何が違う?会社員と自営業の健康保険制度の違い

何が違う?会社員と自営業の健康保険制度の違い
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【会社員vs自営業】健康保険制度の違いとは?

今回は、会社員と個人事業主の健康保険制度についての解説ですが、そもそも会社員と個人事業主とでは、社会保険制度の内容が異なることをご存知でしょうか?
会社員は民間企業に入社すると、当たり前のように次のような社会保険に加入します。

  • 健康保険:会社に勤める従業員や事業者、その家族が加入する公的医療保険
  • 厚生年金保険:主に会社員が加入する年金で、国民年金(基礎年金)に上乗せして給付される年金
  • 雇用保険:失業した場合などに、労働者の生活や雇用の安定を図るために、必要な給付を行うための保険
  • 労災保険:業務中や通勤途中に起きた出来事に起因して、労働者がケガや病気、障害、または死亡したときに、必要な給付を行うための保険

それに対し、個人事業主が加入するのは、次の二つの保険のみです。

  • 国民健康保険:個人事業主や無職の人など、会社の健康保険に加入できない人が加入する公的医療保険
  • 国民年金保険:日本の公的年金のうち基礎年金とも呼ばれるもので、自営業者などの第一号被保険者が自分で納める年金

一見しただけでも、会社員と個人事業主の社会保険制度には、大きな違いがあることがわかりますよね。

ここでは、会社員が加入する健康保険と、個人事業主が加入する国民健康保険に絞って、二つを比較してみましょう。

会社員が加入する健康保険

大手企業なら、会社独自の健康保険組合があったり、業界で作られた健康保険組合があります(組合けんぽ)。

そのため、主に大企業の会社員は、これらの健康保険組合に加入しているのが一般的です。
健康保険組合のない中小企業の会社員については、主に全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入します。
そして、どちらも原則として、保険料は会社と本人とで半分ずつ負担することになっています。

では、保険料はどのように計算するのでしょう?
健康保険の保険料は、被保険者の標準報酬月額と標準賞与額を足し、そこに保険率をかけた額となります。
保険料を計算するときの保険率は、都道府県ごとに異なりますが、だいたいどこも10%前後です。
なお、40歳になると、これに介護保険料がプラスされます。

個人事業主が加入する健康保険

一方、個人事業主が加入するのは、国民健康保険です。

国民健康保険の場合は会社員とは異なり、保険料を全額自己負担することになります。
なお、保険料は市区町村ごとに異なり、以下の保険料の所得割額・均等割額・平等割額を算出し、これらをすべて足した額が国民健康保険の保険料として算出されます。

  • 医療分保険料
  • 後期高齢者支援金分保険料
  • 介護分保険料(40歳~64歳)

扶養家族の保険料の違い

また、会社員が加入する健康保険との最大の違いは、扶養家族の保険についてです。
会社員は、家族を扶養に入れると、扶養家族が何人いても扶養家族の保険料はかかりません。
それに対し、国民健康保険には、そもそも「扶養」という考え方がないのです。
そのため、扶養家族もそれぞれ国民健康保険に加入し、保険料を負担しなくてはいけません。

例えば、国民健康保険料が月額20,000円だったとして、本人以外に扶養家族が2人いたとします。
そうすると、国民健康保険料は月額20,000円×3人分=60,000円ということになり、とても高額になってしまいます。

ただし、会社を設立した場合には、協会けんぽの健康保険に加入することができるので、家族を扶養に入れることが可能です。

健康保険制度は会社員より自営業の方が手薄って本当?

会社の健康保険であっても、個人事業主が入る国民健康保険であっても、病院にかかるときの医療費については、いずれも通常3割負担と同じです。
また、高額療養費制度もあり、同じように医療サービスを受けることが可能になっています。
しかし、国民健康保険には会社員の健康保険にあるようなプラスアルファがありません。

というのも、会社員が加入する健康保険の場合には、病気やケガで仕事を休む場合に「傷病手当金」が支給されます。
加えて、被保険者本人が出産する際には「出産手当金」も支給されます。
それに対し、国民健康保険には傷病手当金や出産手当金といったものはありません。

また、主に大手企業の社員が加入する健康保険組合では、人間ドックの補助金が出たり、スポーツジムや保養所、市販薬の割引を受けられるなど、さまざまな特典がある場合もあります。

任意継続被保険者制度を上手に利用

もともと会社員だった人が独立して自営業を始めるのであれば、任意継続被保険者制度を利用することができます。

通常、個人事業主は国民健康保険に加入しますが、会社員だった人は、退職した会社で加入していた健康保険に、最大2年間加入し続けるという選択肢があるのです。
任意継続被保険者制度を上手に利用すれば、傷病手当金などのプラスアルファの恩恵を引き続き受けることが可能になります。
ただし、在職中に会社と半分ずつ負担していた保険料については、退職後は全額自分で負担することになります。

それでも、もし出産予定があるのであれば、任意継続被保険者制度を利用すれば出産手当金をもらえます。
また、扶養家族が多い場合には、任意継続すれば扶養家族の保険料がかからないという利点もあります。

個人事業主が入っておきたい民間の保険とは

ここまで見てきたとおり、会社員と個人事業主の健康保険制度の内容には大きな違いがあり、個人事業主の健康保険制度の方が手薄になっています。

実際に、健康保険制度を比較したときに、明らかに手薄なのは、傷病手当金や出産手当金がないことですよね。
この傷病手当金というのはとても大きくて、会社員がケガや病気で働けなくなった場合には、標準報酬月額の3分の2を最長18か月間も受給できます。

そもそも会社員には、有給休暇だってありますので、ケガや病気で働けない時には有給休暇を使うことも可能です。
傷病手当金もなければ有給休暇もない個人事業主の場合、ケガや病気で働けなくなったときには、本当に困ってしまいますよね。
そこで、個人事業主は自分で自分を守る必要があります。
民間の保険を手厚くし、万が一に備えておきましょう。

個人事業主が入っておきたい民間の保険には次のようなものがあります。

  • 医療保険:入院費や手術費などの医療費の一部または全部が給付される保険
  • 就業不能保険:病気やケガにより働けない状態が長く続いた場合に収入の減少に備えるための、傷病手当金の代わりになるような保険
  • 所得補償保険:病気やケガにより働けないことで減ってしまった「所得」の減少を補うための、傷病手当金の代わりになるような保険

まとめ

何が違う?会社員と自営業の健康保険制度の違い

今回は、会社員と自営業の健康保険制度の違いについて解説しました。
比較してみると、個人事業主よりも会社員の方が、手厚い健康保険制度で守られていることがわかります。

また、ここでは健康保険制度に注目してご紹介しましたが、年金についても会社員が加入する厚生年金の方が手厚くなっています。

これらのことからも、個人事業主の場合は自分のことは自分で守ることが大切です。
ぜひ本記事を参考にしていただき、万が一に備えられるようにしておきましょう。

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