会社設立で必要となる税金の種類や納税時期の決まりなどを解説

会社設立で発生する税金
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個人事業主として事業を行っているものの、法人化しようかどうか迷っている人も多いのではないでしょうか。法人化とは、個人事業から会社を設立して法人となることです。

事業を法人化すると節税もしやすくなりますが、事業の規模によってはコストの方が大きくなってしまう可能性もありますから、税金の種類や計算方法について、具体的に理解しておくことが大切です。


この記事では、会社を作ると発生する税金について分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

会社を作ると発生する税金の一覧

会社を作った場合に負担する必要がある税金は、大きく分けて「会社設立の手続き時に発生する税金」と、「会社設立後、毎年発生する税金」に分けることができます。
一覧表にすると、以下のようになります。

会社設立の手続き時に発生する税金いつ納めるか
定款の印紙税会社設立時
登録免許税会社設立時
法人税毎事業年度末から2か月以内
消費税毎事業年度末から2か月以内
法人住民税毎事業年度末から2か月以内
法人事業税毎事業年度末から2か月以内
源泉所得税給与支払月の翌月10日まで
固定資産税(償却資産税)年4回に分けて納付

以下では、それぞれの税金の内容や、おおまかな計算方法について見ていきましょう。

会社設立の手続き時に発生する税金

会社設立の手続きを行う際には、定款の印紙税と登録免許税という2つの税金を納める必要があります。
なお、会社設立のためには、これらの税金を含めて株式会社で20万円~25万円、合同会社で10万円~15万円程度が必要となります。資本金などとは別で、法的手続きのみにかかります

定款の印紙税

契約書や定款といった一定の種類の法律書類を作成した際には、印紙税という税金を納めなくてはなりません。
会社設立時には、4万円の印紙税を納付する必要があります。収入印紙は郵便局などで購入し、書類に張り付けて消印することで納付が完了します。

定款とは会社の名称や本店所在地・事業内容といった基本的な内容を記載したもので、公証役場で認証を受けてから、その他の書類と合わせて法務局に提出し、登記の申請をします。

登録免許税

登録免許税は、会社の設立登記を法務局で行うための手数料のような税金です。登録免許税の金額は、資本金をいくらにするかによって、次のように決まります。

  • 株式会社の場合:資本金額×1,000分の7(最低15万円)
  • 合同会社の場合:資本金額×1,000分の7(最低6万円)

資本金の額が約2,143万円(15万円÷1,000分の7=2,142万8,571円)未満である場合には、15万円の登録免許税を負担することになる計算です。

会社設立後に毎年発生する税金

会社設立後には、毎年次のような税金を納める必要があります。

  • 法人税
  • 消費税
  • 法人住民税(都道府県税・市区町村税)
  • 法人事業税
  • 源泉所得税
  • 固定資産税(償却資産税)

それぞれの税金の内容や計算方法について、順番に見ていきましょう。

法人税

法人税は、法人が事業から得た所得に対して課税される税金です。
法人税の税率は企業規模やその年に得た所得の金額によって異なり、中小企業の場合は次のように定められています。

  • 所得800万円以内の部分:法人税率は19%
  • 所得800万円以上の部分:法人税率は23.2%

なお、中小法人とは資本金が1億円以下の企業をいい、ほとんどの中小企業が該当します。
例えば、その年の所得が1000万円だったとすると、法人税額は次のように計算できます。

  • 所得800万円以内の部分:800万円×法人税率19%=152万円
  • 所得800万円以上の部分:200万円×法人税率23.2%=46万4000円
  • 合計額:152万円+46万4000円=198万4000円

法人税の税率は年によって改正されることも多いため、最新の税率を参照してください。上記は平成31年4月1日以降に開始する事業年度に関する税率です。

法人税は事業が黒字になった時にのみ課税される

法人税は、個人事業主でいう所得税のように、事業で得た所得に対して課される税金です。事業が黒字になった時だけに課税されます。

所得とは、ごく大まかにいえば会計上の利益(売上高-経費)のことです。ただし法人税の計算と利益の計算は考え方が異なるため、会計上の利益の金額とは微妙に異なることがあります。

消費税

消費税は、売上高に含まれる消費税から、仕入れや経費に含まれる消費税を差し引きした金額を納めます。

例えば、売上高が1,000万円、仕入れや経費の金額が600万円だった場合は次のように計算します。

(売上高1,000万円×税率10%)-(仕入高600万円×税率10%)=40万円

直近の消費税率は10%ですが、引き上げなど変更となる場合があります。

設立後「2事業年度」は消費税が免除される

消費税は、課税売上高が1,000万円を超える事業者に課税されます。しかし、設立してから2事業年度の間は納めなくていい決まりとなっています。

売上のほとんどが手取り収入となるような事業(デザイナーやライター、コンサルティング業など)では、消費税の負担額が大きくなる傾向です。

個人事業主としての活動が軌道に乗ってきたタイミングで法人化を行うのが適切といえます。

法人住民税(都道府県税・市区町村税)

