コンビニを開業するには、大半はフランチャイズ(FC)への加盟・開業資金の準備・資格の取得などの手続きが求められます。
フランチャイズに加盟する際は、契約するFC選びが重要なポイントです。
また、開業資金としては、FC契約の締結に伴う初期費用だけでなく、当面の生活費や引っ越し費用なども確保しておく必要があります。
さらに、コンビニ経営では、ケースごとに求められる資格が異なるため注意しなければいけません。
そこでこの記事では、コンビニを開業したい方に向けて、必要な手続きや必要資金、資格のほか、コンビニFC契約を締結するまでの流れなどをわかりやすく紹介します。
目次
コンビニ開業に必要な手続き.1 フランチャイズへの加盟
コンビニ経営におけるフランチャイズとは、フランチャイズ本部(フランチャイザー)が、加盟店であるコンビニの各店舗(フランチャイジー)に対して、商標や商号の使用権、商品やサービスの販売権、経営ノウハウの指導や教育などを提供する代わりに、加盟店であるコンビニから保証金・ロイヤリティなどの対価を得るシステムのことです。
研修制度やサポート体制などが十分に整っているため、未経験者でもオーナーになりやすいことから、コンビニの開業を希望するならばまずはフランチャイズへの加盟を検討すると良いでしょう。
ただし、コンビニ開業後の経営を成功させるには、フランチャイズ先選びに注意しなければなりません。
FC選びの具体的なポイントは、主に次の5つです。
- FC本部の経営方針
- 加盟条件
- 契約期間
- ロイヤリティ
- サポート内容
それぞれのポイントを順番に詳しく見ていきましょう。
FC本部の経営方針
まずは、FC本部が掲げている経営方針に着目してください。
自身が思い描くコンビニのイメージとFC本部の経営方針にズレがあると、コンビニの開業後にトラブルが発生しかねません。
フランチャイズへの加盟によりコンビニの開業を目指す場合、FC本部のブランドのみで選ばずに、経営方針などを把握したうえで運営を進めていくよう努めると良いでしょう。
加盟条件
次に、各FC本部の掲げる加盟条件の事前確認も欠かせません。
なぜならば、FC本部によっては「単身もしくは2名」「2名での加盟に限る」というように、加盟する際の人数に条件を設けているケースがあるためです。
また、FCへの加盟に際して、何らかの制約や禁止事項などを定めているFC本部も見られます。
こうした条件を把握した上で契約を締結しないと、競合避止義務違反に問われたり、違約金を請求されたりするおそれがあるため、あらかじめ契約内容を十分に確認しておきましょう。
なお、加盟時の条件ではないものの、「夫婦もしくは三親等以内の身内2人で加盟すると、コンビニの開店に必要な手数料が一部免除される」といったシステムを設けているFC本部も見られます。
そのため、開業資金をなるべく安く抑える意味合いでも、大手FC本部の掲げる加盟条件をあらかじめ確認することが大切です。
契約期間
FC本部ごとに契約期間も異なるため、事前に確認しておきましょう。
大手FC本部の契約期間は、次のように定められています。
- セブンイレブン:15年間
- ローソン:5年間もしくは10年間
- ファミリーマート:10年間
コンビニを開業するならば、上記の期間内に投資分を回収した上で、利益を確保できるように努めましょう。
なお、契約期間の終了に伴って再契約を行いたい場合、審査条件を満たす必要があります。
再契約を希望するならば、なるべく早めにFC本部に相談すると良いでしょう。
ロイヤリティ
加盟店であるコンビニに求めるロイヤリティの割合や計算方法についても、FC本部の種類ごとに異なっています。
また、FC本部に土地・建物を用意してもらうかどうかによってもロイヤリティの割合は異なるため、注意が必要です。
一般的に、オーナー自身が土地・建物を用意する方が、ロイヤリティとしての支払額を安く抑えられます。
FC契約を締結する際は、ロイヤリティの支払額を確認し、毎月それを支払っても利益を確保できるかどうか計算しておくことが大切です。
