「自分の趣味や特技を活かして事業をやってみたいけど、仕事を辞めて起業をするのは不安」そう思っている方も多いと思います。
また働き方改革や副業の緩和など、最近の環境変化から副業を志す方もいるでしょう。
そんな人たちの間で今人気なのが「週末起業」です。
興味があっても何から始めればよいのかわからないという人向けに、本記事では週末起業のメリット・デメリット、週末起業で成功するコツや注意点を解説します。
週末起業を始める手順についても説明するのでぜひ参考にしてください。
週末起業とは?
週末起業とは、 休日や空いた時間を使って会社員(本業)を続けながら起業すること。
従来は起業をする際、本業を辞めて新たに事業を起こすのが一般的でした。
最近では副業を容認する企業も増えており、まずは会社員として収入を得たまま、すき間時間で副業を始める週末起業が注目を集めています。
週末起業のメリット・デメリット
サラリーマン生活を維持しつつ行う週末起業には、メリットもあればデメリットもあります。
始める前に把握しておきましょう。
週末起業のメリット
週末起業には、主に次の5つのメリットがあります。
- 副収入が得られる
- 本業以外のキャリアが積める
- 経済面でのリスクが少ない
- 決定権が自分にある
- 収入を維持して独立準備ができる
メリット.1 副収入が得られる
週末起業は、本業のかたわらで副業として始めるものです。
つまり本業の収入にプラスして副収入が得られるということ。
仮に、週末起業で月5~10万円程度の収益にしかならなかったとしても、本業以外で年収が100万円ほども増えることになります。
収入の金額が増えるということもメリットですし、本業以外に収入源ができるということも大きなメリットです。
メリット.2 本業以外のキャリアが積める
本業と異なる分野で週末起業をすれば、もう1つのキャリアを積むことができます。
終身雇用も限界と言われている昨今、会社に依存しないスキルを身に付けることは将来的に大きな武器となります。
本業でキャリアを積んではきたものの、「これも仕事として生かせるのでは?」というスキルがある人にも週末副業は良いチャンスです。
実際に仕事として経験を積むことで、それが仕事として成り立つのかどうか、何かデメリットとなることがないかなどが確認できます。
未経験での転職は難しいことも多いですが、週末起業なら未経験分野にも挑戦できます。
メリット.3 経済面でのリスクが少ない
週末起業は限られた時間で小規模にはじめるので、普通の起業より初期投資が少なくて済みます。
規模が小さければ事業を継続するランニングコストも多くはかからないので、失敗してもリスクを最小限に抑えることができます。
また、万一のことがあっても本業があるので、収入源が絶たれるわけではありません。その事実により精神的な安定を保つこともできるのです。
メリット.4 業務の決定権が自分にある
自分で起業すれば会社の就業規則に縛られず、自由な働き方で仕事をすることができます。
また、ルールだけでなく時間のとり方や仕事の進め方など、すべての決定権が自分にあるのです。
組織に縛られたくない、会社や上司と考え方や価値観が合わないという人、家庭と仕事をうまく両立したい人にとって、このメリットは大きいでしょう。
もちろん仕事である以上、顧客など誰かの都合に合わせなければならないこともありますが、少なくとも会社員に比べれば時間の融通が利かせやすくなります。
メリット.5 収入を維持して独立準備ができる
今の仕事で独立起業をしたいけれど、自己資金が足りない、という人も多いものです。
会社を辞めず週末起業という形を取れば、定期的な収入を確保して資金を貯めつつ独立への準備を進めることができます。
資金面だけでなく、経験を積むという上でも週末起業が役立ちます。例えば未経験の事業で起業しようとした場合、通常は融資を受けるのも難しいのが現状です。しかし副業でその経験があれば有利に見てもらえる可能性も高いです。
起業にはリスクも伴いますが、週末起業で始めれば失敗しても再チャレンジでき、収入源が絶たれることもありません。
週末起業のデメリット
週末起業には次のようなデメリットもあります。
- 休日でも休めない
- 体力的な疲れ、家族との時間の減少など
- 営業や経理なども必要となる
- 税金に関する手続きが必要
- 本業退職時の失業手当がもらえない
デメリット.1 休日でも休めない
週末起業をするということは、本業が休みである週末に別の仕事をするということ。
つまり本来は休みであるはずの日でも、ゆっくり休むことができなくなってしまいます。
休みを取らないと体力的な疲れや精神的ストレスがたまり、本業に影響が出るおそれもあります。
特に業務に集中力を保つのは難しくなるでしょう。
また、趣味に費やす時間や、家族がいる人は家族と過ごす時間が減るリスクもあります。
自分がリフレッシュ・リラックスできる時間が少なくなるのはもちろん、家族に寂しい思いをさせることになるかもしれません。
デメリット.2 営業や経理なども必要となる
好きなことを仕事にできるのが週末起業の魅力ではありますが、好きなことだけでは事業経営はできません。
事業として収益を得るためには、集客のための営業や経営としてのお金の管理などもしっかりこなす必要があります。
特に営業や経理などは苦手だという人も多く、知識がなければ難しいものです。
そういった知識も身につけなくてはなりません。
まずは一人で起業をする、という場合は特に、事業を運営するにはあらゆる業務を自分でしなくてはならないことも頭に入れておきましょう。