個人が住所地に住民税を納めるのと同様、法人にも法人住民税を納める義務があります。

法人住民税は、市区町村や都道府県に対して納める税金です。次の2つに区分されています。

  • 法人税割:その年の法人税の金額に応じて計算
  • 均等割 :その年の法人税の金額にかかわらず一律で計算

法人税割の税率は各市町村・都道府県によって異なりますので注意してください。

例えば、東京23区内にある事務所がある法人の場合、法人税額1,000万円以内の部分は7.0%、1,000万円超の部分は10.4%です。

均等割は事業が赤字であるか黒字であるかによらず毎年納める必要がある税金で、資本金1,000万円以下の法人では年額7万円となります。つまり赤字の年にも最低7万円の税金がかかる、ということです。

法人事業税

法人事業税は、法人が事業を行うのに際し、公共物(道路など)や公共サービス(ゴミの回収や警察による警護など)を利用することに対して都道府県が課す税金です。

法人事業税の税額は、以下の計算式で算出します。

法人事業税の税額=その年の所得金額×法人事業税率

法人事業税率は、以下のように所得の金額に応じて3段階に分かれています。

  • 課税所得金額400万円以下の部分:3.4%
  • 課税所得金額400万円超~800万円以下の部分:5.1%
  • 課税所得金額800万円超の部分:6.7%

なお、令和元年10月1日以降に開始する事業年度分については、以下の税率で計算します。

  • 課税所得金額400万円以下の部分:3.5%
  • 課税所得金額400万円超~800万円以下の部分:5.3%
  • 課税所得金額800万円超の部分:7%

源泉所得税

源泉所得税は、企業で雇用する従業員がいる場合に、本来は従業員が自分で計算して納税すべき所得税を、企業が代わりに預かって納める税金です。
源泉所得税を負担するのは企業ではなく、従業員本人です。

従業員は自分が受け取った給与額に応じて所得税を納めますが、企業はその計算を代行して、毎月のお給料から天引きで納めるという事務を行う必要があります。

源泉所得税は「所得税の概算額」の前払い

源泉所得税とは、ごく簡単にいえば1年に1回納める所得税の前払いです。
所得税は1年間で得た所得の合計額から計算しますので、正確な金額は年末時点にならないとわかりません。
そのため、源泉所得税の概算額をとりあえず納める形をとります。

そして、年末に各従業員の年収が確定した段階で、概算額で納めた源泉所得税を正確な所得税の金額に計算しなおすのです。これがサラリーマンが年末に行う年末調整です。

源泉所得税を納める時期について

実務上は国税庁のホームページで確認できる「源泉徴収税額表」から、各従業員の毎月の源泉所得税を算出し、お給料から天引きして翌月10日までに税務署に納めます。

また、お給料を出している従業員の常時雇用数が10人未満である法人は、税務署で手続きを行うことによって源泉所得税の納付を半年に1回としてもらうことができます(納期の特例と呼びます)。

なお、経営者が役員として活動する場合にも、税金計算上は従業員と同様に源泉所得税を計算して毎月納めなくてはなりません。
経営者が1人で法人を経営していて従業員は1人もいないという場合でも、源泉所得税は納めます。

固定資産税(償却資産税)

固定資産税は、所有する固定資産に対して課税される税金です。
一般個人の場合には固定資産は土地や建物といった不動産が該当しますが、事業者の場合には機械設備や店舗看板のような構築物に対しても課税されるので注意が必要です。

なお、厳密に言うと固定資産税は土地や建物に対して課せられるもので、それ以外のもの(上の機械設備や店舗看板など)に課せられる場合には「償却資産税」と呼ぶのが本来です。

もっとも、固定資産税と償却資産税とはまとめて計算と納付を行うのが普通ですから、実務上はあまり区分する意味がありません。

固定資産税・償却資産税の申告は、毎年1月1日時点で所有している固定資産や償却資産について、1月31日までに市区町村に対して申告書を提出する形で行います。

その他の税金

上で見た税金の他にも、事業の状況に応じて以下のような税金が発生します。

  • 自動車税
  • 軽自動車税
  • 自動車重量税
  • 自動車取得税
  • 関税
  • 都市計画税
  • 入湯税
  • ゴルフ場利用税
  • 軽油引取税

もし、負担すべき税金を適切に納めていなかった場合には、税務調査が行われた結果として追徴課税が課せられてしまう可能性もありますから、注意しておきましょう。

まとめ

今回は、現在個人事業主として活動している方向けに、会社を作ることによって発生する税金の内容について解説いたしました。会社を運営していく以上、税金の負担はずっと付き合っていく必要があるものですから、どのような場合にいくらぐらいの税金を納めないといけないのかを理解しておきましょう。
税金については節税テクニックの方が注目される傾向がありますが、長期的な目で見れば、事業からしっかりと利益を出して、適切な額の税金を納める会社が「社会から必要とされる良い会社」といえます。

これから事業を起こすことを考えている起業家の方は、事業から生じる税負担の具体的な内容をぜひ理解しておいてください。

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