コインランドリーの経営は初心者でも始めやすいため、土地活用方法として検討している方も多いのではないでしょうか。
初期費用は大きくかかるコインランドリー経営ですが、利回りの良さには魅力があり、数年で元が取れるほど収益を上げることも可能です。
そんなコインランドリー経営について、この記事では開業に必要な費用やメリット・デメリット、経営に適した立地条件から法人設立の知識まで、あらゆる角度から解説します。
目次
土地を持っている人ほど成功しやすい!気になる開業費用はいくら?
まずは開業費用について見ておきましょう。小型店舗と大型店舗それぞれの目安をまとめました。
費用の詳細 | 10~15坪の小型店舗 | 20~30坪の大型店舗 |
建設費 | 500万 | 1,000万 |
小型洗濯機 大型洗濯機 乾燥機 洗濯乾燥機 | 400~700万 | 1,000~1,500万 |
ダクト工事 空調設備 給排水設備 | 200~400万 | 200~400万 |
看板・外灯 駐車場設備 | 200~400万 | 200~400万 |
合計 | 約2,000万円 | 約3,000万円 |
小型店舗の場合は約2,000万円、大型店舗の場合は約3,000万円というのが大体の目安となっています。
ただし、初期費用は使用する機器・内装・店舗の大きさなどによって店舗ごとに大きく異なります。なかには5,000万円以上かかるようなケースも。
いずれにしても初期費用として数千万円以上のコストがかかることは覚悟しておく必要があるでしょう。
フランチャイズで始めるべき?コインランドリー経営の形態と開業までの流れ
開業までの大まかな流れは以下の通りです。
1.立地調査(人口・世帯数・住宅種別・往来・競合調査等)
2.事業計画(収益予測・事業計画書の作成等)
3.店舗の施工、開業準備(広告等)
4.開業
そして開業前にまず決めておかなければならないのが「フランチャイズで経営するか、個人で経営するか」ということです。
フランチャイズのメリット
フランチャイズでは、経営方針などが明確で。オープンに向けた準備も1から始めなくてよいことが多いため、開業しやすく、堅実な経営ができるというメリットがあります。
立地調査ではその地域の人口や世帯数・近隣の商業施設などを詳細に調べなければなりませんし、事業計画もきちんとしたものを作成する必要があります。
このときフランチャイズ本部からのサポートがあると、店舗経営の初心者でも大きな失敗をすることなく開業できるメリットがあります。
事業を開始してからもクレームや設備の故障などのトラブル対応をしてくれるので、安心して経営を続けられるでしょう。
フランチャイズのデメリット
フランチャイズの場合、使用する機器などが本部から指定されるため、自由にお店をデザインすることができないデメリットがあります。
お店のデザインや設備は本来、利用者のニーズに合わせて考えるべきです。フランチャイズによって制限があることで、地域特性に合わず利便性が悪くなるリスクもあり得ます。
経営開始後に、最新設備を導入した競合店が出店する可能性もあるでしょう。その場合もフランチャイズだと対抗して新しい設備を導入したり外装や内装を工夫したりすることが自由にできないというジレンマがあるかもしれません。
コインランドリー経営は個人でも可能
コインランドリーの利用者は飲食店と違い、チェーンの名前で利用するお店を決めることはほとんどありません。
そのため、いわゆるネームバリューのようなものがそれほど売り上げに影響しません。
また、コインランドリー経営には必要な専門知識も多くないので、店舗経営が初めてでも十分にやっていくことができます。
そうなると、自由に設備を選び内装を工夫できる個人経営のメリットは大きく、店舗経営の初心者だからといって必ずしもフランチャイズを選ぶ必要はないでしょう。
個人で開業しオリジナルなお店作りをすることも検討するべきと言えます。
高利回りなのがコインランドリー経営のメリット!デメリットについても解剖
ここではコインランドリー経営のメリット・デメリットを説明します。どのような特徴があるビジネスなのかをここで押さえておきましょう。
コインランドリー経営のメリット
まずはコインランドリー経営のメリットを紹介します。
ランニングコストが少なく高利回り
コインランドリー経営にかかる経費は、水道光熱費や洗剤の仕入代・固定資産税等の税金くらいです。さらに土地を所有していれば家賃もかかりません。
このようにランニングコストが少ないというのがコインランドリー経営の特徴です。
そのため経費の平均は売上の30%くらいとなり、粗利率約70%という高い利益をあげることができるのです。
そして高い粗利率は利回りの良さにもつながっており、特に土地所有者であれば20%を超える利回りを実現することも可能でしょう。
一般的にアパート1棟の利回りは5~8%と言われているので、コインランドリーはかなり高い利回りであることがわかります。
これなら初期費用を5年間で回収できることになります。ランニングコストの少なさはコインランドリー経営の大きなメリットと言えます。
景気に左右されない
洗濯は日常生活に欠かせないため、コインランドリー経営は景気に左右されません。
そのためリピート率も高く、安定収入を確保しやすいメリットがあります。