デメリット.3 税金に関する手続きが必要
会社から給与をもらっている分には会社が税金関係の手続きをしてくれますが、週末起業して稼いだ収入については自分で確定申告をしなければなりません。
そのため税金に関する知識も必要です。
基本的には所得税の確定申告をすれば問題ないので、まずは確定申告のやり方だけでもしっかり押さえておきましょう。
確定申告をしないと加算税や延滞税が課せられることもあるため、十分注意してください。
1つの会社から給与収入があり、週末起業での所得の合計が20万円を超える場合には確定申告が必要です。
デメリット.4 本業退職時の失業手当がもらえない
通常は、退職しても条件を満たせば、次の仕事が見つかるまでの間の一定期間に雇用保険の失業手当を受け取ることができます。
しかし、週末起業で収入を得ていると失業手当がもらえない、もしくは減額される可能性があります。
失業手当は「仕事をしたくてもできる仕事がない」人に支給されるものだからです。
具体的には1日4時間以上働いた日は手当が受給できず、また働いた時間が4時間以内でもその収入額によって手当が減額されるというしくみです。
そのため、収益が失業手当より少ないにもかかわらず失業手当が受給できない、というケースもあり得るのです。
週末起業のアイデアを生み出す3つの視点
週末起業に興味はあっても、何の仕事で起業するか決めかねている人も多いものです。
この章では、週末起業のアイデアを生み出すヒントとして3つの視点を紹介します。
自分の「得意」なこと
「得意である」ことは仕事をするうえでも重要な要素なので、得意なことで週末起業を始めるのもおすすめです。
仕事で身に付けたスキルや専門知識はもちろんですが、趣味や特技でも次のような仕事での起業が可能です。
- イラストレーター
- グラフィックデザイナー
- 英会話の先生
- 家事代行
- 料理教室の開催
自分の強みや得意なことを活かせる分野で起業することは、事業を継続するためのモチベーション維持にも有益です。
スキルが人の役に立つことが実感できれば、大きなやりがいも得ることができるでしょう。
「やってみたかった」こと
週末起業なら、未経験の分野でも挑戦できます。
この機会に思い切って、「いつかはやってみたい」「一度はやってみたい」と温めてきた希望を叶えるべく、未経験の分野にチャレンジするのも良いでしょう。
次のような仕事に、憧れを持っている人も多いのではないでしょうか。
- 農業
- 漁業
- カフェ、雑貨屋の店主
- ネイルサロン、エステサロンの経営
- プログラマー、デザイナー
ただしもちろん、仕事としてお金をもらう以上は未経験といっても最低限の勉強はして知識を身に付けておきましょう。
会社では異動やジョブローテーション、研修制度などで学べる環境が用意されていますが、一人ではそうはいきません。
週末起業をするなら、自分から学ぶ姿勢も大切です。
「始めやすい」もの
まずは労力や費用が少なくて済む、始めやすい仕事を選ぶという方法もあります。
例えばカフェの経営でも、フランチャイズに加盟するとノウハウを学べるので、自分で一から勉強するよりはるかに労力を減らせます。
最近では、自宅にいながらパソコン一つでできる仕事もたくさんあるので、そういったものから気軽に始めてみるのも良いでしょう。
- フランチャイズの飲食店、テイクアウト専門店、クリーニング店など
- Webデザイナー
- Webライター
- ハンドメイド作品の販売
- ブロガー、アフィリエイター
インターネット系の仕事であれば、「クラウドワークス」「ココナラ」等のスキルシェアサービスを使うと依頼が受けやすく、報酬の受け取りなどのシステムも確立されています。
手数料がかかるなどのデメリットもありますが、1つの集客方法として利用するのもおすすめです。
週末起業の成功に欠かせないコツ
週末起業は比較的気軽にできるのがメリットですが、安易に始めてしまって失敗する人も少なくありません。
週末起業で成功するためには、次の3つも必須であることを頭に入れておきましょう。
「経営」という視点で考える
週末起業と聞くと、普通の起業よりも簡単なイメージがあるかもしれませんが、起業であることに変わりはありません。
そのため競合との差別化や収益性の分析など、経営的な視点は必須です。
そして継続的に事業として成り立たせるためには、集客やマーケティングにも力を入れる必要があります。
やりたいこと・好きなことを優先して「お客様が喜んでくれれば」と必要以上に値引きなどのサービスをしてしまったり、適当に安い値付けをしてしまったりするのは禁物です。
事業計画を立てる
「事業計画」とは事業の内容を文章や数字で具体化していくことです。
誰(どんな人)をターゲットとしてどんな商品・サービスを提供し、どうやって収益を上げるのかなどを明確にし、計画として可視化していきます。
週末起業もビジネスである以上「なんとなく」で始めるのではなく、きちんと計画を立てて収益性を検討しましょう。
事業計画書の内容は抽象的でなく、できる限り具体的な数字を示すなどして綿密に作り込むことが大切です。
融資を受けるにも、この事業計画書が可否判断の材料となります。
マーケティングの視点も持つ
商品やサービスを売るためには、単に自分の好きなものを作っているだけではなく「誰かがお金を払って買ってくれるもの」でなくてはいけません。
誰にどんな商品・サービスを提供するのかを明確にしたうえで、ニーズを的確に把握するためのマーケティングが重要です。
また、商品・サービスを選んでもらうためには、競合他社との差別化も意識する必要があります。
