「どんな事業で起業するか」で悩む人も多いですが、事業内容は成功の可否に影響する重要事項です。
自分が「これだ!」と思ったアイデアでも、客観的に見ればリスクが高い可能性があります。そう聞くと、なんとなくアイデアが浮かんでいる人も「この事業で大丈夫か」が心配になるかもしれません。
そこでこの記事では、まず起業のアイデアを考える前に知っておきたいポイントを紹介し、起業アイデアを考える方法とヒント、適切かどうか見るための判断基準を解説します。
目次
- 起業アイデアを考える前に押さえるべきポイント
- 起業アイデアを見つける・生み出す方法
- 起業のアイデアを見つける22のヒント
- 客として不満に思うもの
- あったらいいなと思うもの
- SNSに投稿された不満や要望
- あらゆる人との会話
- ひんぱんに必要となるもの
- 都会にはあっても地方にはないもの
- トラブルなどで困った・苦労したこと
- 面倒だなと思うこと
- 海外で人気なもの、当たり前なもの
- 日本にしかないもの・日本らしいもの
- 新しい商品やサービスに必要となるもの
- 2つ以上の商品・サービスを合体させたもの
- 「なくて当たり前」となっているもの・こと
- 「それが当たり前」となっているもの・こと
- 昔と比べて変化してきたこと
- 少子高齢化で必要となるもの
- 保育・介護の現場が抱える課題
- 時代の流れで必要となりそうなもの
- 法改正などで新たに必要となるもの・こと
- 高齢化により生じる技術継承の問題
- 災害時など不自由な生活で便利なもの
- 余りもの・捨てられてしまっているもの
- 環境保護のために必要なこと・役立つこと
- 田舎での起業アイデアのヒント
- アイデアを事業化する前にすべきこと
- 成功する起業アイデアの判断基準
- 番外編:そもそもアイデアなんてなくていい?
- アイデアを見つけたら行動に移そう
起業アイデアを考える前に押さえるべきポイント
まずは、起業アイデアを考える前に押さえておきたいポイントを紹介します。
3つの要素すべてを押さえること
起業で成功するには、次の3点を満たす事業である必要があります。
- 1)自分ができること、得意なこと
- 2)自分がやりたいこと
- 3)誰かのニーズがあること
1つでも欠けると、「起業」そのものはできても、事業を継続し、成功させることは難しくなります。
「できること」でも、「やりたい」という情熱がなくてはできません。「やりたいこと」でも、知識や技術がなくてはできません。
「できること」かつ「やりたいこと」でも、「ほしい」という誰かのニーズがなくては、事業として利益が上げられません。
潜在・顕在のニーズをつかむこと
アイデアを考える際、まずは潜在・顕在のニーズをつかみ、「そのニーズをどう満たすか」という視点で考えるのがおすすめです。
潜在のニーズとは、まだ表に出ていない、水面下にあるニーズのこと。潜在ニーズを正確に掘り当てられれば、事業成功の可能性はより高くなります。
スキルに自信があるほど「この技術でどう儲けるか」「この技術をどう世界に知らしめるか」という逆の視点で見がちなので要注意です。
「ニーズ」をつかめなかったり、軽視していたりして失敗してしまったケースは数多くあります。
経験やスキルを活かすこと
起業は、自分の持っている知識や経験、スキルなどプロフェッショナルと言える分野で勝負するのが王道のやり方です。
初めての起業で、経験やスキルのない事業を成功させるのはかなり困難です。その道に精通した共同経営者がいるなどでなければ、未経験分野の起業は避けましょう。
起業では資金調達に苦労する人も少なくありません。しかし未経験分野での起業は、金融機関の融資審査に通る可能性も低いのが現実です。
「最初」にこだわらないこと
例えば「Google」も、トヨタ自動車も、世界初の業界パイオニアではありません。しかし、常に先を見据えた事業展開を行って世界的な企業に成長しています。
このように、まったく新しいビジネスでなくても、起業する価値は十分にあります。
とはいえ、他社との差別化は必須です。既存のサービスや製品の欠点を補うアイデアなど、何らかの新規性は持ちたいところ。それには、競合他社の商品やサービス、動向をよく知る必要があります。
