遺言書に関する新ルール「自筆証書遺言書保管制度」とは?

遺言書に関する新ルール「自筆証書遺言書保管制度」とは?
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遺言書の保管方法に新ルールが追加

遺言書の保管方法はいくつかありますが、2020年7月10日に、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行され、新ルールが追加されました。
「自筆証書遺言書」を法務局で保管することができるようになったのです。

遺言書の作成・保管方法

遺言書には、次の2種類があります。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人とともに2人以上の証人が立ち会い、公証役場で厳格な方式に従って作成される遺言書です。
でき上がった遺言書は、公証人がその原本を厳重に保管します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、15歳以上の人が自分の意志により、法律上の要件を満たしつつ、手書きで作成する遺言書のことです。
なお、遺言者の死亡後には家庭裁判所での検認手続きが必要です。
自筆証書遺言は自分で原本を管理する必要があるため、自宅で保管したり弁護士が保管したりします。
今回できた新ルールでは、この自筆証書遺言書を法務局でも保管できるようになりました。

法務局による自筆証書遺言書保管制度とは?

自筆証書遺言書保管制度というのは、自筆証書遺言書を作成した本人が、法務局に遺言書の保管を申請することができる制度です。
これを利用すると、遺言者にとっても相続人にとってもさまざまなメリットがあります。

自筆証書遺言書保管制度のメリット

自筆証書遺言書補完制度には、次のようにたくさんのメリットがあります。

  • 専門家が保管前に自筆証書遺言に不備がないか確認してくれる
  • 遺言書の紛失や隠匿などを防げる
  • 遺言書を他人に見られる心配がない
  • 遺言書の存在を簡単に把握できる
  • 家庭裁判所での検認手続が不要なためすぐに相続手続きを始められる
  • 全国一律サービス
  • 相続登記促進

自筆証書遺言書保管制度のデメリット

あえてデメリットを挙げるとしたら、次のような点でしょう。

  • 手数料がかかること
  • 本人しか申請できないので、本人が法務局に出向く必要があること

自筆証書遺言書保管制度利用時の注意点

公正証書遺言の場合は、公証人に遺言書の内容についても相談することができました。
しかし、法務局の自筆証書遺言保管制度の場合は、法務局で遺言書の内容についてまで相談にのってくれるわけではありません。
法務局が行うのは遺言書の形式に不備がないかのチェックのみですのでご注意ください。

また、自筆証書遺言書保管制度には、遺言者の死亡時に相続人に通知をするシステムはありません。
そのため、法務局に保管していることをだれも知らなければ、死後に遺言書を発見されないままになる可能性があるので注意が必要です。
遺言書を法務局に預けると、保管証を発行されますので、相続人に渡しておくなど、保管証の存在がわかるようにしておくことをおすすめします。

遺言者が法務局で行う自筆証書遺言書保管制度の諸手続き

では、自筆証書遺言書保管制度に関して、遺言者が法務局で行う主な手続きの流れをご紹介していきます。

遺言書の保管の申請手続き

法務局で遺言書を保管してもらいたい遺言者は、次のような手順で遺言書の保管を申請します。

1.自筆証書遺言書を作成する。
2.次のいずれかから遺言書保管所を選び決定する
・遺言者の住所地 
・本籍地
・所有する不動産の所在地
3.申請書を作成する
4.遺言書の保管の申請を予約する
5.遺言書の保管の申請をする 遺言者本人が、予約した日に必要書類を持参して保管する法務局の窓口へ
【必要書類】
・遺言書…ホッチキス止め、封筒不要
・申請書…あらかじめ記入
・添付書類…本籍の載った住民票の写し(3か月以内)等
・本人確認書類…マイナンバーカード・運転免許証・運転経歴証明書・パスポート・乗員手帳、在留カード、特別永住者証明書のなかから有効期限内のものいずれか1点
【手数料】 3,900円(収入印紙
6.保管証を受領する

