目次
青色申告で赤字リスクを回避できる!?
多くの事業者は開業から3年以内程度は、赤字になる可能性が高いのではないでしょうか。
将来的に成功する可能性の高い事業であっても、最初のうちは赤字ということです。
赤字なら白色申告で問題ないだろう、と思われるかも知れません。
実は、赤字でも青色申告でした方がメリットがあることはご存知でしょうか?
具体的なメリットを、下記に挙げて解説いたします。
3年間は青色申告で赤字分を差し引ける
青色申告であれば、最初の3年間は赤字分を差し引くことができます。
たとえば初年度が赤字で、翌年度が黒字であった場合、初年度の赤字分を翌年度の黒字分と相殺し、課税所得を減らすことが可能です。
損失申告が必要
赤字年度の分を黒字年度の分と相殺するためには、赤字年度の分もきちんと申告しておく必要があります。
たとえば、赤字だったから申告しない、いざ黒字になって初めて赤字の分との相殺を申告する、といったことはできません。
その年度のうちにきちんと損失申告しておかないと、黒字になったときの相殺ができないということです。
知らなかったと言っても後の祭りなので、赤字の時ほど申告する意識が税金の相殺につながるでしょう。
損失申告しないと大損する可能性もある
損失申告を忘れると、かなり損をする可能性があります。
損失申告は開業から3年間使用可能ですが、たとえば1年目の損失は2年目、3年目の両方に補填することができます。
1年目だけ赤字、2年目と3年目で挽回する、といったケースは多々ありますが、こういったケースでは特に損失申告しないと大損します。
具体的には、1年目に500万円の損失、2年目に250万円の利益、3年目に300万円の利益が出る、といったケースがあるでしょう。
この場合、初年度の500万円の損失により、2年目と3年目合わせて50万円の利益まで課税所得を少なくすることができます。
損失500万円に対し、利益が250万円+300万円=550万円となるからです。
初年度の損失申告を怠ると500万円課税所得が増えることになるため、かなり大きな額です。
赤字と黒字の数字が大きければ損はより膨らむことになります。
白色申告で赤字の場合
白色申告の場合、赤字を繰り越すことはできません。
つまり、たとえば初年度が赤字で翌年度が黒字の場合、黒字分の課税所得から赤字分を差し引くことはできないということです。
基本的に、白色申告で赤字分を繰り越すことはできないのですが、変動所得なら白色申告でも損失繰り越しができます。
変動所得とは、原稿料、著作権使用料、などです。
これらの所得は年度によって変動が大きいため、変動所得とみなされるケースが多いです。
他にも例外的に、災害等により資産がダメージを受けることがあります。
こういった突発的な損失に関しては、翌年度以降に繰り越せる仕組みになっています。
白色申告でもこういった例外的な措置はあるものの、基本的には損失を繰り越すことができません。
また白色申告でできる繰り越しは青色申告でも可能です。
白色申告の方が手軽ではありますが、繰り越しを含めて、その他の節税効果を考えると、青色申告に分があるでしょう。
別の所得の赤字と損益通算できる
上での説明は、基本的に事業所得のみを想定していました。
しかし、事業所得と他の所得を損益通算し、トータルで赤字として処理することも可能です。
そしてその赤字分を繰り越すことが可能なのです。
具体的には、赤字になる可能性のある所得は以下です。
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
- 譲渡所得
まず事業所得は事業から生じる所得で、企業の所得も個人事業主の所得もほとんどは事業所得になるでしょう。
不動産所得は不動産の貸付から生じる所得です。
貸付から生じる所得なので、不動産業者が不動産を販売した所得は、不動産所得ではありません。
不動産を販売した所得は事業所得です。
山林所得は山林の伐採、譲渡による所得です。
ただし山林所得は、山林を所有してから5年よりも経過していることが条件になっています。
取得してから5年以内の所得に関しては、事業所得、もしくは雑所得として計上するルールです。
譲渡所得は資産を譲渡したことで生じる所得です。
具体的には、土地、建物、骨董品、宝石類、などが該当します。
初年度から青色申告がおすすめ
開業当初はいろいろと忙しく、事業が軌道に乗るまでは寝食を惜しみ、昼夜問わず働くことになるかもしれません。
納税も何も、そもそも税金として納められるだけの稼ぎがない、という状態も珍しくありません。むしろそれが普通でしょう。
こんな状態で青色申告も白色申告も関係ないだろう、と言いたいところですが、青色申告をしておくと後々、得をする可能性が高まります。
まとめ
事業がある程度軌道に乗って収益が出てから、やっぱり最初から青色申告しておけば良かったな、と思っても後の祭りです。
こうならないためには、なるべく最初から青色申告しておいた方が良いでしょう。
赤字でも「青色申告した方が後々得をするかもしれない」という意識だけは持っておいた方が良いです。