ただし、投資家から出資を受けるようないわゆる「スタートアップ企業」として起業する場合は、急成長が見込める革新的なアイデアや技術が必須です。
起業アイデアを見つける・生み出す方法
起業のアイデアといっても何も浮かばない…という場合にどうすればいいか、その方法を大きく4つ紹介します。
- 日頃から「インプット」をする
- 集中して考える+リラックスする
- 頭の中にあるものを書き出す
- 組み合わせてみる
- 常識の逆で考える
- 他の人のアイデアを参考にする
順に見ていきましょう。
日頃から「インプット」をする
自分の中に情報や経験が少なかったり視野が狭かったりすると、アイデアはなかなか出てきません。
アイデアを生み出すことは一種の「アウトプット」。アウトプットとは、これまでに得たさまざまな学び(インプット)を、自分の中に落とし込んで(スループット)、それを表現や行動に反映させることです。
アウトプットするには、インプットが不可欠です。インプットは外側から得るものなので、何かしらの行動が必須です。
【インプット方法の例】
・読書(いつも読まないジャンルも) ・散歩 ・人との会話(世代や環境が違う人) ・映画・芸術鑑賞 ・セミナー・講演会 ・旅行 ・いつもと違う道での通勤 ・一駅前で下車して歩く
上記の方法はほんの一部の例です。特に大それたことである必要はありません。
集中して考える+リラックスする
起業で何がしたいか、何をすべきか、ある程度の時間をかけて考えたら、その後は考えることや仕事をすることから離れ、スマホも手放し、脳をリラックスさせましょう。
脳はリラックス状態の時にインプットされた大量の情報を処理するため、アイデアが「降って」きやすい状態になります。
睡眠をしっかりとる、無心で掃除をする、簡単な瞑想をするなど、インプットとは逆に外からの刺激を遮断する必要があります。
はじめからただぼーっとしているのではなく、常に動いている脳を休ませることがポイントです。
頭の中にあるものを書き出す
アイデアが「降って」こない場合は、前述の3つの要素(できること、やりたいこと、ニーズがあること)について、思いつく限りの言葉を書き出してみましょう。
正解はなく誰に見られるものでもないため、言葉を選んだりきれいに書いたりする必要はありません。
書き出した中から起業のヒントやアイデアが見つかることもありますし、「書き出す」という作業によって頭の中が整理され、ふと浮かんでくることもあります。
組み合わせてみる
すでに世にあるさまざまなサービス・製品を組み合わせることで、新たな商材が生まれることもよくあります。
上の項で書き出したさまざまな言葉をいくつか組み合わせてみるのも1つの方法です。
また、かの孫正義氏が行っていた発明法の1つに、「複合連結型発想法」というのがあります。
やり方は、2つの単語帳を用意し、それぞれに思いつく単語を書き、同時に開いた言葉どうしを合体。実現できそうな組み合わせが出るまで続けるという方法です。
常識の逆で考えてみる
先入観や固定観念を取り去って常識を逆手に取ると、意外によいアイデアが生まれることがあります。
古くは「回転ずし」、「一人焼肉」、近年では「ウーバーイーツ」などのシェアリングビジネスも、それまでの常識を覆して成功しています。商品でいえば、羽のない扇風機や四角いフライパン、消せるボールペンなども、固定観念を覆すアイデアです。
また、中華の巨匠と呼ばれる脇屋シェフは、それまで大皿での提供が常識だった中華料理を、フランス料理のようなコース仕立てにするアイデアで人気を博しました。
他の人のアイデアを参考にする
考えるのも限界だと感じたら、すでにあるアイデアを参考にするのも1つの方法です。
ネット上に公開されている各地のビジネスコンテストの結果や、経産省による事業補助金の採択事例、クラウドファンディングのプロジェクトなどが参考になります。
ただし、他者の知的財産権(特許権、商標権、著作権など)を侵すのは禁物です。
「アイデア」自体は著作権の対象外でも、商品や技術には商標権や特許権が取られている場合があります。倫理上の問題もあり、トラブルになりかねません。