なお、単純にロイヤリティの割合のみでFC本部を選ぶのは避けてください。
なかにはロイヤリティの割合は比較的高い一方、「水道光熱費の支払いを一部サポートする」といったシステムを採用するFC本部も存在するためです。
このように、総合的な観点で支払額を検討し、しっかり吟味しておくと、後悔やミスマッチを避けられます。
サポート内容
FC選びを行うには、サポート内容の確認も重要です。
もともとコンビニのフランチャイズ契約では、各店舗に担当のスーパーバイザーが付いて、集客やサービス提供、仕入れなど、あらゆる面でサポートや指導を行うのが一般的です。
とはいえ、FC本部の種類ごとにサポート体制の詳細は異なっています。
そのため、研修制度がどれくらい充実しているかや全面的なサポートの有無などを確認した上で、自身にとって最適なサポートが得られるFC本部と契約を締結すると良いでしょう。
コンビニ開業に必要な手続き.2 開業資金の準備
本章では、コンビニの開業に必要な初期費用、つまり開業資金について取り上げます。
主な初期費用の種類は、次の4種類です。
- 加盟金
- 保証金
- 資格取得費
- ロイヤリティ
まず加盟金とは、ノウハウの提供やブランドの使用料金を指します。
FC契約では、加盟金の支払いによって、FC本部の看板を背負った状態での店舗運営が可能です。
保証金とは、フランチャイジーがフランチャイザーに対して、商品などの仕入れ債務やロイヤリティの支払いなどを担保する目的で本部に預けるお金を指します。
実際には、加盟金に保証金を含めるケースも珍しくありません。
資格取得費とは、コンビニの経営に際して求められる資格を取得するための費用です。
取得すべき資格の種類および取得費については後述するので、合わせて確認しておきましょう。
最後にロイヤリティは、前述のとおり、FC本部の種類や契約内容により大きく金額が異なるため要注意です。
大手3社の初期費用を比較
ここでは、FC本部大手3社の初期費用の一例を表で確認しておきましょう。それぞれ、オーナー所有の土地・建物での開業ケースを想定しています。
【セブンイレブン】
加盟金 | 315万円 ・研修費 55万円 ・開業準備手数料 110万円 ・開業時出資金 150万円 |
ロイヤリティ | 売上総利益の45%の率を乗じた金額 (24時間営業のケースでは43%) |
開店準備金 | – |
【ローソン】
加盟金 | 100万円 ・研修費50万円 ・開店準備手数料50万円 |
ロイヤリティ | 総粗利益高に対して、以下の率を乗じた金額 ・300万円以下の部分:41% ・300万円を超え、450万円以下の部分:36% ・450万円を超え、600万円以下の部分:31% ・600万円を超えた部分:21% (営業時間が24時間に満たない店舗は3%ずつ加算) |
開店準備金 | 約50万円 (釣銭・営業許認可費用など) |
【ファミリーマート】
加盟金 | 150万円 ※元入金(両替現金・商品代金の一部)として |
ロイヤリティ | 月額の営業総利益のうち、以下の率を乗じた金額 ・250万円以下の部分:49% ・250万1円以上 350万円以下の部分:39% ・350万1円以上の部分:36% (内装設備工事の一部を本部が負担する場合は3%ずつ加算) |
開店準備金 | – |
それぞれ、加盟金・ロイヤリティ・開店準備金に関するメリットおよびデメリットは異なるため、自身の状況に適したFC本部を選ぶと良いです。
初期費用のほかに開業資金として必要となるお金
上記で取り上げた初期費用以外にも、コンビニを開業する際は生活費、引っ越し費用、内装工事費などが開業資金として求められます。
このうち、生活費と引っ越し費用は、土地・建物を所有していない状態でコンビニを開業するケースにおいて必要な資金です。
これに対して、内装工事費は、自己所有の土地・建物でコンビニを開業する際に求められます。
これらの金額はそれぞれのケースごとに大きく変動するため、開業検討時に忘れずに算定しておきましょう。
