個人事業主が知っておくべき所得税額の仕組みと税額控除
個人事業主にとって所得税の納税は義務なので、当然、所得税の仕組みや申告、納税方法を把握しておく必要があります。
さらに所得税は、知っているか知っていないかによって、得をすれば損もすることもあるのも厄介なところです。
厳密に言えば支払っている時点で得ではないのですが、多くの場合なるべく節税したいと考えるのが自然でしょう。
そこで、所得税の仕組みと併せて、税額控除についてもポイントを押さえておくことが重要です。
所得税額の仕組み
まず最初に、所得税額はどのように割り出されるのか、知っておかなければなりません。
税額控除も重要ですが、まずは大前提となる所得税額の計算方法を理解しておくことで、控除などのお得な情報を理解しやすくなります。
所得税額ってそもそも何?ということですが、以下のステップで計算していきます。
所得=収入-必要経費
課税所得=所得-所得控除
所得税額=課税所得×税率
納税額=所得税額-税額控除
以上のように、段階的に計算して、最終的に納税額が出てきます。
一見するとよくわからないかもしれませんが、順を追って見ていくとシンプルです。
強いて言うのであれば、所得控除と税額控除って何が違うの?という疑問が出てくるかもしれません。
形式的には、差し引くタイミングが異なります。
所得控除は所得から差し引くものですが、税額控除は所得税額から直接差し引きます。
当然、同じ金額の控除を適用するなら、税額控除の方が節税効果は大きくなります。
税率をかける前の所得額から差し引くよりも、税率をかけてすべて計算したあとの納税額から差し引いた方が、差し引く金額が大きくなるからです。
税額控除の種類
税額控除は上で説明した通り、所得控除と違って所得税額から直接差し引くことができる分、節税効果が大きいと言えます。
税務署からすると、このように大きな節税効果を簡単に認めてしまうと、当然、税源が減ってしまいます。
そのため所得控除と比べて、税額控除できる項目はかなり限定されています。
具体的な税額控除の項目としては、以下のようなものがあります。
- 配当控除
- 外国税額控除
- 住宅借入金等特別控除
- 住宅耐震改修特別控除
- 住宅特定改修特別税額控除
それぞれの項目が具体的に何なのかよくわからなくても、なんとなく場面が限定的であることがわかるかと思います。
まず配当控除とは、株の配当金を受け取ったときに使える税額控除です。
株式の売買で得た利益は、基本的に源泉徴収されているので、確定申告不要な場合が多いですが、確定申告することで配当控除を受けられます。
外国税額控除は、外国で収益が発生した場合に、日本と外国で二重課税を防ぐ目的があります。
住宅関連の控除も、出費した場合にその年の所得税から、一定額を控除することができます。
所得控除の種類
税額控除の種類は上で挙げた通りですが、併せて所得控除についても紹介します。
所得控除の項目としては以下が挙げられます。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- 雑損控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
所得控除は税額控除と比べて種類が多く、また多くの人に関係のある項目が多いことがわかります。
たとえば、基礎控除は所得税を納税するすべての人に一律で適用されます。
全員一律38万円控除されるので、所得控除が0の人はいないということです。
配偶者控除、医療費控除、各種保険料に関する控除なども有名なので、耳にしたことのある方が多いでしょう。
控除はすべて把握した上で使えるものを探してみる
税額控除と所得控除について紹介しましたが、一つ一つ確認していくとそれほど複雑なものではありません。
まずはざっくりとどのような控除があるのかを把握し、使えそうなものがあれば詳しく調べてみてください。
当然ですが、控除に関しては税務署側から提案してくれるわけではありません。
基本的に税務署は納税額を増やして、税収を確保することを考えているので、納税者が控除を適用せずに、もったいないことをしていることに気付いても、あえて指摘はしないものです。
逆に、納税者が不当に得をしている場合は指摘しますが、納税者が得をする指摘はしてくれないということです。
税務署と納税者の利害関係が逆になっている以上、仕方がないことでしょう。
つまり控除は、自分で見つけて自分で適用しないと、誰も指摘してくれないのです。
税理士を付けている場合は税理士が言ってくれる、もしくは処理までやってくれるかもしれませんが、税理士を付けずに自分で確定申告している納税者は、自分で把握しておかないと損をすることになります。
まとめ
絶対に使えるすべての控除を、使わなければならないわけではありません。
ですが、使わないと無駄に多く納税することになるので、ぜひ節税対策として各種控除の種類を正確に把握しておいてください。