着眼点などを参考にして、独自のアイデアを見つけましょう。
起業のアイデアを見つける22のヒント
ヒントがあれば、アイデア探しもしやすくなります。次に紹介するヒントをもとに、何かないか考えてみてください。
自分事あるいは身近な誰かに当てはめて考えると、イメージがしやすくなります。
- 客として不満に思うもの
- あったらいいなと思うもの
- SNSに投稿された不満や要望
- あらゆる人との会話
- ひんぱんに必要となるもの
- 都会にはあって地方にはないもの
- トラブルなどで困った・苦労したこと
- 面倒だなと思うこと
- 海外で人気なもの、当たり前なもの
- 日本にしかないもの・日本らしいもの
- 新しい商品やサービスに必要となるもの
- 2つ以上の商品・サービスを合体させたもの
- 「なくて当たり前」となっているもの
- 「それが当たり前」となっているもの
- 昔と比べて変化してきたこと
- 少子高齢化で必要となるもの
- 保育・介護の現場が抱える課題
- 時代の流れで必要となりそうなもの
- 法改正などで新たに必要となるもの
- 高齢化により生じる技術継承の問題
- 災害時など不自由な生活で便利に使えるもの
- 余りもの・捨てられてしまっているもの
- 環境保護のために必要なこと・役立つこと
順に見ていきましょう。
客として不満に思うもの
普段、客として店に行き、サービスに不満を持つこともあるのではないでしょうか。
「なぜこうなっているのだろう」という不満や、「これがこうだったらいいのに」「自分だったらこうするのに」と思うアイデアが、事業につながるかもしれません。
あったらいいなと思うもの
「あったらもっと便利なのに/楽しいのに/うれしいのに」と思う物やサービスを考えてみましょう。ポイントは、童心に帰って自由に、柔軟に考えることです。
まずは「できるかどうか」などで制限しない方が浮かびやすいでしょう。
SNSに投稿された不満や要望
他の人がどんなことに不満や要望を持っているのかを知り、その不満を解決、要望を実現する方法はないか考えましょう。知るための簡単な方法がSNSです。
自分とはまったく縁のない世界の人たちの投稿にも、得意が活かせる起業のヒントが隠れている可能性があります。
あらゆる人との会話
人との会話の中にもたくさんのヒントがあります。ほんの些細な一言がきっかけとなり得るので、日頃から積極的に人と会話することを心がけるのがおすすめです。
相手がすでに事業経営をしている人なら、起業について相談すれば「だったらこういう話があるよ」「これやってみない?」と話が繋がる可能性もあります。
事業に成功している人には、自然に新事業の話が集まることも多いもの。それまでの行動や実績が信頼となってチャンスを生むので、やはり日頃のコミュニケーションや行動の積み重ねは大事です。
ひんぱんに必要となるもの
起業で成功するには、より多くの人が使う物やサービス、ひんぱんに必要とされる物やサービスを商材にするのが王道のやり方です。
消耗品や日用品は、途切れることのないよう何度も購入されます。美容院にも定期的に通う人が多いでしょう。スマホや地図アプリ、検索サイトなども繰り返し使われるものです。
最近では、サブスクリプションがいろんな業種で取り入れられています。頻繁に使う物はまさにサブスクリプション向き。定期購入してもらえれば、経営も安定しやすくなります。
都会にはあっても地方にはないもの
人が多く、高くても買ってくれる人が多い都会には、企業も集中しています。そのため、都会では新しいものやサービスがどんどん作られ、どんどん便利になっていきます。
しかし、地方でも必要とされている物は多く、地域ならではの特性を生かしつつニーズを満たせれば、小規模でも成功できる可能性は十分にあります。
ただし、採算が合わず進出しないなどの事情があるケースも多いので要注意。収益性もしっかり見ておかなくてはなりません。
トラブルなどで困った・苦労したこと
今や日本でもタクシー手配やデリバリーで有名になった「Uber」。タクシーの配車サービスは、創業者があるとき手配したタクシーが一向に来ず、それに腹を立てたことがきっかけで事業を興しました。
