理美容業は華やかでおしゃれなイメージがあり、スタイリストは男女問わず人気の職業です。
また現在スタッフとして勤務していて、将来的には独立開業してサロンオーナーになることを目標にしている方も多いのではないでしょうか。
美容室・理容室は、必要とされる届出が非常に多い業界のひとつ。
まず独立開業する場合、保健所で許可を得る必要があり、無許可で営業すると美容師法違反で逮捕されます。
営業停止や罰金などの行政処分だけでなく、刑事処分が科されることになります。
また無免許で施術を行った場合も違法行為となり、逮捕される可能性はゼロではありません。
本記事では、美容室・理容室を営むためにはどのような許可、免許が必要なのか、また許可、免許を持たないで施術を行った場合どうなるのか、などについて解説します。
目次
美容室・理容室を営むために必要な許可
美容室・理容室を営むためには、保健所に申請する必要があります。
保健所から許可をもらうために、どのような工程を踏むのか紹介します。
【保健所への申請手続きの流れ】
STEP.1 事前相談
STEP.2 開設届の提出
STEP.3 開設検査
STEP.4 確認書発行
STEP1. まずは事前相談
美容室・理容室を開始する前に、まずは保健所に相談しに行きます。
設備の用意や内装工事の前に一度相談に行った方が良いでしょう。
なぜなら、設備に関しても複数の基準が設けられているからです。
設備を用意した後に保健所から改善要請を出されると、費用をかけて改善しなければいけないリスクが出てきます。
工事前であれば、追加費用なしで修正ができますので、のちのちトラブルに発展しないためにも事前の相談が必要なのです。
なお、地域によって規定が異なるので、必ず開業場所の管轄の保健所へ行くよう注意してください。
STEP2. 開設届の提出
営業の準備が整ったら、開業の1週間前までに開設届を提出します。
このとき開設届以外にも必要な書類があり、具体的には以下です。
- 開設届
- 施設の構造設備の概要を記載した書類
- 施設の平面図
- 施設付近の見取り図
- 従業者一覧
- 従業者全員分の理
- 美容師免許証、管理理美容師の修了証
- 医師の診断書
- 法人は登記簿謄本、外国人は外国人登録証明書
- 検査手数料
それなりに多くのものを提出する必要があり、事前準備が必要です。
開設届を提出する段階になって焦っても遅いので、最初の事前相談の段階でスケジュールを考えておいて、必要なものは早めに準備する必要があります。
開業前は当然保健所の手続きだけでなく、お店の準備が大変です。
むしろ保健所の方はついで、後回しになりがちです。
せっかくお店の準備をして集客・宣伝もしっかりしたのに、このタイミングで保健所に引っかかる、なんてことになるともったいないので、スタートで失敗しないよう保健所対策は必須です。
書類提出時に開設検査手数料を納め、開設検査の日時の調整を行います。
STEP3. 開設検査
提出した書類をもとに、保健所の職員がお店の開設検査を行います。
提出書類とお店の中身が合致していれば、スムーズに事が運びます。
逆になにか問題点が見つかると、書類、もしくはお店の方を変更しなければなりません。
この段階で問題が見つかると、営業開始予定日に営業できない可能性があるので、事前準備がかなり重要です。
STEP4. 確認書発行
開設検査で問題がなければ、最後に保健所から確認書が発行されます。
確認書をもらったら、営業を初めて良いということです。
受領印を押したら、いよいよ営業開始です。
美容師免許・理容師免許の取得
美容師免許の取得方法
美容師免許を取得するためには、国家試験に合格する必要があります。
また国家資格自体が無条件に受験できるわけではなく、厚生労働大臣指定の美容師養成施設(美容学校)の卒業が受験条件で、認可のない学校はNGです。
試験は筆記試験と実技試験があり、両方の試験に合格した後、美容師免許登録申請をすることで美容師免許証が交付されます。
理容師免許の取得方法
理容師免許の取得も同様に、国家試験に合格する必要があります。
こちらも厚生労働大臣が指定する理容師養成施設を卒業していることが、受験資格となっています。
美容師試験と同じく筆記と実技、両方の試験に合格後、理容師免許登録申請を行い理容師免許証の交付を受けることができます。
重複資格取得(ダブルライセンス)
かつては「美容室は女性が利用」「理容室は男性が利用」というイメージが強く、美容師と理容師の仕事は明確に差別化されていました。
現在では、ユーザーの理美容に対する意識の変化やニーズも多様化しており、それらに対応できるよう、提供されるサービス・メニューや技術もより高度なものが求められています。
そのような時代の流れを受けて、平成30年に理美容師の重複資格取得(ダブルライセンス)に関する法律が改正されました。
理容師資格を持つ人が美容師資格取得を目指す、またはその逆に美容師が理容師資格を目指すというケースも増えてきています。
美容師と理容師の違い
前述の通り、美容師と理容師はどちらも国家資格の取得が必要な職業です。
一見すると同じ職業のように見えますが、美容師は美容師法、理容師は理容師法によりそれぞれ扱える職域が定められており、微妙な違いが存在します。
美容師は美容師法で「パーマネントウェーブ、結髪、化粧などの方法により、容姿を美しくすること」と定められており、一方、理容師は理容師法で「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」と定められています。
顔そりが出来るか出来ないかが、両者の最も大きな違いと言えそうです。
ヘアカットはどちらの仕事にも含まれていますが、顔剃りは理容師にしか認められていなく、着付けは美容師の職域となります。
理美容業を無許可・無免許で営業した場合
無許可や無免許で理美容師業を営業する人も存在します。
過去にもそういった事例がありました。
まず無許可で営業を行った場合、営業停止処分、30万円以下の罰金といった行政処分が課されます。
また免許が取り消され、二度と理美容師業をできなくなる、といったケースもあります。
今後免許の取得ができない、といった処分も下されます。
刑事罰が科せられる可能性もありますが、実刑に至るには無免許で業務を行った結果人に対して危害を加えた、という条件も含められます。
つまり、無免許で業務を行ったが人に危害は加えていないという場合、刑事罰までは科されないケースが多いです。
もっとも、無免許や無許可で業務を行った場合、業界内での評判、顧客からの評判が地に落ちる可能性が高いでしょう。
まとめ
理容師法と美容師法でそれぞれの施術可能な範囲が定義されていますが、平成30年に制度が改正され、理容師が美容師資格を、美容師が理容師資格を取得しやすくなったこともあり、両方の資格を取得した「ダブルライセンス」という、より幅広いニーズに対応できる人材も増えています。
いずれにしても、理容室・美容室を開業するには許認可や届出が多く存在します。
また専門的な届出のほか、個人事業主として開業するなら「開業届」をはじめとする税務署や市区町村・都道府県税事務所に提出する書類が必要となります。
また法人として開業するなら加えて、公証役場での定款認証や法務局での登記、労働基準監督署などへの届出が、従業員を雇うなら労働基準監督署やハローワークに届出が、それぞれ必要となります。
それぞれ、なぜ必要なのかしっかり把握した上で、罰則規定に触れないよう抜け漏れなく進めて行くことが大切です。
ぬかりなく届出をすますために、司法書士や税理士などの専門家にサポートを依頼するのもひとつの方法です。
官公署への許認可業務は原則、行政書士しかできない法定独占業務。
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