スペシャルコンテンツvol.3「会社格付(定量評価の方法)」

銀行は会社をどのように評価しているのか?銀行のクセを掴んで融資成功へ

この記事の執筆者 元銀行役員 柴田尚郎

資産項目の注目3兄弟

銀行員が、決算書を受け取って、資産項目(バランスシートの左側)に<貸付金>、<仮払金>、<未収入金>の3つ、注目の3兄弟があれば、必ず気にしています。
<貸付金>
「会社から社長へ、あるいは関係会社へ、貸付金があるのは、何に使ったのか?
→単なる未処理か?本業以外に投資している?関係会社へ赤字補填?」
<仮払金>
「この仮払金は、本来、損益計算書の費用に入れるべきものが混入か?
→実際の利益は低いのでは?」
<未収入金>
「この<未収入金>、本来は、売掛金に入れられるものか?
→未処理か?資料がないのか?別の科目の混入か?」
などと、いつ、どのタイミングで質問しようかと頭の中で考えています。
銀行員が、勇気を出して社長さんに聞いてみると、「そんな細かいことは、経理担当か、顧問税理士に聞いてほしい。」、という態度を取られることもしばしばです。
しかしながら、その銀行員が、この「注目の3兄弟」を支店長や審査部に説明できるか、できないかで融資への判断が変わるだけでなく、これからお話する「会社格付」にも影響します。

格付ソフトによる評価

決算書を3期分受け取った銀行員は、それを「格付ソフト」により「財務スコアリング」を行います。要は、決算書の数値に基づいた「自動計算の通信簿」です。
学校の通信簿は通常5段階で相対評価ですが、会社格付は通常10~12段階で絶対評価。この「自動計算の通信簿」で最初に導かれた数値と評価レベルで、会社格付のほぼ8割は決まってしまいます。
 そのソフトによる自動評価ですが、財務スコアリングとして以下のような項目の数値を点数化します。

財務スコアリングの項目とは?

財務スコアリングの項目は、「安全性」「収益性」「成長性」「債務返済能力」の4つです。
「安全性」・・・商売の元手である資本と負債の関係。
「収益性」・・・利益に対する売上や総資本などの比率。
「成長性」・・・売上、利益、自己資本の伸び率。
「債務返済能力」・・・「借金」や「元金・利息の支払」と「事業の手取り現金」等の関係。

会社の格付け

ある銀行、XYZ銀行の格付点数化の枠組です。
実際には、もう少し点数化する項目が多いと思いますが、枠組としては、このイメージだと思います。 4つの切り口で、それぞれ、15点から55点の配点になっています。

  • 安全性    34点
  • 収益性    15点
  • 成長性    25点
  • 債務返済能力  55点

配点が多いのは「債務返済能力」

全体の4割強の55点が、「4.債務返済能力」に配分されています。
さらにその中の、「債務償還年数」と「キャッシュフロー額」が20点づつ、「インタレストカバレッジレシオ」が15点です。当然、銀行員は配点の多い項目を気にします。中でも、判断への影響の大きい「債務償還年数」に注目しています。
債務償還年数とは?
「債務償還年数」は、「借金の額」に対する「事業の稼ぎ額」の割合です。つまり、借金を、年間手取り現金額=キャッシュフロー額で返したら、何年かかるのか・・・?
借金が多くても、事業の手取り現金が多ければ格付は下がりませんし、借金が少なくても、同手取り現金が少なければ、あるいは、減少トレンドであれば、格付は悪化します。
この切り口は、2つの特徴があります。1つは、「バランスシートの項目と損益計算書/キャッシュフロー表に跨って計算する。つまり「会社の状態(期末)」と「会社の結果(年間)」に跨って測る。」そして、「損益計算書の会計上の利益ではなく、キャッシュフロー額、つまり手取り現金を使って計算する。」です。
現金残高を動かすエンジンは、事業キャッシュフロー(手取り現金)
少し脱線しますが、筆者が仕えた上司は、社長さんから決算説明を聞く際の心得を話してくれました。
「売上や利益の上がり下がりは、誰でも説明する。でも、バランスシートの動きを説明する人は少ない。最後は、何が原因で、現金残高が動いたか?そこを意識して聞け。」と教えてくれました。
現金残高を動かすエンジンは事業キャッシュフローであり、借金も事業キャッシュフローで返すのが本質です。損益計算書上、つまり、「会社の結果」で売上や利益を操作しても、バランスシート上、つまり、「会社の状態」の現金、手取りでしか、借金は返せないのです。(それができなければ、資産を売る、資本を増やすなどの方向になります。)

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