突発的なことが起きて困ったり、トラブルになったりした場合もチャンスです。イライラせず状況や原因を俯瞰して見ると、違った世界が開けるかもしれません。
面倒だなと思うこと
運転代行サービスはまさに、車で来たけどお酒を飲んで帰りたい、でも電車で帰るのは面倒、車を取りに行くのも面倒、という人にうってつけのサービスです。
何でも引き受ける便利屋もいいですが、ターゲットを絞ったり、何か1つに特化したり、サービスでなく「物」で解決できないかを考えてみたり。切り口を変えて考えてもよさそうです。
海外で人気なもの、当たり前なもの
昔から、日本人は海外から数えきれないほどたくさんの文化やモノを取り入れてきました。海外にヒントを探しに行くのも1つの方法です。
日本をよく知らない外国人が「日本人には売れないだろう」と決めつけて進出してこなかったのに、いざ取り入れてみたら人気商品となったものも多々あります。
時代や社会情勢、天候や生活スタイルなどの変化によって、「今までの日本には必要なかったけれど、これからは必要となるもの」もきっとあるでしょう。
ただ、海外で流行ったスイーツが日本に進出して流行るような例もありますが、起業や経営の経験がない人が流行りもので成功するのは難しいのでおすすめしません。
また、既にあるビジネスの場合、権利問題にも注意が必要です。
日本にしかないもの・日本らしいもの
海外では、日本にしかないもの、日本らしいものを商材にした成功例がいくつもあります。
有名なケースではラーメンなどの飲食店。海外の日本食レストランは中国人や韓国人による経営が多く、文化も味も「ニセモノ」が数多く存在するのが実状です。今後も本物の日本の味やサービスで勝負する価値は十分あるでしょう。
とはいえ、例えば外国人にも人気の温水洗浄便座ですが、現地のインフラ事情で取り付けできないところも多いといいます。そういった周辺事情も調べなくてはなりません。
一方、日本国内で日本らしいものを使って起業するとすれば、今やターゲットは外国人旅行客です。
単なる商品やサービスの提供だけでなく、日本にしかない、かつ海外の人が興味を持ちそうな料理教室や体験教室を行うなど、付加価値を付けることで差別化もできるでしょう。
新しい商品やサービスに必要となるもの
何らかの商品やサービスを利用するために必要となるもの、それを使えばもっと便利になるものにも、商機があります。
例えばスマホ。スマートフォンを新調したら、ケースや画面保護フィルムなどを買う人が多いもの。モバイルバッテリーやイヤホンなどにもニーズがあります。スマホには、さまざまな有料アプリも存在します。
流通などのトレンドを常にキャッチし、新たな商品やサービスに注目してみてください。ただし一過性の流行で終わらない物を選ぶことが重要です。
2つ以上の商品・サービスを合体させたもの
コロナ禍では、消毒もできるハンドクリーム、保湿や顔色調整ができるマスクなどが登場しました。より「多機能」なものに惹かれる人は多いものです。
共働きなどで「効率化」「時短」が重視される現代では、コロナ禍でなくても複数の機能が1つになったもの、複数のことが同時にできるサービスには需要がある可能性が高いです。
「これを使うのに必要なものは何か」、もしくは「あとどんな機能があれば便利だろう」「何ができれば喜ばれるだろう」という視点で考えてみてください。
「なくて当たり前」となっているもの・こと
「ないのが当たり前」という考えが根付いているものをひっくり返すのも、人気の商品・サービスを生み出すチャンスです。
例えば、イチゴは本来、春に実を付けるもの。今のように冬に出回ることはありませんでした。
しかし、奈良県の農業研究者が研究を重ね、ハウスで電照栽培する方法を発見。今や日本でイチゴと言えば冬、海外で売られている露地ものが珍しく思えるほどです。
「冬のイチゴ」のように、「健康にいいタバコ」「待ち時間のない人気店/病院」などと逆説的に考えてみるのはどうでしょうか。
「それが当たり前」となっているもの・こと
日々の生活を当たり前のように暮らしていると「もっと便利になる可能性」にはなかなか気づきません。
でも、これまでにも「こんなことができるのか!」と誰もが驚く商品やサービスがたくさん生み出されてきました。