自分の強みを活かして競合との差別化を図りつつ、消費者のニーズに合った商品・サービスを提供できるようにしましょう。
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週末起業をするにあたって注意すべきこと
週末起業は、本業の傍らで事業を行うという意味では副業にもあたります。
副業は会社の就業規則や法律に違反することがあるので、注意しなければなりません。
ここでは週末起業をするにあたって、注意すべきことを2つ紹介します。
会社が「副業禁止」でないか
会社の就業規則で副業が禁止されている場合、週末起業をすることはできません。
自社の就業規則を見て、副業が禁止されていないかを必ず確認しておきましょう。
もっとも「副業」の解釈は会社によって異なり、週末起業に費やす時間や収益の金額によっては問題にしない、ということもあり得ます。
また副業OKの会社でも、副業の内容などを報告する必要がある場合もあります。
迷ったら会社の総務部門などの担当者に聞いてみるのが一番の方法です。
「競業避止義務」に反しないか
競業避止義務とは、労働者が会社と競合する業務をすることで会社に不利益を与えてはならないという労働者に課せられた義務のことです。
本業と同じ分野で週末起業すると、所属する会社との競合関係ができ、競業避止義務違反になる可能性があります。
ただし本業と同じ分野の起業が常に競業避止義務違反になるわけではありません。
競業避止義務違反となるのは、例えば職務上で知り得た顧客情報を持ち出したり、顧客を誘導したりしたような場合です。
競業避止義務違反にならないか不安なら、起業する前に会社と相談しておくのがよいでしょう。
週末起業の始め方
週末起業を始めるにはどのような手順で進めていけばよいか、具体的な週末起業の始め方を解説します。
手順に沿って一つひとつ着実に進めていきましょう。
STEP 1. どの分野で起業をするのか決める
まずはどの分野で起業するのかということを決めます。
本業で身に付けたスキルを活かせる分野が一般的ですが、自分がやってみたいことにチャレンジするのもよいでしょう。
事前にしっかり準備をして集客にも力を入れれば、未経験の分野で起業することも可能です。
STEP 2. 事業の計画を立てる
起業の分野が決まったら、起業の計画をより具体化していきます。
ターゲットや商品・サービスの内容、競合との差別化、収益性などについてできるだけ詳細な事業計画を立てましょう。
計画書にまとめて文章化することで、自分でも客観視することができます。
事業の実現可能性や収益の現実性を冷静に評価し、無理がある部分は調整するなどしてしっかりと作り込んでおくことが大切です。
STEP 3 . 開業資金を用意する
週末起業なら初期費用を抑えて開業することができるので、自己資金のみで開業する、という人も増えています。
しかし、事業によっては多額な資金が必要となることもあるでしょう。
十分な貯蓄がないからと言って起業を諦める必要もありません。
資金調達の手段はいくつかありますが、起業でよく活用されているのが日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。
新規開業者を対象としているので、過去の事業成績ではなく今後の将来性で融資の可否を判断してくれます。
その他にも公的な助成金・補助金が受けられる可能性があります。
あらゆる情報を集めて、活用できる制度は活用しましょう。
各自治体でも独自の起業支援制度などがあるので、公式サイトなどを確認してみてください。
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STEP 4. 事業をスタートさせる
事業計画を立て、開業資金の準備ができたらいよいよ事業をスタートさせます。
起業当初にはなかなか収益をあげられないものなので、焦らず地道に事業を継続していくことが大切です。
事業計画通りにいかなければ、問題点は何かを洗い出して軌道修正していきましょう。
STEP 5. 開業届を提出する
開業届とは個人事業の開業を税務署に申告するものです。
継続した事業所得がある人は、開業から1カ月以内に開業届を税務署に出す決まりです。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、所得税法第229条によって手続きの内容が定められています。
期限を過ぎた際や提出しない場合の罰則はありませんが、開業届と同時に提出する「青色申告承認申請書」を出していない状態では、節税効果の高い青色申告での確定申告ができません。
事業を開始した際は、必ず1カ月以内に開業届を提出しましょう。
所得税法施行令第63条によれば、継続的に対価を得る行為は「事業」とみなされます。
そのため、会社勤めをしながら副業としてビジネスを始める場合であっても、開業届の提出は必須となっています。
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まとめ
週末起業は収入源が増やせるなど魅力的な起業方法ですが、体力的に厳しくなったりするデメリットもあります。
どんな仕事で週末起業をしようか迷っている人は、まずは記事の中で紹介した視点をヒントに考えてみてください。
そして週末起業を成功させるには、「経営」としての視点を忘れないこと、綿密な事業計画の作成やマーケティングを行う必要もあります。
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