償却資産とは
償却資産税は固定資産税の一種で、償却資産にかかる固定資産税です。
償却資産とは土地、家屋以外の事業に使用する資産で、減価償却費が法人税法、もしくは所得税法の規定によって損金や経費に算入されるものを指します。
具体的には、パソコン、コピー機、といった一般的に使用される資産や、製造業、建設業などで使用する特殊な資産も償却資産に該当します。
また現在使用しているかどうかは関係なくて、使用していないものも償却資産に該当し、償却資産税の対象となります。
償却資産税とは
償却資産税は償却資産にかかる固定資産税ですが、すべての償却資産が償却資産税の対象になるわけではありません。
また償却資産税という項目があるわけではなく、固定資産税のなかで償却資産にかかるものを便宜的に償却資産税と呼んでいます。
そのため実際の項目名は固定資産税となります。
また償却資産の中で固定資産税の対象から外れるものは、以下のようなものです。
- 無形固定資産(権利やソフトウェア)
- 自動車(自動車税、軽自動車税の課税対象となる)
- 繰延資産
- 取得価額20万円未満、かつ3年間で一括償却している資産
償却資産税の仕組み
償却資産税は、資産の評価額に対して1.4%の税率となっています。
評価額は減価償却のルールに基づき、残存価額で評価されます。
たとえば1,000万円のものを2019年に購入した場合、償却資産税が課されるのは2020年です。
1年目に70万円価値が減った場合、残存価額は930万円になります。
この930万円に対して償却資産税が課されるので、930万円×1.4%=13万200円、となります。
次の年に100万円価値が減って残存価額が830万円となった場合、830万円×1.4%=11万6200円、となります。
高額な償却資産を持っているとそれだけで課税されるので、不要な償却資産は早めに手放した方が良いでしょう。
償却資産の免税点
償却資産は少額であれば償却資産税がかかりません。
具体的には、償却資産の合計が150万円未満なら償却資産税はかかりません。
ただし、非課税だから申告不要というわけではありません。
償却資産の評価額の合計が100万円以上、もしくは一つの償却資産の金額が10万円以上の場合は申告が必要です。
少しややこしいですが、まとめると以下のようになります。
償却資産税がかかる条件 | 償却資産の評価額の合計金額が150万円以上 |
償却資産の申告が必要な条件 | 償却資産の評価額の合計が100万円以上、 もしくは一つの償却資産の評価額が10万円以上 |
償却資産の申告期限と納付期限
償却資産の申告期限、申告先、提出書類などは以下です。
対象者 | 1月1日時点で償却資産を持っている人 |
申告期限 | 1月31日 |
申告先 | 償却資産のある市区町村 |
提出書類 | 償却資産申告書 |
納付のタイミング | 年4回 東京23区以外は4月、7月、12月、2月 東京23区は6月、7月、12月、2月 |
償却資産の申告義務があるにも関わらず申告しなかった場合、過去に遡って徴収されることになります。
納付のタイミングは年4回ありますが、この4回は自分で申告するような手間はかかりません。
納付書が送られてくるので、その納付書で納付すれば良いだけです。
また納付を口座振替にすることも可能で、口座振替にすれば自分で支払いに行く手間もかかりません。
償却資産税の節税方法
償却資産税は所得税ほど対策の余地が多いわけではありません。
ただし、逆に申告しなくて良いものまで申告し、無駄に多く税金を支払ってしまう可能性があります。
無駄に支払いすぎないためには、まず1月1日時点の資産内容を正確に把握することが重要です。
1月1日時点で保有していない資産に関しては申告する義務がないので、たとえば前年末に売却した資産や、1月2日以降に取得した資産を誤って申告しないようにしましょう。
また上で説明した通り、「自動車税・軽自動車税の対象」「無形固定資産」「繰延資産」を誤って申告しないことも重要です。
誤って申告した場合に税務署が指摘してくれる保証はなくて、そのまま課税されてしまう可能性もあります。
税務署は税収確保のためのチェックは厳しいですが、逆に税収を下げる、つまり納税者にとって利益になるような情報はあまり出してくれないかもしれません。
一概には言えませんが、利害関係を考えると、税務署はわざわざ納税者が得をする情報を出すメリットがないと言えます。
以上のことに気を付け、償却資産税を抑えるというよりは無駄に支払い過ぎないようにしてください。
まとめ
償却資産税は存在自体が認知されていなかったり、よくわからない、と思われることの多い税金です。
またそもそも償却資産税は便宜上そのように呼ばれているだけで、厳密に言えば償却資産にかかる固定資産税です。
知らないまま放置していても後から追加徴収される可能性があり、またよくわからないまま適当に償却資産をすべて申告すると損をするかもしれません。
損をしないためには償却資産税について基本的なことは把握しておいた方が良いでしょう。