例えば「歩くとき、傘は手に持つもの」ですが、両手がふさがっていると持てません。強い風が吹けば、骨がひっくり返るなどして機能しなくなります。これは「当たり前のこと」「仕方のないこと」として今後も諦めるしかないのでしょうか。そういった視点も、アイデアを生み出すきっかけとなります。
昔と比べて変化してきたこと
人々の生活は大きく変化しています。例えば食生活は大きく「洋」に移行していますし、食糧難で栄養不足だった昔とは違い、偏食による栄養の偏りや、貧困家庭の子どもの栄養不足といった問題も生まれています。
例えば紫外線の悪影響が広く知られる今日では、女性はおしゃれだけでなく実用として日傘をさすようになりました。素材も白のレースより、紫外線を通さない黒色や特殊な素材のものがメインとなっています。男性の日傘も増えています。
何がどう変わり、何が求められるのかを常に見ていく必要があります。
少子高齢化で必要となるもの
少子高齢化がこの先も続くであろう日本。共働きが増えたこともあり、育児に関するサービスはすでに存在しますが、まだまだ開発・改善の余地はあります。
高齢化も同じで、人としての尊厳を保つという根本的なレベルでなく、より楽しい環境にするための商品やサービス、介護者のストレスを減らす商品やサービスが喜ばれるのは必至です。
普段から子どもや高齢者と接している人はアイデアも湧きやすいでしょう。しかし逆に、「子供だから」「高齢者だから」と決めつけずに考えてみることにも価値はあるはずです。
保育・介護の現場が抱える課題
保育や介護の現場では、人手不足や低賃金、ストレスなど働く人の問題が多く深刻です。この状況で保育や介護の質を改善しろと言われても、対応が難しいというのが本音でしょう。
こうした難題に対処できる商品やサービス、仕組みを開発して事業とすれば、社会に大きく貢献できます。
大規模な事業でなくても、例えば偏食で栄養不足の子どものためにできること、介護職員のストレスや膨大な作業を減らすためにできることなど。両分野とも、喫緊のニーズがあります。
時代の流れで必要となりそうなもの
これまでのヒントに共通する部分もありますが、時代の流れに対応して新たに必要となるもの、より良い生活が送れるものにも起業のチャンスがあります。
例えば共働きが当たり前となった時代、家事のさらなる効率化や外注化も必須でしょう。働き方の多様化も進んでいますし、家族の在り方すら変わる可能性があります。
ただし、時代の先を読むこと、一過性の流行なのか新たなスタンダードなのかを見極めることも必須です。
法改正などで新たに必要となるもの・こと
それまで必要のなかったことが法で義務化される、という動きも少なくありません。
法改正とまではいかなくとも、例えばコロナ禍では飲食店に感染症防止対策が求められ、非接触や消毒・殺菌用の商品の需要が増えました。
犯罪の増加などに伴い、今後も法改正は行われていきます。何がどのように変わり、何が規制され、何が求められるのか。
すぐに対応できるよう、少し先を見ることが必要です。
高齢化により生じる技術継承の問題
高齢化や文化・社会情勢の変化による技術の継承も注目ポイントです。
これまでにも、継承者がおらず絶えてしまった文化や技術、味などはたくさんあります。絶えたものを復活させるより、絶えさせない方法を考える方が可能性が広がります。
特に個人の技術がモノを言う分野では、後継者がいなかったり、昔気質の環境から技術がうまく引き継げなかったりする問題があります。
例えばITを使った解決策が見つかれば、さまざまな分野での活用が期待できます。
災害時など不自由な生活で便利なもの
災害の多い日本では、災害に関することも事業となり得ます。避難所で段ボールベッドが重宝されていたことは有名です。また、酷暑や豪雨など悪天候時に必要なものなども。
避難所での不自由でストレスフルな環境に、何があるといいのか。今あるものより便利な物、喜ばれる物が作れないか。アウトドアなどレジャーの目線で見れば、新たな発見があるかもしれません。
特に女性や子どもにだけ必要となるもの・サービスは、男性には気づかない可能性も高いです。ジェンダーレスで考える必要もあります。
