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「ふるさと納税」控除倍増、法人で行う際のポイント
2016年4月に「企業版ふるさと納税制度」が創設され、個人名義だけでなく、法人名義でふるさと納税を行うことが可能になりました。
個人と法人ではいくつかの違いがあり、たとえば税額控除の点で違いがあります。
個人の場合所得税と住民税が控除されますが、法人の場合は法人税、法人住民税、法人事業税が控除の対象です。
そして控除面でのメリットは実は法人の方が大きい場合が多く、なおかつ税制改正でより控除がお得になりそうです。
法人の場合は返礼品がない
個人のふるさと納税は返礼品をもらえますが、法人の場合は返礼品がありません。
基本事項として説明が省略されることが多いのですが、もしかするとご存じない方もいるかもしれません。
法人のふるさと納税では返礼品をもらえない、という点はあらかじめ把握しておいた方が良いでしょう。
法人がふるさと納税を行う目的
個人の場合、返礼品をもらいつつ地域に貢献する目的でふるさと納税を行います。
一部控除も適用されるので、複数のメリットがあります。
これに対し、法人は返礼品がもらえません。
ではなぜ法人はふるさと納税を行うのか?という疑問が出てくるでしょう。
結論としては、社会貢献活動に取り組んでいるというアピールをしつつ、税金の控除もあるからです。
控除については後述しますが、返礼品がない分個人よりも法人の方が控除が大きい傾向にあります。
法人のふるさと納税は地方創生応援税制
ふるさと納税は個人向けの名称で、法人版のふるさと納税の正式名称は地方創生応援税制と言います。
とはいえ、ふるさと納税という呼び方が間違いというわけではありません。
また法人と個人ではふるさと納税の手順が異なり、ひとことで言えば法人の方が手間がかかります。
詳細は割愛しますが、国が認定した地方創生事業に対する寄附だけが控除の対象となるため、その確認作業や、認定作業が必要になるのです。
他にも、法人の場合1回あたりの寄付金が10万円以上でなければならない、などの違いがあります。
寄付額の最大3割が差し引かれる
基本的に、法人がふるさと納税した場合、法人税、法人住民税、法人事業税から最大で3割が差し引かれる仕組みです。
つまり、ふるさと納税で寄附した金額の3割が控除されるということです。
個人の場合、所得税の控除額は「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率」です。
所得税は累進課税なので所得によって税率は変わってきますが、税率が3割を超えるのは高所得者です。
結果的に、多くの場合法人の方が控除がお得になります。
損金算入と合わせて最大6割控除
法人がふるさと納税した場合、控除額は3割が上限ですが、別の損金算入の仕組みがあり、合計で最大6割の控除を受けられます。
さらに控除額が引き上げらたので、さらに控除がお得になります。
改正により控除額を6割まで引き上げ
従来、ふるさと納税の控除の上限は3割ですが、2020年度(令和2年度)の税制改正により、6割に引き上げとなります。
現行の損金算入と合わせると結果的に最大9割控除されます。
(残念ながらそもそも制度が十分に活用されていないという指摘もあります)
認定手続きも緩和の予定
現行制度では、寄付先の事業が国の認定を受けているかどうかなど、確認し、手続きをしてからふるさと納税を行う仕組みになっています。
手続きを踏まずにふるさと納税を行うことも可能ですが、そうすると控除額が減ってしまいます。
こういった制度の煩雑さから寄付金額が減っているという指摘があり、認定手続き緩和の方向に政府は動いています。
まとめ
地方創生応援税制は、控除を受けつつ社会貢献をアピールできる仕組みですが、現状はメリットよりも、単純にお金がかかるというデメリットの方が際立ってしまっています。
今後、より地方創生応援税制を推し進めるためには、控除額を大きくする必要があるということで政府は動いています。
ふるさと納税を検討している法人にとって、今後の動向は見ておいた方が良いでしょう。