。
繊細な人は、心配性な分だけ仕事が丁寧でミスが少ないものです。
深く考えたり細かい作業をコツコツ行うことができるので、システムエンジニアやプログラマーなどIT関連の仕事も向いています。
共感力が高く気配りが上手
HSPの人は、共感力が高く、相手の気持ちになって相手の心に寄り添うことができるので、エステティシャンや心理カウンセラー、ソーシャルワーカーといった、人の心や体に1対1で寄り添える職業も向いています。
豊かな想像力がありアイデアが豊富
放っておけば、いつまででも頭の中で空想をめぐらすことができるほど、HSPの人の中には、想像力が豊かな人が多いです。
アイデアも次から次へと出てきます。
そのため、デザイナーやカメラマン、イラストレーターなど、クリエイティブな職業も向いているといえます。
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)人材の苦手を把握し能力を最大限に活用
HSP人材の能力を最大限活用するためには、長所を知るだけでなく、苦手なことも把握して、職場環境を整えることが重要です。
HSPの人は、競争させられたり監視されたりするのがとても苦手です。
それによる過度なプレッシャーがかかり、本来の業務に集中できなくなり、能力を発揮することができません。
そのため、同僚と競争になってしまったり、ノルマに追われたりする営業職やテレアポなどは向いていません。
また、監視されるのが苦手なので、ゴールはあるけれど、ある程度自分の裁量で進められるWEBデザイナーや経理などの専門職の方が向いています。
事務職でも、自分のやりやすいやり方で段取りをし、自分のペースでコツコツ進められる仕事などは、きっちりとこなすことができます。
ただし、イレギュラーな業務が急遽、降ってくるような仕事や、いくつもの業務を同時並行で進めるマルチタスクなどは、混乱してしまうため向いていません。
HSPの人は、細かいことによく気が付き、コツコツと誠実に仕事をこなす能力の高い人が多いです。
そのため、HSPの人の苦手なことを排除し、そのような長所を生かすことを重視した活用の仕方をすれば、会社にとって欠かせない戦力となり、生産性の向上につながります。
HSP (ハイリー・センシティブ・パーソン) 人材が能力を発揮しやすい職場環境
HSP人材の能力を最大限に活用するためには、能力を発揮しやすい職場環境を整えることが大切です。
疲れにくい快適なオフィス
HSPの人はとても敏感なので、隣との席が近すぎたり、座りにくい椅子だったり、あまりに騒がしいオフィスだったりすると、それだけで疲れてしまいます。
そのため、働きやすい快適なオフィスであることが必要です。
また、お昼に外にランチに出かけないときは、社内の休憩室でお弁当を食べられるなど、自分の席以外にもリフレッシュできる場所があると、疲れがたまりにくく快適に働くことができます。
明確なルールがある
HSPの人は、ひとつのことを深く考え込んで悩んでしまう傾向にあります。
そのためルールがはっきりせず、空気感で判断したり、暗黙の了解のようなものが多い職場だと、本来の業務に集中することができません。
自分のやるべきことが、明確に決まっているというのは大事なポイントです。
マニュアルが整備されている
HSPの人は、気疲れしやすいという特徴があります。
そのため、わからないことがある時でも、相手の都合に配慮して、人に相談するのを極端に避けがちです。
人に相談しないでも、自分で調べられる方が気持ちが楽なため、業務に関するマニュアルがしっかりと整備されていると良いでしょう。
マニュアルが整備されていれば、困ったらいつでも見返して調べることができるので、負担を減らすことができますよね。
充分な人材が確保されている
充分な人材が確保されていない職場では、ひとり休むと他の人に過剰に負担がかかり、休みが取りにくいということが起こります。
HSPの人は周りの雰囲気を敏感に感じ取るため、それこそ休みを取りたくても言い出せなくなってしまいます。
これはHSPの人に限りません。
体調が悪くても休めない、リフレッシュが必要なのに休めない、家族の都合で休まなくてはいけないのに休めない、といったことが続くと、心身ともに過度な負担がかかってしまいます。
HPSの人に対してはこの点に、特に気を使う必要があります。
まとめ
この記事では、HSP (ハイリー・センシティブ・パーソン)とはそもそも何なのか、HSPの人にはどのような特徴があるのかについて解説しました。
HSP人材の長所や苦手とすることについてもご紹介しましたので、人事としては、よく知っておきたいところです。
そして、HSP人材について正しく知れば、適切な配置をすることもでき、充分にその能力を発揮してもらえます。
実に5人に1人はHSP人材なのですから、その特徴をよく知って、職場環境を整えることは、これからの企業にとって必要不可欠なミッションだといえます。