余りもの・捨てられてしまっているもの
廃品利用、不用品利用も昔から数多くの事業を生み出しています。地方の特産品で使われず捨てられている部分、生産・収穫の過剰で捨てられているものはないでしょうか。
日本は南北に長く気温なども大きく異なるため、どこで何が役立つかにはまだ多くの可能性が残されています。
活用できる仕組みを作るなど、不要・必要のマッチングができれば、無駄がなくなるだけでなく、意外な相乗効果も期待できます。
環境保護のために必要なこと・役立つこと
環境保護に貢献できれば、環境へのメリットだけでなく、話題になりやすい、事業への評価が高まりブランディングできるなど、自分へのメリットも大きくなります。資金も集まりやすいでしょう。
廃棄物の再利用のほか省エネ・省資源の必要性、サンゴの白色化、大陸からの漂着物の処理、家庭ごみの廃棄や処理の方法などなど、解決を待つ環境問題は山のようにあります。
まずは地域で小規模に行い、拡大していくのがおすすめです。
田舎での起業アイデアのヒント
起業はどこでしようと自由です。「都会には物もサービスもあふれているから、田舎でビジネスチャンスをつかみたい」という人もいるでしょう。
もしくは、「生活の拠点を田舎にしたいが、事業は地域性に関係なく行いたい」という人も。
田舎での起業アイデアを考えるポイントは大きく2つあります。
- 田舎ならではの課題×魅力で考える
- 場所を問わない事業を考える
それぞれ見ていきましょう。
田舎ならではの課題&魅力で考える
ヒントになるのは、田舎が持つ次のような課題や魅力です。
課題の例 | 魅力の例 |
---|---|
・町おこし ・過疎化対策 ・シャッター街 ・少子化対策 ・高齢化対策 ・害獣駆除 ・農業・漁業 ・空き家対策 ・休耕地の活用 ・物通・インフラ ・閉鎖的な環境 ・訪日観光客の誘致 | ・豊かな自然 ・人と人との交流・温かみ ・日本らしさ・情緒 ・昔ながら・独特の文化 ・名物・伝統工芸・特産品 ・歴史・伝統 ・安全な水 ・新鮮な農作物 ・ジビエ(野生の鳥獣肉) ・広い土地 ・都会と田舎のいいとこどり ・移住・民泊 |
これらの課題を解決するビジネスや、魅力を後世に伝えられるビジネスを始めれば、自分と地域の両方が潤い、目に見える社会貢献ができます。課題の解決と魅力の増大につながればベストです。
例えば民泊で海外からの観光客も呼ぶ、伝統芸能を体験できるカフェを作る、高齢者に向けた巡回スーパーを始める、継承者がいない農家と移住・就農したい人を結び付けるビジネスを始める、など。
インターネットを使う、逆に昔から残る共有文化を「シェアリング」として生かすなど、都会と田舎の両方を知る人ならではの目線で考えると、新たな発見がありそうです。
場所を問わない事業を考える
インターネットを使えば、今やたいていの場所で仕事ができます。例えば次のような事業であれば、交通の便が悪くても住民の数が少なくても始められます。
- オンライン教室の講師
- 各種コンサルタント
- 農作物などのネットショップ
- webデザイナー、webライター
人に教えられる技術があれば、オンラインで教室を開けます。地域住民を対象にした対面での教室も併用するとよいでしょう。
コンサルタントも同様に、クライアントの課題解決ができればオンラインでも出張でも問題ありませんし、地域の課題を解決できるコンサルなら地域にも貢献できます。
ネットショップも場所を問いません。地域の特産物や、アパレルや陶芸品、木工品や洋服など、自分で製作した物を売ることも可能です。
世にあまり知られていない優れた伝統工芸品などを作れる人がいるなら、協力してショップを始められれば、優れた技術やモノを埋もれさせることなく、地域にも還元できます。
ただ、ひとくちに「田舎」といっても、地域によって課題はさまざまですし、ビジネスになるとは限りません。地元でなければお試しで住んでみるなどして、実情を知る必要があります。
また、移住を伴う起業は、「地域住民に受け入れられるかどうか」が第一関門です。「田舎より都会の方が優れている」「何とかしてやろう」というような考え方・見方は禁物です。
アイデアを事業化する前にすべきこと