遺言書の閲覧の手続き

遺言者は、預けた遺言書の内容を確認したくなったら、閲覧請求をすることができます。
閲覧は、モニターによる画面での閲覧か、原本の閲覧のどちらかになります。
原本を閲覧したい場合は保管申請した遺言書保管所でしか閲覧できませんが、モニターによる閲覧なら、全国のどこの遺言書保管所(法務局)からでも可能です。
閲覧請求の手続きは、次のような手順で行います。

1.閲覧請求する遺言書保管所を決める
2.請求書を作成する
3.閲覧請求の予約をする
4.閲覧の請求をする
請求できるのは遺言者本人のみなので、運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を提示し、請求書を遺言書保管所に提出
【手数料】
・モニター…1回1,400円(収入印紙)
・原本…1回1,700円(収入印紙)
5.閲覧する

遺言書保管申請の撤回手続き

遺言者は、預けた遺言書を返してもらいたい場合に、保管申請の撤回の手続きをすることができます。
撤回手続きをしたい場合は、次のような手順で手続きをします。

1.撤回書を作成する
2.保管申請した遺言書保管所に撤回の予約をする
3.撤回を申し出る 撤回できるのは遺言者本人のみなので、運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を提示し、撤回書を遺言書保管所に提出
【手数料】不要
4.遺言書を受領

相続人が法務局で行う自筆証書遺言書保管制度の諸手続き

続いて、相続人が法務局で行う、主な手続きの流れをご紹介していきます。

遺言書保管事実証明書の請求手続き

亡くなった特定の人について、自分が相続人や受遺者となっている遺言書が、保管されているかどうか確かめたい場合には、遺言書保管事実証明書を請求することができます。
これは、遺言者が亡くなっている場合にのみ請求できるものです。
交付請求できるのは、相続人・受遺者・遺言執行者等、またその親権者や成年後見人などの法定代理人です。
遺言書保管事実証明書の請求は、次のような手順で行います。

1.交付請求する遺言書保管所を決める
2.請求書を作成する
【添付書類】
・遺言者の死亡を確認できる戸籍謄本や除籍謄本
・請求者の住民票
・相続人等であることを確認できる戸籍謄本 ※請求者が法人の場合は代表者事項証明書
3.交付請求の予約をする
4.交付の請求をする
【手数料】1通800円(収入印紙)
5.証明書の受領
・窓口…運転免許証等の本人確認書類を提示して受領
・送付…請求者の住所へ送付

遺言書情報証明書の請求手続き

相続人等は、亡くなった特定の人の遺言書の内容を確認したい場合に、遺言書情報証明書を請求することができます。
こちらも、遺言者が亡くなっている場合にのみ請求可能です。
交付請求できるのは、相続人・受遺者・遺言執行者等、またその親権者や成年後見人などの法定代理人です。
遺言書情報証明書は、登記や各種手続きに利用でき、家庭裁判所の検認も必要ありません。
遺言書情報証明書は、次のような手順で請求します。

1.交付請求する遺言書保管所を決める
2.請求書を作成する
【添付書類】次のいずれかを添付
・法定相続情報一覧図の写し(住所の記載あり)
・法定相続情報一覧図の写し(住所の記載なし)+相続人全員の住民票の写し(3か月以内)
・遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍)謄本+相続人全員の戸籍謄本+相続人全員の住民票の写し(3か月以内)
3.交付請求の予約をする
4.交付を請求する
【手数料】1通1,400円(収入印紙)
5.証明書を受領
・窓口…運転免許証等の本人確認書類を提示して受領
・送付…請求者の住所へ送付

まとめ

遺言書に関する新ルール「自筆証書遺言書保管制度」とは?

この記事では、遺言書に関する新ルールである、法務局による自筆証書遺言書保管制度とは何なのか、そのメリットやデメリット、注意点などを解説しました。
また、自筆証書遺言書保管制度に関する主な手続きの方法についても、具体的にご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。