なお、FC本部によっては、こうした開業資金のサポートや融資先の紹介などを実施しているため、資金面に不安がある場合には相談を持ちかけると良いです。
コンビニ開業に必要な手続き.3 必要となる資格の取得
コンビニの開業ではケースに応じて資格の取得も必要となるため、本章でまとめて把握しておきましょう。
コンビニ経営に関する資格は、主に次のようなものがあります。
- 酒類販売管理者
- 食品衛生責任者
- 安全衛生推進者
- 防火管理者
- (たばこ)一般小売販売業
それぞれの資格の概要、特徴などを紹介します。
酒類販売管理者
酒類販売管理者とは、酒類の適正な販売管理のために、従業員などに対して助言や指導を行う人のことです。
コンビニでお酒を販売する場合、スタッフの中から酒類販売管理者を選任して常駐させる必要があります。
酒類販売管理者は、過去3年以内に酒類販売管理研修を受けた方の中から選任する必要があります。
酒類販売管理者として選任される予定のある方が過去3年以内に研修を受けていない場合は、受講しなければいけません。
以下では、お酒を販売するコンビニが負う酒類販売責任者の選任に関する義務をまとめました。
- お酒の販売を行うコンビニ店舗ごとに酒類の販売業務に従事する者の中から酒類販売管理者を選任する
- 選任後、2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を所轄の税務署に提出する
- 選任後、3カ月以内に「酒類販売管理研修」を受講させる
なお、酒類販売管理研修の受講料は、JFA(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)の会員であるコンビニチェーンとFC契約を締結してコンビニを開業する場合、2,000円となります。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、現場の責任者として、食中毒や食品衛生法違反を起こさないように食品衛生上の管理運営を行う人のことです。
ホットスナックなど食品の製造販売を行うコンビニを開業する場合、食品衛生責任者の資格を持つ人を1店舗につき1人選任する必要があります。
食品衛生責任者の資格を取得するには、食品衛生責任者養成講習会を受講したうえで講習の内容を確認するテストに合格しなければなりません。
なお、講習自体の時間は7時間程度とされており、受講料は10,000円です。
以下では、講習会の受講から営業許可が下りるまでの流れをまとめました。
食品衛生責任者養成講習会を受講する・受講後に交付される修了証書と合わせて、保健所に営業許可申請書を提出する・保健所の担当が基準を満たしているか店舗チェックに訪れる・問題ない場合、許可証が交付される
安全衛生推進者
労働安全衛生法の定めにより、常時10人以上50人未満の労働者を使用するコンビニを開業する場合は、安全衛生推進者を選任しなければなりません。
安全衛生推進者は労災関係の知識を習得し、職場の安全衛生を確保する役割を担います。
安全衛生推進者の資格を取得するには、2日間にわたる講習の受講が必要です。
受講料は地域によって若干異なりますが、目安は10,000円程度とされています。
防火管理者
防火管理者とは、防火管理業務の推進責任者として、防火管理に関する知識を持ち、強い責任感と実行力を兼ね備えた管理的または監督的な地位にある人のことです。
防火管理者の資格は、甲種と乙種の2つに分けられます。
これらの区分の具体的な基準は、建物面積が300㎡未満の場合は乙種に該当し、それ以外は甲種に該当するという仕組みです。
ちなみにほとんどのコンビニの建物面積は200㎡程度なため、乙種の取得で足ります。
乙種の資格を取得するための講習時間は5時間・受講料は6,500円です。
(たばこ)一般小売販売業
たばこ事業法の定めにより、たばこの販売は許可制とされています。
この許可はコンビニ店舗ごとに受けなければならず、許可権者は財務大臣です。
たばこの一般小売販売業の許可を受ける要件として、以下の項目に該当しないことが求められます。
- 申請者がたばこ事業法による罰金刑を受けて2年以内である