起業したい事業のアイデアが浮かんだ後にしておきたいこともあります。それは次の3つです。
失敗要因がないかをチェックする
ビジネスを始める前から失敗要因をゼロにすることは難しいですが、極力避けたり、対策を練ったりはしておきたいものです。
この次の章で、失敗を避けるための新規ビジネスの判断基準をまとめています。ぜひ参考にしてください。
販売・集客方法を考える
いわゆるマーケティングを軽視すると、事業を始めてもお客さんが来ない、売れない、といった状況になりがちです。
多くの人が、「売ればお客さんは勝手に見つけて買ってくれる」と思いこんで集客に力を入れようとしません。「何かしなければ」と気づいて始めても、結果はすぐに出ず、資金が底をついてしまうことも。
ターゲットに対し、どのようにアプローチすべきか、どの手法で売るのが効果的かをしっかり考えて実行することが不可欠です。
まずは小規模で試す
本格的に事業とする前に、まずは小規模で試してみるのがおすすめです。改善が必要なら改善できますし、失敗した場合の損失も小規模に抑えられます。
地域レベルの手作り市などのイベントに出店する、モニターとして試してもらうなどすれば、興味や関心、ニーズがどれくらいあるか、どのような反応があるかを知ることができます。
感想や意見を聞けば、改善すべき点もわかります。
ニーズや関心度を知るには、クラウドファンディングを利用するのも有効です。ただし、支援者数が必ずしもユーザー数と一致するわけではないことに注意が必要です。
成功する起業アイデアの判断基準
アイデアが浮かんだら、事業として始めても問題ないかを客観的に判断する必要もあります。この章では、投資家がスタートアップを判断する際の基準を含め、アイデアの判断ポイントを見ていきましょう。
考えたアイデアがどれかに引っかかる場合は、引っかかりをなくす方法を考えましょう。放置してしまうと、失敗するリスクが高くなります。
- 市場ニーズ・ターゲットに合っているか(適合性)
- 市場は拡大中か、今後の見込みもあるか(将来性)
- 他より優れているか、差別化できるか(優位性)
- 始めるのに遅すぎないか、早すぎないか(タイムリー性)
- コストがかかりすぎないか
- どのくらいの利益が見込めるか(収益性)
- 実用化・製品化・マネタイズ化できるか(実現可能性)
- 自然や社会に悪影響を及ぼさないか(持続可能性)
- 情熱が持てるか・モチベーションを保てるか
- 一言でわかりやすく説明できるか(明確性)
それぞれ見ていきましょう。
市場ニーズ・ターゲットに合っているか
商品・サービスは、市場のニーズやターゲット層に合ったものでなくては売れません。
そのアイデアは、市場のどんなニーズを満たし、どんな人を客層のターゲットに設定するものでしょうか。まずはそこを明確にする必要があります。
そして、設定した客層の課題・悩みを解決できるかどうかが重要なポイントです。
市場は拡大中か、今後の見込みもあるか
参入しようとする市場は、今まさに成長しているでしょうか。そして、今後も拡大・成長する見込みがあるでしょうか。
今後の社会情勢や法改正などの動きで、不要となったりニーズが減ったりしないでしょうか。
市場が縮小しているということは、既存の事業者がその市場から離れて行っている可能性も高いので注意が必要です。
他より優れているか、差別化できるか
数ある競合他社の中で、自社製品やサービスの優れているところはどこでしょう。それはお客さんから選ばれる理由となるものでしょうか。
また、それはお客さんからみて明らかな違いでしょうか。質や性能の良さがわかりにくければ、価格の安い方や既存の方に流れる可能性も高いです。
始めるのに遅すぎないか、早すぎないか
そのアイデアを実現させるのは、今がタイムリーな時期でしょうか。今が流行のピークで、出だしが遅かったりはしないでしょうか。
逆に、タイミングが早すぎることはないでしょうか。年中行事のような小さなことから法改正のような大きなことまで、売れるかどうかはタイミングも大きく関わります。
実用化・製品化・マネタイズ化できるか
そのアイデアは、実現が可能で、事業として成り立つものでしょうか。製品にするだけの技術はあるでしょうか、一定の品質を保って一定以上の量を生産できるでしょうか。
