個人事業主・フリーランスの仕事はオンラインに移行していますが、ネットを活用するからこそより注意が必要なのが著作権・肖像権です。
「名前は聞いたことあるけど詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか。
また、ネットで検索した「画像や文章を流用」したりしていませんか?
この記事では、そもそも著作権・肖像権とはなにか、守るためにはどうすれば良いのか、などについて解説します。
著作権と肖像権
最近は個人事業主・フリーランスとして、ライター、デザイナー、などの仕事をする人が増えています。
これらの仕事ではオリジナルの成果物を作成するのが基本ですが、一部他人の作品等から影響を受けたり、引用する機会があるかもしれません。
そんなときに注意すべきが著作権・肖像権です。
それでは、この著作権と肖像権がそれぞれどのようなものなのかを解説します。
著作権とは
著作権とは、他人の著作物を勝手に利用してはいけないというものです。
厳密には、自分の著作物を他人に利用されない、つまり守る権利を著作権と呼びます。
では具体的に何が著作権に該当するかですが、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術、または音楽の範囲に属するもの(著作権法第二条の一)」と定義されています。
まとめると他人が制作したあらゆるものです。
ただし、明らかにオリジナリティのない誰にでも作れるようなものであれば、著作物に該当しないことがあります。
例えば正面から撮った証明写真、丸や四角のような簡単なイラスト、料理のレシピ、などです。
料理のレシピは著作物に該当しそうですが、単なる手順であってオリジナリティのある創作物ではないとされています。
ただし料理のレシピでも特別オリジナリティが高い、ストーリーやイラストなどオリジナルのものが付いている、となると創作物に該当する可能性があります。
このあたりもわりと曖昧ではあります。
肖像権とは
肖像権とは、容姿、姿態をみだりに利用されない権利です。
著作権と肖像権はなんとなく同じようなものという印象があるかもしれませんが、全然別ものです。
また、肖像権の中身を厳密に把握する必要はないかもしれませんが、プライバシー権としての権利と、パブリシティ権としての権利という二つの面から構成されています。
プライバシー権としての権利とは、自分の容姿を無断で撮影したり、その写真を商用目的に使われない権利です。
パブリシティ権としての権利とは、著名人の肖像や氏名から得られる集客に関する権利です。
他人の写真を勝手に撮影して利用した場合はもちろん、ネットで有名人の顔写真を引用して勝手に利用した場合、肖像権の侵害に該当する可能性があるということです。
著作権も肖像権も基準は曖昧
どこまでが権利に抵触せず、どこからが権利侵害になるのかは実は曖昧です。
著作権であれば、引用元を明記した上で文章などを利用すれば、一応問題ないということになっています。
しかし、文章の大半を引用文で構成するようなことをすれば、著作権侵害に該当する可能性が高いです。
ネット上の写真に関しても、引用元を明記した上での利用が著作権侵害に該当するかどうかは微妙なラインです。
また引用の引用も多発しているため、これが著作権の侵害に該当するかどうかはケースバイケースなのです。
肖像権に関しても、たまたま映り込んだ人の写真であれば利用しても問題ありませんが、肖像権侵害に該当するケースがゼロとは言い切れません。
著名人の不倫現場の写真を押さえ、たまたま写っただけとしてネットに公開するようなことも理論上不可能ではないからです。
この場合、たまたま写ったにしても公開すると影響を与えることが明白なので、肖像権侵害に該当する可能性もあるということです。
著作権トラブルはどのように回避すれば良いのか
カメラマンなどを除けば、個人事業主、フリーランスがより注意すべきは著作権侵害の方でしょう。
日常的に、ネット上から文章や画像を引用する場面が考えられるからです。
そして現状として、著作権が侵害されているケースは非常に多いです。
著作権侵害を回避するためには、グレーゾーンは避けることです。
他人のメディアから画像を引用しない、文章の引用は極力少なくする、画像はフリー素材のものを使う、デザインは参考程度にして似せすぎない、などが重要でしょう。
明確にクリーンな部分以外は避けるのが、著作権トラブルを起こさない最善策です。
著作権を侵害するとどうなる?
著作権侵害は簡単に起こりやすく、実際多発しているということでした。
では、そんなに著作権侵害が起こっているのであれば、訴訟も頻発しているのか?という疑問があるかもしれません。
実際のところ、著作権侵害に関する訴訟件数は増えていますが、肖像権侵害の数と比べるとごく一部です。
つまりほとんどの場合、著作権を侵害しても特に何も起こっていないということです。
理由としては、著作権は「親告罪(権利者からの告訴がなければ公訴を提起できない犯罪)」のため、そもそも侵害されていることに気付かない人が多い、仮に気付いても面倒なので放置している、といった場合が多いからです。
訴訟を起こされない可能性が高いなら著作権を侵害しても問題ないだろう、と思われる方もいるかもしれません。
しかし、著作権を侵害すると以下のようなデメリットが生じます。
- 訴えられる可能性もある
- 見た人からの印象が悪くなる
- Googleの検索エンジン上不利になる可能性がある
まず単純に訴えられる可能性があります。
特に、著作権を侵害した結果相手に損害を与えていたり、もしくは自分が多くの利益を得ている場合は訴えられる可能性も高くなるでしょう。
動いているお金が大きいほど、訴えるメリットも大きくなるからです。
次に著作権を侵害していることに気付いた消費者などは、良い印象を持たないはずです。
気付かない人も多いですが、気付く人もいるということです。
最後に、Googleの検索エンジン上の問題があります。
著作権を侵害して何らかのサービスを作っている場合も、サイトが著作権を侵害している場合も、Google検索で上位表示されることが好ましいはずです。
Googleの検索エンジンのアルゴリズムは不明ですが、年々精度が上がっています。
著作権を侵害して問題を起こす可能性のあるサイトなどは、排除される可能性が高いということです。
排除とまではいかなくても、表示ランキングで不利になる可能性があります。
また、しばしば「親告罪は告訴されなければ犯罪ではない」と勘違いされる場合がありますが、公訴を提起するには告訴が必要というだけでれっきとした犯罪です。
意図的に侵害する危険性は避けるべきでしょう。
まとめ
個人事業主・フリーランスは著作権・肖像権に注意する必要があり、特に今の時代著作権侵害は多発しています。
著作権を侵害したら、すぐさまトラブルに発展するというわけではありませんが、トラブルに発展する可能性もあります。
特に売上が伸びて目立つとその分目を付けられ、損害賠償を請求される可能性も十分にあるでしょう。
また消費者が気付いたり、Googleの検索エンジン上不利になることも考えられます。
著作権を無視するメリットよりもデメリットの方が大きいので、黒だけでなくグレーゾーンと判断した部分も避けた方が無難です。