「そもそも今の時代にコインランドリーのニーズはあるのか?」という疑問がわくかもしれませんが、下のグラフのように、むしろコインランドリーの店舗数は年々増え続けているのです。
【厚生労働省:「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」より】
これは近年女性の社会進出の影響もあり、30~40代主婦のコインランドリー利用者が増えているためです。
働いている主婦は平日仕事で夜遅くに帰宅するため、近所迷惑を考えると夜中に洗濯機を使うことができません。
そのため週末に大量の洗濯物をまとめ洗いでき、さらに布団などの大物洗いをすることもできるコインランドリーのニーズが高くなっているのです。
そのため、現在でもコインランドリーのニーズがあることは確かですし、ニーズのある限り景気に左右されず今後も利用され続けるものと考えられます。
優遇税制を受けられる
コインランドリー経営には優遇税制が適用されやすく、次のような節税効果が得られます。
- 投資額の約7割を即時償却できる
- 固定資産税の3年間免除
- 相続税の土地評価額が約8割減らせる
【投資額の約7割を即時償却できる】
これは国税庁の「中小企業経営強化税制」という制度を使う節税方法です。
まず優遇税制を受ける条件は下記の通りです。
- 資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
- 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
通常の場合、大きな設備投資をしたとしても「減価償却」があるため、お金を出した初年度は設備投資の一部しか経費計上できないようになっています。
つまり、設備投資による節税効果はほとんどありません。
しかしこの優遇税制の適用を受けることで、コインランドリーへの設備投資のうち8割近くを初年度に経費化することができます。これを「即時償却」といいます。
即時償却を活用すれば初年度に大きな節税効果が得られるため、初期投資が大きくかかるコインランドリー経営でこの制度を利用する経営者も多いのです。
【固定資産税の3年間免除】
こちらは中小企業の生産性向上を目的とした設備投資支援制度「生産性向上特別措置法」を使った優遇税制です。対象条件はすぐ前の章で説明した中小企業経営強化税制と同じです。
(中小企業庁:【生産性向上特別措置法】先端設備等導入計画について)
この優遇税制を適用することで、固定資産税が3年間、ゼロ~1/2に軽減されます。
【相続税の土地評価額が約8割減らせる】
コインランドリー経営は「小規模宅地等の特例」における「貸付事業以外の事業用の宅地等」にあたるため、400平方メートル以内であれば相続税評価額が80%減額されます。(国税庁「小規模宅地等の特例」)
アパート・マンション経営の場合はこの特例によっても最大で50%の減額しか受けられません。そのためコインランドリー経営による相続税の節税効果はかなり大きいと言えるでしょう。
ちなみに、法人設立でコインランドリー経営をする場合にはさらに別の相続対策効果もあります。これについては後ほど詳しく説明します。
コインランドリー経営のデメリット
コインランドリー経営にもデメリットがあります。主なデメリット3つを把握しておきましょう。
初期費用が大きい
コインランドリーの開業では、店舗の建設費や工事費、機器代といった初期費用で2,000万円~3,000万円近くがかかります。
この高額の初期費用を抑えるには、できるだけ費用を削減する工夫をしなくてはなりません。
例えば初期費用の多くを占めるのは設備投資なので、機器をリースにするなどの方法で初期投資を抑えることができます。
また、自分が所有する土地でコインランドリーを経営するなら、他人に土地を貸して経営してもらう方法もあります。
大きな収益は見込めないものの、初期費用もリスクもなく毎月の家賃から収益を得ることができるのです。
ただしこのような選択肢をとれるのは土地所有者ならではです。
参入障壁が低いため競争が激しい
コインランドリー経営は専門知識が不要で参入障壁が低いため、近隣の競合店に売上を奪われる可能性もあります。
そのため他店の新規参入を視野に入れ、料金を下げたり内装にこだわった店舗づくりをしたりするなどする必要があるでしょう。
ただし逆に言えば、競合がすでに成功している地域に新規参入しようとする場合、ニーズがあるとわかるので参入しやすいという見方もできます。
後から参入する場合は、設備や利便性などで競合に勝てる店舗にすれば、顧客を獲得できる大きなチャンスもあるでしょう。
防犯対策が必要
コインランドリー経営は管理に手間がかからないのがメリットですが、あまりに長いあいだ放置しておくと店内の環境悪化につながります。
例えば売上金や下着などの窃盗被害に遭ったり、若者やホームレスが集まり店内が利用しにくくなるといった具合です。
そのため店内に防犯カメラを設置したり、定期的に見回りするなどの防犯対策をしなければいけません。
防犯対策にはコストがかかりますが、安心して利用できる環境にないと利用者も離れてしまいます。防犯対策にはきちんと力を入れましょう。
知らない人は失敗する!コインランドリー経営に合った土地の条件とは