そして、商品・サービスとしてお金がもらえる仕組みを作れるでしょうか。
また、原材料などが継続的に手に入りやすいものかどうかなどもポイントです。
コストがかかりすぎないか
事業を実現するのに、どれくらいのコストがかかるでしょうか。
設備投資など、最初に多額のコストがかかる場合、資金がよほど潤沢にない限り、資金繰りに困る可能性が高いです。そのまま経営破綻となるケースも少なくありません。
どのくらいの収益が見込めるか
事業を続けていくには、収益性も重要です。商品の製造や流通、サービスの対価はいくらで設定できるでしょうか。
工場や店の家賃や仕入値・人件費なども考え、どれくらいで提供し、どれくらいの収益が見込めるかを計算してみてください。
自然や社会に悪影響を及ぼさないか
事業によって、有害物質が発生するようなことはないでしょうか。青少年の育成に影響があるなど、社会的に悪影響となる要素はないでしょうか。
人や自然に被害・損害を与えれば、賠償問題に発展するおそれもあります。
これからの事業は、いわゆる「SDGs」をどう考えているか、どう貢献できるかも大きな評価ポイントとなります。自然や社会への配慮は必須です。
情熱が持てるか・モチベーションを保てるか
事業への情熱は、少なくとも数年は続くものでしょうか。これまでにも情熱をもって取り組んできた物事でしょうか。
経営が軌道に乗るまでには、数カ月~半年、もしくはそれ以上かかるのが一般的です。お客さんが来なくても商品が売れなくても、地道に努力を続けなくてはならず、それには事業への情熱が欠かせません。
一言でわかりやすく説明できるか
「どんな事業ですか」と聞かれた場合、誰にでも一言で簡単に説明できるでしょうか。事業内容が明確であることも重要なポイントです。
説明が複雑になる場合、満たすべきニーズが明確でない恐れがあります。繰り返しますが事業の成功にはニーズを満たすことが必須。ニーズを満たす事業であれば、説明は簡単にできるはずです。
番外編:そもそもアイデアなんてなくていい?
「アイデアなんてなくてもいいでしょ」「アイデアなんているの?」という人もいるかもしれません。
まず言えるのは、「アイデアが起業の成功に直結するわけではない」ということです。
アイデアなしでも成功できる?
アイデアがなくても、起業はできます。成功した例もあります。
しかし、アイデアなしで起業すると、迷走して失敗しがち。それでも成功するには、より多くのエネルギーや時間、資金を費やすことになるでしょう。
旺盛な好奇心や、あらゆる可能性への探求心、決断力と行動力、一度や二度の失敗では諦めない強さ。アイデアなしの起業には、このすべてが必要となりそうです。
そして、外部からの資金調達が必要となれば、難易度はさらに高くなります。アイデアなしで起業しようとする人に融資する金融機関や投資家はまずいないでしょう。
アイデアも十分な自己資金もないなら、どちらかが持てるまで起業は待つのが得策です。
アイデアありでも成功するとは限らない
起業の成功に、アイデアは重要な要素です。とはいえ、アイデアがあっても成功するとは限りません。そのアイデアがどんなに優れていても、です。
アイデアを実現させるために用いる方法やプロセスによって、失敗のリスクも当然あります。他の起業家や企業にアイデアを真似され、越されてしまう可能性もあります。
事業の成功は、アイデアだけでなくたくさんの要素が絡んで実現するものです。いいアイデアが浮かんでも、やるべきことは山のようにあります。
アイデアを見つけたら行動に移そう
事業の成功を左右する最初のフェーズはアイデア出しです。どんなアイデアなのか、アイデアをどう事業につなげるかが大きなカギとなります。
紙に書きだす、既存の事業を参考にする、あるいは数々のヒントから起業アイデアを考えてみてください。
そして、事業が成功するかどうかの判断基準に照らして実現可能なものに絞っていきましょう。
さらに、実現に向けて即行動することが成功につながります。
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