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経営上手な社長が”嫌う税理士”とは?
経営上手な社長は、自社の財政状態や収益状況について、その詳細までは知らずとも、概略・ポイントは抑えられているケースが多いでしょう。
同様に、細かい勘定科目については知らずとも、ある出費が会社にとって有益な投資か、それ程意味のない削減すべき支出かは、経営者として判断が可能でしょう。
そのような「自社について確固たる信念をもって、明確な経営理念のもとに事業を運営している社長」は、税理士のどのような点を嫌っているのでしょうか。
そして、どのような期待をしているのでしょうか。
ここでは「経営上手な社長が嫌う税理士」、ひっくり返せば「経営上手な社長が望む税理士」について、いくつか例を挙げて解説します。
1.話が過去・現在の数字のことばかり(これからの目指すべき目標や、成功している営業戦略などのアドバイスが欲しい)
売上が対前年比で○○%、原価率の推移がこう、人件費率が上昇傾向で利益率が○○%低下、など「過去との比較分析」に終始している税理士は嫌われます。
経営上手な社長は常に現状を良しとせず、改善すべきポイントとそのために考えられる具体案のヒントについてのアドバイスを求めています。
具体案そのものを税理士に求めることは頼り過ぎとしても(その自覚のない社長がいるにはいますが)、様々な会社に横断的に関与している税理士に、具体案のヒントをもらいたいと考えることは、至極もっともではないでしょうか。
基幹業務は適正な経理・会計と税務申告にあるとはいえ、それ以上の「当社の今後の未来予想図」を一緒に考えてくれることを、経営上手な社長は望んでいます。
2.無資格者の担当としか話ができない(個々の事務についてはそれでいいが、本当に自社のことを考えてくれてる?)
日々の細々とした会計・経理処理については、担当する税理士が信頼しているのであれば、無資格の担当者が窓口でも問題ないかも知れません。
ただし、設備投資にかかる節税対策、助成金の情報、今後の経営方針についての相談まで、無資格の担当者とのやり取りで終始してしまうと、少し不安になってくるのは普通の感覚でしょう。
やり手の社長であればあるほど、そのままでいれば嫌われることは間違いありません。
やり手の社長ほど、経営のために役立てるものは最大限役立てようとする意識を強く持っているケースが多いです。
またそのような社長は、決断するとすぐ行動に移すでしょう。
コストとの兼ね合いもありますが、自社のために動いてはくれないと判断すれば、それからの行動は容易に推測できます。
日々の定型業務のほかにも、当社のことを気にかけて何かとアクションしてくれるかは、経営上手な社長が最も望んでいるポイントです。
3.会社にあまり来ない(決まっている回数以上は来なくてもいいけど、来ることで問題がわかることってあるよね?)
クラウド会計の浸透で、月次決算の度に会計事務所の担当者が会社に行かなくても、ある程度監査ができるようになりました。
事業規模により、毎月監査が必要でないケースもあるでしょうし、あらかじめ顧問契約に合意した訪問回数が盛り込まれているはずです。
その規定以上の回数を望んではいなくても、あまり当社に足を運んでくれない税理士は、それほど当社に真剣でないのではないのか、と社長が考えることは不自然でないでしょう。
日々の帳簿や決算書などの財務諸表は、事業活動の結果を示した文書に過ぎません。
日々の事業活動が行われているのは、会社や工場などの現場です。
その現場を見ずして経営の実態や課題を把握することは、机上の空論に過ぎません。
様々な事業者と接しているなかで培った専門家の所見を、事業活動の現場で活用して助言をもらいたい、経営上手な社長はそう考えています。
4.話が分からない(専門家じゃないのは知ってるでしょ?分かるように話してよ)
「損益分岐点売上高がこうで、それは固変分解して算出して、これくらいの売上が御社には必要です…」 などと、税理士をはじめ、その元で事務にあたる職員が、経理・会計や税務について専門知識を持っていることは当然でしょう。
しかし社長や経理担当者は専門知識を持っていないからこそ、専門家に頼っているのです。
「そんな状況で専門用語を並べて説明されても、わかるはずがない…。いや、もっと問題なのは当社側の人間に、そんな専門用語を並べてわかるはずがない、ということさえわかっていないことではないか?」
経営上手な社長であれば、自分の対応が相手にどう思われているかに無頓着なことは決してありません。相手の一歩上をいくことこそ経営者たるものでしょう。
専門家でなくても、この事業に責任を持つのは社長である私、私にわかるように話をしてもらいたいと、経営上手な社長は考えていることでしょう。
5.自分の考えを押し付けてくる(事業すべてを任せたわけじゃないよ)
時代は常に動いています。
終身雇用は崩壊目前、市場はEC(ネット販売市場)を抜きには語れないほどに進化しました。
このように経営環境が目まぐるしく動いているなか、借入に対する考え方ひとつとっても、もはや「絶対的に正しい」という定説はなくなったと言えるでしょう。
目的や必要期間によっては、以前は否定的とされた売掛金買取による資金調達も場合によっては有益となっています。
税理士自身の長年の経験に基づいた考え方も、有益かそうでないかを検証する必要がありますが、そのような検証をすることなしに、押し付けるケースがあるようです。
経営上手な社長であればあるほど、機を見るに敏なはずです。
また自社にとって最適な経営判断は何か、始終考えを巡らせているはずです。
自社にとって税理士が持つ専門知識の範囲内で、有益なアドバイスをもらいたいと経営上手な社長は願っていることでしょう。
6.ICTに弱い(この時代に致命的でしょ)
もはや今の時代、事業運営にICT(情報通信技術)は欠かせません。
これ抜きには事業効率化はあり得ません。
税理士自身がこの点について自覚せず、補助者に関与先への提案を任せっきりにしていて、効率化云々といっても説得力がありません。
そのことは経営上手な社長ならすぐ分かることです。
自社以上にICTに詳しく、業務効率化について先導してもらいたいと、経営上手な社長なら考えていることでしょう。
※ICT(情報通信技術):パソコンだけでなくスマートフォンやスマートスピーカーなど、さまざまな形態のコンピュータ端末を使った情報処理や通信技術の総称。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、経営上手な社長が嫌う税理士について解説しました。
経営者の方なら、いくつか思い当たる節があるのではないでしょうか。
もし現在依頼している税理士が、これらのポイントに当てはまっていれば、他の税理士を検討する時期に来ているのかもしれません。
税理士は、企業の会計を一括して把握することのできるポジションであり、 そこから綿密な経営のアドバイスや、月次収支の処理を行いますので、いざ必要に迫られて慌てて駆け込んでも対応できないことがほとんどです。
税理士選びや税務相談はなるべく早めに行動、を心掛けてください。