事業税とは
事業税とは、事業を行う個人、法人にかかる税金です。
ただし事業税はすべての事業者に課されるわけではなく、業種や所得によって課税される場合とされない場合があります。
そこで、課税される条件や、その他知っておくべきことについて解説します。
個人事業主にかかる事業税
事業税は個人事業主、法人の両方に対して課せられ、個人事業主にかかる事業税を個人事業税、法人にかかる事業税を法人事業税と呼んで区分することが多いです。
所得をベースに事業税額が決定されるという点では個人事業税も法人事業税も同じですが、個人の場合業種によって事業税がかからないケースもあり、また個人事業主と法人では税率が異なります。
そこで、まずは個人事業主にかかる個人事業税について解説します。
個人事業税が課税される条件
まず個人事業主の場合、法定業種に該当する業種以外は、事業税が課税されません。
法定業種は第1種事業、第2種事業、第3種事業に分類されており、それらに該当する事業者は事業税が課されます。
たとえば飲食店業は第1種事業に該当し、弁護士業、公認会計士業、医業、などは第3種事業に該当します。
個人事業主に多いライターやプログラマーは法定業種に該当しないため、事業税を納める必要がありません。
個人事業主の場合事業税が課される業種は全部で70業種ありますが、ブロガーやYouTuberなど比較的新しい業種は法定業種に該当していない場合が多いです。
業種の区分 | 税率 | 事業の種類 |
第1種事業 (37業種) | 5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、 保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、 金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、 物品貸付業、請負業、仲立業、興信所業、 製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、 出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、 写真業、公衆浴場業(蒸し風呂など)、 電気通信業、席貸業、演劇興行業、運送業、 旅館業、遊技場業 |
第2種事業 (3業種) | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業 (30業種) | 5% ※あんま・マッサージ又は 指圧・はり・きゅう・柔道整復、 その他の医業に類する事業は3% | 医業、公証人業、設計監督業、 公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、 不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、 税理士業、デザイン業、歯科技工士業、 獣医師業、公認会計士業、諸芸士匠業、 測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、 土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、 美容業、海事代理士業、行政書士業、 コンサルタント業、クリーニング業、 印刷製版業、製蹄師業、 あんま・マッサージ又は 指圧・はり・きゅう・柔道整復 |
個人事業税の納付先と計算方法
事業税は地方税なので、都道府県に対して納税します。
申告方法は、毎年3月15日までに事業所がある都道府県に対して申告書を提出します。
申告書のフォーマットなどについてですが、実は事業税単体で申告する必要はありません。
税務署に所得税の確定申告を行えば自動的に事業税の申告もしたことになります。
所得税は国税で税務署に申告するため管轄が違うのですが、税務署と都道府県はつながっています。
税務署と都道府県の間で事業税についての調整を行うので、事業者自身が計算する必要はありません。
その点では、所得を元に自動計算され、都道府県に対して支払う住民税と同じ仕組みです。
事業者自身が計算する必要はないのですが、一応計算式を知っておくと金額が把握できるので、請求金額に驚かずに済みます。
また万が一税務署が誤った金額を請求してきた場合に、指摘することができます。
計算式は以下です。
個人事業税の額=(所得の額-290万円)×税率
税率は、第1種事業が5%、第2種事業が4%、第3種事業が5%となっています。
たとえば年収が1,000万円で第1種事業に該当する場合、計算は以下のようになります。
(1,000万円-290万円)×税率=35万5,000円
法人にかかる事業税
次に法人にかかる法人事業税についてです。
基本的な仕組みは個人事業主の事業税と同じで、所得をベースに計算され、都道府県に対して納税します。
ただし個人事業主のように、業種によって課税されないということはありません。
赤字の場合は課税されませんが、所得がプラスになっていれば課税されるということです。
計算式は以下のようになります。
法人事業税額=所得×法人事業税率
具体的な法人事業税率は都道府県によって異なります。
たとえば東京都の場合所得別に3段階にわかれていて、400万円以下は3.4%、400万円超~800万円以下は5.1%、800万円超は6.7%となっています。
事業税を抑える方法
事業税を抑えるためには、所得を減らす必要があります。つまり所得税の節税方法と同じです。
事業税は所得をベースに計算されるからです。所得を減らすと言っても収入が減るのは本末転倒なので、経費や控除を最大限活用して所得額を減らします。
また個人事業主は法定業種から外れる形で登録しておけば事業税の対象にはならないのではないか、と思われるかもしれません。
しかし登録内容は関係なくて、事業の実態を元に法定業種かどうか判断されます。
そのため自力でできることはほとんどなくて、事業税については存在を知っておく程度で良いでしょう。
所得税を節税しようとすれば勝手に事業税も節税することになり、また事業税の申告は不要です。
事業税単体で何かやれることがあるわけではないので、特別意識することもありません。
まとめ
事業税は個人事業主、法人の両方に課せられる税金で、個人事業主の場合業種によって事業税がかかるかどうかが変わってきます。
また事業税は所得をベースに自動的に課せられるものなので、自分で計算したり申告する必要はありません。
ただし計算方法を知っておけばいくら取られるのか事前に計算して把握することが可能で、また万が一間違えた金額を取られた場合に指摘することができます。
そのためきっちり計算する必要はありませんが、簡単にでもだいたいどのくらいかかるのか計算して把握しておくことをおすすめします。