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税務調査で押さえておきたい基礎知識
みなさんは「税務調査」について、どれくらい知識をお持ちでしょうか?
自分は税金をちゃんと納めているから、税務調査とは無縁だと思っている経営者は多いでしょうが、それでも来てしまうことがあるのが、税務調査なのです。
予備知識なしに、ある日突然、税務調査が来てしまうと、何をしたらよいのか分からくてパニックになりかねません。
税務調査は他人事ではありませんから、その日に備えて基礎知識を持っておく必要があります。
そもそも税務調査とは?来る可能性はある?
税務調査は正確には、税務署による質問検査権の行使で、国税通則法74条の2によって定められているものです。
大きく分けると、強制調査と任意調査の2種類があります。
強制調査は、厳密には国税犯則取締法に基づくもので、いわゆる「マルサ」がこれに当たり、悪質な脱税者を摘発するために行われているものです。
逆に言えば、悪質な脱税を行っていない限り、強制調査を受けるようなことはまずありません。
普通に税金を納めているならば、心配することはないでしょう。
強制調査の場合は、裁判所が発行した令状が必要になります。
捜査を行う際には、必ず令状を提示しなければならないと決められています。
これに対して任意調査は、帳簿を中心に調べ、確定申告の内容が正しいかどうかをチェックするものです。
内容の妥当性をチェックした上で、問題があれば修正申告などを行うことになります。
任意調査はまず、準備調査を行い、税務署が調査すべきポイントを把握します。
それから実地調査に入りますが、これは「一般調査」「現況調査」「特別調査」「反面調査」の4種類に分けられます。
まず、一般調査と呼ばれるもので、帳簿を中心に、申告内容が正しいかどうかを調べます。
飲食店などを対象に「抜き打ち」で行うのが現況調査です。
準備調査を行った結果、一般調査だけでは手ぬるいと判断されれば、より細かく調べる特別調査の対象となります。
そして、取引先に対して行われるのが反面調査です。
こうした任意調査は、意識的に脱税を行っていなくても来ることがあります。
一般的に注意すべき税務調査は、こちらだと思っておいて間違いありません。
税務調査はどのようにして来る?
税務調査は、基本的には前もって調査を行うと連絡が来ます。
調査が行われる10~20日前に連絡が来ることが多いようです。
任意調査なので、許可なしに職場内へ入ってきたり、勝手に帳簿などを見たりすることはできません。
あくまでも帳簿などは任意で提出する形になりますが、調査を拒否すると処罰の対象になり得ます。
ここで、事前の連絡が「基本的に行われる」と書いたのには理由があります。
任意調査のうち、現況調査については、事前の連絡なしに行われるからです。
飲食店などのように、現金商売の職種は脱税が行われやすいと、税務署から見られているので、一般調査ではなく現況調査という形になることが多いのです。
ただし、あくまでも任意調査なので、調査員が来たからといってすぐに応じなければならない、というわけではありません。
現況調査が行われる場合、その場で顧問税理士に連絡を取り、立ち会ってもらいましょう。
その日に立ち会ってもらうことが無理ならば、日を改めてもらうこともできます。
税務調査はどのような会社に入りやすい?
税務調査は、税収を増やすために行われるものですから、調査によって修正申告が必要となる可能性が高い会社だと、行われる可能性が高くなります。
まず、過去に重加算税を課せられた会社は、その後も税務調査が入りやすくなります。
同じような不正が行われているのではないかと、疑われやすいためです。
短期間で業績が大幅に変化した会社も、税務調査が入りやすいです。
会計のごまかしが行われやすいと、税務署が判断する傾向にあるからです。
業績が上がっているにもかかわらず、営業利益や経常利益が横ばいだったり、逆に減っていたりするような会社は、不自然だと判断されて税務調査が入りやすくなります。
経費の計上額が多い会社も、税務調査の対象となりやすいです。
経費の中に、経費とは認められないものが混じっている可能性があると見られやすいためです。
税務調査が行われやすい業種はある?
ちなみに、税務調査が行われやすい業種というものがあります。
主なものは以下の通りで、不正申告が行われることが多い業種がターゲットになっているとされています。
- 飲食店
- 土木建設業
- パチンコ店
- 自動車修理業
- トラック運送業
これらの業種を営んでいるのなら、それだけで税務調査が入る可能性は高めです。
普段から帳簿をしっかりつけ、顧問税理士と連絡を取るなど、調査に備えておいた方がいいでしょう。
まとめ~必要以上に構えないことが肝要~
税務調査のうち、任意調査については不正をしていなくても行われる可能性があります。
自分は不正をしていないからといって、安閑としているわけにはいかないというわけです。
特に飲食店など、現金取引が主流で会計をごまかしやすく、税務調査の対象となりやすい業種は税務調査の基礎知識を身につけ、いつ調査が来てもいいように「備え」をしておいた方がいいでしょう。