コインランドリー経営では立地が非常に大事です。失敗することのないよう、押さえておくべき土地の条件を見ていきましょう。
近隣に住宅地がある
コインランドリー経営は、商圏範囲内に利用者がどれだけいるかによって売上が決まります。そもそも利用者がいないような地域であれば、収益をあげられないのです。
そのため、近隣に住宅地がなければ集客はできません。
利用者は主に主婦層です。ファミリー向けのアパートやマンションが多い地域であればより集客が期待できるでしょう。
生活道路沿いであること
とはいえ、ファミリー層が多い住宅地に店舗を構えれば何の問題もないかというと、そうとも限りません。
コインランドリーへは、車で買い物に出かけたついでに立ち寄る、といった利用の仕方も多いものです。その場合は家の近くにあることよりも、スーパーなどが並ぶ生活道路沿いにあることの方が大事だからです。
よりお店を認知してもらうためには、道路沿いでも角地にあるとなお良いでしょう。
認知度が高まるうえに車での来店も多方面から可能であり、集客アップにつなげられます。
自動車でアクセスしやすいこと
東京など一部の首都圏を除き、コインランドリー利用者の多くが車を使用するため、車でのアクセスのしやすさは重要です。
主な利用者が主婦であることから、運転に慣れていない人も多いと推察できます。 運転に慣れていなければ大型車が頻繁に通るような片側二車線の道路は走りにくく、中央分離帯のある道路も迂回の手間があるため好まれません。
つまり、生活道路のなかでも片側一車線、なおかつ中央分離帯がない道路沿いが一番狙い目であると言えます。
また、駐車スペースが狭い店舗だとタイミングによっては入れなかったり、空いていても入りづらいと敬遠されてしまう恐れもあります。
このように利用者の視点に立って考えて、集客率の高い立地であるかを判断しましょう。
開業は法人設立でのスタートがおすすめ!
コインランドリーを経営するには、個人事業主として行う場合と法人設立して行う場合の2パターンがありますが、結論としては法人設立によるスタートがおすすめです。
その理由は、法人設立には節税効果と相続対策という2つの大きなメリットがあるためです。
節税効果
まず法人設立には様々な節税効果があります。
例えば所得税です。
個人事業主の所得税は累進課税なので、所得が多ければ多いほど税負担は高くなります。
一方、中小企業にかかる法人税は所得金額800万円までは15%、800万円以上の部分は23%程度という一定の割合で課されるため、所得が増えてくれば法人の方が税金が安くなるのです。
目安としては、所得が800万円を超えるなら法人の方が税金が安くなると考えるのが良いでしょう。
コインランドリー経営の場合、立地の等の条件が良ければ初年度から所得800万円を超えることも十分あり得るので、法人設立でのスタートがおすすめと言えるのです。
またその他にも法人であれば、会社から社長である自分自身に給与を支払うことで個人事業主にはない給与所得控除を受けられたり、一定の要件を満たせば2年間消費税が免除されたりするなどの節税効果もあります。
これらを合わせて考えると、法人設立することで大きな節税効果を得られるでしょう。
相続対策
もう一つ重要なのが、相続対策です。
相続税は、被相続人が亡くなったときに所有していた財産に対して課せられます。
しかし、設立した法人の財産は出資者である個人の財産とは区別され、不動産そのものではなく法人の株式を相続することになります。
法人株式の相続評価額は、個人で不動産を所有していた場合の相続評価額よりも低くなるケースが多いです。
法人株式で財産を相続した方が、結果的に相続税が安くなるのです。
したがってコインランドリーの店舗を法人の所有物にしておけば、個人で不動産を相続した場合よりも相続税の負担を軽減できます。
まとめ~コインランドリー経営こそ土地活用にうってつけ!~
コインランドリー経営においては、節税をはじめとした様々なメリットがあります。
立地条件をよく吟味して開業すれば、フランチャイズでなく個人でも、十分な収益を見込めます。また法人設立をすれば、節税というメリットも得られます。
税理士法人Bricks&UKは、豊富な経験と実績に基づく税金対策をご提案し、土地活用の有益なアドバイスを提供することができます。
これからコインランドリー経営をしようと考えている皆様を全力でサポートしますので、ぜひ一度Bricks&UKにご相談ください。
創業時の融資相談もBricks&UKにおまかせください!
当サイトを運営する「税理士法人Bricks&UK」は、顧問契約数2,100社以上、資金繰りをはじめ経営に関するコンサルティングを得意分野とする総合事務所です。
中小企業庁が認定する公的な支援機関「認定支援機関(経営革新等支援機関)」の税理士法人が、日本政策金融公庫の資金調達をサポートします。
資金調達に必要な試算表、収支計画書などを作成し、資金調達のサポートはもちろんのこと、借入後の資金繰りまでしっかりと見ていくことができます。
そのため、皆様の経営の安定化にすぐに取りかかることができるのです!
まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。