- 破産者等、たばこ事業法(第23条第1号から第7号まで)に定める者である
2つ目の要件は、簡単にいうと「たばこに関して国から処分を受けていないこと」を求めています。
コンビニFC契約までの流れと注意ポイント
最後に、コンビニの開業を目指す方に向けて、FC契約までの流れと注意ポイントを順番に取り上げます。
契約までの流れ
コンビニのFC契約を行うまでの流れは、以下のとおりです(一例)。
- 相談会への参加
- 個別の相談・説明
- 物件紹介
- 既存店舗の訪問
- 1日業務体験
- 候補物件の確認
- フランチャイズ契約内容の説明
- 意思確認・契約締結
契約を締結すると、念願のコンビニ開業にたどり着きます。
なお、コンビニのフランチャイズに加盟する際は、十分なリサーチが必要不可欠です。
そのため、まずは加盟を希望するFC本部の相談会・説明会に参加したり、同じフランチャイズに加盟している同業者を訪問したりして、フランチャイズ契約の実態を把握する所から開始しましょう。
物件の確認ポイント
実際にコンビニを開業する際の物件(土地・建物)選びには、FC本部から紹介を受けるパターンと自身で準備するパターンの2種類があります。
とはいえ、いずれのパターンにおいても、コンビニの開業を成功させるには、以下のようなポイントで物件を確認すると良いでしょう。
- 商圏
- 駐車場への入りやすさなど道路条件
- 公共施設や公園など周辺環境
まず第一に、コンビニに限らずいかなるお店を開業する際も、商圏(立地)が非常に重要なポイントとして位置付けられています。
具体的にいうと、「販売する商品にマッチングする顧客層が多くいるか」「近隣に競合他社のお店があるか」などを把握して、開業場所を決めると良いです。
また、駐車場への入りやすさなどの道路条件および、公共施設や公園など周辺環境によって、客数や売上などが大きく変動するため、欠かさずにチェックしておきましょう。
店舗訪問・業務体験のポイント
既存店舗の訪問時は、実際に経営している加盟店のオーナーなどから、経営に関する生の声を聞いて理解を深めましょう。
ここでは、複数店舗を巡りながら、成功の秘訣やこだわっている点、業務の流れなどを聞き出すと良いです。
また、業務体験は、コンビニオーナーとしての自身の適性を見極める大切な場です。店舗運営のノウハウ、経営に関する具体的な内容などを習得しつつ、コンビニオーナーとしての仕事の醍醐味・魅力・厳しさなどを体感することに集中しましょう。
なお、FC本部によっては、給与を得ながら店舗運営を学べるインターン制度を設けているため、必要に応じて利用を検討すると良いです。
契約内容の確認
FC契約を締結する際は、「法定開示書面」において内容を十分に確認しましょう。
特にテリトリー権の有無、契約違反となる事項およびペナルティや解約に関する規定などを重点的にチェックする必要があります。
テリトリー権とは、営業区域内で他者が新規出店を行う際、既存のオーナーとの協議を要する権利のことです。
この権利が設定されていると、FC本部による一方的な出店によって既存加盟店のオーナーの生活が脅かされる事態を避けられる可能性を高められます。
また、解約に関しては、特に違約金の発生条件や金額などを確認しておくことが大切です。
まとめ
この記事では、コンビニを開業したい方に向けて、必要な手続き、資金、資格のほか、コンビニFC契約を締結するまでの流れなどを紹介しました。
コンビニを開業したい場合、「フランチャイズへの加盟」「開業資金の準備」「必要となる資格の取得」などの手続きを進める必要があります。
フランチャイズに加盟する際は、FC選びのポイントを押さえておくことが大切です。
また、開業資金は、いかなる名目の費用がどれほど発生するのか把握したうえで準備を進めましょう。
そして、自身のコンビニ経営で必要となる資格をチェックした上で取得の手続きを進めていくと、スムーズな開業につながります。
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